ゲスト
(ka0000)
愚者の黄金
マスター:守崎志野

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/09/25 07:30
- リプレイ完成予定
- 2018/10/04 07:30
オープニング
●
乾いた風に緑がそよぐ。ここが少し前まで荒れ地だったとは俄には信じられない豊かな光景だ。
「順調のようですね」
「はい、思った以上に。交配の結果、毒のない豆類と薬草の二種類にはっきり分かれています」
見回しながらケイカが声を掛けると、前を歩いていた男が振り返って嬉しそうに答えた。
この分なら近い将来、辺境全体で食糧を自給し特産物も作れるようになるかもしれない。
そんな明るい希望に、しかしケイカは素直に頷く事が出来なかった。
『こいつらは種属が違う。自然の状態で交雑が起こることはあり得ない』
以前に聞いたそんな言葉が脳裏にちらついて離れない。その言葉を発した者は、自分が何を作っているのかわからない不安を口にしていた。 ここにいる人々はそんな不安を感じないのだろうか?
だが、その考えは不意に断ち切られた。
「……お姉ちゃん?」
「え?」
思わず振り返ったケイカの目に、自分とよく似た顔立ちだがずっと大人しそうな雰囲気の少女が立ち尽くすのが映った。
「嘘。燈火……ちゃん?」
「お姉ちゃん!」
泣きながらケイカにしがみついた少女は、リアルブルーにいる筈の双子の妹・燈火だった。
「一体どうしたの?」
背中をさすりながら尋ねると、燈火はわからないと首を横に振った。数週間前、気がついたら見知らぬ場所にいて訳もわからないまま彷徨い、行き倒れ寸前に拾われてここにきたという。
「……大変だったね」
かつてと違い、クリムゾンウエストへの転移はそこそこ知られているだろうが、知識として知っているのといきなり自分の身に起こるのとでは話が違う。引っ込み思案で臆病なところがある燈火にとって、一人で転移した事はどれだけ恐ろしかっただろうか。
「でも、お姉ちゃんに会えて良かった。急にいなくなって、ずっと心配してたんだよ」
「ごめんね」
仕方がないこととは言え、事情もわからない燈火や両親は心配したのだろう。
「そうだ、お父さんとお母さんは向こうで元気だった?」
出来れば姉妹が無事に再会したことだけでも知らせたい。だが、燈火は俯いてぽつりと言った。
「死んだ、二人とも」
「二人とも!?もしかして歪虚に!?」
この辺境にいても、断片的にとは言えリアルブルーの様子は伝わってくる。騒動に巻き込まれて死亡することは充分に考えられる。
「違う……自殺だった」
燈火が途切れ途切れに語った話によれば、強化人間の暴走事件が起こって間もなく、姉妹の父が勤務する会社が違法な遺伝子操作による人体強化に手を染めていたと告発され、父はその責任者として追求されたという。
証拠不十分として訴追はされなかったものの、それが却って良くなかった。暴走事件に関わっている、歪虚の手先といった風評を流され、会社は保身の為に父を解雇したという。
「どうして……お父さんは確かに遺伝子操作に携わってたけど、農産物だけの筈だったのに。人間どころか、動物の操作なんてしたことないんじゃないか!」
わからない、と燈火は首を振った。わかるのは、周囲から孤立し、家族まで嫌がらせに晒された父が妻と娘を道連れに無理心中を図るに至ったという事。
「お姉ちゃんももう生きていないだろうって……みんなでお姉ちゃんのところに行こうって……」
結果、両親は死んだが燈火は生き残った。その燈火に、向ける矛先を失った非難と嫌がらせは容赦なく降りかかった。
「見てよ……」
燈火が首に巻いた布を取る。そこには絞められた跡があった。袖を捲ればそこにも打ち傷や火傷の跡が、そして……
「もういいよ!わかったから……ごめんね」
「お姉ちゃんが謝ることないよ」
精一杯笑って見せる燈火に、これからは私が守るからと言いかけた時、ケイカの視界に不穏なものが映った。成人男性位の大きさで、干からびきった……雑魔?
「お父さん!」
すぐ傍で燈火の叫び声がした。改めて見直せば、何故それを雑魔などと思ったのか。ケイカの記憶にあるよりもやつれて暗い目をしていたが、確かに父だった。
「お父さん!生きてたの!?」
駆け寄ろうとするケイカの目には父の姿しか映らず、燃える畑は入っていなかった。
●
巡回で立ち寄ったハンター達の目に映ったもの。
それは燃える畑と自らの腕を松明のように燃やす雑魔、そして大切な人の名前と思しきものを口々に叫びながら雑魔、そして炎に駆けていく人々の姿だった。
乾いた風に緑がそよぐ。ここが少し前まで荒れ地だったとは俄には信じられない豊かな光景だ。
「順調のようですね」
「はい、思った以上に。交配の結果、毒のない豆類と薬草の二種類にはっきり分かれています」
見回しながらケイカが声を掛けると、前を歩いていた男が振り返って嬉しそうに答えた。
この分なら近い将来、辺境全体で食糧を自給し特産物も作れるようになるかもしれない。
そんな明るい希望に、しかしケイカは素直に頷く事が出来なかった。
『こいつらは種属が違う。自然の状態で交雑が起こることはあり得ない』
以前に聞いたそんな言葉が脳裏にちらついて離れない。その言葉を発した者は、自分が何を作っているのかわからない不安を口にしていた。 ここにいる人々はそんな不安を感じないのだろうか?
だが、その考えは不意に断ち切られた。
「……お姉ちゃん?」
「え?」
思わず振り返ったケイカの目に、自分とよく似た顔立ちだがずっと大人しそうな雰囲気の少女が立ち尽くすのが映った。
「嘘。燈火……ちゃん?」
「お姉ちゃん!」
泣きながらケイカにしがみついた少女は、リアルブルーにいる筈の双子の妹・燈火だった。
「一体どうしたの?」
背中をさすりながら尋ねると、燈火はわからないと首を横に振った。数週間前、気がついたら見知らぬ場所にいて訳もわからないまま彷徨い、行き倒れ寸前に拾われてここにきたという。
「……大変だったね」
かつてと違い、クリムゾンウエストへの転移はそこそこ知られているだろうが、知識として知っているのといきなり自分の身に起こるのとでは話が違う。引っ込み思案で臆病なところがある燈火にとって、一人で転移した事はどれだけ恐ろしかっただろうか。
「でも、お姉ちゃんに会えて良かった。急にいなくなって、ずっと心配してたんだよ」
「ごめんね」
仕方がないこととは言え、事情もわからない燈火や両親は心配したのだろう。
「そうだ、お父さんとお母さんは向こうで元気だった?」
出来れば姉妹が無事に再会したことだけでも知らせたい。だが、燈火は俯いてぽつりと言った。
「死んだ、二人とも」
「二人とも!?もしかして歪虚に!?」
この辺境にいても、断片的にとは言えリアルブルーの様子は伝わってくる。騒動に巻き込まれて死亡することは充分に考えられる。
「違う……自殺だった」
燈火が途切れ途切れに語った話によれば、強化人間の暴走事件が起こって間もなく、姉妹の父が勤務する会社が違法な遺伝子操作による人体強化に手を染めていたと告発され、父はその責任者として追求されたという。
証拠不十分として訴追はされなかったものの、それが却って良くなかった。暴走事件に関わっている、歪虚の手先といった風評を流され、会社は保身の為に父を解雇したという。
「どうして……お父さんは確かに遺伝子操作に携わってたけど、農産物だけの筈だったのに。人間どころか、動物の操作なんてしたことないんじゃないか!」
わからない、と燈火は首を振った。わかるのは、周囲から孤立し、家族まで嫌がらせに晒された父が妻と娘を道連れに無理心中を図るに至ったという事。
「お姉ちゃんももう生きていないだろうって……みんなでお姉ちゃんのところに行こうって……」
結果、両親は死んだが燈火は生き残った。その燈火に、向ける矛先を失った非難と嫌がらせは容赦なく降りかかった。
「見てよ……」
燈火が首に巻いた布を取る。そこには絞められた跡があった。袖を捲ればそこにも打ち傷や火傷の跡が、そして……
「もういいよ!わかったから……ごめんね」
「お姉ちゃんが謝ることないよ」
精一杯笑って見せる燈火に、これからは私が守るからと言いかけた時、ケイカの視界に不穏なものが映った。成人男性位の大きさで、干からびきった……雑魔?
「お父さん!」
すぐ傍で燈火の叫び声がした。改めて見直せば、何故それを雑魔などと思ったのか。ケイカの記憶にあるよりもやつれて暗い目をしていたが、確かに父だった。
「お父さん!生きてたの!?」
駆け寄ろうとするケイカの目には父の姿しか映らず、燃える畑は入っていなかった。
●
巡回で立ち寄ったハンター達の目に映ったもの。
それは燃える畑と自らの腕を松明のように燃やす雑魔、そして大切な人の名前と思しきものを口々に叫びながら雑魔、そして炎に駆けていく人々の姿だった。
解説
目的:雑魔退治、及び畑や設備への被害拡大を防ぐ
現場は住居や井戸、作業小屋を囲むように畑や通路が作られ柵が巡らされた開拓地
住民は三十人程、ほとんどがリアルブルーからの転移者(非覚醒者)
主に作物の品種改良を手がけており、現在順調に作業が進んでいる模様
被害が広がれば大きな痛手となる
柵の一端が雑魔に破られ、傍の畑に火がついている
柵の外は荒れ地
雑魔を目視できる範囲にいた十人程度の人々の目にはそれぞれ今は会う事の出来ない人の姿に見えており
他のことが認識出来ない状態で雑魔の方に向かっている
放置すれば雑魔に殺されるか、火に巻かれて死亡する可能性がある
また、建物の反対側にいた何人かが騒ぎを聞きつけてやって来ようとしている
雑魔:骸骨に皮を張り付けたような姿をしており、一定の範囲にいる人間に大切な人の姿と錯覚させる
ハンター・覚醒者には効果がない
戦闘や殺戮よりも火事を広げる事が目的らしく戦いを挑んでは来ない
腕が燃えているが発火スキルなどはなく、特殊な攻撃手段も持たない
一般人には脅威だが、複数でかかれば初心者ハンターでも弱敵
ただ、五体をバラバラにした程度ではそれぞれが自らに火を付けて火災を広げようとするので
燃やす、粉砕するなどする必要がある
行動によってPC情報に出来るPL情報
※人々は当初雑魔の存在に気付かず、ケイカ・燈火の様子に何事かと目をやって錯覚に囚われた模様
※錯覚している人々も揺さぶって大声で呼ぶなどする程度で正気に戻る
(正気に戻った人に消火等を指示する事も出来る)
現場は住居や井戸、作業小屋を囲むように畑や通路が作られ柵が巡らされた開拓地
住民は三十人程、ほとんどがリアルブルーからの転移者(非覚醒者)
主に作物の品種改良を手がけており、現在順調に作業が進んでいる模様
被害が広がれば大きな痛手となる
柵の一端が雑魔に破られ、傍の畑に火がついている
柵の外は荒れ地
雑魔を目視できる範囲にいた十人程度の人々の目にはそれぞれ今は会う事の出来ない人の姿に見えており
他のことが認識出来ない状態で雑魔の方に向かっている
放置すれば雑魔に殺されるか、火に巻かれて死亡する可能性がある
また、建物の反対側にいた何人かが騒ぎを聞きつけてやって来ようとしている
雑魔:骸骨に皮を張り付けたような姿をしており、一定の範囲にいる人間に大切な人の姿と錯覚させる
ハンター・覚醒者には効果がない
戦闘や殺戮よりも火事を広げる事が目的らしく戦いを挑んでは来ない
腕が燃えているが発火スキルなどはなく、特殊な攻撃手段も持たない
一般人には脅威だが、複数でかかれば初心者ハンターでも弱敵
ただ、五体をバラバラにした程度ではそれぞれが自らに火を付けて火災を広げようとするので
燃やす、粉砕するなどする必要がある
行動によってPC情報に出来るPL情報
※人々は当初雑魔の存在に気付かず、ケイカ・燈火の様子に何事かと目をやって錯覚に囚われた模様
※錯覚している人々も揺さぶって大声で呼ぶなどする程度で正気に戻る
(正気に戻った人に消火等を指示する事も出来る)
マスターより
パイライトという鉱物は全く違う物であるのに金とよく似た色をしている為
愚者の黄金と呼ばれる事があるそうです
ケイカ達が見ているのもそのようなものでしょうか?
雑魔の退治と火災を食い止めることが出来れば
住民から死亡者が出ても失敗にはなりませんが成功度は下がります
ご縁がありましたら、よろしくお願いします
愚者の黄金と呼ばれる事があるそうです
ケイカ達が見ているのもそのようなものでしょうか?
雑魔の退治と火災を食い止めることが出来れば
住民から死亡者が出ても失敗にはなりませんが成功度は下がります
ご縁がありましたら、よろしくお願いします
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/10/03 06:22
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 アルマ・A・エインズワース(ka4901) エルフ|26才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/09/25 06:44:48 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/09/25 06:41:22 |