ゲスト
(ka0000)
【空蒼】僕と世界の不機嫌な関係
マスター:ゆくなが

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/08/29 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/09/12 19:00
オープニング
世界はそれでも日常というやつを忘れないらしい。
「合計で444円でーす」
4、し、死。
嫌な数字だな、と思ったが、僕はやる気を可能な限り削ぎつつ、それでもクレームを受けないくらいには誠実な声音で値段を告げた。
この辺りの街はVOIDによる被害が少なく、人々は比較的今までと変わらない生活を営んでいた。
僕もまたその1人で、「店が壊れないうちは営業を続行する」という店長の方針に従い、レジに立っているコンビニ店員だった。
世界はもう直ぐ終わるのかもしれない。
ここでは薄氷の日常が続いていた。
それでも変わったことはあって、イクシード・アプリというやつをインストールして強くなった人たちが自警団を結成し、軍隊で使っているようなゴツい四駆に乗って街をパトロールしていた。
僕は客にお釣りを手渡して、待機列にいる次の客に声をかける。
機械的にバーコードを読み込んでいく。
ピッ、ピッ、ピッという音がちょっと、心音みたいだった。
僕の燻っている心音みたいだった。
もしも、世界が終わるなら、僕だって活躍できるのに。
昔はそんなことを思っていた。
でも、違った。
いまこの世界は危機に陥っている。けれど僕はコンビニ店員だった。
街を守ろうと必死でパトロールしている奴をどこかで笑っている、嫌な奴だった。
イクシード・アプリを使えば変われる。それは知っている。
でも、僕は持ち前の猜疑心に囚われて、その事実を素直に受け止めることができなかった。
ポケットに入れているスマートフォンがずしりと重い。
まるで、臆病者の僕を責めているみたいだった。
わかってるんだよ。僕だって強くなって、あの四駆を乗りましわしている連中の仲間に加わって、かっこよくVOIDを倒して、それで、好きな人に告白するんだ。
もしくは戦って、かっこよく死んで、好きなあの子に泣いてもらうんだ。
そんなこと考えて、考えるだけ考えて、結局僕は何もしなかった。
時間は残酷に過ぎていく。そんな青春の勘違いを背負ったまま、僕は27歳になっていた。
「合計で666円でーす」
666。獣の数字。6番目のアルファベットはF。ファムファタールのF。不甲斐ない僕。
客は1000円札を払ったので、僕はレジスターからお釣りを取り出した。
そしてお釣りを相手に渡そうとした時、爆音が聞こえ、店の道路に面した窓ガラスがきらきら破片になって店の内部へ吹き飛んだ。
「……お釣りの334円です」
僕はきっと、混乱していたのだろう。だからこそ日常を続けようとした。
しかし、客は、甲高い悲鳴をあげて買ったはずの商品すら置いて逃げ出してしまった。
続いて、銃声が聞こえ始める。
店の面した通りに四駆が何台も駆けつけてきて、そこから降りた人たちが、どこから手に入れたか知らないがライフルや鉄パイプを手に、クラゲのようなVOIDと戦っていた。
その余波で、道路がえぐれる、爆風が店内を荒らす。
僕は行き場を失ったお釣りをどうしようか考えていた。
四駆で駆けつけた自警団は、武道なり護身術なりの訓練を受けていたのか、順当にVOIDを倒していった。
僕はそれをぼんやり見て、ああ、僕だったらもっと上手にやれるのに、と考えていた。
でも、僕の体は動かなかった。
お釣りを握りしめて、動けなかった。
いよいよ、彼らがVOIDを殲滅しきるかと思った時、天空から眩い光が地上を焼き尽くした。
あまりの眩しさに、僕は床にうずくまった。
恐る恐る、外の状況を確認する。
道路には、光の輪を冠した、白銀の鎧を着た騎士が降り立っていた。
僕は即座に、先ほどの光はあの騎士によるものだと確信した。
そして、道路の方をよく見てみると、地形が変わっていた。
光が着弾したと思われる場所はクレーターとなり、アスファルトを深くえぐっている。
そして先ほどまでいた、VOIDの姿はどこにも見えず、戦っていた人間たちの数も少なくなっていた。
あの光にやられたに違いない。
騎士は、ゆっくり獲物を見定めるように人間たちに向き合うと、再び、目がくらむばかりの光線を放った。
それは戦っていた人たちを貫いて、何人かを文字通り消し炭にした。
僕が命の危機を感じたのはことの時だった。
僕はレジ台を背にして、息を殺すようにした。
その間にも眩い光は何度も照射され、人々の悲鳴が聞こえた。
確実に人が死んでいる。あれは死の光線だ。
さっきまであんなに勇敢に戦っていた人たちがなすすべもなく灰に変えられている。
人々を守って戦ったのに、よくわからない何かに殺されている。
「助けなくちゃ」
こんなのは間違っている。そう思った。
けど、僕はどうすればいい?
僕はポケットからスマートフォンを取り出した。
イクシード・アプリをダウンロードしようとして、やめた。
戦うのは怖い。そう思った。
考えただけで指が震えた。
無理だ。臆病者の僕には戦えない。彼らを救うことはできない。
どうすれば、どうすれば、どうすれば……!?
また光った。誰かが死んだ。
僕は戦えない。なら、戦える奴に来てもらうしかない。
僕は震える指を理性で押さえつけて、ある番号を調べ、すぐに発信する。
繋がるまでの時間が、永遠にも思えた。早く出てくれ……。
「はい、こちらハンターオフィス秋葉原支部……」
僕は挨拶もわすれて、すぐに用件を話す。
「助けてくれ、人が、騎士みたいなやつに襲われてるんだ」
これが僕にできる、最善のこと。
臆病者の僕にできる最善のことと信じながら。
握りしめられたお釣りは体温にすっかり染まっていた。
「合計で444円でーす」
4、し、死。
嫌な数字だな、と思ったが、僕はやる気を可能な限り削ぎつつ、それでもクレームを受けないくらいには誠実な声音で値段を告げた。
この辺りの街はVOIDによる被害が少なく、人々は比較的今までと変わらない生活を営んでいた。
僕もまたその1人で、「店が壊れないうちは営業を続行する」という店長の方針に従い、レジに立っているコンビニ店員だった。
世界はもう直ぐ終わるのかもしれない。
ここでは薄氷の日常が続いていた。
それでも変わったことはあって、イクシード・アプリというやつをインストールして強くなった人たちが自警団を結成し、軍隊で使っているようなゴツい四駆に乗って街をパトロールしていた。
僕は客にお釣りを手渡して、待機列にいる次の客に声をかける。
機械的にバーコードを読み込んでいく。
ピッ、ピッ、ピッという音がちょっと、心音みたいだった。
僕の燻っている心音みたいだった。
もしも、世界が終わるなら、僕だって活躍できるのに。
昔はそんなことを思っていた。
でも、違った。
いまこの世界は危機に陥っている。けれど僕はコンビニ店員だった。
街を守ろうと必死でパトロールしている奴をどこかで笑っている、嫌な奴だった。
イクシード・アプリを使えば変われる。それは知っている。
でも、僕は持ち前の猜疑心に囚われて、その事実を素直に受け止めることができなかった。
ポケットに入れているスマートフォンがずしりと重い。
まるで、臆病者の僕を責めているみたいだった。
わかってるんだよ。僕だって強くなって、あの四駆を乗りましわしている連中の仲間に加わって、かっこよくVOIDを倒して、それで、好きな人に告白するんだ。
もしくは戦って、かっこよく死んで、好きなあの子に泣いてもらうんだ。
そんなこと考えて、考えるだけ考えて、結局僕は何もしなかった。
時間は残酷に過ぎていく。そんな青春の勘違いを背負ったまま、僕は27歳になっていた。
「合計で666円でーす」
666。獣の数字。6番目のアルファベットはF。ファムファタールのF。不甲斐ない僕。
客は1000円札を払ったので、僕はレジスターからお釣りを取り出した。
そしてお釣りを相手に渡そうとした時、爆音が聞こえ、店の道路に面した窓ガラスがきらきら破片になって店の内部へ吹き飛んだ。
「……お釣りの334円です」
僕はきっと、混乱していたのだろう。だからこそ日常を続けようとした。
しかし、客は、甲高い悲鳴をあげて買ったはずの商品すら置いて逃げ出してしまった。
続いて、銃声が聞こえ始める。
店の面した通りに四駆が何台も駆けつけてきて、そこから降りた人たちが、どこから手に入れたか知らないがライフルや鉄パイプを手に、クラゲのようなVOIDと戦っていた。
その余波で、道路がえぐれる、爆風が店内を荒らす。
僕は行き場を失ったお釣りをどうしようか考えていた。
四駆で駆けつけた自警団は、武道なり護身術なりの訓練を受けていたのか、順当にVOIDを倒していった。
僕はそれをぼんやり見て、ああ、僕だったらもっと上手にやれるのに、と考えていた。
でも、僕の体は動かなかった。
お釣りを握りしめて、動けなかった。
いよいよ、彼らがVOIDを殲滅しきるかと思った時、天空から眩い光が地上を焼き尽くした。
あまりの眩しさに、僕は床にうずくまった。
恐る恐る、外の状況を確認する。
道路には、光の輪を冠した、白銀の鎧を着た騎士が降り立っていた。
僕は即座に、先ほどの光はあの騎士によるものだと確信した。
そして、道路の方をよく見てみると、地形が変わっていた。
光が着弾したと思われる場所はクレーターとなり、アスファルトを深くえぐっている。
そして先ほどまでいた、VOIDの姿はどこにも見えず、戦っていた人間たちの数も少なくなっていた。
あの光にやられたに違いない。
騎士は、ゆっくり獲物を見定めるように人間たちに向き合うと、再び、目がくらむばかりの光線を放った。
それは戦っていた人たちを貫いて、何人かを文字通り消し炭にした。
僕が命の危機を感じたのはことの時だった。
僕はレジ台を背にして、息を殺すようにした。
その間にも眩い光は何度も照射され、人々の悲鳴が聞こえた。
確実に人が死んでいる。あれは死の光線だ。
さっきまであんなに勇敢に戦っていた人たちがなすすべもなく灰に変えられている。
人々を守って戦ったのに、よくわからない何かに殺されている。
「助けなくちゃ」
こんなのは間違っている。そう思った。
けど、僕はどうすればいい?
僕はポケットからスマートフォンを取り出した。
イクシード・アプリをダウンロードしようとして、やめた。
戦うのは怖い。そう思った。
考えただけで指が震えた。
無理だ。臆病者の僕には戦えない。彼らを救うことはできない。
どうすれば、どうすれば、どうすれば……!?
また光った。誰かが死んだ。
僕は戦えない。なら、戦える奴に来てもらうしかない。
僕は震える指を理性で押さえつけて、ある番号を調べ、すぐに発信する。
繋がるまでの時間が、永遠にも思えた。早く出てくれ……。
「はい、こちらハンターオフィス秋葉原支部……」
僕は挨拶もわすれて、すぐに用件を話す。
「助けてくれ、人が、騎士みたいなやつに襲われてるんだ」
これが僕にできる、最善のこと。
臆病者の僕にできる最善のことと信じながら。
握りしめられたお釣りは体温にすっかり染まっていた。
解説
●目的
イクシード・アプリで契約した人間の保護
●状況
日本のある街にVOIDが現れました。
そこへ、イクシード・アプリで契約した自警団が立ち向かい、これを撃破するかと思ったその時、上空から使徒が現れます。
使徒はVOIDを殲滅後、今度はこの自警団の人間を襲いはじめました。
それを偶然見ていたコンビニ店員の青年が、秋葉原のハンターオフィスに「使徒に襲われている人を助けてくれ」と通報したのでした。
●自警団について
現場に駆けつけたのは16人。全員がイクシード・アプリで契約済。
ハンターが駆けつける頃には、ほとんどが使徒に殺されており、残りは3人です。
彼らは武道等の経験があり、普通の人より多少戦闘能力に優れます。
また、彼らは、使徒を敵だと認識し討伐しようとしています。
●使徒について
鎧の騎士の姿をしています。サイズは1。
武器は剣を盾。飛行可能。
アクティブスキルは以下の通り。
【光速】 サブアクション 自分の周囲10スクエアのうち、任意のスクエアに瞬時に移動する(占有スクエアは無視できない)。
【光線】 メインアクション 射程1~10 魔法スキル。一直線に伸びる光の帯で、射程内にいる全員にダメージ+BS行動阻害付与。
【光刃】 メインアクション 自分の周囲にいる全員に剣による攻撃を行いダメージを与える。
【光盾】 リアクション 魔法スキル。光の盾を作り出すことで、被ダメージを軽減する。
使徒の行動原理は「負のマテリアルを発するモノを殲滅する」ことです。
依頼目的を達成するには使徒を撃破する必要があるでしょう。
●戦場について
広い道路です。先に行われた戦闘と使徒の攻撃で損壊しているところもありますが、主だった障害物はありません。
また、自警団たちが使っていた四駆は、使徒の攻撃の巻き添えになり、修復不可能なレベルで破壊されています。
●通報者について
近くにあるコンビニの店員。
戦闘が終わるまで、レジ台の陰に隠れています。
イクシード・アプリで契約した人間の保護
●状況
日本のある街にVOIDが現れました。
そこへ、イクシード・アプリで契約した自警団が立ち向かい、これを撃破するかと思ったその時、上空から使徒が現れます。
使徒はVOIDを殲滅後、今度はこの自警団の人間を襲いはじめました。
それを偶然見ていたコンビニ店員の青年が、秋葉原のハンターオフィスに「使徒に襲われている人を助けてくれ」と通報したのでした。
●自警団について
現場に駆けつけたのは16人。全員がイクシード・アプリで契約済。
ハンターが駆けつける頃には、ほとんどが使徒に殺されており、残りは3人です。
彼らは武道等の経験があり、普通の人より多少戦闘能力に優れます。
また、彼らは、使徒を敵だと認識し討伐しようとしています。
●使徒について
鎧の騎士の姿をしています。サイズは1。
武器は剣を盾。飛行可能。
アクティブスキルは以下の通り。
【光速】 サブアクション 自分の周囲10スクエアのうち、任意のスクエアに瞬時に移動する(占有スクエアは無視できない)。
【光線】 メインアクション 射程1~10 魔法スキル。一直線に伸びる光の帯で、射程内にいる全員にダメージ+BS行動阻害付与。
【光刃】 メインアクション 自分の周囲にいる全員に剣による攻撃を行いダメージを与える。
【光盾】 リアクション 魔法スキル。光の盾を作り出すことで、被ダメージを軽減する。
使徒の行動原理は「負のマテリアルを発するモノを殲滅する」ことです。
依頼目的を達成するには使徒を撃破する必要があるでしょう。
●戦場について
広い道路です。先に行われた戦闘と使徒の攻撃で損壊しているところもありますが、主だった障害物はありません。
また、自警団たちが使っていた四駆は、使徒の攻撃の巻き添えになり、修復不可能なレベルで破壊されています。
●通報者について
近くにあるコンビニの店員。
戦闘が終わるまで、レジ台の陰に隠れています。
マスターより
こんにちは、あるいはこんばんは。ゆくながです。
【空蒼】連動シナリオをお届けします。
使徒からアプリをインストールした人を守ってください。
それでは皆様のご参加をお待ちしております。
【空蒼】連動シナリオをお届けします。
使徒からアプリをインストールした人を守ってください。
それでは皆様のご参加をお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/09/07 13:40
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/08/24 19:22:23 |
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相談卓 アルスレーテ・フュラー(ka6148) エルフ|27才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2018/08/28 23:00:16 |