一面の花畑である。
　白、赤、黄色など夏を連想させる色味を持つ花達がその艶姿を競うように咲き誇っていた。芳しい花の香りもまた、この風景に彩りを与えていた。
　本来なら、ここはもちろん名所であり、観光に人々が訪れるのである。
　しかし、今日は晴天であるにも関わらず、花畑はどんより曇っているような目の霞むような感じがあった。
　そして、この花畑は静かすぎた。
　これだけの花があれば、様々な虫も飛び交うことであろう。けれど、その翅音は一切しない。
　集う人々の話し声も、足音も、全くしない。
　そんな自然ならざる静寂の中で、唯一動くものがあった。
　巨大なアゲハ蝶が、花畑に飛んでいるのだ。
　成人男性ほどの体躯を持つ、黄色い鮮やかな羽を持つそれは、ゆっくりと羽を動かし、ただ1匹、悠々と空を舞っているのであった。
　そして、アゲハ蝶が舞う下には。
　何人もの人間が倒れ伏しているのだった。
　数は８人である。彼らはゆっくりと胸を上下させていることから、まだ死んでいないことがわかる。
　そして、優雅に飛んでいたアゲハ蝶は、花弁に舞い降りるように、寝ている人間の体にその６本の足を乗せ、丸まったストロー状の口吻を伸ばし、ゆっくりと人間の首元に差し入れたのだ……。

●
「ある花畑に、アゲハ蝶の雑魔が出現しました」
　ハンターオフィスで女性職員が説明する。
　観光名所である花畑に突如現れ、人々を昏睡させたらしい。マテリアルの摂取は、蝶の持つ、細い口から吸血のように行われているようで、即座に命に関わる方法ではないものの、放っておけば死に至ることは明白だった。
「即座に、この雑魔のアゲハ蝶を退治してください……と言いたいのですが、アゲハ蝶の周囲には先に言った通り、昏睡した人々が倒れています。彼らを救出しつつ、雑魔を倒すことが今回の依頼です。昏睡している人々の介護は戦闘が終わった後に救命専門のハンターを派遣しますので、心配いりません」
　人々を傷つけないよう工夫して戦闘する……なにより昏睡している人間だ。昏睡状態が解除されない限り能動的な行動はとれないだろう。
　まだ暑いある日に、こうしてハンターたちは雑魔退治に出かけることになったのだった。

●目的
アゲハ蝶型雑魔の退治と、人々の救出

●敵のスペック
アゲハ蝶型雑魔。とても大きいが、サイズは１。
蝶なので浮遊してはいますが、飛行ルールが適用されるという意味ではありません。
体当たりなどの攻撃に加えアクティブスキルは以下の通り。
風を巻き起こす　サブアクション　射程１〜３　射程内の敵単体に羽で巻き起こした風をぶつけ、１ターンの回避低下を与える。
突風を起こす　メインアクション　射程１〜４　直線上の射程内にいる全員にダメージ。
吸血　メインアクション　近接単体　敵のマテリアルを吸うことにより対象にダメージを与え、自身は体力を回復する。
鱗粉を撒き散らす　メインアクション　効果範囲直径５スクエア　効果範囲の敵全員に昏睡によるBS行動不能を付与。
人々が眠らされているのはこの鱗粉を撒き散らすスキルのためです。
強度はさほど高くないので、覚醒者なら抵抗は容易でしょうが、非覚醒者ではそうはいきません。

●昏睡している人々について
全員が非覚醒者の戦闘力を持たない一般人。昏睡によるBS行動不能にかかっている。
数は８人。全員アゲハ蝶型雑魔の周辺にいる。
アゲハ蝶型雑魔にマテリアルを吸われている者もいるので、かなり衰弱しています。
戦闘が終わり次第、救命に特化したハンターが来てくれるので、戦闘後の心配は必要ありません。

●戦場について
色とりどりの花が咲き乱れる花畑。とても広い。
障害物はなし。

こんにちは、あるいはこんばんは。ゆくながです。
今回は花畑での戦闘になります。
巨大なアゲハ蝶を倒し、昏睡している人々を救出してください。

それでは、皆様のご参加をお待ちしております。