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  • 戦闘

【空蒼】正気の裂け目

マスター:ゆくなが

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 3~4人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/08/08 09:00
リプレイ完成予定
2018/08/22 09:00

オープニング

「ここまで来れば、大丈夫か……?」
 眼鏡の男が言う。
 ここはリアルブルー、日本のとある沿岸の倉庫街。
 彼らがたどり着いたのはある倉庫の中だ。
「お前ら、全員生きてるな?」
 眼鏡の男が、仲間を省みる。
「なんとか、ね……」
 そのうちショートヘアの気の強そうな女性が答えた。
「ありがとう、君たちのおかげで助かったよ……」
 その中にひとり、武装もせず、仕立ての良いスーツを汗に濡らした、中年の男がいた。ポケットから取り出した、白いハンカチで汗を拭く。
「いえ……自分たちにできる事をしたまでですから……」
 眼鏡の男が、控えめに言った。

●少し前
 中年の男は統一地球連合議会の議員であった。VOIDと繋がっていない、善良な議員である。
 しかし、この議員、車で移動中に、VOIDと繋がった議員がいた事で暴動を起こした民間人から襲撃されてしまう。
 運転手は気絶し、車は大破。どうしようもなくなっていたところへ、眼鏡の男とその仲間──強化人間の彼らが助けに来たのだった。
 彼らは、暴走する強化人間を見てなお、希望を捨てず、人類側として戦っている強化人間たちだった。
 議員は彼らに助けられ、この倉庫へとたどり着いた。

●これからの事
「で、でもこれからどうするの?」
 ツインテールの少女が言う。ライフルを抱えていて、腰にはナイフを帯びている。
「迂闊に動くと、危なくない……?」
「秋葉原のハンターオフィスに連絡して、保護してもらおう。連絡するから、ちょっと待っていてくれ」
 議員は携帯電話を取り出し、倉庫の隅へ行って連絡を取り始めた。
「ま、なんとかなるだろ」
 そんな中明るい声で、大柄の男が言う。
 4人の強化人間の中で一際背が高く、斧を背負った男だ。
 彼は頭から血を流していた。
 民間人から逃げる際に負った傷である。
 強化人間は今や危険な存在になった。議員も狙われているが、それを守ろうとする彼らも民間人の攻撃の的になった。
 しかし、彼らはあくまで議員を守るために行動し、民間人を傷つける事はしなかった。
 とくに、この男は仲間を庇ったために、そこかしこに傷を作っていた。
「と、とにかく手当しなきゃ……」
 ツインテールが応急手当を始めるが、緊張と恐怖のため、手が震えて作業が遅い。それを見かねたショートヘアが代わりに、手当をしてやった。
「怪我人がいることも、忘れず伝えてくれ!」
 眼鏡が議員の背中に言葉を投げる。
 議員は手を上げて答えた。

●しばらくして
 ハンターたちは議員から連絡のあった倉庫へと急行していた。
 各々装備は万全だ。
 ぽつぽつと街灯の灯る倉庫街を駆け抜ける。
 月はなく、星が地上の灯りに駆逐されて、ほとんど見えない夜だった。
 そして、目的の倉庫の扉を勢いよく開ける。
 同時にハンターたちは武器を抜いて、敵を見据え──
──強化人間たちと目が合った。

●辿り着いた場所で
「た、助けに……」
「ようやく助けに来てくれたのか!!」
 喜びの声を上げるツインテールの言葉を議員が遮って、ハンターたちに駆け寄る。
「さあ、早く私を助けてくれ!」
 議員はハンターのひとりに縋り付いた。
 ハンターたちは倉庫内を見渡す。
 しかし、そこには敵らしきものはどこにもいなくて、ただ、強化人間と思われる4人と議員が居るばかりだった。
「どういう、ことだ……?」
 武器を抜き放ったハンターを見て、不自然に思った眼鏡が疑問の声を上げる。
 ハンターたちも何がなんだかわからない。
 だって──ハンターたちは「議員が暴走した強化人間に追われている」という通報を受けてやってきたのだから。

●真相と暴走
「暴走した強化人間に追われている、助けてくれ!」
 議員はハンターオフィスにそう連絡していたのだ。
 この議員、確かにVOIDと繋がりはないが、強化人間に強い不信感を抱いていたのだった。
 強化人間に助けられてなお、議員が叫ぶ。
「あいつらは暴走する可能性があるんだろう!? なら早くやっつけてくれ!」
「何勝手なこと言ってんのよあんた……!?」
 怒りのあまり、ショートヘアが武器を抜刀し、議員へと大股で歩き出す。
 しかし、それを眼鏡が制した。
「連絡に行き違いがあったんだろう。とにかく僕らは暴走もしていないし、人類への敵対意思もない。それに仲間が傷を負っているんだ。どうか助けてくれないか?」
 穏やかな声で眼鏡が言う。
 確かに、彼らは暴走しているようには見えない。
 ハンターたちも武器を下げる。
「何をしてるんだ!? 私が一策を講じて、民間人から引き離し、こうして安全に戦える場所まで誘導してきたんだぞ!?」
 なおも、議員が喚く。
「あいつらは危険なんだ──」
「やめてよ!!」
 そんな議員の言葉をかき消すように、ツインテールが叫んだ。
 ツインテールの顔は恐怖と屈辱に濡れていた。
「あたしたちだって怖いんだよ!? いつか暴走しちゃうんじゃないかって、怖い思いしてるんだよ!? 危険なのは一番あたしたちがわかっているよ! でも、そういう風に、決めつけるのは、やめてよ……」
 泣き崩れたツインテールの背中をショートヘアが優しく撫でた。
 その時である、大柄の強化人間が呻いた。
「どうした!?」
 眼鏡が駆け寄る。
 大柄の男はうずくまっている。呻きは止まらず、徐々にそれは大きくなっていく。
 だが、そんな中で、大柄の男は何かを呟いていた。
「……して、殺して……くれ……」
 言うと同時に、大柄の男が腕をふるって、眼鏡を押しのけた。
 慌てて、離れる眼鏡。
 男はむくりと立ち上がり、血走った目で倉庫にいる全員に明確な殺意を向けた。
「まさか……暴走したのか!?」
 一気に緊張が走る。
「だから言ったじゃないか!」
 と、議員は喚いていた。
「いや……こんなのいやぁあ!!」
 ツインテールは錯乱し、頭をかきむしる。
「もう、殺して止めるしか……」
 眼鏡が大柄の男に銃口を向けようとした時、眼鏡の体が大きく痙攣した。
 そして、振り返った彼の目は、赤く充血し、正気がとっくに潰えたことを示していた。
「嘘よ……こんな、……きゃっ」
 混乱しているツインテールをショートヘアが突き飛ばした。
「どうしたの……?」
「ごめん、私も、駄目……みたい……」
 幽鬼のようにふらつくショートヘア。その瞳は──ただ殺意に満ちていた。
「嘘、嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!」
 がりがり頭をかいて、現実を否定しようとするツインテール。でも、そんなことをしても何も変わらない。
 ツインテールは涙をたたえた瞳で、議員を睨みつけた。
「あんたのせいよ……、あんたが嘘なんてつくから!!」
 そして、ツインテールはライフルの銃口を議員に向ける。
「殺してやる……殺してやる!!」
 唯一暴走していない彼女は、正気のままに人間へと殺意を向けるのだった。
 倉庫に──暴力が充満する。

解説

●目的
議員の保護と暴走した強化人間3人の討伐

●暴走した強化人間3人のスペック
眼鏡をかけた強化人間
銃と剣を装備し、遠近両方をそつなくこなします。
この強化人間たちのリーダー的存在でした。

ショートヘアの強化人間
刀を使い、近接戦闘に優れます。

大柄の強化人間
斧を使い、体力に優れます。
怪我をしていますが、戦闘に支障はないようです。

●暴走してない強化人間1人のスペック
ツインテールの強化人間
ライフルとナイフを使いこなします。
精神的に錯乱状態にあります。
また、仲間の暴走を議員のせいだと決めつけ、議員を殺そうとしています。

●議員について
VOIDと繋がっていない、善良な議員であるが、強化人間には不信感を抱いていました。
一般人であるため、戦闘能力は皆無。今回の保護対象です。

●戦場について
時間帯は夜。場所は広い倉庫。障害物はなし。
光源は倉庫内の電球によって確保されていると考えて良いでしょう。

マスターより

こんにちは、あるいはこんばんは。ゆくながです。
【空蒼】連動シナリオでございます。
議員を保護しつつ、暴走した強化人間を倒してください。

それでは皆様のご参加をお待ちしております。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/08/12 00:23

参加者一覧

  • White Wolf
    ソレル・ユークレース(ka1693
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • 竜潰
    ルナリリル・フェルフューズ(ka4108
    エルフ|16才|女性|機導師
  • 真実を照らし出す光
    歩夢(ka5975
    人間(紅)|20才|男性|符術師
  • 青き翼
    マリナ アルフェウス(ka6934
    オートマトン|17才|女性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
マリナ アルフェウス(ka6934
オートマトン|17才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2018/08/08 00:19:43
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/08/03 23:34:08