ゲスト
(ka0000)
ドキッ! 漢だらけの雪山観光!
マスター:T谷

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在10人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/12/28 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/01/09 07:30
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
軍靴の鳴らすザクザクという音は、山を覆い尽くさんとする純白の雪に吸い込まれて消える。
熊のような体に熊のような毛皮の軍用コートを纏った男が十人と、細身の女性が一人。降りしきる雪の中、第二師団都市へと帰るべく木々の生い茂る山道を歩いている。
近隣の村の畑を襲う野生生物と死闘を演じてきたばかりだというのに、その戦闘で生じた体の芯を焦がす熱は既に冷め切っている。頭や肩に積もる雪を払うのも、もう飽きてしまった。
「寒いっすねー」
「いつものことだろ、いい加減慣れろ。その体格で弱音なんぞ吐かれても鬱陶しいだけだ」
愚痴を垂れる大の男に向けて吐かれる、その細身の女性からの言葉は、響きも内容も酷く辛辣なものだ。
彼ら――第二師団の兵士達は、ぞろぞろと並んで山道を歩きながら、皆一様に寒さに身を震わせている。しかし、先頭を歩く女性兵士イーリス・ベルファルだけはしゃんと背筋を伸ばし、力強い意思を感じさせるきつめな目元もそのままにずんずんと進んでいく。まるで、寒さを感じる器官のネジが数本抜け落ちたかのようなその後姿に、男達はドン引きだ。
しかし、そんなイーリスの様子は、寒さを感じていないような態度とは別に、どこか違和感があった。
チラチラと、歩を進める中で後ろを振り返っては、男達を睨みつけているようなのだ。
「……あの、何すか?」
イーリスが振り向く度に、その視線が刃のように薙ぎ払われているような感覚を覚える。思わず、一人の男が声をかけた。
「何がだ」
返ってきたのは、より強く感情を燃やした眼光だった。
「う、いや、えと……」
「言いたいことがあるのなら、さっさと言え!」
女性と子供と困った人と怒れる上官を何より恐れる男達が下っ端根性を露わにすれば、イーリスは本日最大の角度で目を吊り上げて詰問する体勢に入ってしまった。
イーリスは踵を返し、質問を投げかけた男に一息に詰め寄る。
この冷気の中、僅かに熱を感じるほど顔が近づけど、男はちらともドキドキしない。むしろ目を逸らし、言葉をかけた過去をなかったことにして逃げ出したいくらいだ。
「……ふん」
怖気づく男の姿を確認して、小さくため息を吐いたイーリスが距離を取る。
そして、ある程度男達と距離を取ると、イーリスは彼らに向けて仁王立ちで胸を張った。
「貴様ら!」
ビリビリと、怒号が木々を揺らす。
「恥ずかしくないのか!」
何が、とは言わない。
男達によぎったのは、「またか」という言葉だ。
彼らが、上等兵に昇進したイーリスの元に配属され都市の近郊を警邏するようになってから暫く経つ。そしてその、暫く、というのが問題だ。短くない時間は、彼女の冷たい美貌の裏に隠された妙な部分を垣間見るに充分だった。
すなわち、
「貴様らが鍛え上げたその筋肉達に、情けない思いをさせて申し訳ないとは思わないのか!」
異様なまでの、筋肉崇拝である。
●
世の中には、様々な物品を愛でる好事家が数多に存在する。
絵画であったり、骨董であったり、建築物や景色、食べ物、ペットでもいい。
彼女の場合は、それが筋肉であったと、自身の口で以ってそう語る。
「何故そんなにも美しい筋肉を持っていて、貴様らは情けないのか!」
それが、彼女の口癖だ。
たまたま、彼女が情けないと思う団員が下に付いてしまった、彼女自身の運が悪いのか。それとも、彼女の眼鏡に敵わない団員達が悪いのか。それは誰にも分からない。
……しかし、今回において、団員達は間違いなく被害者であると言えるだろう。
「あ、あああああのっ、な、何でこんなとこでこんな格好にならないといけないんすか!」
両腕で自分の体を抱きしめ、屈強な男達が喚き散らす。全身を震わし、鼻水を垂らし、合わない歯の根はガチガチと音を鳴らす。
彼らは、連れて来られた雪山で、上半身裸に剥かれていた。鍛えぬかれた筋肉が、余りの寒さに萎んでしまいそうだ。
「……今、貴様らのその肉体を見て確信した」
ただ一人、毛皮のコートに身を包んだイーリスは、厳かに語り出す。
「貴様らのその素晴らしい筋肉は、グリフォンに匹敵する!」
そして堂々と、言い切る。
意味が分からない。
「筋肉が脈動し! 血管が浮き上がり! 汗が飛び散るっ! ……これは間違いなく、我らが師団のウリになる!」
「えーと……」
「なんだ」
「それで、何で俺らは半裸にされてるんすかね……?」
団員の質問に、イーリスは肩を竦めた。
「美しい筋肉に、乗ってもらうのだ!」
「……え?」
目が点になる。
「今、第二師団の上層部はハンター達における都市の認知度を上げようと様々な事を行っている。コロシアムやカジノがその例だが、まだまだ完璧には程遠い」
ふふんと、イーリスは得意気に胸を張る。
「そこで、貴様らの筋肉だ! その美しさと情緒と風情を醸し出す筋肉ならば、より多くのハンターを虜にできる。間近に見て、触れて、乗ってみれば間違いなくな!」
「……えー」
「ふっふっふ、もう既に、私のポケットマネーでハンターに依頼済みだ。上に案を持っていくのでは、間に合わんかもしれんからな。この純白の雪景色を眺めながらの、雪中行軍十キロの旅……筋肉を鍛えつつ、ハンター達の心も癒せる。我ながら、素晴らしいアイディアだ!」
イーリスの高笑いが山に響く。
団員達は寒さと意味の分からなさにげんなりしながら、これさえなければなーと彼女をしょげた目で見つめるのだった。
軍靴の鳴らすザクザクという音は、山を覆い尽くさんとする純白の雪に吸い込まれて消える。
熊のような体に熊のような毛皮の軍用コートを纏った男が十人と、細身の女性が一人。降りしきる雪の中、第二師団都市へと帰るべく木々の生い茂る山道を歩いている。
近隣の村の畑を襲う野生生物と死闘を演じてきたばかりだというのに、その戦闘で生じた体の芯を焦がす熱は既に冷め切っている。頭や肩に積もる雪を払うのも、もう飽きてしまった。
「寒いっすねー」
「いつものことだろ、いい加減慣れろ。その体格で弱音なんぞ吐かれても鬱陶しいだけだ」
愚痴を垂れる大の男に向けて吐かれる、その細身の女性からの言葉は、響きも内容も酷く辛辣なものだ。
彼ら――第二師団の兵士達は、ぞろぞろと並んで山道を歩きながら、皆一様に寒さに身を震わせている。しかし、先頭を歩く女性兵士イーリス・ベルファルだけはしゃんと背筋を伸ばし、力強い意思を感じさせるきつめな目元もそのままにずんずんと進んでいく。まるで、寒さを感じる器官のネジが数本抜け落ちたかのようなその後姿に、男達はドン引きだ。
しかし、そんなイーリスの様子は、寒さを感じていないような態度とは別に、どこか違和感があった。
チラチラと、歩を進める中で後ろを振り返っては、男達を睨みつけているようなのだ。
「……あの、何すか?」
イーリスが振り向く度に、その視線が刃のように薙ぎ払われているような感覚を覚える。思わず、一人の男が声をかけた。
「何がだ」
返ってきたのは、より強く感情を燃やした眼光だった。
「う、いや、えと……」
「言いたいことがあるのなら、さっさと言え!」
女性と子供と困った人と怒れる上官を何より恐れる男達が下っ端根性を露わにすれば、イーリスは本日最大の角度で目を吊り上げて詰問する体勢に入ってしまった。
イーリスは踵を返し、質問を投げかけた男に一息に詰め寄る。
この冷気の中、僅かに熱を感じるほど顔が近づけど、男はちらともドキドキしない。むしろ目を逸らし、言葉をかけた過去をなかったことにして逃げ出したいくらいだ。
「……ふん」
怖気づく男の姿を確認して、小さくため息を吐いたイーリスが距離を取る。
そして、ある程度男達と距離を取ると、イーリスは彼らに向けて仁王立ちで胸を張った。
「貴様ら!」
ビリビリと、怒号が木々を揺らす。
「恥ずかしくないのか!」
何が、とは言わない。
男達によぎったのは、「またか」という言葉だ。
彼らが、上等兵に昇進したイーリスの元に配属され都市の近郊を警邏するようになってから暫く経つ。そしてその、暫く、というのが問題だ。短くない時間は、彼女の冷たい美貌の裏に隠された妙な部分を垣間見るに充分だった。
すなわち、
「貴様らが鍛え上げたその筋肉達に、情けない思いをさせて申し訳ないとは思わないのか!」
異様なまでの、筋肉崇拝である。
●
世の中には、様々な物品を愛でる好事家が数多に存在する。
絵画であったり、骨董であったり、建築物や景色、食べ物、ペットでもいい。
彼女の場合は、それが筋肉であったと、自身の口で以ってそう語る。
「何故そんなにも美しい筋肉を持っていて、貴様らは情けないのか!」
それが、彼女の口癖だ。
たまたま、彼女が情けないと思う団員が下に付いてしまった、彼女自身の運が悪いのか。それとも、彼女の眼鏡に敵わない団員達が悪いのか。それは誰にも分からない。
……しかし、今回において、団員達は間違いなく被害者であると言えるだろう。
「あ、あああああのっ、な、何でこんなとこでこんな格好にならないといけないんすか!」
両腕で自分の体を抱きしめ、屈強な男達が喚き散らす。全身を震わし、鼻水を垂らし、合わない歯の根はガチガチと音を鳴らす。
彼らは、連れて来られた雪山で、上半身裸に剥かれていた。鍛えぬかれた筋肉が、余りの寒さに萎んでしまいそうだ。
「……今、貴様らのその肉体を見て確信した」
ただ一人、毛皮のコートに身を包んだイーリスは、厳かに語り出す。
「貴様らのその素晴らしい筋肉は、グリフォンに匹敵する!」
そして堂々と、言い切る。
意味が分からない。
「筋肉が脈動し! 血管が浮き上がり! 汗が飛び散るっ! ……これは間違いなく、我らが師団のウリになる!」
「えーと……」
「なんだ」
「それで、何で俺らは半裸にされてるんすかね……?」
団員の質問に、イーリスは肩を竦めた。
「美しい筋肉に、乗ってもらうのだ!」
「……え?」
目が点になる。
「今、第二師団の上層部はハンター達における都市の認知度を上げようと様々な事を行っている。コロシアムやカジノがその例だが、まだまだ完璧には程遠い」
ふふんと、イーリスは得意気に胸を張る。
「そこで、貴様らの筋肉だ! その美しさと情緒と風情を醸し出す筋肉ならば、より多くのハンターを虜にできる。間近に見て、触れて、乗ってみれば間違いなくな!」
「……えー」
「ふっふっふ、もう既に、私のポケットマネーでハンターに依頼済みだ。上に案を持っていくのでは、間に合わんかもしれんからな。この純白の雪景色を眺めながらの、雪中行軍十キロの旅……筋肉を鍛えつつ、ハンター達の心も癒せる。我ながら、素晴らしいアイディアだ!」
イーリスの高笑いが山に響く。
団員達は寒さと意味の分からなさにげんなりしながら、これさえなければなーと彼女をしょげた目で見つめるのだった。
解説
・概要
筋骨隆々で上半身裸な男達の背に乗って、雪山の景色を満喫せよ。
・目的
近隣の町までの約十キロの山道を、団員に背負われて走破しましょう。空は快晴、風は穏やか。絶好の行楽日和です。
・乗り物
全員が身長およそ180センチ、体重100キロほどのマッシブ野郎です。普段からフルプレートを装備して戦場を駆け回るような奴らですので、多少の体重ならどうってことはありません。
ただし、女性を乗せれば、ウブな彼らは照れて足が鈍ってしまいます。そのため、到着までに余計な時間がかかってしまうでしょう。
男性の場合は、何で俺のところは野郎なんだよ、とやる気が失せます。ついでに、子供の場合は扱い方が分からずにあたふたして普段の調子は出ません。
つまり、どうにかして彼らをやる気にさせましょう。
レースというわけではありませんが、一番に町に辿りつけたら嬉しい……かもしれません。たぶん。
筋骨隆々で上半身裸な男達の背に乗って、雪山の景色を満喫せよ。
・目的
近隣の町までの約十キロの山道を、団員に背負われて走破しましょう。空は快晴、風は穏やか。絶好の行楽日和です。
・乗り物
全員が身長およそ180センチ、体重100キロほどのマッシブ野郎です。普段からフルプレートを装備して戦場を駆け回るような奴らですので、多少の体重ならどうってことはありません。
ただし、女性を乗せれば、ウブな彼らは照れて足が鈍ってしまいます。そのため、到着までに余計な時間がかかってしまうでしょう。
男性の場合は、何で俺のところは野郎なんだよ、とやる気が失せます。ついでに、子供の場合は扱い方が分からずにあたふたして普段の調子は出ません。
つまり、どうにかして彼らをやる気にさせましょう。
レースというわけではありませんが、一番に町に辿りつけたら嬉しい……かもしれません。たぶん。
マスターより
コメディ書きたいなーと思っていたら、何だか安直に筋肉に落ち着きましたT谷です。
血生臭い事も多いので、たまにはまったりと行きましょう。
血生臭い事も多いので、たまにはまったりと行きましょう。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/01/09 02:30
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 サーシャ・V・クリューコファ(ka0723) 人間(リアルブルー)|15才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/12/25 19:41:28 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/12/27 12:38:41 |