ゲスト
(ka0000)
【東幕】親しき仲にも秘密あり
マスター:紺堂 カヤ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/10/21 07:30
- リプレイ完成予定
- 2018/10/30 07:30
オープニング
エトファリカ連邦国にも、秋がやってきた。収穫の秋となると、自動的にそれらを売り買いする動きも激しくなる。つまり、秋は商人にとっても忙しい季節なのである。
「……という事情を、わかった上で来てるのかなあ、スーさんは?」
頼みがある、と言って天ノ都の営業所に突然やってきた友人を睨む、美しい少年の名は史郎(kz0242)。彼は若年ながら立派な一人前の商人として身を立てている。史郎の前で面目なさそうに肩をすぼめているその友人は、スメラギである。なお、スメラギは史郎に対して自分の身分を隠している……つもりでいる。
「いや……、それは、そのだな……」
どう言い訳しようかおろおろと言いよどむ姿はどこか微笑ましくて、史郎は苦笑した。そもそも半分以上冗談のつもりで睨んでいたのだ、本気で怒っているわけではない。
「いいですよ、別に。スーさんだって忙しいところを抜け出してきたんだろうしさ。で、何の用です?」
「うん、頼みごとをする前にだな……、史郎に謝らないといけないんだ。俺様はずっと、お前に秘密にしていたことがあるんだ」
「ああ、実は帝なんだよね、ってやつですか?」
「そう、それ……って、は?????」
緊張した面持ちで意を決したように史郎の方を向いていたスメラギが、一転してぽかん、と口を開いた。なんで、とか、え、とか、あまり意味をなさない言葉ばかりが続く。史郎はくすくすと笑った。
「なんで知ってるかって? いや逆に訊きますけどなんで隠せてると思ったんです?」
「いや、だって俺様これまで一言も……」
「それそれ。あのね、市井において一人称が『俺様』なんて人そうそういませんよ?」
「う」
今度こそ言葉に詰まったスメラギに、史郎はもう一度笑う。
「別に、謝ることはありませんよ。友人の間においてだって、秘密はあるものです。それに、なんてったって、帝なんですからね、あなたは。……で? 頼みごとはなんです? いまさら、俺に『頭が高い、控えおろう』なんて言いたくて来たわけじゃないんでしょう?」
「なんだ、その頭が高い、って」
スメラギはけらけら笑った。正体を知ってもなお、「スーさん」として接してくれる史郎に、胸中で深く感謝しながら。
スメラギの頼みとは、史郎に「市井の声を集めて欲しい」ということだった。
「ここだけの話だが……、俺様はこの国を共和制の国にしていこうと考えてる。だが、これは俺様の考えだ。この国の民がそれを良しとしなければ、意味がねえ。だから、共和制についてどう思うか、意見を集められねえかな。ハンターたちから意見を聞く場は設けたんだが、俺様は市井……、つまり「そのあたりを歩いている人々」がどう考えているかも知りたいんだ」
「……うーん……」
スメラギの話を聞いて、史郎は唸った。そして、きっぱりと言った。
「スーさん、それはたぶん無理ですね」
「無理!? なんでだ!?」
「共和制、という言葉を、まず人々は理解できないでしょう。残念ながら、この国の教育水準はそこに達していません。……残酷なことを言うようですが、事実です」
スメラギがハッと息を飲んだ。そして、神妙に頷く。事実は、受け入れなければならない。
「ですから、共和制、という言葉はとりあえず置いておいて、『どんな国なら暮らしやすいか、どんな国で生活するのが幸せか』ということについて、人々から意見を集めるのはいかがです?」
史郎はニヤリと笑って見せた。悪戯っぽい表情が小悪魔的である。
「スーさんが知りたいのはつまり、そういうことでしょう?」
「そうだ。……うん、じゃ、そうしよう」
スメラギは、精悍な顔つきですぐにはっきりと頷いた。この決断力は覇王の資質だな、と史郎は胸中でこっそり思う。
「運営費に加えて、ハンターを雇う予算をいただけますか。さっきも言いましたが、秋はどこも忙しいんで会場設営などの人員確保が難しいんです」
「ああ、わかった、出そう」
早速、実務的な話を進めながら、史郎は、そうそう、と何か思い出したように顔を上げた。
「ん? どうした史郎」
「ひとつ、お尋ねしたいんですが。この依頼は、俺の友人である「スーさん」としてのものなのか、この国の「帝」としてのものなのか、どちらです?」
史郎は、穏やかな笑顔でスメラギに問うた。穏やかな笑顔でありながら、その両目は切れそうなほど鋭い光を持っていた。帝であるスメラギが、ひそかに息を飲むほどに。
スーさんとして、なのか。帝として、なのか。
それは暗に、スメラギが今後どちらの立ち位置で史郎と付き合っていくのかを示せ、と迫っていた。
スメラギは……、返事に窮してしまった。今、それを選ぶことは、若き帝にとって少々難しい。それを汲み取ったのだろうか、史郎は肩をすくめると、スメラギが答える前に笑って言った。
「ま、今日のところはスーさんとして、ということにしといてあげますよ」
「そうか」
冗談めかした史郎の仕草に、スメラギも合わせて笑った。
「あーあ。友人価格と帝価格じゃ天と地ほども違うってのに。儲け損ねたなあ」
「そっちかい」
スメラギが帰ったあと。
史郎は「夜の支度」に取りかかった。こちらも早く済ませてしまわなければならない。忙しくなってきた。
「……秘密、ね。俺もそろそろ、明かす時が来たかな」
長い秋の夜が、天ノ都を包む。
「……という事情を、わかった上で来てるのかなあ、スーさんは?」
頼みがある、と言って天ノ都の営業所に突然やってきた友人を睨む、美しい少年の名は史郎(kz0242)。彼は若年ながら立派な一人前の商人として身を立てている。史郎の前で面目なさそうに肩をすぼめているその友人は、スメラギである。なお、スメラギは史郎に対して自分の身分を隠している……つもりでいる。
「いや……、それは、そのだな……」
どう言い訳しようかおろおろと言いよどむ姿はどこか微笑ましくて、史郎は苦笑した。そもそも半分以上冗談のつもりで睨んでいたのだ、本気で怒っているわけではない。
「いいですよ、別に。スーさんだって忙しいところを抜け出してきたんだろうしさ。で、何の用です?」
「うん、頼みごとをする前にだな……、史郎に謝らないといけないんだ。俺様はずっと、お前に秘密にしていたことがあるんだ」
「ああ、実は帝なんだよね、ってやつですか?」
「そう、それ……って、は?????」
緊張した面持ちで意を決したように史郎の方を向いていたスメラギが、一転してぽかん、と口を開いた。なんで、とか、え、とか、あまり意味をなさない言葉ばかりが続く。史郎はくすくすと笑った。
「なんで知ってるかって? いや逆に訊きますけどなんで隠せてると思ったんです?」
「いや、だって俺様これまで一言も……」
「それそれ。あのね、市井において一人称が『俺様』なんて人そうそういませんよ?」
「う」
今度こそ言葉に詰まったスメラギに、史郎はもう一度笑う。
「別に、謝ることはありませんよ。友人の間においてだって、秘密はあるものです。それに、なんてったって、帝なんですからね、あなたは。……で? 頼みごとはなんです? いまさら、俺に『頭が高い、控えおろう』なんて言いたくて来たわけじゃないんでしょう?」
「なんだ、その頭が高い、って」
スメラギはけらけら笑った。正体を知ってもなお、「スーさん」として接してくれる史郎に、胸中で深く感謝しながら。
スメラギの頼みとは、史郎に「市井の声を集めて欲しい」ということだった。
「ここだけの話だが……、俺様はこの国を共和制の国にしていこうと考えてる。だが、これは俺様の考えだ。この国の民がそれを良しとしなければ、意味がねえ。だから、共和制についてどう思うか、意見を集められねえかな。ハンターたちから意見を聞く場は設けたんだが、俺様は市井……、つまり「そのあたりを歩いている人々」がどう考えているかも知りたいんだ」
「……うーん……」
スメラギの話を聞いて、史郎は唸った。そして、きっぱりと言った。
「スーさん、それはたぶん無理ですね」
「無理!? なんでだ!?」
「共和制、という言葉を、まず人々は理解できないでしょう。残念ながら、この国の教育水準はそこに達していません。……残酷なことを言うようですが、事実です」
スメラギがハッと息を飲んだ。そして、神妙に頷く。事実は、受け入れなければならない。
「ですから、共和制、という言葉はとりあえず置いておいて、『どんな国なら暮らしやすいか、どんな国で生活するのが幸せか』ということについて、人々から意見を集めるのはいかがです?」
史郎はニヤリと笑って見せた。悪戯っぽい表情が小悪魔的である。
「スーさんが知りたいのはつまり、そういうことでしょう?」
「そうだ。……うん、じゃ、そうしよう」
スメラギは、精悍な顔つきですぐにはっきりと頷いた。この決断力は覇王の資質だな、と史郎は胸中でこっそり思う。
「運営費に加えて、ハンターを雇う予算をいただけますか。さっきも言いましたが、秋はどこも忙しいんで会場設営などの人員確保が難しいんです」
「ああ、わかった、出そう」
早速、実務的な話を進めながら、史郎は、そうそう、と何か思い出したように顔を上げた。
「ん? どうした史郎」
「ひとつ、お尋ねしたいんですが。この依頼は、俺の友人である「スーさん」としてのものなのか、この国の「帝」としてのものなのか、どちらです?」
史郎は、穏やかな笑顔でスメラギに問うた。穏やかな笑顔でありながら、その両目は切れそうなほど鋭い光を持っていた。帝であるスメラギが、ひそかに息を飲むほどに。
スーさんとして、なのか。帝として、なのか。
それは暗に、スメラギが今後どちらの立ち位置で史郎と付き合っていくのかを示せ、と迫っていた。
スメラギは……、返事に窮してしまった。今、それを選ぶことは、若き帝にとって少々難しい。それを汲み取ったのだろうか、史郎は肩をすくめると、スメラギが答える前に笑って言った。
「ま、今日のところはスーさんとして、ということにしといてあげますよ」
「そうか」
冗談めかした史郎の仕草に、スメラギも合わせて笑った。
「あーあ。友人価格と帝価格じゃ天と地ほども違うってのに。儲け損ねたなあ」
「そっちかい」
スメラギが帰ったあと。
史郎は「夜の支度」に取りかかった。こちらも早く済ませてしまわなければならない。忙しくなってきた。
「……秘密、ね。俺もそろそろ、明かす時が来たかな」
長い秋の夜が、天ノ都を包む。
解説
■成功条件
史郎主催の意見交換会を成功させる
■意見交換会
史郎の営業所近くの公民館を借りて開催。入場無料。名目は「国の更なる復興のための意見交換会」。
気軽に参加してもらえるよう、史郎は「もっと儲けられるにはどうしたらいいか話し合いたいんだ」と言いながら宣伝している。
会場の広さ:小学校の教室二つ分ほど
参加予定人数:40名
予定時間:2~3時間
意見交換会は挙手性で、自由に発言・討論していいことになっている。
■史郎からの依頼内容
会場設営、受付、交換会中のサポート(ヒートアップした参加者の対応など)、終了後の片付け。
依頼参加ハンターの人数が6名以上になった場合、2名は「意見交換会の参加者」となることも可能。
また、意見交換会の司会者になることも可能。希望者がいなかった場合、史郎が行う。
※質問には回答可能な範囲で史郎が対応いたします。出発の24時間前までにお願い致します。
史郎主催の意見交換会を成功させる
■意見交換会
史郎の営業所近くの公民館を借りて開催。入場無料。名目は「国の更なる復興のための意見交換会」。
気軽に参加してもらえるよう、史郎は「もっと儲けられるにはどうしたらいいか話し合いたいんだ」と言いながら宣伝している。
会場の広さ:小学校の教室二つ分ほど
参加予定人数:40名
予定時間:2~3時間
意見交換会は挙手性で、自由に発言・討論していいことになっている。
■史郎からの依頼内容
会場設営、受付、交換会中のサポート(ヒートアップした参加者の対応など)、終了後の片付け。
依頼参加ハンターの人数が6名以上になった場合、2名は「意見交換会の参加者」となることも可能。
また、意見交換会の司会者になることも可能。希望者がいなかった場合、史郎が行う。
※質問には回答可能な範囲で史郎が対応いたします。出発の24時間前までにお願い致します。
マスターより
ごきげんいかがでしょうか。紺堂でございます。
お久しぶりです史郎くん登場ですー!!!
意見交換会はあくまでも「市井の者たち」のものでございますので、その点ご注意ください。
(ハンターとしての考えをプレイングで書かれても描写できないことがあります)
よろしくどうぞー!!
お久しぶりです史郎くん登場ですー!!!
意見交換会はあくまでも「市井の者たち」のものでございますので、その点ご注意ください。
(ハンターとしての考えをプレイングで書かれても描写できないことがあります)
よろしくどうぞー!!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/10/29 00:27
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
意見交換会準備 ミオレスカ(ka3496) エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2018/10/20 22:59:51 |
|
![]() |
質問卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/10/20 10:27:37 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/10/20 12:01:11 |