ゲスト
(ka0000)
星見る山で遭いましょう
マスター:三田村 薫

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/08/10 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/08/19 19:00
オープニング
●課外授業の下準備
教師ジェレミアは山に来ていた。今度、課外授業で天体観測をするのだ。その下見に来ている。
子どもの足でも登れるような低い山だ。所々急な斜面はあるが、登山道はなだらかなところを選んで作られている。
「虫が多いなぁ」
季節的なものもあるが、羽虫が多い。虫の嫌うハーブなどを持たせるべきだろう。子どもたちが長いこと空を見上げていても危険がないスペースが取れるか、座れるところはあるか、間違って転げ落ちるところはどこか。そう言ったことを検分して行く。
既に日は沈み掛かっている。良い景色だ。きっと、星空も綺麗なのだろう。今日はこのまま直帰になっている。もう少し景色を見てから帰っても、学校で待たせる人はいない。
「それにしても暑いな」
ジェレミアは水筒の中の水を飲んだ。そして、休める日陰を探す。
山頂の広場には、大きな木が真ん中に一本立っている。そこをぐるりと回って周辺を見ていたジェレミアは、不意に人の気配に気付いてそちらを見る。見れば、黄色っぽいワンピースを着た、学校の生徒くらいの少女が木にもたれて立っているではないか。見たことのない顔だ。彼の教え子ではない。
「君、こんなところで何を……」
言いかけて、彼は絶句した。
夕陽を浴びたその肌は、陶器のようにつやつやとしており、間違ってもヒトのそれではなかったからだ。
「……歪虚……」
「あら、よくわかったわね。何をしていると思う?」
がちゃ、がちゃ、とどこからか音がする。
(にににに、逃げなきゃ!)
彼は先日、ハンターたちから歪虚に遭遇した際の心構えを聞かせてもらう機会があった。そこで語られた内容は「とにかく逃げろ」。立ち向かって勝てるわけがないのは当然だし、少しでもこの歪虚の少女から逃げなくてはならない。金色の瞳がぱちぱちと瞬き、彼女が木から体を起こす。
「く、来るな!」
生徒と同じくらいの年齢らしいその少女に怒鳴るのは正直心が痛んだが、今はそれどころではないと言うのも同じくらいの本音だった。少女はくすりと笑う。
「そう? 逃げようと言うのね? 良いわ。じゃあ追いかけっこをしましょう。朝になるまでにこの山から逃げられたら、あなたの勝ち。その前に私があなたに追いついたら私の勝ちよ」
がちゃ、がちゃ、と音がする。
自分が負けたら何をされるのか。考えるだに恐ろしくて、ジェレミアはよろよろと後ずさる。しかし、山を下りるだけならどうにかなる。
「……山を下りるだけなら簡単、なんて思ってる?」
くすり、と彼女が笑った。
がちゃ、がちゃ、と音がする。
何の音?
ブリキでできた蜘蛛の音!
およそ小型犬くらいのサイズはあるだろうか。夕陽に照らされて金属光沢を見せる蜘蛛が、どこからかわらわらと、少女の元に集まってくる。
「う、うわああああ!?」
「可愛いでしょう? 私の蜘蛛よ。私の言うことを聞いてくれるの! これが私の味方よ。二十いるから、山中に放ってあなたを探すわ」
「な……」
そんなの反則ではないか。でも、少女は首を傾げて微笑むばかりだ。
「そうね、私の方が数が多いわ。不公平ね。だからあなたに先にスタートさせてあげる」
そう言って、彼女はジェレミアに近づいた。
彼の足下にいた蜘蛛を踏み台にすると、その胸を思い切り両手で突いた。
「ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
転倒したジェレミアは、その後ろの斜面を転がって行く。どれくらい転げただろうか、木にぶつかって、ようやく止まったところで顔を上げる。少女は随分と遠くになった。安心するが、右足を捻挫したようで、痛い。
「さあ! 今からスタートよ! 早く逃げなくては死んでしまうわ! さあ! さあ!」
楽しげで、それでいた狂ったようにも聞こえる歓声。夕陽に満ちる山の中で、金色の瞳が光った。
「う、ううう……」
ジェレミアは匍匐前進で斜面を降りる。上から金属がふれあう音がした。こちらにもいくつか向かってくる。
早く降りなくてはならない。
●ハンターオフィスにて
「山で蜘蛛雑魔が目撃された。金属っぽいやつって言ってたからね、多分嫉妬だろう。この前も出なかった? まあ、とにかくその蜘蛛が、山じゅうに広がって、何かを探しているようだって」
青年職員がそう説明していると、慌てた様子で眼鏡にお下げの職員がやって来た。
「ちょっと、ちょっと、それ、蜘蛛の出る山ですよね」
「そうだよ」
「続報ですぅ。小学校の先生が、その山に課外授業の下見で行っていたんだそうですぅ。ジェレミア先生、直帰の予定だけどまだ家に帰ってきてないって」
「なんだって?」
青年職員はハンターたちを見回した。
「山を燃やせば済むってわけにはいかなくなったぜ。諸君急いでくれ。下見に行ってからどれくらい経ってるの?」
「授業が終わってから出発したそうなのでぇ、かれこれ三時間」
「やばい。蜘蛛の目撃証言が一時間前だ。蜘蛛が後から来たとは限らないけど、もし山道で遭遇してたら逃げて通報しても良さそうだもんな……行ってから蜘蛛が来た可能性は高い。やばい。急いでくれ」
「ジェレミア先生って……」
お下げの職員が呟いた。青年職員は頷いた。
「この前も嫉妬歪虚に襲われた先生だよ。この前はハンターが間に合ったけど。今度もそうとは限らない。無事を祈るしかないね」
教師ジェレミアは山に来ていた。今度、課外授業で天体観測をするのだ。その下見に来ている。
子どもの足でも登れるような低い山だ。所々急な斜面はあるが、登山道はなだらかなところを選んで作られている。
「虫が多いなぁ」
季節的なものもあるが、羽虫が多い。虫の嫌うハーブなどを持たせるべきだろう。子どもたちが長いこと空を見上げていても危険がないスペースが取れるか、座れるところはあるか、間違って転げ落ちるところはどこか。そう言ったことを検分して行く。
既に日は沈み掛かっている。良い景色だ。きっと、星空も綺麗なのだろう。今日はこのまま直帰になっている。もう少し景色を見てから帰っても、学校で待たせる人はいない。
「それにしても暑いな」
ジェレミアは水筒の中の水を飲んだ。そして、休める日陰を探す。
山頂の広場には、大きな木が真ん中に一本立っている。そこをぐるりと回って周辺を見ていたジェレミアは、不意に人の気配に気付いてそちらを見る。見れば、黄色っぽいワンピースを着た、学校の生徒くらいの少女が木にもたれて立っているではないか。見たことのない顔だ。彼の教え子ではない。
「君、こんなところで何を……」
言いかけて、彼は絶句した。
夕陽を浴びたその肌は、陶器のようにつやつやとしており、間違ってもヒトのそれではなかったからだ。
「……歪虚……」
「あら、よくわかったわね。何をしていると思う?」
がちゃ、がちゃ、とどこからか音がする。
(にににに、逃げなきゃ!)
彼は先日、ハンターたちから歪虚に遭遇した際の心構えを聞かせてもらう機会があった。そこで語られた内容は「とにかく逃げろ」。立ち向かって勝てるわけがないのは当然だし、少しでもこの歪虚の少女から逃げなくてはならない。金色の瞳がぱちぱちと瞬き、彼女が木から体を起こす。
「く、来るな!」
生徒と同じくらいの年齢らしいその少女に怒鳴るのは正直心が痛んだが、今はそれどころではないと言うのも同じくらいの本音だった。少女はくすりと笑う。
「そう? 逃げようと言うのね? 良いわ。じゃあ追いかけっこをしましょう。朝になるまでにこの山から逃げられたら、あなたの勝ち。その前に私があなたに追いついたら私の勝ちよ」
がちゃ、がちゃ、と音がする。
自分が負けたら何をされるのか。考えるだに恐ろしくて、ジェレミアはよろよろと後ずさる。しかし、山を下りるだけならどうにかなる。
「……山を下りるだけなら簡単、なんて思ってる?」
くすり、と彼女が笑った。
がちゃ、がちゃ、と音がする。
何の音?
ブリキでできた蜘蛛の音!
およそ小型犬くらいのサイズはあるだろうか。夕陽に照らされて金属光沢を見せる蜘蛛が、どこからかわらわらと、少女の元に集まってくる。
「う、うわああああ!?」
「可愛いでしょう? 私の蜘蛛よ。私の言うことを聞いてくれるの! これが私の味方よ。二十いるから、山中に放ってあなたを探すわ」
「な……」
そんなの反則ではないか。でも、少女は首を傾げて微笑むばかりだ。
「そうね、私の方が数が多いわ。不公平ね。だからあなたに先にスタートさせてあげる」
そう言って、彼女はジェレミアに近づいた。
彼の足下にいた蜘蛛を踏み台にすると、その胸を思い切り両手で突いた。
「ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
転倒したジェレミアは、その後ろの斜面を転がって行く。どれくらい転げただろうか、木にぶつかって、ようやく止まったところで顔を上げる。少女は随分と遠くになった。安心するが、右足を捻挫したようで、痛い。
「さあ! 今からスタートよ! 早く逃げなくては死んでしまうわ! さあ! さあ!」
楽しげで、それでいた狂ったようにも聞こえる歓声。夕陽に満ちる山の中で、金色の瞳が光った。
「う、ううう……」
ジェレミアは匍匐前進で斜面を降りる。上から金属がふれあう音がした。こちらにもいくつか向かってくる。
早く降りなくてはならない。
●ハンターオフィスにて
「山で蜘蛛雑魔が目撃された。金属っぽいやつって言ってたからね、多分嫉妬だろう。この前も出なかった? まあ、とにかくその蜘蛛が、山じゅうに広がって、何かを探しているようだって」
青年職員がそう説明していると、慌てた様子で眼鏡にお下げの職員がやって来た。
「ちょっと、ちょっと、それ、蜘蛛の出る山ですよね」
「そうだよ」
「続報ですぅ。小学校の先生が、その山に課外授業の下見で行っていたんだそうですぅ。ジェレミア先生、直帰の予定だけどまだ家に帰ってきてないって」
「なんだって?」
青年職員はハンターたちを見回した。
「山を燃やせば済むってわけにはいかなくなったぜ。諸君急いでくれ。下見に行ってからどれくらい経ってるの?」
「授業が終わってから出発したそうなのでぇ、かれこれ三時間」
「やばい。蜘蛛の目撃証言が一時間前だ。蜘蛛が後から来たとは限らないけど、もし山道で遭遇してたら逃げて通報しても良さそうだもんな……行ってから蜘蛛が来た可能性は高い。やばい。急いでくれ」
「ジェレミア先生って……」
お下げの職員が呟いた。青年職員は頷いた。
「この前も嫉妬歪虚に襲われた先生だよ。この前はハンターが間に合ったけど。今度もそうとは限らない。無事を祈るしかないね」
解説
●目的
1.教師ジェレミアの救出
2.蜘蛛型歪虚の討伐
●敵情報
蜘蛛型雑魔×20
ブリキの様な光沢を持ち、小型犬程度の大きさの物が山の方々にいます。個人を識別することはできませんが、人型の生き物は識別することは可能です。
噛みつきにより強度2の毒(最大5ラウンド)、糸を吐くことによって強度2の行動阻害(最大5ラウンド)が発生します。
スキルなしで何度か殴っても倒せます。
歩くと音が鳴る上に忍び歩きの概念は皆無です。
●山について
PCたちが到着した時点では日没後となります。
標高は250メートル程度。登山道は2.5スクエア幅が東西南北に1本ずつあり、いずれも、子供でも登れるなだらかなところを選ばれています。ジェレミアが登ったのは東からの登山道です。
山全体が割とゆったりとした感じです。
しかし山ですので登山道が通っていない所はところどころ急な傾斜があります。登山道はそうでもありませんがそれ以外は木や植物で見通しは悪いです。
魔導伝話は問題なく通じる程度の大きさ。トランシーバーは電波の都合で使えないところもあるかもしれません。
山頂には広場があり、大きな木が一本あります。南西の傾斜に、人が踏み外したような跡があります。
●少女の歪虚について
PCが接触できるのは「声」のみとなり、戦闘に移行することはありません。
「まあ、迎えが来たのね? ずるいわ」
「でも連れて帰るまでがお迎えよ」
「早く見付けないと彼が死んでしまうわね」
などと言って煽ってきます。
●ジェレミアについて
ハンターが来るまでは蜘蛛から隠れながら下山を試みます。ハンター到着後、指示があればそれに従い、なければ下山を続行します。
少女歪虚に突き落とされた時に右足を捻挫しています。
意識ははっきりしていますが自分に迫る危険のためかなり動揺しています。また蜘蛛を避けながら降りているので速度は遅いでしょう。
所持品は、水筒、ハンカチ、角砂糖、呼子笛です(PL情報)。
1.教師ジェレミアの救出
2.蜘蛛型歪虚の討伐
●敵情報
蜘蛛型雑魔×20
ブリキの様な光沢を持ち、小型犬程度の大きさの物が山の方々にいます。個人を識別することはできませんが、人型の生き物は識別することは可能です。
噛みつきにより強度2の毒(最大5ラウンド)、糸を吐くことによって強度2の行動阻害(最大5ラウンド)が発生します。
スキルなしで何度か殴っても倒せます。
歩くと音が鳴る上に忍び歩きの概念は皆無です。
●山について
PCたちが到着した時点では日没後となります。
標高は250メートル程度。登山道は2.5スクエア幅が東西南北に1本ずつあり、いずれも、子供でも登れるなだらかなところを選ばれています。ジェレミアが登ったのは東からの登山道です。
山全体が割とゆったりとした感じです。
しかし山ですので登山道が通っていない所はところどころ急な傾斜があります。登山道はそうでもありませんがそれ以外は木や植物で見通しは悪いです。
魔導伝話は問題なく通じる程度の大きさ。トランシーバーは電波の都合で使えないところもあるかもしれません。
山頂には広場があり、大きな木が一本あります。南西の傾斜に、人が踏み外したような跡があります。
●少女の歪虚について
PCが接触できるのは「声」のみとなり、戦闘に移行することはありません。
「まあ、迎えが来たのね? ずるいわ」
「でも連れて帰るまでがお迎えよ」
「早く見付けないと彼が死んでしまうわね」
などと言って煽ってきます。
●ジェレミアについて
ハンターが来るまでは蜘蛛から隠れながら下山を試みます。ハンター到着後、指示があればそれに従い、なければ下山を続行します。
少女歪虚に突き落とされた時に右足を捻挫しています。
意識ははっきりしていますが自分に迫る危険のためかなり動揺しています。また蜘蛛を避けながら降りているので速度は遅いでしょう。
所持品は、水筒、ハンカチ、角砂糖、呼子笛です(PL情報)。
マスターより
こんにちは三田村です。
夜蜘蛛は凶兆と言いますね。あとはよろしくお願いします。
ジェレミアが襲われたシナリオは「【陶曲】夜の校舎で遭いましょう」、心構えのシナリオは「【春郷祭】春郷祭で会いましょう」となります。また少女歪虚の配下は「ブリキの蜘蛛」の蜘蛛たちでもあります。どれも読まなくても問題ありません。各シナリオ参加PC推奨でもありません。どなた様でもお気軽にどうぞ。
夜蜘蛛は凶兆と言いますね。あとはよろしくお願いします。
ジェレミアが襲われたシナリオは「【陶曲】夜の校舎で遭いましょう」、心構えのシナリオは「【春郷祭】春郷祭で会いましょう」となります。また少女歪虚の配下は「ブリキの蜘蛛」の蜘蛛たちでもあります。どれも読まなくても問題ありません。各シナリオ参加PC推奨でもありません。どなた様でもお気軽にどうぞ。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/08/16 01:07
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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作戦卓 レイア・アローネ(ka4082) 人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/08/10 18:49:29 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/09 01:12:49 |