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「大将、今日の仕入れは割りと安くいきましたね」
「おうさ、これなら、がっつり儲かるぞ！」
　様々な商材を積み込んだ荷馬車の中、隊商であろう男達は気分良さげに言葉を交わす。
　仕入れが上手く行ったのだろう、目的地で売却すればどれほどの利益になるのか考えた男達の表情は明るい。
　街道を進み、車輪から伝わる不愉快な振動もこれから先の事を思えば苦にならず。
　しかし、そんな隊商の未来を引き裂く存在はすぐ側まで来ていたのだ……

「ネタマシイ、ネタマシイ……バシャヲミルノハ、ネタマシイ……」
「アイツモ、ナカマニ、イッショニ」
「ニガサナイ、ニガサナイ。バシャダケハニガサナイ……」

　吹き荒ぶ風の中、風音に混じり聞こえる人の声。
　最初は気のせい、しかし何度も聞こえてくるならば、それは人ならざる存在の発した怨嗟の声に他ならない。
「た、大将……なんかヤバイんじゃないですか？」
「びびび、びびってんじゃねぇよ！？　いいか、急いでここを抜けるぞ！」
「は、はいっ……って、なんだあれは！？」
　口々に言葉を交わし、馬車を急がせる一行。
　だが、逃走を許さぬとばかりに吹き付ける風、引き裂かれる布、嘶く馬と道塞ぐ様に姿を現す雑魔の集団。
　それは異形の集団、地面より生じたつむじ風から人の手と頭を伸ばした形の雑魔であった。

　そこからは一方的な暴力。
　幾度も吹き付ける風は荷馬車を引き倒し、切り裂き馬は絶命。
　守ろうと立ち向かった男もその身をズタズタに引き裂かれ地面に倒れ伏し、最初から逃げる事だけを考えた男だけが無事という有様であったのだ。
　馬車を潰した事で満足したのか雑魔は片隅で腰を抜かした男には一瞥すらせず、現れた時と同じく風を纏い姿を消していた……

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「ある街道で【馬車ばかり】が雑魔に狙われる事件が多発しています。馬車に対して非常に強い執着心のある雑魔の仕業でしょう。そんな街道を移動する、隊商の荷馬車護衛というお仕事ですよ」
　集ったハンターにスタッフが説明を行い、取りまとめられた資料を渡す。
　ある街道で馬車が通る時ばかり雑魔が出現、既に犠牲者や街道を回避することで生じる時間的損失などが発生。
　だが、今回依頼してきた隊商は急ぎの仕事であり、護衛をつけての強行突破を敢行すると言うのだ。
「本来なら迂回していく予定でしょうが、今回の依頼主は借金をしてまで手を広げたばかり。ここで遅れてしまえば返済が滞り、借金が膨れ上がってしまいますのでそれだけは避けたいそうです。
　最低限の目的は、依頼主の荷馬車２台を守りきる事。雑魔の撃破は問いません。人的被害が無くても馬車の損壊が激しければ失敗ですね」
　執拗に馬車の破壊を試みる雑魔。
　馬車を守ろうと動いたり自身に立ち向かい妨害しようとした相手も纏めて倒す辺り、単純に周りを固める等の手段では恐らく守りきれないだろう。
　何らかの工夫をもってして護衛に当たるか、はたまた守りは棄てて雑魔を倒す事だけに集中、やられるまえにやってしまうか。
　選択肢はハンターに一任、如何なる手段を持って当たるか。
　期待と不安が入り混じった表情で、その隊商達はハンター達を見つめていた。

成功条件：街道を移動する荷馬車２台の街道突破
※出現する雑魔の撃破は問わない

敵情報
雑魔：旋風×４
つむじ風から人の腕、頭が伸びた形状の雑魔
大きさは成人男性よりやや大きめ
出現時は纏まって出現する
攻撃手段
カマイタチを生じさせ引き裂く攻撃（３スクエア程度まで届く
突風を吹きつけ前方３×３スクエア程度の範囲をまとめて攻撃（低威力だが複数受ければ荷馬車横転の危険
ハンターも場合によっては転倒、転倒した際は次回行動の移動力が半減
体内に保持した木材殴打（近接

上記３点の攻撃を行う
また、木材殴打は物理、カマイタチと突風は魔法

地形情報
遮蔽物の殆ど無い街道
時折、一部の地形が隆起したり岩があったりするがまともな障害物は無い

隊商情報
荷馬車２台に２名ずつ、計４名が搭乗
指示がなければ雑魔出現しても逃走最優先で行動します
特に記載がなければハンターの皆様は出現まで荷馬車に搭乗しております
荷馬車の位置取り、人員の割り振り（１：３か２：２）、ハンターの皆様がどういう人数配置で搭乗するかの希望はプレイングにてどうぞ
記載なければ人員は２：２、荷馬車二台は直列でほぼ距離開けず、ハンターは４：４で別れる形で搭乗します
別途、記載があればハンターは馬車から降りての行動も可能です

　こんにちは、四方　鴉です。
　今回のシナリオは馬車をゆるさん、と破壊を試みる雑魔の相手となっています。
　隊商やハンターの皆様がどういう動きでどういった作戦で事に当たるのか、は自由ですので、色々と試していただければと思います。
　では、宜しくお願いします。