ゲスト
(ka0000)
【空蒼】選ばれることを、選べない
マスター:凪池シリル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 3~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/08/28 22:00
- リプレイ完成予定
- 2018/09/06 22:00
オープニング
──どうしてクリムゾンウェストは、僕を選ばなかった。
「……」
現場に到着する。立派な屋敷だが、意識を集中すると、中に居るものが騒いでいる気配が感じ取れて、高瀬少尉は溜め息をつく気にもなれなかった。
イクシード・アプリ。
誰でも覚醒者になれるという触れ込みで今広まりつつあるそれは、少なくとも、力を与えてくれるのは事実だった。
……だが、疑いもせずにそんなものに手を出す人間が軽率に力を手にすればどうなるか。
力を得たら、その力を誇示したくなる。しかし都合良く目の前に歪虚が現れてくれるわけでもない。
持て余した少年たちが活躍の場を求めて目をつけたのは、この不安定な時勢に非常用品の買い占めを行ったという金持ちだった。……まあ余り行儀がよろしいとは思えないが、現状別に罪ではない。
だがこれを聞き付けた少年たちは幸いとばかりに「正義を執行する」と宣言して、突き止めた金持ちの家を襲撃し、占拠。手に入れた物資をSNSの友人に配布するという事件を起こしたわけだ。
如何に「全ての地球人に正義を知らしめ、それをもってVOIDへの対抗手段とする」などと宣っても、現在の日本の法律に照らし合わせればどこをどう切り取っても犯罪である。
ここで困るのは、それでもイクシード・アプリの力は本物だということだ。つまり、元がただのやんちゃ少年だろうが、並みの警察官では歯が立たない。
かくして、やむなく初動は強化人間の出番となるわけである。ハンターが到着するまで、ここで少年たちを見張り、逃亡するようであれば足止めすること。
力を得たとはいえ訓練を受けていない少年が二人、本来なら少尉一人でも鎮圧は出来るのだろうが。暴走の可能性を考えればハンターの出動を待つのが最適となるのだろう。
……一つ一つ、現状を確認して。
やはり、溜め息も出ない。
良く分からず選ばれて真面目にやっているのかも分からないハンターたちより、自ら志願できる強化人間の方が正しいと思って、この力を得た。
それが──実際、誰もが力を得られるようになったらこの様か。
遅れてこの世界にやってくるハンターが頼り、ではいけないと思った。地球人が一番頼りにするのは自分達になるように在らなければ、と。だから反発した。負けてはならないと己に課すために。だがそれも結局──羨望の裏返しだったと分かっている今、自分があの少年たちを嗤えるのか。
自分はどうすればよかったのだろう。
今更自分に──何の価値がある。
そこまで考えたとき。少尉は顔を上げた。それはネガティブな考えを振り払おうとしてではない、単純に何かを感じたからだ。
そして……見上げたその先で、光が集束していた。
瞬時に意識が切り替わる。思考は現象を理解するために全てを回す。そうだ、あれについても報告で聞いていた──思い出し、動けるように身構えると同時に、光から現れた「使徒(アポストル)」は光輪を放った。……少尉に向けてではなく、屋敷に向けて。
光は容赦なく屋根をぶち抜き、屋敷を大きく揺るがせた。
「うわああああ!?」
泡を食って飛び出してくる少年たち。
「ななななんだあれ!? VOIDか!?」
「あ、慌てんじゃねえ! おお俺たちには力があるんだ!」
縺れ合いながら……一応構えでも取ろうとしているのかあれは? 混乱もあって、まるでお話にならない。雑魚VOIDならともかく、聞いていた「使徒」の報告が正しいならあれでは……。
そこに。ハンターたちが駆けつける気配がした。
だが、共闘したところであれが優先して狙うのは強化人間とアプリ使用者のはずだ。あっという間に殺される──
咄嗟、だった。
本当に、咄嗟で考えられたのは、それだけだった。
やって来たハンターたちに向けて、少年たちを突き飛ばす。
「……僕が一旦囮になる! そいつらを巻き込まれないところまで離せ!」
叫んでから、使徒に向けて射撃する。
狙い通り。使徒は、「強化人間」かつ、「攻撃してきた」少尉に意識が向いたようだった。
光輪が、再び生まれる。少尉は盾を掲げ転がるようにして避けてそれをかろうじて凌ぐと、屋敷へと飛び込んだ。
……もし、覚醒者として向こうの世界に転移していれば。戦い続けることに迷いなど、無かったと思うのに。彼らのように、どうして選ばれなかったのか。
そうして選べたと思った力の価値は、無様に堕ちて。
それでも。
それでも。
今あるこの力を、どう使うのか、選べるのならば。
……軍人として、何があっても、己より弱きものを守れ、と。その教えを。
屋敷を再び襲った破壊は……近かった。時間稼ぎのために屋敷内を移動しているが、どうやらおおよその位置は捕捉されているらしい。……完璧ではない。それなら今寄りかかっているこの壁ごと吹っ飛ばされていただろうから。
多分、長くは持たない。ここで終わるのか。その上で、あの子たちがどうなるかは、結局ハンターたちが頼り。
だというのに……今はそのどちらにも。そんなに悪い気は、しなかった。
「……」
現場に到着する。立派な屋敷だが、意識を集中すると、中に居るものが騒いでいる気配が感じ取れて、高瀬少尉は溜め息をつく気にもなれなかった。
イクシード・アプリ。
誰でも覚醒者になれるという触れ込みで今広まりつつあるそれは、少なくとも、力を与えてくれるのは事実だった。
……だが、疑いもせずにそんなものに手を出す人間が軽率に力を手にすればどうなるか。
力を得たら、その力を誇示したくなる。しかし都合良く目の前に歪虚が現れてくれるわけでもない。
持て余した少年たちが活躍の場を求めて目をつけたのは、この不安定な時勢に非常用品の買い占めを行ったという金持ちだった。……まあ余り行儀がよろしいとは思えないが、現状別に罪ではない。
だがこれを聞き付けた少年たちは幸いとばかりに「正義を執行する」と宣言して、突き止めた金持ちの家を襲撃し、占拠。手に入れた物資をSNSの友人に配布するという事件を起こしたわけだ。
如何に「全ての地球人に正義を知らしめ、それをもってVOIDへの対抗手段とする」などと宣っても、現在の日本の法律に照らし合わせればどこをどう切り取っても犯罪である。
ここで困るのは、それでもイクシード・アプリの力は本物だということだ。つまり、元がただのやんちゃ少年だろうが、並みの警察官では歯が立たない。
かくして、やむなく初動は強化人間の出番となるわけである。ハンターが到着するまで、ここで少年たちを見張り、逃亡するようであれば足止めすること。
力を得たとはいえ訓練を受けていない少年が二人、本来なら少尉一人でも鎮圧は出来るのだろうが。暴走の可能性を考えればハンターの出動を待つのが最適となるのだろう。
……一つ一つ、現状を確認して。
やはり、溜め息も出ない。
良く分からず選ばれて真面目にやっているのかも分からないハンターたちより、自ら志願できる強化人間の方が正しいと思って、この力を得た。
それが──実際、誰もが力を得られるようになったらこの様か。
遅れてこの世界にやってくるハンターが頼り、ではいけないと思った。地球人が一番頼りにするのは自分達になるように在らなければ、と。だから反発した。負けてはならないと己に課すために。だがそれも結局──羨望の裏返しだったと分かっている今、自分があの少年たちを嗤えるのか。
自分はどうすればよかったのだろう。
今更自分に──何の価値がある。
そこまで考えたとき。少尉は顔を上げた。それはネガティブな考えを振り払おうとしてではない、単純に何かを感じたからだ。
そして……見上げたその先で、光が集束していた。
瞬時に意識が切り替わる。思考は現象を理解するために全てを回す。そうだ、あれについても報告で聞いていた──思い出し、動けるように身構えると同時に、光から現れた「使徒(アポストル)」は光輪を放った。……少尉に向けてではなく、屋敷に向けて。
光は容赦なく屋根をぶち抜き、屋敷を大きく揺るがせた。
「うわああああ!?」
泡を食って飛び出してくる少年たち。
「ななななんだあれ!? VOIDか!?」
「あ、慌てんじゃねえ! おお俺たちには力があるんだ!」
縺れ合いながら……一応構えでも取ろうとしているのかあれは? 混乱もあって、まるでお話にならない。雑魚VOIDならともかく、聞いていた「使徒」の報告が正しいならあれでは……。
そこに。ハンターたちが駆けつける気配がした。
だが、共闘したところであれが優先して狙うのは強化人間とアプリ使用者のはずだ。あっという間に殺される──
咄嗟、だった。
本当に、咄嗟で考えられたのは、それだけだった。
やって来たハンターたちに向けて、少年たちを突き飛ばす。
「……僕が一旦囮になる! そいつらを巻き込まれないところまで離せ!」
叫んでから、使徒に向けて射撃する。
狙い通り。使徒は、「強化人間」かつ、「攻撃してきた」少尉に意識が向いたようだった。
光輪が、再び生まれる。少尉は盾を掲げ転がるようにして避けてそれをかろうじて凌ぐと、屋敷へと飛び込んだ。
……もし、覚醒者として向こうの世界に転移していれば。戦い続けることに迷いなど、無かったと思うのに。彼らのように、どうして選ばれなかったのか。
そうして選べたと思った力の価値は、無様に堕ちて。
それでも。
それでも。
今あるこの力を、どう使うのか、選べるのならば。
……軍人として、何があっても、己より弱きものを守れ、と。その教えを。
屋敷を再び襲った破壊は……近かった。時間稼ぎのために屋敷内を移動しているが、どうやらおおよその位置は捕捉されているらしい。……完璧ではない。それなら今寄りかかっているこの壁ごと吹っ飛ばされていただろうから。
多分、長くは持たない。ここで終わるのか。その上で、あの子たちがどうなるかは、結局ハンターたちが頼り。
だというのに……今はそのどちらにも。そんなに悪い気は、しなかった。
解説
●目的
依頼としては、「アプリを使用して犯罪を起こしたものの拿捕」、状況としては「使徒が出現した騒ぎの収拾」
●解説
騒ぎは「使徒を消滅させる」「強化人間(アプリ使用者含む)が死亡する」いずれかが満たされると終了します。
使徒は執拗にVOIDに由来する存在を狙うように出来ており、これは距離を離した程度ではどうにもならず、隠れてもおおよその位置は感知してきます。
つまり少尉が稼いだ時間で出来ることはあくまで「一旦主戦場となる場所から引き離す」それだけでしかありません。逃がしきって、使徒が諦めるのを狙うのは車両などがあってもほぼ不可能です。少尉が倒れれば使徒は次にアプリを利用した少年二人に向かうでしょう。
ただ、使徒はVOID以外絶対目もくれないというわけではなく、攻撃してくるものは迎撃してきます。危険な存在と認識させれば、反応してきます。
逆に言えば何もしなければそのままVOID以外には目もくれず、その際の周辺被害は一切考慮してきません。なお、使徒を倒すことには問題ありません。が、それなりに強敵ではあります。
●敵(?)情報
使徒 サイズ2。光輪による射撃攻撃と光の剣による近接攻撃。飛行能力あり。今は軽く浮かびながら屋敷を攻撃中。周辺の強化人間が死亡すれば勝手に消えてなくなります。
あるいは、少年及び高瀬少尉。少年二人はハンターを相手にするにはお話になりません。少尉も、ハンターがそういう選択をするのならば諦めて自ら使徒の前に出るでしょう。
依頼としては、「アプリを使用して犯罪を起こしたものの拿捕」、状況としては「使徒が出現した騒ぎの収拾」
●解説
騒ぎは「使徒を消滅させる」「強化人間(アプリ使用者含む)が死亡する」いずれかが満たされると終了します。
使徒は執拗にVOIDに由来する存在を狙うように出来ており、これは距離を離した程度ではどうにもならず、隠れてもおおよその位置は感知してきます。
つまり少尉が稼いだ時間で出来ることはあくまで「一旦主戦場となる場所から引き離す」それだけでしかありません。逃がしきって、使徒が諦めるのを狙うのは車両などがあってもほぼ不可能です。少尉が倒れれば使徒は次にアプリを利用した少年二人に向かうでしょう。
ただ、使徒はVOID以外絶対目もくれないというわけではなく、攻撃してくるものは迎撃してきます。危険な存在と認識させれば、反応してきます。
逆に言えば何もしなければそのままVOID以外には目もくれず、その際の周辺被害は一切考慮してきません。なお、使徒を倒すことには問題ありません。が、それなりに強敵ではあります。
●敵(?)情報
使徒 サイズ2。光輪による射撃攻撃と光の剣による近接攻撃。飛行能力あり。今は軽く浮かびながら屋敷を攻撃中。周辺の強化人間が死亡すれば勝手に消えてなくなります。
あるいは、少年及び高瀬少尉。少年二人はハンターを相手にするにはお話になりません。少尉も、ハンターがそういう選択をするのならば諦めて自ら使徒の前に出るでしょう。
マスターより
凪池です。混迷を増してきたリアルブルー、その一端を示す賑やかしとしてお邪魔します。
……まあ、誰しも軽率に力を手に入れられるようになってしまったら、こうしたやんちゃをしちゃう子達も出ちゃうわけで。
今後こうした、大したことない事件だけど地味に大忙し、とかいった話にもなるのでしょうね。頑張れハンター。
……ところで少尉はどうしてこうなった。いや、初期設定から変更はないんだけど……こんな分かりやすい活躍なんてさせるつもりは別に……。使徒の情報が出てきたら何故かこうなりました。果たしてこれは死亡フラグなのか、からの生存フラグなのか。皆さんの答えをお待ちしてます。
……まあ、誰しも軽率に力を手に入れられるようになってしまったら、こうしたやんちゃをしちゃう子達も出ちゃうわけで。
今後こうした、大したことない事件だけど地味に大忙し、とかいった話にもなるのでしょうね。頑張れハンター。
……ところで少尉はどうしてこうなった。いや、初期設定から変更はないんだけど……こんな分かりやすい活躍なんてさせるつもりは別に……。使徒の情報が出てきたら何故かこうなりました。果たしてこれは死亡フラグなのか、からの生存フラグなのか。皆さんの答えをお待ちしてます。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/08/31 05:54
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/26 08:29:35 |
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ブルーの天使に会いに(相談卓) パトリシア=K=ポラリス(ka5996) 人間(リアルブルー)|19才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2018/08/27 00:49:43 |