ゲスト
(ka0000)
【空蒼】少女とイクシード・アプリ
マスター:きりん

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/08/28 15:00
- リプレイ完成予定
- 2018/09/06 15:00
オープニング
●イクシード・アプリ
怪しいものに手を出してはいけないし、それが一見どんなに魅力的に見えるものであっても、信じるべきではない。
それが、竜造寺冴子の信条であり、常識でもあった。
予鈴が鳴って、教師が来て朝のホームルームが始まるまでの数分間。
たったこれだけの時間でも、話題は配信されたハンターになれるというイクシード・アプリの話で持ちきりだった。
ここ最近立て続けに起きた事件によって公開された情報により、度々リアルブルーで起きていた失踪、神隠し事件の被害者の中に、異世界クリムゾンウエストに転移していた人物がいるのは既知の事実だ。
一時期はニュースなどにもなったのだ。知らないわけがない。
そして実しやかに世間に出回っている情報では、リアルブルー人は、皆クリムゾンウエストに行けばハンターになれる素質があるらしい。
ハンターというものそのものに対して、冴子は懐疑的だ。
その存在や理念が悪いとはいわないが、分不相応な力など、生き延びるためには選択肢がそれしかなかったなど、余程の事情が無い限り取るべきではないし、冴子自身取りたくはないと思っている。
過ぎた力は身を滅ぼす。甘い話には裏がある。
慎重な性格の冴子にとって警戒するのは当然のことであり、力を得られるというアプリを嬉々としてインストールする人間の心理が、理解できない。
もちろん、鳴りを潜めていたVOID残党が各地で暴れている今、襲われて身を守るためという理由で仕方なくアプリをインストールしたという状況なら理解できる。
実際、もしもの可能性を考え、懐疑的なスタンスを崩さない冴子自身も、アプリのインストール手段だけは頭に叩き込んでいるのだから。
しかしそれはやはり『本意ではない』のが前提であり、安易に力を得られるからと、怪しいアプリに手を出すべきではないと冴子は思うのだ。
だから、冴子はよりにもよって教室の中でアプリをインストールしようとするクラスメートに苦言を呈する。
「止めた方がいいわよ。アンインストールして元に戻れるかも分からないのに、手を出すべきじゃないわ。本当に差し迫っている状況ならともかく」
「VOIDが各地で暴れてるって緊急特番だってやってたじゃない。身を守るためにアプリに頼ることの何がいけないの?」
「本来私たちを守ってくれるはずだった強化人間だって、今じゃVOIDと同じように暴走してる。もう自分の身は自分で守らなきゃいけないのよ」
善意による冴子の助言に返されたのは、反感だった。
当然だ。
強化人間の暴走、VOID残党の蜂起、この二つの大きな事件によって、世間の治安は乱れに乱れている。
テレビやネットでは、あのアプリをインストールしたことによって命が助かった者たちの歓喜の声が飛び交っている。
……まるで、一人でも多くの人間にアプリをインストールさせようと、何かが舌なめずりをして待ち構えているかのように。
アプリをインストールする理由として出来過ぎた今の状況に、冴子は襲われることへの恐怖以上に、知らず取り返しのつかない落とし穴に足を踏み出しかけているかのような、不安を抱かずにはいられない。
とはいえ、例え怪しくても本当に力が手に入るのなら身を守るためにアプリに頼りたいと思う気持ちも理解はできる。
だから、冴子にできるのは、己のクラス委員長という立場を振りかざして、一時的に強権で押さえつけることだけだった。
「今はまだ、私たちは襲われたわけじゃない。少なくとも、今ここでやるようなことじゃないわ。第一、もうすぐ先生だって来るのよ。やるなら放課後、学校を出てからにしなさい。校内での携帯の操作は校則違反よ。看過できない。これ以上続けるなら先生に取り上げてもらうわよ」
さすがに没収されるのは嫌だったのか、アプリをインストールしようとしていたクラスメートたちはしぶしぶ中止して携帯をしまう。
その様子を見て安堵しながらも、冴子は悟っていた。
きっと放課後になれば、皆こぞってアプリをインストールするのだろう。
さすがにそこまではクラス委員長というだけでは口出しできないし、冴子にとっても彼ら彼女らにとっても、ただのクラスメート以外の関係ではないのだから。
だが、冴子は知らなかった。
続くと思っていた自分の日常が、もうすぐ壊れてしまうことを。
●VOIDの襲撃
本当に、突然の出来事だった。
轟音とともに校舎が大きく揺れ、窓ガラスが一斉に割れ、校舎は逃げ惑う生徒や教師たちの悲鳴が響く阿鼻叫喚の地獄絵図に変わった。
下を向けば、散った窓ガラスの破片や壊れた机の残骸に混じって、床に横たわる見慣れた誰かの無残な死体が嫌でも目に入る。
今や校舎のいたるところで、多くの人間が逃げ惑っていた。
穏やかで平凡な学校の風景が、たった数分で非日常に塗り替えられた中、冴子もまた必死に生存を目指して足掻いている。
アプリをインストールして抗戦する生徒や教師がぽつぽつと現れる中、未だに冴子は一般人のままだった。
どこもかしこも、見回せば深海魚のようにグロテスクなVOIDだらけ。
例え、冴子自身がアプリをインストールした誰かに助けられたとしても、冴子は決して誰かをアプリで守ろうとは考えなかった。
もちろん、後ろめたい気持ちはある。ないはずがない。冴子はクラス委員長で、本来なら避難誘導を行わなければならないのだから。
自分がアプリをインストールすれば助けられる人間がいるかもしれないのだ。実際に、そんな場面には何度も出くわした。
そのたびに、手はスマートフォンを探して彷徨って、しかし、結局手にすることはなかった。
どうしてもアプリに対する疑念が頭を離れない。
また、誰かが襲われているのが見えた。
助けてと叫んでいる。
距離的には冴子が一番近い。今すぐアプリをインストールすれば助けられるだろう。逡巡する。でも。
(ごめん、なさい……!)
見捨てて逃げる冴子に向けられた懇願が絶叫に変わった。
代わりに別の生徒が助けに入って、冴子を睨む。
どうして助けないのかと、憤慨するその目が語っていた。
VOIDと戦い始める生徒を残し、冴子はその場を逃げ出す。
(私にどうしろっていうのよ!)
たくさんの生徒たちが襲われていた。たくさんの生徒たちに助けを求められた。
多くの生徒がアプリをインストールして誰かを守ろうと戦っているのを見た。
冴子も彼らに倣い、アプリをインストールして戦うのがきっと正しいのだろう。情のある人間としては。
(でも、でもっ!)
それが、冴子にはできない。
疑り深い性格がアプリに頼ることをよしとせず、非常事態で曝け出された本能は、真っ先に冴子に自分の命を優先させた。
笑えるほどに、己の醜さを見せつけられる。
生存者たちが誰かを守るために戦う中、冴子は泣きながら、安全な場所を求めて逃げ続けた。
怪しいものに手を出してはいけないし、それが一見どんなに魅力的に見えるものであっても、信じるべきではない。
それが、竜造寺冴子の信条であり、常識でもあった。
予鈴が鳴って、教師が来て朝のホームルームが始まるまでの数分間。
たったこれだけの時間でも、話題は配信されたハンターになれるというイクシード・アプリの話で持ちきりだった。
ここ最近立て続けに起きた事件によって公開された情報により、度々リアルブルーで起きていた失踪、神隠し事件の被害者の中に、異世界クリムゾンウエストに転移していた人物がいるのは既知の事実だ。
一時期はニュースなどにもなったのだ。知らないわけがない。
そして実しやかに世間に出回っている情報では、リアルブルー人は、皆クリムゾンウエストに行けばハンターになれる素質があるらしい。
ハンターというものそのものに対して、冴子は懐疑的だ。
その存在や理念が悪いとはいわないが、分不相応な力など、生き延びるためには選択肢がそれしかなかったなど、余程の事情が無い限り取るべきではないし、冴子自身取りたくはないと思っている。
過ぎた力は身を滅ぼす。甘い話には裏がある。
慎重な性格の冴子にとって警戒するのは当然のことであり、力を得られるというアプリを嬉々としてインストールする人間の心理が、理解できない。
もちろん、鳴りを潜めていたVOID残党が各地で暴れている今、襲われて身を守るためという理由で仕方なくアプリをインストールしたという状況なら理解できる。
実際、もしもの可能性を考え、懐疑的なスタンスを崩さない冴子自身も、アプリのインストール手段だけは頭に叩き込んでいるのだから。
しかしそれはやはり『本意ではない』のが前提であり、安易に力を得られるからと、怪しいアプリに手を出すべきではないと冴子は思うのだ。
だから、冴子はよりにもよって教室の中でアプリをインストールしようとするクラスメートに苦言を呈する。
「止めた方がいいわよ。アンインストールして元に戻れるかも分からないのに、手を出すべきじゃないわ。本当に差し迫っている状況ならともかく」
「VOIDが各地で暴れてるって緊急特番だってやってたじゃない。身を守るためにアプリに頼ることの何がいけないの?」
「本来私たちを守ってくれるはずだった強化人間だって、今じゃVOIDと同じように暴走してる。もう自分の身は自分で守らなきゃいけないのよ」
善意による冴子の助言に返されたのは、反感だった。
当然だ。
強化人間の暴走、VOID残党の蜂起、この二つの大きな事件によって、世間の治安は乱れに乱れている。
テレビやネットでは、あのアプリをインストールしたことによって命が助かった者たちの歓喜の声が飛び交っている。
……まるで、一人でも多くの人間にアプリをインストールさせようと、何かが舌なめずりをして待ち構えているかのように。
アプリをインストールする理由として出来過ぎた今の状況に、冴子は襲われることへの恐怖以上に、知らず取り返しのつかない落とし穴に足を踏み出しかけているかのような、不安を抱かずにはいられない。
とはいえ、例え怪しくても本当に力が手に入るのなら身を守るためにアプリに頼りたいと思う気持ちも理解はできる。
だから、冴子にできるのは、己のクラス委員長という立場を振りかざして、一時的に強権で押さえつけることだけだった。
「今はまだ、私たちは襲われたわけじゃない。少なくとも、今ここでやるようなことじゃないわ。第一、もうすぐ先生だって来るのよ。やるなら放課後、学校を出てからにしなさい。校内での携帯の操作は校則違反よ。看過できない。これ以上続けるなら先生に取り上げてもらうわよ」
さすがに没収されるのは嫌だったのか、アプリをインストールしようとしていたクラスメートたちはしぶしぶ中止して携帯をしまう。
その様子を見て安堵しながらも、冴子は悟っていた。
きっと放課後になれば、皆こぞってアプリをインストールするのだろう。
さすがにそこまではクラス委員長というだけでは口出しできないし、冴子にとっても彼ら彼女らにとっても、ただのクラスメート以外の関係ではないのだから。
だが、冴子は知らなかった。
続くと思っていた自分の日常が、もうすぐ壊れてしまうことを。
●VOIDの襲撃
本当に、突然の出来事だった。
轟音とともに校舎が大きく揺れ、窓ガラスが一斉に割れ、校舎は逃げ惑う生徒や教師たちの悲鳴が響く阿鼻叫喚の地獄絵図に変わった。
下を向けば、散った窓ガラスの破片や壊れた机の残骸に混じって、床に横たわる見慣れた誰かの無残な死体が嫌でも目に入る。
今や校舎のいたるところで、多くの人間が逃げ惑っていた。
穏やかで平凡な学校の風景が、たった数分で非日常に塗り替えられた中、冴子もまた必死に生存を目指して足掻いている。
アプリをインストールして抗戦する生徒や教師がぽつぽつと現れる中、未だに冴子は一般人のままだった。
どこもかしこも、見回せば深海魚のようにグロテスクなVOIDだらけ。
例え、冴子自身がアプリをインストールした誰かに助けられたとしても、冴子は決して誰かをアプリで守ろうとは考えなかった。
もちろん、後ろめたい気持ちはある。ないはずがない。冴子はクラス委員長で、本来なら避難誘導を行わなければならないのだから。
自分がアプリをインストールすれば助けられる人間がいるかもしれないのだ。実際に、そんな場面には何度も出くわした。
そのたびに、手はスマートフォンを探して彷徨って、しかし、結局手にすることはなかった。
どうしてもアプリに対する疑念が頭を離れない。
また、誰かが襲われているのが見えた。
助けてと叫んでいる。
距離的には冴子が一番近い。今すぐアプリをインストールすれば助けられるだろう。逡巡する。でも。
(ごめん、なさい……!)
見捨てて逃げる冴子に向けられた懇願が絶叫に変わった。
代わりに別の生徒が助けに入って、冴子を睨む。
どうして助けないのかと、憤慨するその目が語っていた。
VOIDと戦い始める生徒を残し、冴子はその場を逃げ出す。
(私にどうしろっていうのよ!)
たくさんの生徒たちが襲われていた。たくさんの生徒たちに助けを求められた。
多くの生徒がアプリをインストールして誰かを守ろうと戦っているのを見た。
冴子も彼らに倣い、アプリをインストールして戦うのがきっと正しいのだろう。情のある人間としては。
(でも、でもっ!)
それが、冴子にはできない。
疑り深い性格がアプリに頼ることをよしとせず、非常事態で曝け出された本能は、真っ先に冴子に自分の命を優先させた。
笑えるほどに、己の醜さを見せつけられる。
生存者たちが誰かを守るために戦う中、冴子は泣きながら、安全な場所を求めて逃げ続けた。
解説
●概要
戦闘シナリオです。
狂気VOIDの群れに襲われた学校の校舎に突入し、竜造寺冴子を守りながらこれを全滅させてください。
竜造寺冴子は危機に瀕しています。保護が遅れれば、彼女は苦渋の決断を下しアプリをインストールしてしまいます。
逆に安全が確保されれば、落ち着いて呼びかけを行い避難誘導を始めるでしょう。
最後まで生存が確定しているのはアプリをインストールした人間のみ。冴子以外の一般人はPC到着前にアプリをインストールして自力で生き延びると考えてください。
●達成条件
・敵の全滅
・可能な限り多くの生徒の生存
●校舎について
一階、二階、三階、屋上があります。
地上から空中から、校舎内に多数の狂気VOIDが侵入している状態です。
敵の多さは一階が最も多く、上に行くほど少なくなっています。
あちこちで生き残りの生徒や教師たちがイクシード・アプリをインストールして抗戦を続けており、その中を竜造寺冴子が未だに一般人の身のまま逃げ惑っています。
床は窓ガラスの破片や校舎の瓦礫や死体が散乱し、とても歩きにくい状態です。
校舎の中では乗り物や動物に騎乗することはできない、あるいはできてもマイナス補正の方が大きいと考えてください。
最初竜造寺冴子は己の学年のクラスがある二階で逃げ回っていますが、ハンターの助けが間に合わなければ最終的には屋上に追い詰められ、飛び降りて死ぬかVOIDに襲われて死ぬか、後から後悔することを承知でイクシード・アプリに命を託すかの三択を迫られることになります。
●敵
○狂気VOID……四十体
一メートル未満。総じて動きは不規則で、噛み付くものと、触手を伸ばして攻撃してくるものの二種類がいます。
戦闘シナリオです。
狂気VOIDの群れに襲われた学校の校舎に突入し、竜造寺冴子を守りながらこれを全滅させてください。
竜造寺冴子は危機に瀕しています。保護が遅れれば、彼女は苦渋の決断を下しアプリをインストールしてしまいます。
逆に安全が確保されれば、落ち着いて呼びかけを行い避難誘導を始めるでしょう。
最後まで生存が確定しているのはアプリをインストールした人間のみ。冴子以外の一般人はPC到着前にアプリをインストールして自力で生き延びると考えてください。
●達成条件
・敵の全滅
・可能な限り多くの生徒の生存
●校舎について
一階、二階、三階、屋上があります。
地上から空中から、校舎内に多数の狂気VOIDが侵入している状態です。
敵の多さは一階が最も多く、上に行くほど少なくなっています。
あちこちで生き残りの生徒や教師たちがイクシード・アプリをインストールして抗戦を続けており、その中を竜造寺冴子が未だに一般人の身のまま逃げ惑っています。
床は窓ガラスの破片や校舎の瓦礫や死体が散乱し、とても歩きにくい状態です。
校舎の中では乗り物や動物に騎乗することはできない、あるいはできてもマイナス補正の方が大きいと考えてください。
最初竜造寺冴子は己の学年のクラスがある二階で逃げ回っていますが、ハンターの助けが間に合わなければ最終的には屋上に追い詰められ、飛び降りて死ぬかVOIDに襲われて死ぬか、後から後悔することを承知でイクシード・アプリに命を託すかの三択を迫られることになります。
●敵
○狂気VOID……四十体
一メートル未満。総じて動きは不規則で、噛み付くものと、触手を伸ばして攻撃してくるものの二種類がいます。
マスターより
こんにちは、初めまして。
マスターのきりんです。
今回のシナリオは空蒼の連動シナリオとなります。
NPCは戦闘力皆無で逃げ回るしかない竜造寺冴子と、VOIDに対して優勢に戦えるモブNPCの二種類がいるので、優先順位を上手くつけるのがシナリオを成功させるコツです。
モブNPCは総じてイクシード・アプリをインストール済みなので、放っておいても問題ありません。勝手にVOIDを倒していくでしょう。
もちろん、全てを助けようと頑張るのは構いません。
それでは楽しんでくださいね。
マスターのきりんです。
今回のシナリオは空蒼の連動シナリオとなります。
NPCは戦闘力皆無で逃げ回るしかない竜造寺冴子と、VOIDに対して優勢に戦えるモブNPCの二種類がいるので、優先順位を上手くつけるのがシナリオを成功させるコツです。
モブNPCは総じてイクシード・アプリをインストール済みなので、放っておいても問題ありません。勝手にVOIDを倒していくでしょう。
もちろん、全てを助けようと頑張るのは構いません。
それでは楽しんでくださいね。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/08/30 13:12
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 鹿東 悠(ka0725) 人間(リアルブルー)|32才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/08/28 09:22:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/24 23:38:50 |