• 落葉
  • 無し

【落葉】英雄の腑

マスター:ゆくなが

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 3~4人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/09/22 07:30
リプレイ完成予定
2018/10/06 07:30

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

「どうしたものかしらね……」
 アイネ・モルツは煙草を灰皿に押し付けて言った。
「そっちも同じところで詰まっているみたいだね」
 眉根を寄せているアイネを見て、クライ・ヴォルフが淹れたてのコーヒーを差し出す。
 ゆったり流れる紫煙を通して、アイネは別のものを見ているようだった。
「お悩みは、あの英霊、でしょ?」
 クライがアイネと向かい合わせになるように腰掛け、自分のコーヒーを一口啜った。
 その言葉が真実だったので、アイネの眉間の皺がさらに深くなった。

 ゾンネンシュトラール帝国は今、歴史の見直しをしていた。
 アイネとクライはその監査を担当している。
 アイネは帝国に伝わる英雄譚……主に絶火の騎士の伝承が真実であったのかを調べている。
 帝国の歴史はまだ王国だった時代に、北方制圧をはじめたところからはじまっている。そもそも帝国の成り立ちが暴力的なものなのだ。で、あるならば、英雄と伝えられた者が、本当に英雄だったのか? を調べているのだ。
 クライは犯罪史担当だ。過去に起きた事件の真相を調査している。
 ふたりの共通点はどちらも2代目辺境伯時代を担当していることにある。
 資料が正確だとは限らない。伝承が真実だとは限らない。だから、大方の資料を当たった後、ふたりが選んだのは、当時を生きていた英霊に話をきくことだった。
【天誓】において顕現した英霊、2代目辺境伯時代の絶火の騎士アラベラ・クララ(kz0250)に、である。
 彼女は、快く当時の話をしてくれた。しかし、ある話題になった途端、アラベラは話題をそらし始め、きいたことに全く答えず、自分の話ばかりをするようになった。アラベラは目立ちたがりだ。そもそも自分についての話が多かったが、どう考えても、彼女は何かを隠しているようにしか思えなかった。
 だから、アイネとクライは困っていた。
 アラベラは何かを隠している。
 しかし、アラベラに真実を話すようどうやって説得したものか。
「そっちは、英雄……『不眠の騎士エミル』のことだっけ」
 クライがアイネに話題を振った。
「そうよ」
『不眠の騎士エミル』は帝国に伝わる2代目辺境伯に仕えた絶火の騎士のひとりだ。
 類稀なる殺戮技巧の持ち主で、漆黒の鎧を纏い剣と短剣で、亜人を殺してまわった。
 特筆すべきは晩年を戦場でのみ過ごし、6日間不眠不休で敵を殺しつくし、戦場でその生涯を閉じた。それはどう考えても過労死だった。このことが、忠義を尽くす騎士として伝承に残り、今も英雄として語られている。
「で、そっちは『殺人鬼デミアン』だったかしら」
 クライが調べているのは、同じく2代目辺境伯時代に起きた連続殺人事件だ。被害者は13人。全て鋭利な刃物で殺されている。結局、事件は解決に至らず、犯人はわかっていない。
 そう、アラベラは『不眠の騎士エミル』と『殺人鬼デミアン』というふたつの話題になった途端、話をはぐらかしはじめたのだ。
 このままでは一向に歴史の調査は進まない。
 アラベラは何かを隠している、ただその確信だけがふたりにあった。


「いい加減、本当のことを話してやったらどうだ?」
 クレーネウス・フェーデルバールがアラベラに言った。
 アラベラはグリューエリン・ヴァルファー(kz0050)と出会って以来、この帝国歌舞音曲部隊のための一室に入り浸っていた。
 当然、アイネとクライもこの部屋でアラベラの話をきいていたのだ。
 で、あれば自然会話の内容は周囲にいる者達に聞こえてくる。
 クレーネウスもアラベラが何かを隠していることに勘付いていた。このままでは監査に来たふたりが報われない。そこで、少し迷ったが口出しすることにしたのだ。
「おや、なんのことでしょうね?」
 しかし、アラベラは自分が見事にバレない嘘をついていると思っているのか、そんなことを言う。
「エミルとデミアンの話だよ。何か知っているんだろう?」
「……クレーネウス。妾は思うのですよ」
 アラベラは急に声のトーンを落として、真剣な調子で語りはじめた。
「イメージ、というものがあるでしょう」
「まあ、そうだな。アイドルにもイメージは大切だ」
「そうでしょう? イメージを覆すことはあまりにも致命的です」
「そうだが……」
 アイドルにもイメージがある。それは発信者が作り出そうとする場合もあるし、受け手側が勝手に妄想を持つことだってある。
「それが、死ぬ思いをして作り上げたものなら尚のことでしょう」
「……つまり、あなたは誰かのイメージを守っている、と?」
「おやおや、そんなことは言っていませんよ」
 アラベラはやっぱりはぐらかすような態度をとるのだった。


 このようなやり取りがあり、結局アラベラに真実を話すよう説得することはハンターに委任されることになった。
 アラベラはハンターならどこか好いている節がある、とクレーネウスがアイネとクライに助言したからだった。

解説

●目的
アラベラに真実を話すように説得すること。

●状況
帝国は歴史の見直しを迫られています。
その監査を担当するアイネ(英雄譚担当)とクライ(犯罪史担当)が当時を生きていた英霊アラベラに話をききにきます。
しかしアラベラは『不眠の騎士エミル』と『殺人鬼デミアン』の話題になった途端、話をはぐらかしかしはじめました。
ハンター達はこのアラベラを説得する依頼を請け負うことになるのでした。

●『不眠の騎士エミル』について
2代目辺境伯時代の絶火の騎士。
卓越した殺戮技巧を持ち、不眠不休で敵を殺し続け、戦場で過労死しました。
漆黒の鎧を纏い、剣と短剣で戦っていたそうです。

●『殺人鬼デミアン』について。
2代目辺境伯時代にいた殺人鬼ですが、犯人は未だ不明で、通称としてデミアンと呼ばれています。
13人を鋭利な刃物で殺したようです。

●アラベラについて
2代目辺境伯時代の絶火の騎士。二つ名は『鉄靴令嬢』。
その実態は目立つことが大好きな困った人。
【天誓】において英霊として顕現したあと、ハンターに説得され『アイドル』に興味を持ち、現在は帝国歌舞音曲部隊の一室に入り浸っている。
好きなものは、目立つこと、華やかなものや人、綺麗なもの。頑張っている人。
嫌いなものは、卑怯なこと、機能的なだけのもの、華やかでないもの。
監査のため話をききにこられることについては、『目立つのが好き』という性質上、楽しんでいる。

●アラベラを説得できる場所について
帝国歌舞音曲部隊の一室です。

●アイネとクライについて
今回の依頼人。
プレイングに指定がない限り登場しません。

●クレーネウスについて
ハンター達に依頼するよう助言した人。
プレイングに指定がない限り登場しません。

●質問について
依頼出発の48時間前まで受け付けます。
説得のとっかかりを得るためなど、お気軽にご質問ください。

マスターより

こんにちは、あるいはこんばんは。ゆくながです。
【落陽】連動依頼でございます。
真実を話すよう、アラベラを説得してください。

それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

関連NPC

  • 鉄靴令嬢
    アラベラ・クララ(kz0250
    精霊|22才|女性|精霊
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/10/04 09:48

参加者一覧

  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhran(ka0754
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • 比翼連理―瞳―
    澪(ka6002
    鬼|12才|女性|舞刀士
  • 比翼連理―翼―
    濡羽 香墨(ka6760
    鬼|16才|女性|聖導士
  • 絆を紡ぐ少女
    蓬(ka7311
    人間(蒼)|13才|女性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/09/17 13:06:07
アイコン 【質問卓】
Uisca=S=Amhran(ka0754
エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/09/19 07:09:16
アイコン 【相談卓】英雄の偶像
Uisca=S=Amhran(ka0754
エルフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2018/09/19 20:31:50