• 戦闘

甘い香りに誘われて

マスター:ザント

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 4~4人
サポート
現在0人 / 0~20人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/09/21 07:30
リプレイ完成予定
2018/09/30 07:30

オープニング

 ジェオルジにある村の住居。
 そこにあるベッドには男性が寝ており、その傍らには男性を咎める様な目をした少女がいた。
「今日は薬草採取に行く日なのにどうするんですか」
 薬草採取の手伝いと護衛としてハンターを雇い、いざ当日という所で頼んだ本人が暑さにやられて倒れてしまったのだ。
「ごめんよシャール……」
 少女の名はシャール、男性の名はオックス。
 村の救護所で働く薬師とその弟子の薬師見習いだ。
 オックスは掻き消えそうな声での謝罪にシャールは仕方ないと言わんばかりに軽く頭を振った。
「今回は私が代理で薬草採取に行ってきますね」
「それは……」
 何か言いたげなオックスに、シャールは笑顔を向ける。
「大丈夫ですよ。前みたいに変な噂もありませんし、何よりハンターの人たちがいるんですから」
 シャールとオックスは以前、薬草を採りに行った森で雑魔に襲われたことがあった。
 その時は無事解決したが、それからは薬草採取に行く時には必ず護衛を雇うようにし、その間はシャールに留守番をさせていた。
「あの時のことはもう大丈夫です。時間が経っていますから」
 オックスはその心配をしていたが、シャールの言葉で言いたいことを全て飲み込む。
「それじゃあ、そろそろ行きますね。ちゃんと水分を取って休んでいてくださいよ」
「あぁ、気をつけて行ってくるんだよ……」
「はい。行ってきます」
 まだ心配そうなオックスにそう言うと、シャールはハンターと共に森へと出発していった。

 昨日、森に雨が降った為に森の中は未だに湿度が高く蒸し暑く、かいた汗も乾かず、熱と湿気が体力と心をじりじりと削り続けていた。
 そんな中でハンターたちは薬草採取をしていたが、ハンターの一人が汗を拭い、たまらず呟いた。
「こんな蒸し暑いのに森での依頼なんて受けるんじゃなかったな……」
「ぼやいてないで手を動かせよ」
 仲間に注意され、男は軽い返事をしてまた作業へと戻る。
 その様子を見てシャールは、休憩を入れるべきかと思い、額の汗を拭うと木陰に移動して休憩の準備を始める。
 と言っても、敷物とコップに飲み物を用意するだけだが。
 準備を終えると、作業を続けるハンターたちへ声をかける。
「皆さん、そろそろ一度休憩しましょう!」
 シャールの提案にハンターたちは作業の手を止め、木陰へと移動して飲み物が注がれたコップを受け取ると一気に飲み干した。
「あー、生き返る」
 口々にそう言うハンターたちを見て、休憩を入れて良かったとシャールは思い、自分も飲み物を飲む。
 その後しばらくは休憩という名の談笑をしていると、ふと女性ハンターが声を上げた。
「何か、甘い匂いがしない?」
「確かに、バナナみたいな匂いがするな」
「これはきっとポポーですね」
 風に運ばれてきた匂いを嗅ぎ、シャールがその正体を突き止める。
「ポポー?」
「はい。幻の果実と呼ばれる果実で、果肉は凄く柔らかくてとても甘くて美味しいんですよ」
 シャールが形や大きさなどを教えると、ハンターたちは感心したように声を上げる。
 そんな中、ハンターの一人が尋ねた。
「そんなに美味しいなら、どうして流通しないの?」
「腐るのが早いから流通出来ないんです。それに熟した時の見た目は、皮に黒カビが生えているみたいなんです」
「それは……売れないだろうな」
 人は基本見た目で判断するもので、それが食材だとなればなおさらだ。
「ですよね……」
 ハンターの言葉を予想していたシャールは、苦笑すると立ち上がった。
「休憩はこの辺にして、そろそろ再開しましょう」
「了解」
 そしてシャールとハンターたちは休憩を終え、薬草採取を再開する。
 休憩を挟んだからか予定よりも早く目標の量を採取し終えた一行は、薬草と共にシャールを村へと送り届け、そこで依頼が終了。
 帰ろうとしていたハンターたちは、ポポーのことを思い出していた。
「幻の果実って言われてるし、ちょっと興味あるわよね」
「……まだ日没まで時間があるし、ちょっと探してみるか?」
 ポポーに興味津々のハンターたちは、日没まで猶予があることを確認するとまた森へと足を踏み入れる。
 甘い匂いを辿って森の中を突き進んで行き、匂いの元へと辿り着いた。
「あの木の根元に幾つも落ちているのがポポーか」
 シャールから聞いた特徴と一致している果実を見つけ、ハンターたちはポポーを拾おうとポポーの木へと近づいていく。
「いてっ」
 不意に、ハンターの一人が痛みを訴えた。
「いつっ!」
「いたっ!」
「どうした!?」
 次々と痛みを訴えるハンターたちは、痛みのあった箇所を見て目を見開いた。
 そこに居たのは全体的に真っ黒な色の蝶。
 大きさは通常の蝶程だが、両羽に赤い色の眼球のような模様が計四つあり、口である管は肌に突き刺さっている。
 蝶はハンターたちに気づかれてもお構いなしに真っ赤な液体を吸い続け、黒い体を徐々に赤黒く変色させていく。
(な、何だ。だんだん体が痺れて……)
 血を吸われ続ける中、体が徐々に麻痺していくのを感じたハンターたちは危険を感じて蝶を払い落とす。
「に、逃げるぞ!」
 そしてそのままハンターたちは、身を翻して来た道を引き返していった。

「その後、ハンターオフィスに駆け込んできた彼らから事情を聞き、危険な蝶が森に生息していたことが発覚しました。ハンター達の証言から考えるに、襲ってきた蝶というのは紅眼揚羽でしょう。とても特徴的な模様のある蝶ですので、まず間違いありません」
 ハンターオフィスの女性職員はハンター時代に出会ったことがあるのか、詳細な情報を教えてくれた。
「紅眼揚羽は森や草原に生息しており、大きさも強さも通常の蝶と同じですが、餌として動物や人間の体液を吸い、吸血と同時に生物を麻痺させる成分を注入して動けなくしてから、血を吸い尽くすという恐ろしい生態を持っています。餌を効率的に集める為に甘い匂いを放つ果実や花などの近くに集まる習性があり、今回のハンターたちはまさにそれに当てはまってしまったということですね」
 職員は頭を軽く振って呆れた様子を見せてから、依頼内容を説明し始めた。
「依頼主は我々ハンターオフィス。紅眼揚羽の討伐をお願いします。今回はハンターだったので全員無事でしたが、一般人がいつ襲われるかも分かりません。ですので、全ての紅眼揚羽を倒してください。それと別口なのですが……この話を聞いたグルメで有名な貴族の方がポポーを味わってみたいと仰り、その貴族の方からポポーの実採取の依頼が来ました。可能であればポポーを採取して来てください」
 説明を終えた職員は真剣な眼差しで。
「紅眼揚羽には十分に気をつけてください。運が悪いとミイラになっちゃいますよ」
 と、警告をしてきた。

解説

●シナリオの目的
 主な目的 :紅眼揚羽の殲滅
 副次的目的:幻の果実「ポポー」の採取

●キャラクター情報
・オックス
 ジェオルジにある村の救護所で働く薬師。
 弟子のシャールには弱いが、いざという時は頼りになる(?)人。
 関連シナリオ「噂を信じなかった薬師」

・シャール
 ジェオルジにある村の救護所で働く薬師見習い。
 同じ救護所で働く薬師オックスに弟子入りしている、しっかり者の少女。
 関連シナリオ「噂を信じなかった薬師」

●場所
 森林
 全体 :31×31スクエアの正方形
 障害物:中央にポポーの木がある。
     全体を囲むように木がある。

●敵
 名前   :紅眼揚羽
 数    :50
 姿    :全体的に真っ黒な色をしており、両羽に計4つの赤い色の眼球の様な模様がある蝶。
 大きさ  :体幅2cm、羽を広げると15cm程
 特徴   :吸血すると体色が赤黒く変色する。
 攻撃方法 :近づいてからの吸血。
 生態   :森や草原に出没。甘い匂いを発する物の周囲に集まり、香りに誘われた生物を襲う。吸血時に注入する麻痺成分によって、相手を動けなくしてからゆっくりと吸血をする習性を持つ。
 備考   :なし。
 職員の呟き:吸血された際に麻痺する可能性があるので、注意してください。

マスターより

 初めましての方は初めまして、お久しぶりの方はお久しぶりです。
 私、ザントと申します。
 以後お見知りおきを。

 今回は、戦闘メインのシナリオとなっております。
 戦闘に関しては特に言う事はありません。
 ですが、一応、森の中ですので広範囲攻撃を放って森を荒らす様なことはなさらないでください。
 ポポーの実が吹き飛んでしまいますし、何よりシャールちゃんが泣いてしまいますので……。
 それとポポーですが、数があるので少しくらいなら食べても大丈夫です。
 なんなら、グルメリポをして頂いても構いませんよ。
 私からは以上となります。

 では、私のシナリオをお楽しみください。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/09/26 00:27

参加者一覧

  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • 静かな覆い
    橘花 夕弦(ka6665
    人間(紅)|17才|男性|舞刀士
  • 私は彼が好きらしい
    穂積 智里(ka6819
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • 風雅なる謡楽士
    玲瓏(ka7114
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 蝶退治とグルメ依頼
穂積 智里(ka6819
人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2018/09/21 06:51:10
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/09/19 15:01:15