ゲスト
(ka0000)
龍鉱石、持ってますか
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2018/10/14 19:00
- リプレイ完成予定
- 2018/10/23 19:00
オープニング
●ユニゾン島、マテリアル炉竣工――のはずが。
マゴイはじいんとした様子で、4メートル四方の立方体を見上げていた。
立方体の色は半透明な乳白色。ガラスのように華奢な印象を受けるが、ミサイル攻撃を受けて傷一つつかないほど、頑丈な材質で出来ている。
『……ついに……完成した……マテリアル炉……』
ワーカーコボルドたちは、自分たちがマゴイの指示通り作った建造物がマゴイを喜ばせていることに、とても喜んだ。
「まごーい、うれしがっている」
「あたらしいはこ、うれしがっている」
「ぼくらまごいのやくにとてもたっている」
刑務所から社会奉仕の名目で派遣されてきた工事監督者――もとエンジニア・ワーカーのスペットは、複雑な面持ちだ。
「……おいマゴイ、俺の顔のこと忘れてへんやろな、俺の顔のこと。生産機関が動かせるようになったらすぐに着手する言うてたやろ、お前」
『……もちろんそれは忘れていない……』
「ならええけどな。で、どのくらいかかんねん、俺の顔が出来るまで」
『……そうね……とりあえず1年はかかるかしら……追放者の顔を戻すなんて……ユニオンでも初めての事例だから……十分に会議を経て書類を整えないと……』
形式重視なのはいつものことである。なのでスペットはそこに対する追求は控えた。
マゴイは相変わらず感激醒めやらぬ調子で、いそいそとマテリアル鉱石――イクシードプライム――を捧げ持ち(本当は浮かせているのだが)、炉の表面に手をかざす。
『……それでは試運転を……』
箱にポカリと四角い穴が空いた。その中に鉱石が入れ込まれる。
穴が閉じしばらくして、箱の中に光が灯った。それは霧のように淡く、形なく、ゆるやかな明滅を繰り返す。
マゴイが訝しげに眉根を寄せた。
『……おかしい……出力が上がらない……』
●想定外の仕切り直し
魔術師協会。
協会職員タモンは、目の前で繰り広げられているニケとマゴイの会話を前に考えていた。
グリーク商会は、魔術師協会との協力関係の元、ユニゾン島との貿易を一手に引き受けている――はずなのだが、どうも最近とみに、向こうとこちらの力関係が逆転しているようでならない。
「取引を通じて商会が得た情報はあなたがたに渡します。その代わり彼女から物質的援助を求められた場合、その調達と配送を私たちに一任していただければと」
とは、当初彼女が言っていた言葉。
最初は確かにそのような形だったのだ。協会がマゴイから要望を聞き出し、それを商会に伝え商品を発注させるという。
しかし今は、商会がマゴイの要望を聞き出しそれに答え商品を発注し、しかるのちそれを協会に伝えてくるという形になっている、ような。
どちらにしても結果は一緒じゃないかと言われればその通りなのだが。
「炉に使うマテリアル燃料を、イクシードプライムではなくて龍鉱石に変更するんですね?」
『……ええ……模型ではイクシードプライムでよかったし……私もそれでいけるものだと思っていたのだけれど……どうにも出力が上がらなくて……構造物に……他国のアーキテクチャーによって生成せられたものを使用したことが原因のようで……マテリアルに対する共振数が模型とは異なってしまっていた……今の炉に最も合致するマテリアル鉱石は、イクシードプライムではなく……龍鉱石……』
「なるほど。では、早速我が商会が手配しましょう」
『……それはとてもありがたい……だけれど……ひとつ問題が……』
「なんです?」
『……労働管理部門の一般会計予算において……この世界の通貨割合がゼロになった……』
「つまり、あなたがこれまで当商会への支払いに使っていた、例の海賊埋蔵金が尽きたと」
『……そう……ユニオン通貨の運営はユニゾン内で始めているけど……それは使えないのよね……?』
「使えませんね。この世界のほかの場所で通用しませんから。ですがご安心ください。これまでのお付き合いから、あなたが信用出来るひとであることは分かっています。ですから龍鉱石の対価を、現金に限ることはいたしません。現物取引いたしましょう。かまいませんか?」
『……ええ……かまわないけど……何を代価として渡しましょうか……農産品や工業品……色々あるけれど……』
「それでは、船をいただけますか?」
『……船……?……それは……ユニゾンでは作っていない……』
「今作っていないのなら、これから作っていただくことは可能ですか?」
とんとん拍子に進んで行く話。
この問題を商会とマゴイの間だけで完結させてしまうのは、よくないのではないかとタモンは思った。
マテリアル炉を稼働させればユニゾンは、完全な自給自足が可能になる。その気になれば鎖国体制を敷くことだって出来る。市民生活になんら痛手を与えることなく。
マゴイも大分人間が丸くなった。だが、二度と最初の頑なな思考に戻らないとは――断言出来ない。少なくとも自分には。
だから万一にもそうならないために、炉の稼働に関わっておいた方がいい。なるべく多くの人が。後日ユニゾンに対し、マゴイに対し、口を差し挟む余地を作っておくために。
「マゴイさん、何なら我が魔術師協会も龍鉱石を提供いたしますよ」
『……おや……それはありがたい……でも……先程言ったように今私は……この世界の通貨の持ち合わせがないので……何を対価にしましょうか……』
「いえ、それは別になくても」
『……そういうわけにはいかない……外部者との商取引において対価を支払わないことは……ユニオン法に反する……』
「――では、あなたが燃料用に購入したイクシードプライムを対価としていただきたい。それでよろしいですか?」
『……それなら……もちろんかまわない……』
「ありがとうございます。ついでですから、ハンターオフィスにも依頼を出してみてはいかがですか。龍鉱石を募集するという――」
●ユニゾンへ向けて出発。
ポルトワール。グリーク商会。
ナルシスは一瞥した船の設計図を、指でピンと弾いた。
「空間操作のアーキテクチャーを利用した、見かけと容量が天地ほど違う船、か。商売相手出し抜くのに最適だよね。密貿易にもさ。こんなもの3隻も注文するなんてあくどいよね。正味龍鉱石よりはるかに金銭的価値あるでしょ、こっちの方が」
「それはあんたの考えであって、英霊の考えではないわね」
弟の皮肉を歯牙にもかけない姉は両手を机の上で組み合わせ、言った。
「私はこれからユニゾン島へ行かなきゃならないのよ。船を受け取るために」
「え、向こう、もう船造ったの」
「そうよ。そういうわけだからナルシス、あんた来なさい」
「なんで」
「受け取った船を操舵してポルトワールへ運ぶ人間が必要だから。一人で来るのが不服なら、マリーさんを連れてきてもいいわよ。コボちゃんも向こうのコボルドに呼ばれてるみたいだしね」
マゴイはじいんとした様子で、4メートル四方の立方体を見上げていた。
立方体の色は半透明な乳白色。ガラスのように華奢な印象を受けるが、ミサイル攻撃を受けて傷一つつかないほど、頑丈な材質で出来ている。
『……ついに……完成した……マテリアル炉……』
ワーカーコボルドたちは、自分たちがマゴイの指示通り作った建造物がマゴイを喜ばせていることに、とても喜んだ。
「まごーい、うれしがっている」
「あたらしいはこ、うれしがっている」
「ぼくらまごいのやくにとてもたっている」
刑務所から社会奉仕の名目で派遣されてきた工事監督者――もとエンジニア・ワーカーのスペットは、複雑な面持ちだ。
「……おいマゴイ、俺の顔のこと忘れてへんやろな、俺の顔のこと。生産機関が動かせるようになったらすぐに着手する言うてたやろ、お前」
『……もちろんそれは忘れていない……』
「ならええけどな。で、どのくらいかかんねん、俺の顔が出来るまで」
『……そうね……とりあえず1年はかかるかしら……追放者の顔を戻すなんて……ユニオンでも初めての事例だから……十分に会議を経て書類を整えないと……』
形式重視なのはいつものことである。なのでスペットはそこに対する追求は控えた。
マゴイは相変わらず感激醒めやらぬ調子で、いそいそとマテリアル鉱石――イクシードプライム――を捧げ持ち(本当は浮かせているのだが)、炉の表面に手をかざす。
『……それでは試運転を……』
箱にポカリと四角い穴が空いた。その中に鉱石が入れ込まれる。
穴が閉じしばらくして、箱の中に光が灯った。それは霧のように淡く、形なく、ゆるやかな明滅を繰り返す。
マゴイが訝しげに眉根を寄せた。
『……おかしい……出力が上がらない……』
●想定外の仕切り直し
魔術師協会。
協会職員タモンは、目の前で繰り広げられているニケとマゴイの会話を前に考えていた。
グリーク商会は、魔術師協会との協力関係の元、ユニゾン島との貿易を一手に引き受けている――はずなのだが、どうも最近とみに、向こうとこちらの力関係が逆転しているようでならない。
「取引を通じて商会が得た情報はあなたがたに渡します。その代わり彼女から物質的援助を求められた場合、その調達と配送を私たちに一任していただければと」
とは、当初彼女が言っていた言葉。
最初は確かにそのような形だったのだ。協会がマゴイから要望を聞き出し、それを商会に伝え商品を発注させるという。
しかし今は、商会がマゴイの要望を聞き出しそれに答え商品を発注し、しかるのちそれを協会に伝えてくるという形になっている、ような。
どちらにしても結果は一緒じゃないかと言われればその通りなのだが。
「炉に使うマテリアル燃料を、イクシードプライムではなくて龍鉱石に変更するんですね?」
『……ええ……模型ではイクシードプライムでよかったし……私もそれでいけるものだと思っていたのだけれど……どうにも出力が上がらなくて……構造物に……他国のアーキテクチャーによって生成せられたものを使用したことが原因のようで……マテリアルに対する共振数が模型とは異なってしまっていた……今の炉に最も合致するマテリアル鉱石は、イクシードプライムではなく……龍鉱石……』
「なるほど。では、早速我が商会が手配しましょう」
『……それはとてもありがたい……だけれど……ひとつ問題が……』
「なんです?」
『……労働管理部門の一般会計予算において……この世界の通貨割合がゼロになった……』
「つまり、あなたがこれまで当商会への支払いに使っていた、例の海賊埋蔵金が尽きたと」
『……そう……ユニオン通貨の運営はユニゾン内で始めているけど……それは使えないのよね……?』
「使えませんね。この世界のほかの場所で通用しませんから。ですがご安心ください。これまでのお付き合いから、あなたが信用出来るひとであることは分かっています。ですから龍鉱石の対価を、現金に限ることはいたしません。現物取引いたしましょう。かまいませんか?」
『……ええ……かまわないけど……何を代価として渡しましょうか……農産品や工業品……色々あるけれど……』
「それでは、船をいただけますか?」
『……船……?……それは……ユニゾンでは作っていない……』
「今作っていないのなら、これから作っていただくことは可能ですか?」
とんとん拍子に進んで行く話。
この問題を商会とマゴイの間だけで完結させてしまうのは、よくないのではないかとタモンは思った。
マテリアル炉を稼働させればユニゾンは、完全な自給自足が可能になる。その気になれば鎖国体制を敷くことだって出来る。市民生活になんら痛手を与えることなく。
マゴイも大分人間が丸くなった。だが、二度と最初の頑なな思考に戻らないとは――断言出来ない。少なくとも自分には。
だから万一にもそうならないために、炉の稼働に関わっておいた方がいい。なるべく多くの人が。後日ユニゾンに対し、マゴイに対し、口を差し挟む余地を作っておくために。
「マゴイさん、何なら我が魔術師協会も龍鉱石を提供いたしますよ」
『……おや……それはありがたい……でも……先程言ったように今私は……この世界の通貨の持ち合わせがないので……何を対価にしましょうか……』
「いえ、それは別になくても」
『……そういうわけにはいかない……外部者との商取引において対価を支払わないことは……ユニオン法に反する……』
「――では、あなたが燃料用に購入したイクシードプライムを対価としていただきたい。それでよろしいですか?」
『……それなら……もちろんかまわない……』
「ありがとうございます。ついでですから、ハンターオフィスにも依頼を出してみてはいかがですか。龍鉱石を募集するという――」
●ユニゾンへ向けて出発。
ポルトワール。グリーク商会。
ナルシスは一瞥した船の設計図を、指でピンと弾いた。
「空間操作のアーキテクチャーを利用した、見かけと容量が天地ほど違う船、か。商売相手出し抜くのに最適だよね。密貿易にもさ。こんなもの3隻も注文するなんてあくどいよね。正味龍鉱石よりはるかに金銭的価値あるでしょ、こっちの方が」
「それはあんたの考えであって、英霊の考えではないわね」
弟の皮肉を歯牙にもかけない姉は両手を机の上で組み合わせ、言った。
「私はこれからユニゾン島へ行かなきゃならないのよ。船を受け取るために」
「え、向こう、もう船造ったの」
「そうよ。そういうわけだからナルシス、あんた来なさい」
「なんで」
「受け取った船を操舵してポルトワールへ運ぶ人間が必要だから。一人で来るのが不服なら、マリーさんを連れてきてもいいわよ。コボちゃんも向こうのコボルドに呼ばれてるみたいだしね」
解説
補足説明
これはユニゾン島に開設されるマテリアル炉の稼働に協力することを目的とするシナリオです。
今回皆さんは2つの立場を選ぶことになります。
1:グリーク商会から護衛として雇われユニゾン島を訪れる。
2:個人的にユニゾン島を訪れる。
龍鉱石を所有していない、または所有していてもユニゾンに提供する意志のない方は、1の立場を。
龍鉱石を所有し、かつユニゾンに提供する意志のある方は2の立場を選択してください。
龍鉱石を提供してくださった方はマゴイさんから、イクシードプライムの提供を受けます。
今回島には商会方面からニケ、ナルシス、ハンターオフィス方面からマリー、コボちゃん、魔術師協会方面からスペット、タモンが来ています。
マゴイさんはマテリアル炉の稼動に際し、市民を集めて簡単な式典を催すつもりです。
人魚たちも勝手にやってきてお祝いします。
マゴイさん正直、今ちょっと浮かれている状態です。これでユニゾン島が市民にとってますます幸福で安全な場所になり、自分も積み残しの休暇を消化出来る道筋が立ったので。
これはユニゾン島に開設されるマテリアル炉の稼働に協力することを目的とするシナリオです。
今回皆さんは2つの立場を選ぶことになります。
1:グリーク商会から護衛として雇われユニゾン島を訪れる。
2:個人的にユニゾン島を訪れる。
龍鉱石を所有していない、または所有していてもユニゾンに提供する意志のない方は、1の立場を。
龍鉱石を所有し、かつユニゾンに提供する意志のある方は2の立場を選択してください。
龍鉱石を提供してくださった方はマゴイさんから、イクシードプライムの提供を受けます。
今回島には商会方面からニケ、ナルシス、ハンターオフィス方面からマリー、コボちゃん、魔術師協会方面からスペット、タモンが来ています。
マゴイさんはマテリアル炉の稼動に際し、市民を集めて簡単な式典を催すつもりです。
人魚たちも勝手にやってきてお祝いします。
マゴイさん正直、今ちょっと浮かれている状態です。これでユニゾン島が市民にとってますます幸福で安全な場所になり、自分も積み残しの休暇を消化出来る道筋が立ったので。
マスターより
KINUTAです。
とうとうマテリアル炉が稼働です。
マゴイさんの悲願達成です。
とうとうマテリアル炉が稼働です。
マゴイさんの悲願達成です。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/10/20 23:43
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/10/14 09:28:06 |
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相談卓だよ 天竜寺 詩(ka0396) 人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2018/10/14 13:55:42 |