ゲスト
(ka0000)
【空蒼】追跡者のノック音
マスター:三田村 薫

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 3~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/08/28 09:00
- リプレイ完成予定
- 2018/09/06 09:00
オープニング
●から騒ぎ
「おい! 開けろ! いるんだろ! テメェ人が出張中に妻に手を出しやがって!!」
アメリカ合衆国ネヴァダ州のとある町にて。出張の仕事が早く終わった男は、帰宅するや知った男の靴が玄関にあるのを見て激昂した。そしてそのまま夫婦の寝室前を開けようとしたが、鍵が掛かっているのに気付いて乱打する。あの男殺してやる。
「このご時世に呑気なもんだな!」
男が強く扉を叩いた瞬間、ジャケットのポケットからスマートフォンが落ちた。端末の画面はさっきまで使っていたため、まだ点灯している。
それを誰かが拾ったら、彼が流行に乗ったことを知っただろう。
イクシード・アプリのアイコンが、画面の端っこに収まっているから。
●一人の子ども
アメリカ合衆国ネヴァダ州。
ナンシー・スギハラ地球統一連合軍曹長は、昼食にハンバーガーを買って店を出た。夏ももうすぐ終わるが、まだ暑い日は続いている。自分は夏が終わるまでに戦線へ復帰できるだろうか。
彼女は二ヶ月前、VOID排除のために出向いたカジノで、隊の仲間を失った。生き残ったのは彼女だけだったが、クリムゾンウェストの覚醒者たちに助けてもらったため、同じ境遇の他の軍人より立ち直りは早かった。
とは言え、やはり心に傷を負ったとして休暇や心のケアは申し渡された。軍が手配してくれたケアで、彼女は徐々に日常に帰りつつある。ハンバーガーを買うために外に出られるようにもなった。
「ん?」
彼女は、十歳くらいとおぼしき茶髪の少女が一人で歩いているのを見かけた。アメリカでは、子どもを一人で放置するなんて言語道断だ。親は一体何をしているのか。ナンシーは眉をひそめてから、笑顔を作って彼女に声を掛けた。
「ハイ、お嬢ちゃん一人なの?」
少女はびくりと肩を震わせる。ナンシーが優しい笑顔をしているのを見て、怖くない人だとでも思ったのか、彼女は困った様な顔で、
「ママがね、悪い奴を捕まえるって言ってどこかに行っちゃったの」
「いつ?」
「さっき」
ナンシーの頭に過ぎったのは、最近出回っているイクシード・アプリのことだった。これをインストールすれば、誰でも手軽に覚醒者になれて、悪い奴……VOIDと渡り合える、と言うもの。ナンシーも、インストールを迷ったことがある。覚醒者になれれば、もうあんな思いをしなくて良いのかもしれないと。拳銃を持ち歩かなくても良くなるのではないかと。
それでも、実際に会った覚醒者たちの顔を思い出すと、インストールする気にはなれなかった。なんだか、あの人たちとは違う気がしたから。
「とにかく、おまわりさんの所に行って、ママに連絡を取って貰おう。あんた、こんなところに一人でいたら危ないからね」
ナンシーがそう言って、少女に手を差し出したその時だった。
スーツの男が、雄叫びを上げてこちらに走ってくる。そのジャケットとシャツは血で汚れているが、本人のものでないのは明らかだ。男はこちらを見ると、吠えるように怒鳴る。
「テメェらも殺してやる!」
ナンシーは反射的に、持っていたハンバーガーの紙袋を男に投げつけた。
「逃げるよ!」
男が怯んだ隙に、少女の手を引いて駆け出した。
●ひしゃげるシャッター
ナンシーは倉庫街に駆け込んだ。運良く、シャッターが三分の一ほど開いている倉庫を見付けて少女を押し込む。後から自分も入ってシャッターを下ろした。内側から施錠する。開かないことを確認して、ナンシーは少女に向き直った。
「あんた、名前は?」
「クレア」
「……クレア、ね。あたしはナンシー。奥に隠れてて」
「ナンシーはどうするの?」
「銃がある。耳を塞いで、奥の机の後ろにいて」
クレアを部屋の奥に隠すと、乱雑な足音が耳に届いた。
「足跡が残ってるぞ~……どこかな~……見付けてあいつらみたいにしてやるぞ~……」
あいつら、が返り血の主だろう。間違いない。あの男は少なくとも二人は殺している。足音は、ナンシーたちが隠れている倉庫の前で止まった。
「ここだな~……」
シャッターが四回ノックされる。ビジネスノックか。ふざけやがって。ナンシーは深呼吸をしながら、銃を抜いた。
「誰かいますか~?」
今度は少し強く。ナンシーは答えない。クレアも騒がない。
「おい!!! 開けろ!!!! いるんだろコラァ!!!」
業を煮やしたのか、男はシャッターを乱打する。ナンシーは額から汗が噴き出すのを感じた。拳銃を上げて、まっすぐシャッターに狙いを付ける。
民間人を撃ったことはない。
でもクレアを守るのに必要なら撃たなくてはならない。
シャッターがひしゃげる。ナンシーは引き金に指を掛けた。
が、しかし。
「何だテメェ!!!」
外の男は、別の勢力に気を取られた様だ。それから外で悲鳴が上がる。ナンシーは硬直した。最初はハンターかと思ったが、そうではない。嫌な気配。骨のへし折れる音、人の倒れる音。そして、優しくノックされる音。
「クレア? いるんでしょう? ママよ……」
隠れたクレアには聞こえていないようだ。ノックの音はどんどん大きくなる。ナンシーは、自分の腕に鳥肌が立つのを感じた。
自分の端末がポケットから抜け落ちていたことには気付かなかった。
「開けなさいよ! この誘拐犯! あたしの娘返しなさい!」
シャッターが再び乱打される。ナンシーは拳銃を構え直した。
●強くなるアプリ
「強くなるアプリ……強くなるアプリ……」
倉庫の棚に隠れたクレアは、ナンシーが落とした端末を拾ってアプリストアにアクセスしていた。ママもインストールしていた「強くなるアプリ」がある筈だ。
それをインストールすればナンシーと一緒に戦える。彼女だけ危ない目に遭わせるわけにはいかない。部屋の奥に隠れた彼女は、母親の声も聞いていなかった。
早くインストールしないと。
正式名称を知らないとは言え、彼女がそのアプリに行き着くのは時間の問題だった。
●ハンドアウト
あなたたちはリアルブルーから、イクシード・アプリをインストールした人間の殺人事件解決の協力要請をされました。
現場に駆けつけたあなたたちは、目撃者から、容疑者の男性が、同じようにイクシード・アプリを入手した女性と取っ組み合いの末逃げ出したことを知らされます。その途中で、子どもを連れた通行人が目を付けられて追われたことも。
強化人間の女性は駆けつけた現場にはいませんでした。目撃者は語ります。
「娘を連れて行った奴を殺してやる」
アプリの女性はそう言っていたと。
そしてあなたたちは、目撃証言を頼りに倉庫街にたどり着き、シャッターを叩きまくる女性と、その足下で倒れている男を発見するのでした。
「おい! 開けろ! いるんだろ! テメェ人が出張中に妻に手を出しやがって!!」
アメリカ合衆国ネヴァダ州のとある町にて。出張の仕事が早く終わった男は、帰宅するや知った男の靴が玄関にあるのを見て激昂した。そしてそのまま夫婦の寝室前を開けようとしたが、鍵が掛かっているのに気付いて乱打する。あの男殺してやる。
「このご時世に呑気なもんだな!」
男が強く扉を叩いた瞬間、ジャケットのポケットからスマートフォンが落ちた。端末の画面はさっきまで使っていたため、まだ点灯している。
それを誰かが拾ったら、彼が流行に乗ったことを知っただろう。
イクシード・アプリのアイコンが、画面の端っこに収まっているから。
●一人の子ども
アメリカ合衆国ネヴァダ州。
ナンシー・スギハラ地球統一連合軍曹長は、昼食にハンバーガーを買って店を出た。夏ももうすぐ終わるが、まだ暑い日は続いている。自分は夏が終わるまでに戦線へ復帰できるだろうか。
彼女は二ヶ月前、VOID排除のために出向いたカジノで、隊の仲間を失った。生き残ったのは彼女だけだったが、クリムゾンウェストの覚醒者たちに助けてもらったため、同じ境遇の他の軍人より立ち直りは早かった。
とは言え、やはり心に傷を負ったとして休暇や心のケアは申し渡された。軍が手配してくれたケアで、彼女は徐々に日常に帰りつつある。ハンバーガーを買うために外に出られるようにもなった。
「ん?」
彼女は、十歳くらいとおぼしき茶髪の少女が一人で歩いているのを見かけた。アメリカでは、子どもを一人で放置するなんて言語道断だ。親は一体何をしているのか。ナンシーは眉をひそめてから、笑顔を作って彼女に声を掛けた。
「ハイ、お嬢ちゃん一人なの?」
少女はびくりと肩を震わせる。ナンシーが優しい笑顔をしているのを見て、怖くない人だとでも思ったのか、彼女は困った様な顔で、
「ママがね、悪い奴を捕まえるって言ってどこかに行っちゃったの」
「いつ?」
「さっき」
ナンシーの頭に過ぎったのは、最近出回っているイクシード・アプリのことだった。これをインストールすれば、誰でも手軽に覚醒者になれて、悪い奴……VOIDと渡り合える、と言うもの。ナンシーも、インストールを迷ったことがある。覚醒者になれれば、もうあんな思いをしなくて良いのかもしれないと。拳銃を持ち歩かなくても良くなるのではないかと。
それでも、実際に会った覚醒者たちの顔を思い出すと、インストールする気にはなれなかった。なんだか、あの人たちとは違う気がしたから。
「とにかく、おまわりさんの所に行って、ママに連絡を取って貰おう。あんた、こんなところに一人でいたら危ないからね」
ナンシーがそう言って、少女に手を差し出したその時だった。
スーツの男が、雄叫びを上げてこちらに走ってくる。そのジャケットとシャツは血で汚れているが、本人のものでないのは明らかだ。男はこちらを見ると、吠えるように怒鳴る。
「テメェらも殺してやる!」
ナンシーは反射的に、持っていたハンバーガーの紙袋を男に投げつけた。
「逃げるよ!」
男が怯んだ隙に、少女の手を引いて駆け出した。
●ひしゃげるシャッター
ナンシーは倉庫街に駆け込んだ。運良く、シャッターが三分の一ほど開いている倉庫を見付けて少女を押し込む。後から自分も入ってシャッターを下ろした。内側から施錠する。開かないことを確認して、ナンシーは少女に向き直った。
「あんた、名前は?」
「クレア」
「……クレア、ね。あたしはナンシー。奥に隠れてて」
「ナンシーはどうするの?」
「銃がある。耳を塞いで、奥の机の後ろにいて」
クレアを部屋の奥に隠すと、乱雑な足音が耳に届いた。
「足跡が残ってるぞ~……どこかな~……見付けてあいつらみたいにしてやるぞ~……」
あいつら、が返り血の主だろう。間違いない。あの男は少なくとも二人は殺している。足音は、ナンシーたちが隠れている倉庫の前で止まった。
「ここだな~……」
シャッターが四回ノックされる。ビジネスノックか。ふざけやがって。ナンシーは深呼吸をしながら、銃を抜いた。
「誰かいますか~?」
今度は少し強く。ナンシーは答えない。クレアも騒がない。
「おい!!! 開けろ!!!! いるんだろコラァ!!!」
業を煮やしたのか、男はシャッターを乱打する。ナンシーは額から汗が噴き出すのを感じた。拳銃を上げて、まっすぐシャッターに狙いを付ける。
民間人を撃ったことはない。
でもクレアを守るのに必要なら撃たなくてはならない。
シャッターがひしゃげる。ナンシーは引き金に指を掛けた。
が、しかし。
「何だテメェ!!!」
外の男は、別の勢力に気を取られた様だ。それから外で悲鳴が上がる。ナンシーは硬直した。最初はハンターかと思ったが、そうではない。嫌な気配。骨のへし折れる音、人の倒れる音。そして、優しくノックされる音。
「クレア? いるんでしょう? ママよ……」
隠れたクレアには聞こえていないようだ。ノックの音はどんどん大きくなる。ナンシーは、自分の腕に鳥肌が立つのを感じた。
自分の端末がポケットから抜け落ちていたことには気付かなかった。
「開けなさいよ! この誘拐犯! あたしの娘返しなさい!」
シャッターが再び乱打される。ナンシーは拳銃を構え直した。
●強くなるアプリ
「強くなるアプリ……強くなるアプリ……」
倉庫の棚に隠れたクレアは、ナンシーが落とした端末を拾ってアプリストアにアクセスしていた。ママもインストールしていた「強くなるアプリ」がある筈だ。
それをインストールすればナンシーと一緒に戦える。彼女だけ危ない目に遭わせるわけにはいかない。部屋の奥に隠れた彼女は、母親の声も聞いていなかった。
早くインストールしないと。
正式名称を知らないとは言え、彼女がそのアプリに行き着くのは時間の問題だった。
●ハンドアウト
あなたたちはリアルブルーから、イクシード・アプリをインストールした人間の殺人事件解決の協力要請をされました。
現場に駆けつけたあなたたちは、目撃者から、容疑者の男性が、同じようにイクシード・アプリを入手した女性と取っ組み合いの末逃げ出したことを知らされます。その途中で、子どもを連れた通行人が目を付けられて追われたことも。
強化人間の女性は駆けつけた現場にはいませんでした。目撃者は語ります。
「娘を連れて行った奴を殺してやる」
アプリの女性はそう言っていたと。
そしてあなたたちは、目撃証言を頼りに倉庫街にたどり着き、シャッターを叩きまくる女性と、その足下で倒れている男を発見するのでした。
解説
●目的
1.イクシード・アプリをインストールした民間人の暴走鎮圧
2.クレアのアプリインストールの阻止
●現場について
倉庫街にある倉庫の一つです。10スクエア×5スクエアの広さ。正面真ん中にシャッターがついており、そこでクレアの母がシャッターを叩いています。その足下にはスーツの男の死体が転がっています。
シャッターに向かって左側面の壁に通用口がついていますがクレアの母は気付いていません。
●スーツの男について
イクシード・アプリをインストールし、自分の妻とその間男を殺害した容疑で追われていましたが、同じくアプリ使用者であるクレアの母に不意打ちで殺されました。
●クレアの母について
アプリをインストールして飛躍的に身体能力が向上しています。アプリで正義の覚醒者になった、と思い込んでおり、ニュースで耳にした殺人事件の犯人を捕まえようとしていました。娘を連れて逃げたナンシーを誘拐犯だと思っているようです。
●ナンシーについて
15連発のオートマチック拳銃を所持。まだ1発も撃っていないので残り15発。軍人として訓練を受けているので、普通に撃てばほぼ当たりますが、クレアの母が相手では相手の回避の問題で相対的に命中が下がります。
近接戦闘もできなくはありませんが、素手で渡り合うことは難しいでしょう。
●クレアについて
倉庫の一番奥、棚に置かれた段ボールの後ろに隠れています。ナンシーの端末を操作してイクシード・アプリをインストールしようと試みている状態です。
ハンターが倉庫の前に到着してからインストール完了まで、「最低」でも3ラウンドは要するものとお考えください。逆に言うと3ラウンド超えるといつ完了してもおかしくありません。
また、クレアがインストールを中断する条件は「ドアかシャッターが開くか破れること」です。誰が開けても中断します。
1.イクシード・アプリをインストールした民間人の暴走鎮圧
2.クレアのアプリインストールの阻止
●現場について
倉庫街にある倉庫の一つです。10スクエア×5スクエアの広さ。正面真ん中にシャッターがついており、そこでクレアの母がシャッターを叩いています。その足下にはスーツの男の死体が転がっています。
シャッターに向かって左側面の壁に通用口がついていますがクレアの母は気付いていません。
●スーツの男について
イクシード・アプリをインストールし、自分の妻とその間男を殺害した容疑で追われていましたが、同じくアプリ使用者であるクレアの母に不意打ちで殺されました。
●クレアの母について
アプリをインストールして飛躍的に身体能力が向上しています。アプリで正義の覚醒者になった、と思い込んでおり、ニュースで耳にした殺人事件の犯人を捕まえようとしていました。娘を連れて逃げたナンシーを誘拐犯だと思っているようです。
●ナンシーについて
15連発のオートマチック拳銃を所持。まだ1発も撃っていないので残り15発。軍人として訓練を受けているので、普通に撃てばほぼ当たりますが、クレアの母が相手では相手の回避の問題で相対的に命中が下がります。
近接戦闘もできなくはありませんが、素手で渡り合うことは難しいでしょう。
●クレアについて
倉庫の一番奥、棚に置かれた段ボールの後ろに隠れています。ナンシーの端末を操作してイクシード・アプリをインストールしようと試みている状態です。
ハンターが倉庫の前に到着してからインストール完了まで、「最低」でも3ラウンドは要するものとお考えください。逆に言うと3ラウンド超えるといつ完了してもおかしくありません。
また、クレアがインストールを中断する条件は「ドアかシャッターが開くか破れること」です。誰が開けても中断します。
マスターより
こんにちは三田村です。
ナンシーは「【空蒼】生存者の叫び声」で助けて頂いた曹長です。立ち直りの過程で巻き込まれてしまいました。でも前回より元気です。
前作参加PC推奨ということでもないのでどなた様でもお気軽にどうぞ。前作参加者なら通行人の特徴を聞いてナンシーかも! って思うくらいです。
ナンシーは「【空蒼】生存者の叫び声」で助けて頂いた曹長です。立ち直りの過程で巻き込まれてしまいました。でも前回より元気です。
前作参加PC推奨ということでもないのでどなた様でもお気軽にどうぞ。前作参加者なら通行人の特徴を聞いてナンシーかも! って思うくらいです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/09/02 02:18
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談スレッド 穂積 智里(ka6819) 人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/08/27 21:24:40 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/25 15:39:58 |