ゲスト
(ka0000)
【東幕】泰山東雲
マスター:近藤豊

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 3~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/08/20 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/08/29 19:00
オープニング
「僧正様、嵐愚に捕まっていた者が戻って参りました!」
泰山の武僧、許文冠の報告に泰山龍鳴寺の大僧正は白く長い眉を大きく持ち上げた。
今まで泰山に巣くう歪虚集団『嵐愚』に連れ掠われて帰ってきた者がいなかったからだ。
大僧正はすぐに話を聞くべく幕府の楠木香(kz0140)と詩天の水野 武徳(kz0196)を宿から呼び寄せた。
「もう一度、客人の前で先程の話をするのじゃ」
大僧正の前に座っているのは小作人の女で農作業中に誘拐されたらしい。
「ああ、分かりましただ。オラが田を耕してたら、変な頭の奴が鉄の塊でやってきてオラを連れ去っただ」
「そうか、怖かっただろう。酷い事はされなかったか?」
女性らしい気遣いを見せる香。
しかし、目の前の女性の反応は怯えるというよりも首を傾げて怪訝そうな顔つきだ。
「酷いと言えば、酷い事をされただ」
「どういう意味だ?」
「あいつらの根城は黄山の麓にある洞窟なんだけんども……連れ去られた先で変な歯車を回せって言われて」
女性の話では、洞窟で目の前の棒を押して数人で歯車を回させられていたらしい。
見回せば同じように回させられているのは何組もいたらしい。
「歯車ですか。一体何の為に?」
「それ、オラも気になってあいつらに聞いて見ただ」
文冠の疑問を女性も抱いたらしく、女性は近くにいた嵐愚らしき歪虚に聞いて見たという。
「そったら、あいつら。『歯車を押す事に意味はない』って言うんだ」
「は?」
「連れ去ったから何かさせないとまずいんだけど、何も思い付かないから意味もなく歯車を押させてるって言ってただ」
「…………」
文冠は唖然とした。
どうやら、嵐愚はかなり頭の方が残念な連中のようだ。武僧達が事件を聞きつけて急行する前に逃げられてはいたが、歪虚としてはかなり間抜けな気配が濃厚だ。
「オラ、隙見て逃げてきたんだけんども。まだまだ捕まっている連中がおるんじゃ」
「そうかそうか。ならば、もう少し話をさせてもらおうかのう。場所や地形、敵の数……分かる限りで構わん」
女性の前で、武徳はにやりと微笑んだ。
●
「……嵐愚という連中は底なしのマヌケのようじゃな」
黄山にある嵐愚の根城近くで、武徳は女性から聞き出した情報を元に作戦を立てていた。
嵐愚の数は三十名程度で、首魁らしき仮面の男がいるらしい。
洞窟の入り口は二箇所。西の正門と東の通用門であり、丸太を使った門が西側のみに存在する。通常はこの正門が開いて歪虚バイクで外へ出て行っているが、二頭の馬が横に並べばいっぱいの為、時折東の通用門から外へ行く事がある。東の門が通用門なのは西の正門よりも道が狭い為だろう。
人質は十名程で、西の正門から北にある牢屋に捕まっているらしい。
「マヌケというのはどういう意味でしょう?」
「ここに布陣した事よ。一方を責め立てられた際、もう一方から逃げ出す事を考えたのじゃろうが、待ち伏せすれば一網打尽よ」
そう言って武徳は、手書きの地図を広げた。
そこには墨で描かれた簡単な見取り図があった。
「楠木殿。おぬしはハンターと共に西の正門へ行け。なるべく派手に暴れて敵を追い立てるのじゃ」
「人質の保護もすれば良いのだな。心得た」
「文冠は、西の通用門で待ち伏せじゃ。ここで逃げてきた敵を倒せ」
「心得ました。『ばいく』なる敵の乗り物はどう対処すれば良いでしょうか?」
「ふむ。急拵えではあるが、馬防柵を準備した。これを出口に仕掛けるが良い。話によれば炎を出すらしいが、操縦者が操作する仕組みのようじゃ。出口で罠を仕掛ければ容易にかかるであろう」
武徳は女性からの情報を聞いて早々に作戦を立案していた。
先の戦いで嵐愚らしき歪虚の戦闘力はそれ程高くはないと分かっている。心配なのは、人質の女性を人質に取られる恐れがある事と――。
「敵の首魁の存在が不安だな」
香は腕を組んで女性との話を思い出していた。
女性はボスの存在を嵐愚から聞いたものの、その存在は目撃していない。如何なる存在かは予想もつかない。
「情報がないものは致し方あるまい。首魁を探る時間も無いからのう。ここはハンター達に任せた方が良いじゃろう」
「……水野殿、まさか他人事でハンターに丸投げする気では?」
香の指摘に、武徳は思わず視線を背けて誤魔化す。
「馬鹿を申すでない。龍鳴寺の僧正じゃあるまいし……」
「? 大僧正様が何か?」
今度は文冠が聞き返す。
説明するも面倒そうな武徳は、大声を上げて一方的に話を打ち切る。
「ええい。とにかく、嵐愚とかいうマヌケどもを退治して下らん騒ぎを終わらせるのじゃ」
●
「戻って来ないだろ?」
嵐愚のアジトで、首魁らしき仮面の男は豪華な椅子に腰をかける。
右手には錫で作られた盃。並々と赤い液体が注がれている。
手下達には分かる。首魁がその仮面の下で怒りを溜めている事を。
「ぼ、ボス……」
「街の連中、まだ俺達の恐ろしさが分からねぇらしい。また暴れてやらねぇといけねぇようだな」
「ボス、盃からワインが溢れてますぜ」
怒りで手を震わせる首魁。
錫の盃から液体が零れている事を手下が指摘した。
「……あ、いけね。勿体ねぇ」
手についた液体を必死で啜ろうとする首魁。
だが、仮面が邪魔でうまく啜れないようだ。
「って、啜れねぇじゃねぇか。カッコイイと思って付けてみたけど、これ邪魔だなぁ」
「ボス、ワインのお代わりいります?」
「馬鹿野郎! これはワインじゃねぇ。葡萄ジュースだ。ワインなんて苦いもんは好きじゃねぇ」
そこはかとなく嵐愚の馬鹿っぷりが漂っている。
しかし、首魁はどこから来るのか不明な自信をたっぷりに立ち上がる。
「よぉ~し、ここは俺様自ら街へ赴くとするか! 俺様愛用の巨大歪虚バイク『リブロース』を準備しろ」
「ボス。なんで、バイクをその名前にしたんです?」
「あ? なんか、カッコイイだろ」
「…………」
泰山に巣くう馬鹿っぽい歪虚。
憎めない面もあるが、歪虚は歪虚。ここはきっちり始末を付けなければならないだろう。
泰山を舞台にした歪虚と人間との戦いが、始まろうとしていた。
泰山の武僧、許文冠の報告に泰山龍鳴寺の大僧正は白く長い眉を大きく持ち上げた。
今まで泰山に巣くう歪虚集団『嵐愚』に連れ掠われて帰ってきた者がいなかったからだ。
大僧正はすぐに話を聞くべく幕府の楠木香(kz0140)と詩天の水野 武徳(kz0196)を宿から呼び寄せた。
「もう一度、客人の前で先程の話をするのじゃ」
大僧正の前に座っているのは小作人の女で農作業中に誘拐されたらしい。
「ああ、分かりましただ。オラが田を耕してたら、変な頭の奴が鉄の塊でやってきてオラを連れ去っただ」
「そうか、怖かっただろう。酷い事はされなかったか?」
女性らしい気遣いを見せる香。
しかし、目の前の女性の反応は怯えるというよりも首を傾げて怪訝そうな顔つきだ。
「酷いと言えば、酷い事をされただ」
「どういう意味だ?」
「あいつらの根城は黄山の麓にある洞窟なんだけんども……連れ去られた先で変な歯車を回せって言われて」
女性の話では、洞窟で目の前の棒を押して数人で歯車を回させられていたらしい。
見回せば同じように回させられているのは何組もいたらしい。
「歯車ですか。一体何の為に?」
「それ、オラも気になってあいつらに聞いて見ただ」
文冠の疑問を女性も抱いたらしく、女性は近くにいた嵐愚らしき歪虚に聞いて見たという。
「そったら、あいつら。『歯車を押す事に意味はない』って言うんだ」
「は?」
「連れ去ったから何かさせないとまずいんだけど、何も思い付かないから意味もなく歯車を押させてるって言ってただ」
「…………」
文冠は唖然とした。
どうやら、嵐愚はかなり頭の方が残念な連中のようだ。武僧達が事件を聞きつけて急行する前に逃げられてはいたが、歪虚としてはかなり間抜けな気配が濃厚だ。
「オラ、隙見て逃げてきたんだけんども。まだまだ捕まっている連中がおるんじゃ」
「そうかそうか。ならば、もう少し話をさせてもらおうかのう。場所や地形、敵の数……分かる限りで構わん」
女性の前で、武徳はにやりと微笑んだ。
●
「……嵐愚という連中は底なしのマヌケのようじゃな」
黄山にある嵐愚の根城近くで、武徳は女性から聞き出した情報を元に作戦を立てていた。
嵐愚の数は三十名程度で、首魁らしき仮面の男がいるらしい。
洞窟の入り口は二箇所。西の正門と東の通用門であり、丸太を使った門が西側のみに存在する。通常はこの正門が開いて歪虚バイクで外へ出て行っているが、二頭の馬が横に並べばいっぱいの為、時折東の通用門から外へ行く事がある。東の門が通用門なのは西の正門よりも道が狭い為だろう。
人質は十名程で、西の正門から北にある牢屋に捕まっているらしい。
「マヌケというのはどういう意味でしょう?」
「ここに布陣した事よ。一方を責め立てられた際、もう一方から逃げ出す事を考えたのじゃろうが、待ち伏せすれば一網打尽よ」
そう言って武徳は、手書きの地図を広げた。
そこには墨で描かれた簡単な見取り図があった。
「楠木殿。おぬしはハンターと共に西の正門へ行け。なるべく派手に暴れて敵を追い立てるのじゃ」
「人質の保護もすれば良いのだな。心得た」
「文冠は、西の通用門で待ち伏せじゃ。ここで逃げてきた敵を倒せ」
「心得ました。『ばいく』なる敵の乗り物はどう対処すれば良いでしょうか?」
「ふむ。急拵えではあるが、馬防柵を準備した。これを出口に仕掛けるが良い。話によれば炎を出すらしいが、操縦者が操作する仕組みのようじゃ。出口で罠を仕掛ければ容易にかかるであろう」
武徳は女性からの情報を聞いて早々に作戦を立案していた。
先の戦いで嵐愚らしき歪虚の戦闘力はそれ程高くはないと分かっている。心配なのは、人質の女性を人質に取られる恐れがある事と――。
「敵の首魁の存在が不安だな」
香は腕を組んで女性との話を思い出していた。
女性はボスの存在を嵐愚から聞いたものの、その存在は目撃していない。如何なる存在かは予想もつかない。
「情報がないものは致し方あるまい。首魁を探る時間も無いからのう。ここはハンター達に任せた方が良いじゃろう」
「……水野殿、まさか他人事でハンターに丸投げする気では?」
香の指摘に、武徳は思わず視線を背けて誤魔化す。
「馬鹿を申すでない。龍鳴寺の僧正じゃあるまいし……」
「? 大僧正様が何か?」
今度は文冠が聞き返す。
説明するも面倒そうな武徳は、大声を上げて一方的に話を打ち切る。
「ええい。とにかく、嵐愚とかいうマヌケどもを退治して下らん騒ぎを終わらせるのじゃ」
●
「戻って来ないだろ?」
嵐愚のアジトで、首魁らしき仮面の男は豪華な椅子に腰をかける。
右手には錫で作られた盃。並々と赤い液体が注がれている。
手下達には分かる。首魁がその仮面の下で怒りを溜めている事を。
「ぼ、ボス……」
「街の連中、まだ俺達の恐ろしさが分からねぇらしい。また暴れてやらねぇといけねぇようだな」
「ボス、盃からワインが溢れてますぜ」
怒りで手を震わせる首魁。
錫の盃から液体が零れている事を手下が指摘した。
「……あ、いけね。勿体ねぇ」
手についた液体を必死で啜ろうとする首魁。
だが、仮面が邪魔でうまく啜れないようだ。
「って、啜れねぇじゃねぇか。カッコイイと思って付けてみたけど、これ邪魔だなぁ」
「ボス、ワインのお代わりいります?」
「馬鹿野郎! これはワインじゃねぇ。葡萄ジュースだ。ワインなんて苦いもんは好きじゃねぇ」
そこはかとなく嵐愚の馬鹿っぷりが漂っている。
しかし、首魁はどこから来るのか不明な自信をたっぷりに立ち上がる。
「よぉ~し、ここは俺様自ら街へ赴くとするか! 俺様愛用の巨大歪虚バイク『リブロース』を準備しろ」
「ボス。なんで、バイクをその名前にしたんです?」
「あ? なんか、カッコイイだろ」
「…………」
泰山に巣くう馬鹿っぽい歪虚。
憎めない面もあるが、歪虚は歪虚。ここはきっちり始末を付けなければならないだろう。
泰山を舞台にした歪虚と人間との戦いが、始まろうとしていた。
解説
目的:人質を保護して嵐愚を壊滅させる
作戦:黄山の麓になる洞窟。西の正門と東の通用門の二箇所が出入り口となっている。作戦では西の正門をハンターの一部と楠木香が進軍。派手に暴れ回り、敵を東の通用門へ追い立てる。東の通用門では馬防柵を設置して歪虚バイクで逃走しようとする敵を阻む。文冠と共に残るハンターが敵を撃破。最終的に西と東から敵を挟撃する形で首魁を討ち取る。
敵:
嵐愚(手下) ×20~30人
モヒカン、肩パッド、刺青の三種の神器を持つ下品な親父達。
歪虚バイクに跨がって悪さを続けていた。歪虚バイクに乗れば炎を噴射して汚物を消毒する事もできる。鉈、斧、ボウガン(腕に装着)で攻撃する。基本的に頭は弱く、下っ端気質。死亡フラグを立てまくる癖がある。
嵐愚(首魁)
嵐愚の首魁。鉄仮面をカッコ良さそうからという理由で被る残念な歪虚。愛用の巨大歪虚バイク『リブロース』は、このアジトで組み立てられた首魁専用バイクであり、『馬三頭が横に並んだ』程の巨大さであり、急加速すればバリケードも簡単に破壊する。炎を吐き出しながら回転すれば無敵(本人談)。
<PL情報>
首魁は非常に足が短く、リブロースに乗っても足が届きません。台が無ければ跨がる事もできません。
※注意
アジトの北に牢屋があり、人質が捕まっています。放置すれば手下が人質を盾にする可能性があります。
作戦:黄山の麓になる洞窟。西の正門と東の通用門の二箇所が出入り口となっている。作戦では西の正門をハンターの一部と楠木香が進軍。派手に暴れ回り、敵を東の通用門へ追い立てる。東の通用門では馬防柵を設置して歪虚バイクで逃走しようとする敵を阻む。文冠と共に残るハンターが敵を撃破。最終的に西と東から敵を挟撃する形で首魁を討ち取る。
敵:
嵐愚(手下) ×20~30人
モヒカン、肩パッド、刺青の三種の神器を持つ下品な親父達。
歪虚バイクに跨がって悪さを続けていた。歪虚バイクに乗れば炎を噴射して汚物を消毒する事もできる。鉈、斧、ボウガン(腕に装着)で攻撃する。基本的に頭は弱く、下っ端気質。死亡フラグを立てまくる癖がある。
嵐愚(首魁)
嵐愚の首魁。鉄仮面をカッコ良さそうからという理由で被る残念な歪虚。愛用の巨大歪虚バイク『リブロース』は、このアジトで組み立てられた首魁専用バイクであり、『馬三頭が横に並んだ』程の巨大さであり、急加速すればバリケードも簡単に破壊する。炎を吐き出しながら回転すれば無敵(本人談)。
<PL情報>
首魁は非常に足が短く、リブロースに乗っても足が届きません。台が無ければ跨がる事もできません。
※注意
アジトの北に牢屋があり、人質が捕まっています。放置すれば手下が人質を盾にする可能性があります。
マスターより
近藤豊です。
泰山シナリオの決戦……ですが、残念な嵐愚の実体が明らかになります。逃げ足だけが速く、せこい悪行を重ねていたようです。歪虚である以上、きっちりと退治してやる必要があります。退治して泰山の平和を取り戻しましょう。
それでは、焼豚を肴にお待ちしています。
泰山シナリオの決戦……ですが、残念な嵐愚の実体が明らかになります。逃げ足だけが速く、せこい悪行を重ねていたようです。歪虚である以上、きっちりと退治してやる必要があります。退治して泰山の平和を取り戻しましょう。
それでは、焼豚を肴にお待ちしています。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/08/22 18:14
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談スレッド 穂積 智里(ka6819) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/08/19 15:11:58 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/19 09:58:11 |