• 戦闘

深き怨恨の底の先に

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/12/30 09:00
リプレイ完成予定
2015/01/08 09:00

オープニング

●王国西部のある街道にて
「ど、どうして止まるのですか?」
 慌てた様子で1人の男性が馬車の荷台から降りてきた。
 その周囲を囲う、数人の武装した者達。
「もう、そろそろ頃合いだからな」
 スラリと剣を抜く。
「な、な、なにがなんですか?」
「まだ、気がつかないのかい?」
 剣を抜いた者とは別の者が男性の身体を抑えた。
「お前はここで死ぬ。雑魔の襲撃を受けてな」
「ひぃ。ま、待ってくれ! し、死にたくない!」
 ジタバタ暴れる男性。
 囲っている者達は不気味な笑いを浮かべた。
「ほんと、馬鹿だな、お前は。荷物を運ぶだけで金になるわけねーだろ」
「た、頼むぅ。死にたくない!」
「しつけーよ!」
 無情な一撃が胸を貫通した。
 崩れ落ちる男性。そこへ更に剣が突き立てられる。
「死に……たくない……」
 男性はそう言い残して息絶えた。
「よし、死体を隠し、荷物を引き揚げるぞ」
 真っ赤に染まった剣を持った者が指示を出した。

●港街ガンナ・エントラータのある民家にて
 西部の街に貴重な荷物を送り届けるという仕事に向かった男性が雑魔の襲撃で死んだという連絡があり、男性の妻は泣き崩れた。
「なんで……あなた……」
 そこへ、ドンドンと扉を叩く音。
 返事よりも早く、扉が開かれると、風貌の悪そうな人間が数人勝手に家に上がって来た。
「な、なんですか、貴方達は!」
「なんですかは、こちらの台詞ですよ、奥さん」
 ビシっと書類を提示する。
 仕事の契約書の様だ。
「荷物の補償金を支払ってもらいますよ」
「な、なにを言っているのです! 主人は雑魔の襲撃で……」
「えぇ、残念な事です。ですが、我々も商売。預けた荷物の行方がわからない以上、補償してもらいますよ」
 その決め事のページを見せる。
 確かに、契約書には荷物の補償について明記されていた。
「そ、そんなの、無効です!」
「……いい加減にしろや!」
 風貌の悪い男が、妻の胸ぐらを掴んで怒鳴った。
「ろくな護衛をつけずに行ったのが悪いんだろうが! ゴタゴタ言わずに支払え!」
 突き放され、床に座り込む。
「そんな……あの、臆病な人が、護衛も付けずに西部には……」
 ハッとなって、顔を上げる。
 入ってきた者達はニヤニヤと笑っていた。
「あ、貴方達、まさか!」
「なにを妄想しているか、わかりませんが、ちゃんと支払って下さいね」
 良い衣装に身を包んだ眼鏡の男が笑いを堪えながら言った。
 そして、奴らは家から立ち去っていった。

●恨晴石
 妻は衛兵に相談したが、取り合って貰えなかった。
 ハンターオフィスに相談しようかと思ったが、報酬を出せるほどお金があるわけじゃない。
 途方に暮れた。
 この仕事が上手くいけば、笑顔で年が越せるねと出発前に微笑んだ夫の顔が思い浮かぶ。
「私に力があれば……」
 真相を調べる事も、憎き奴らを打ちのめす事もできるのに。
 だが、そんなものありはしない。あるのは、恨みだけだ。
 そんな人間だけが辿りつけるある場所に妻はいた。
「ここは……」
 噂で聞いた事があった。
 己の全てと交換で恨みを晴らしてくれるという石が、この港町のどこかにあると……。
 ボロボロの崩れかけた教会の中に、その石が神々しく鎮座していた。
 その石を撫でながら妻は恨みの全てをぶちまける。
 恨みの果てになにがあっても構わない。あの人がいない世の中に未練はない。
 さんざん告白し終わり、それでも、現実はなにも変わらないと諦めた時だった。
「貴女の願い、叶える事、できますよ」
 どこからか、緑髪の愛らしい少女が現れた。
 クルセイダーローブに身を包んでいる。ハンター……ではないようだが。
 ローブが風でなびくと、フリルのドレスがチラリと見えた。
「誰……ですか?」
 少女からは、ただ者ではない気配を感じた。
「貴女のノゾミを叶える者です。貴女の全てと交換で、これを……」
 そう言って、少女は、トンと大きめのツボを恨晴石の横に置いた。
「この壺の中には、スライムという液体状の化け物が入っています」
「ば、化け物が?」
「蓋を開けたら出てきます。見境なしに襲ってきますので、貴女も……」
 そこから先は言葉にしなかった。
 だが、妻は微笑んだ。
 これでいい。これがあれば、仇も、そして奴らの悪だくみも明らかにできる。
「私の全て、ここに置いていきますね」
 わずかなお金。そして、愛した人がくれた大切な指輪を置いた。
「貴女のノゾミ、確かに受け取りました」
 少女が丁寧に頭を下げ、指輪とお金を取って、去って行った。
 その後ろ姿が完全に見えなくなってから、妻は壺を大事そうに抱え込んだのだった。

●あるハンターオフィスより
「事件はある行商斡旋所の倉庫で発生しました。倉庫での取引の最中に、突然、液体状の化け物が出現した様です」
 受付嬢は資料を用意しながら、説明をする。
「倉庫の中にいた数名の人間は全員死亡したと思われます。ハンターの皆様は、速やかに液体状の化け物の討伐をお願いします」
 そして、いくつかの書類に目を通す。
 普段なら、ここで説明は終了だ。後は依頼に参加するか決めるだけだが……。
「これは、追加の内密な依頼になります」
 声の大きさを落とす。
「この行商斡旋所は、荷物の配送を斡旋し、その荷物を紛失させて保証金を巻きあげるという悪い評判があります。ただ、評判だけで調査するわけにもいきません」
 倉庫の見取り図を広げた。
 階層はない大きい蔵の様な建物だ。
「皆様には、戦闘後、速やかに倉庫内を調査し、その証拠を突き止めて貰いたいと思います」
 つい先日、紛失したという荷物の概要の資料が提示された。
 それは、ある中身が入ったといるという紫色に染められた木箱との事だ。
「未確認なのですが、倉庫の中で亡くなった人の中に、先日木箱を紛失した際に死んだ方の配偶者がいたとの事です」
 こんな時期なのに、悲しい事ですねと受付嬢は俯いた。
 クリスマスの飾り付けだけが、異様に明るかった。

解説

●目的
 倉庫内のスライム1体の討伐及び倉庫内の調査。

●作戦内容
 スライムの討伐。倉庫内を調査し、悪評の証拠を押さえる。

●地形
 横縦約15メートル、高さ5メートル程の石組みの倉庫。階層はなく、壁に棚が幾段もある。
 窓はなく、出入り口が一か所のみ。
 壁の棚には色々と物が置いてあります。

●液体状の化け物
 スライムです。犠牲者の1名を依り代に人の形を保っています。主に『叩く』『酸を吐く』等の攻撃をしてきます。

●犠牲者
 倉庫の中にいたのは、女性1名、男性3名です。いずれも死亡しています。依り代になっているのは女性です。

●調査
 戦闘が終了次第、すぐに倉庫の掃除を行いたいという理由で、斡旋所の職員がハンターを倉庫の外へ出そうします。
 ただし、戦闘終了を斡旋所の職員達は、倉庫の中から聞こえてくる音で判断するしか方法はありません。

●紛失した荷物
 大きさは小さい子供位あります。紫色の木箱です。
 表向きには西部に配送する貴重な薬品類となっています。
 中身は、なんでもないただのチーズが入っているだけです。

マスターより

●ご挨拶
 おはようございます。赤山です。クリスマスの時期なのに、暗い依頼をもってきてしまって、すみません。ちょっと捻くれてしまう性格なのです。

●攻略のヒント
 倉庫内のどこかに紛失したとされる荷物が隠されています。
 調査に要する時間をどう作り出すか、どう調査をするかがポイントになります。

●その他
 オープニングの『●あるハンターオフィスにて』以外の内容はPL情報としてお楽しみ下さい。
 恨晴石や緑髪の少女がリプレイで出てくる事はありません。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/01/04 19:21

参加者一覧

  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • GossipHunter
    アシュリー・クロウ(ka1354
    エルフ|20才|女性|闘狩人
  • 縁を紡ぐ者
    シエラ・ヒース(ka1543
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 其の霧に、籠め給ひしは
    ヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549
    人間(紅)|23才|女性|魔術師
  • 赤雷の幻影
    カルス(ka3647
    人間(紅)|22才|男性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 相談をしましょうか。
アシュリー・クロウ(ka1354
エルフ|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2014/12/30 08:10:00
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/12/24 21:49:20