ゲスト
(ka0000)
ふるさとに似た焼野原
マスター:紺堂 カヤ

このシナリオは2日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/09/09 22:00
- リプレイ完成予定
- 2018/09/20 22:00
オープニング
●これは夢
燃えている。激しく激しく、燃えている。
家が、塀が、木が、家畜が……、人が。
きっと周囲は耳を覆いたくなるような恐ろしい声や音がしているのだろう。しかし、それらは不思議と一切届いては来なかった。だから、凄惨な光景も、どこか穏やかに感じられてしまう。
穏やかな、わけがない。
そう、そんなわけはないのだ。
けれど、その奇妙な穏やかさのおかげで、目の前の様子をできるだけ詳しく眺められる、というのは皮肉なことだった。
ことごとく火に包まれ焼け落ちてゆく小さな家々、圧倒的な熱から逃げ惑う人影、紅葉の盛りのように炎を纏う街路樹、丈夫そうな立派な建物も燃えている……あれは学校だろうか。
つぶさに眺めながら、まるごと火事になっているこの集落に、見覚えがあるような気がして仕方がなかった。あの路地も、あの広場も、見たことがあるような気がする。でも、それにしては何か足らないような気もするのだ。
思い出せない。
思い出せない。
思い出せない。
ああ、何もかも、燃えてゆく……。
●これは現実
目覚めたとき、セブンス・ユングは汗びっしょりだった。
数えきれないほどの夢をみてきたセブンスにとって、多少怖い思いをすることなど珍しくはない。殺人の現場を見てしまったことだって何度もある。
だが、今回はそれらとは違う種類の恐怖が、彼を襲っていた。
目の前で炎に苦しめられる人々を見たからではない。
そうでは、なく。
「あの集落は、もしかして……」
セブンスはがばりと起き上がると、いつも持ち歩いている分厚いノートをめくった。そのノートには、セブンスが見てきた夢をすべて書き留めてあるのである。
ノートをすべて遡っても、セブンスが求めていた情報は出てこなかった。ベッドの下に置いているトランクを開き、ページを埋め尽くしたノートをすべてひっくり返す。もうすでに事実確認が済んでいるものまで、何もかもを見返したが、しかし。
「ない……。……そうか。俺は、これまで、あの場所の夢をみたことがなかったのか……」
セブンスは、呆然とした気持ちにも似た心境で、呟いた。
彼が「もしかして」と考えていたのは。
あの夢の中で燃えていた集落は、自分の故郷ではないだろうか、ということだった。
「そうか。では、もしかして、と思ったことは、本当にわずかな、わずかな記憶のかけらに引っかかった、ということだな」
セブンスは、自分がみた夢以外のことはほとんど何も覚えていない。覚えているのは「先生」と過ごした日々の一部と、「先生」が命を落とした日のことくらいだ。故郷のことなど、これまで思い出したこともなかった。
「と、なると、燃えていたあの集落が本当に俺の故郷なのかどうかを確かめるのは、極めて困難になったわけか」
しかし、あそこがどこであろうとも、探してみないわけにはいかないだろうと思う。あの火事が過去のものなのか未来に起こることなのかわからないが、「事実」なのは間違いがないのだから。
セブンスのみる夢はすべて、現実なのだ。
夢でみたものをできるだけ詳細に絵と文章で書き起こし、地図に照らし合わせ、このあたりではないか、というだいたいの目星をつけてから、セブンスは出発した。
居候をしている屋敷の主人がずいぶんと心配し、供の者をつけてやろうかと言ってくれたが、丁重に断った。まずはあちこち動き回らなければならないため、ひとりの方が身軽で都合がよい。
ひとつ目の候補地へ向かう途中、何やら人々が街道に集まっているのをみつけた。集まる人々の中心には、武装した数名の姿が見える。どうやらハンターのようだ。
気にならないわけではなかったが、セブンスはそのまま脇を通り過ぎようとした。と。
「おーい、その先は行かない方がいいぜ」
集まっている人々から、呼び止められたのである。
「どういうことですか」
事情を尋ねると、驚くべき答えが返ってきた。いわく。
この先にある村は、つい昨夜、村ごと火事になったのだという。今、後片付けや救助活動が進められているところだそうだが、それと同時に、その火事が放火であり、その犯人が村の先にぽつんと残っている空き家に潜伏しているというのである。
「五人組の窃盗団らしいんだ。盗むだけにとどまらず、村全体に火を放っていきやがった。許せねえ」
そう声を震わせる男性はおそらく、焼かれた村の住民なのだろう。
「と、いうことで、ハンターに討伐を依頼したんだ。解決するまでは、行かない方がいい」
セブンスはなるほど、と頷いたものの、言われるとおりにただ待っているわけにはいかない、と思った。その村というのは十中八九、セブンスが夢にみた集落のことだろう。昨夜火事にあったばかりだということは、セブンスはほぼリアルタイムにその光景を夢にみていたことになる。
セブンスは、人々に自分の事情を話した。夢にみた、という部分は信じてもらえないとややこしくなるので上手く伏せ、火事になった村が自分の故郷かもしれない、だからそれを確かめたい、と話す。
「もちろん、その犯人たちの討伐が済んでからで結構です。それを指をくわえて見ているつもりもありません。討伐のメンバーに、俺も加えてください。ケンカは強くありませんが、弓の腕だけは、自信があります」
どこもかしこも焼き尽くしていった、あの赤い炎の夢を思い、セブンスはこぶしを握った。たとえ故郷でなかったとしても、あんなことは、許されてはいけない。
燃えている。激しく激しく、燃えている。
家が、塀が、木が、家畜が……、人が。
きっと周囲は耳を覆いたくなるような恐ろしい声や音がしているのだろう。しかし、それらは不思議と一切届いては来なかった。だから、凄惨な光景も、どこか穏やかに感じられてしまう。
穏やかな、わけがない。
そう、そんなわけはないのだ。
けれど、その奇妙な穏やかさのおかげで、目の前の様子をできるだけ詳しく眺められる、というのは皮肉なことだった。
ことごとく火に包まれ焼け落ちてゆく小さな家々、圧倒的な熱から逃げ惑う人影、紅葉の盛りのように炎を纏う街路樹、丈夫そうな立派な建物も燃えている……あれは学校だろうか。
つぶさに眺めながら、まるごと火事になっているこの集落に、見覚えがあるような気がして仕方がなかった。あの路地も、あの広場も、見たことがあるような気がする。でも、それにしては何か足らないような気もするのだ。
思い出せない。
思い出せない。
思い出せない。
ああ、何もかも、燃えてゆく……。
●これは現実
目覚めたとき、セブンス・ユングは汗びっしょりだった。
数えきれないほどの夢をみてきたセブンスにとって、多少怖い思いをすることなど珍しくはない。殺人の現場を見てしまったことだって何度もある。
だが、今回はそれらとは違う種類の恐怖が、彼を襲っていた。
目の前で炎に苦しめられる人々を見たからではない。
そうでは、なく。
「あの集落は、もしかして……」
セブンスはがばりと起き上がると、いつも持ち歩いている分厚いノートをめくった。そのノートには、セブンスが見てきた夢をすべて書き留めてあるのである。
ノートをすべて遡っても、セブンスが求めていた情報は出てこなかった。ベッドの下に置いているトランクを開き、ページを埋め尽くしたノートをすべてひっくり返す。もうすでに事実確認が済んでいるものまで、何もかもを見返したが、しかし。
「ない……。……そうか。俺は、これまで、あの場所の夢をみたことがなかったのか……」
セブンスは、呆然とした気持ちにも似た心境で、呟いた。
彼が「もしかして」と考えていたのは。
あの夢の中で燃えていた集落は、自分の故郷ではないだろうか、ということだった。
「そうか。では、もしかして、と思ったことは、本当にわずかな、わずかな記憶のかけらに引っかかった、ということだな」
セブンスは、自分がみた夢以外のことはほとんど何も覚えていない。覚えているのは「先生」と過ごした日々の一部と、「先生」が命を落とした日のことくらいだ。故郷のことなど、これまで思い出したこともなかった。
「と、なると、燃えていたあの集落が本当に俺の故郷なのかどうかを確かめるのは、極めて困難になったわけか」
しかし、あそこがどこであろうとも、探してみないわけにはいかないだろうと思う。あの火事が過去のものなのか未来に起こることなのかわからないが、「事実」なのは間違いがないのだから。
セブンスのみる夢はすべて、現実なのだ。
夢でみたものをできるだけ詳細に絵と文章で書き起こし、地図に照らし合わせ、このあたりではないか、というだいたいの目星をつけてから、セブンスは出発した。
居候をしている屋敷の主人がずいぶんと心配し、供の者をつけてやろうかと言ってくれたが、丁重に断った。まずはあちこち動き回らなければならないため、ひとりの方が身軽で都合がよい。
ひとつ目の候補地へ向かう途中、何やら人々が街道に集まっているのをみつけた。集まる人々の中心には、武装した数名の姿が見える。どうやらハンターのようだ。
気にならないわけではなかったが、セブンスはそのまま脇を通り過ぎようとした。と。
「おーい、その先は行かない方がいいぜ」
集まっている人々から、呼び止められたのである。
「どういうことですか」
事情を尋ねると、驚くべき答えが返ってきた。いわく。
この先にある村は、つい昨夜、村ごと火事になったのだという。今、後片付けや救助活動が進められているところだそうだが、それと同時に、その火事が放火であり、その犯人が村の先にぽつんと残っている空き家に潜伏しているというのである。
「五人組の窃盗団らしいんだ。盗むだけにとどまらず、村全体に火を放っていきやがった。許せねえ」
そう声を震わせる男性はおそらく、焼かれた村の住民なのだろう。
「と、いうことで、ハンターに討伐を依頼したんだ。解決するまでは、行かない方がいい」
セブンスはなるほど、と頷いたものの、言われるとおりにただ待っているわけにはいかない、と思った。その村というのは十中八九、セブンスが夢にみた集落のことだろう。昨夜火事にあったばかりだということは、セブンスはほぼリアルタイムにその光景を夢にみていたことになる。
セブンスは、人々に自分の事情を話した。夢にみた、という部分は信じてもらえないとややこしくなるので上手く伏せ、火事になった村が自分の故郷かもしれない、だからそれを確かめたい、と話す。
「もちろん、その犯人たちの討伐が済んでからで結構です。それを指をくわえて見ているつもりもありません。討伐のメンバーに、俺も加えてください。ケンカは強くありませんが、弓の腕だけは、自信があります」
どこもかしこも焼き尽くしていった、あの赤い炎の夢を思い、セブンスはこぶしを握った。たとえ故郷でなかったとしても、あんなことは、許されてはいけない。
解説
■成功条件
窃盗団の討伐(生死を問わない)
※討伐完了で成功。その後セブンスの焼け跡調査や焼け跡の救助復興活動までカバーできた場合に大成功となります。
■窃盗団
男五人組。所持武器の詳細は不明だが、村を襲撃時には全員刃物を持っていたという目撃情報あり。
村中の目ぼしい金品や食料などを奪い、すべての建物や樹木に火をつけた。
三メートル四方の小屋で休息をとっているようである。いびきや酒を酌み交わす声が聞こえている。
小屋は扉がひとつ、窓がひとつ。
誰の持ち物かわからない空き家であり、破壊してもよい、と村長からの許可が出ている。
小屋の周囲は樹木が多く、扉の前だけは開けているものの、道らしき道はない。
■夢を追う青年
必ず現実のことを夢にみる。名前はセブンス・ユングだが、その名で呼ばれることを嫌がっているため、自分からは名乗らず「なんでも好きなように呼んでくれ」とだけ挨拶をする。
夢のこと以外はすぐに忘れてしまうことが多く、これまでに出会ってきた人々のこともほとんど覚えていない。
(これまでの経緯は「夢追いシリーズ」(セブンス・ユング関連シナリオ)からご確認ください。なお、一切知らなくても今回の依頼に影響はありません)
※質問がございましたら可能な範囲でセブンスが回答いたします。出発の24時間前までにお願いいたします。
窃盗団の討伐(生死を問わない)
※討伐完了で成功。その後セブンスの焼け跡調査や焼け跡の救助復興活動までカバーできた場合に大成功となります。
■窃盗団
男五人組。所持武器の詳細は不明だが、村を襲撃時には全員刃物を持っていたという目撃情報あり。
村中の目ぼしい金品や食料などを奪い、すべての建物や樹木に火をつけた。
三メートル四方の小屋で休息をとっているようである。いびきや酒を酌み交わす声が聞こえている。
小屋は扉がひとつ、窓がひとつ。
誰の持ち物かわからない空き家であり、破壊してもよい、と村長からの許可が出ている。
小屋の周囲は樹木が多く、扉の前だけは開けているものの、道らしき道はない。
■夢を追う青年
必ず現実のことを夢にみる。名前はセブンス・ユングだが、その名で呼ばれることを嫌がっているため、自分からは名乗らず「なんでも好きなように呼んでくれ」とだけ挨拶をする。
夢のこと以外はすぐに忘れてしまうことが多く、これまでに出会ってきた人々のこともほとんど覚えていない。
(これまでの経緯は「夢追いシリーズ」(セブンス・ユング関連シナリオ)からご確認ください。なお、一切知らなくても今回の依頼に影響はありません)
※質問がございましたら可能な範囲でセブンスが回答いたします。出発の24時間前までにお願いいたします。
マスターより
皆さまご機嫌いかがでしょうか。最近夢の中でもチケット戦争を戦っていました、紺堂でございます。
夢追いシリーズ、ひとつ区切りに近づきつつあります。近づきつつありますが、本当に近づけるかは皆さまにかかっております。どうぞよろしくお願いいたします。
とにかく、何を置いても放火した窃盗犯は万死に値しますのでどうぞ厳しい対応を。
夢追いシリーズ、ひとつ区切りに近づきつつあります。近づきつつありますが、本当に近づけるかは皆さまにかかっております。どうぞよろしくお願いいたします。
とにかく、何を置いても放火した窃盗犯は万死に値しますのでどうぞ厳しい対応を。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/09/17 22:09
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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【質問卓】確認事項 蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009) エルフ|22才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/09/07 21:10:49 |
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【相談卓】討伐と調査 蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009) エルフ|22才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/09/09 07:04:58 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/09/05 14:41:03 |