ゲスト
(ka0000)
【空蒼】終わりなさい そして始まりなさい
マスター:凪池シリル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 3~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/11/11 12:00
- リプレイ完成予定
- 2018/11/20 12:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
ぼんやり、大量の人でごった返すカウンターを見つめている。
ハンターオフィスは今、再びのリアルブルーからの転移者、そこからの大量のハンター希望者の処理に忙殺──事実、文字通り死人が出そうな勢いだ──されていた。
強化人間である高瀬少尉も、勿論覚醒者となることを希望する一人である。身分として、散々見下したハンターとなることに思うことは無いのかと言えば全く無いわけではないが、暴走のリスクやこれ以上命を縮めて行くとこに比べたら、そんな意地などつまらないものに過ぎると判断できる程度の理性はある。
そうして、この状況の職員たちの手を極力煩わせまいと、整理券を受け取ったあとは大人しくこうして近くで順番を待っている。
……ぼんやりと物思いに耽る、耽らなければならない時間は、まだ当分長そうだった。
「君はこれから……どうするつもりかね」
大規模作戦や転移にまつわるゴタゴタが一息──本当に一息だ。そうすぐに落ち着くわけがない。だがどうにかして出来た隙間時間──ついた時に、上官──これも、この時点で既にこの関係が妥当なのかと言うと微妙──は、強化人間の今後について軽く説明をしたあと、少尉にそう尋ねてきた。
統一連合宇宙軍はどうなるのか、と問えば、これまで通りとは行かないと、予測混じりに上官は答えた。統一地球連合政府は停止し、軍としても転移した状況からすれば組織としてはもう崩壊している。再編はされるのだろうが、その組織はクリムゾンウェスト連合軍の指揮下に入り、あくまでソサエティの援護という形で動くことになるだろう、と。
つまり、地球軍としての組織と立場は一旦凍結。連合軍の中でも特に地球奪還に向けて動く有志の集まり、という体になるだろう、と。
「それでも……それならば考えることなどありません。自分もその一員としてこれまで通りこの力、地球市民のために尽くすのみです」
少尉は、当然のごとく、迷う間もなくそう答えた。当たり前のことの、ただの確認、そういった類いの質問であろうと、上官を見返して。だが、相手の表情は想像していたものより渋いものだった。
「……高瀬くん」
「はい」
「強化人間として……初期に施術をされて。前線で戦い続けた君の余命は……おそらく一年ほどだろう、と説明を受けた」
「……。もとより。殉職の可能性は極めて高くなるという覚悟の上のことです。現時点で生きていることですら、幸運と感謝すべきとも考えております、から」
力を得るということは最前線に出る機会が増えるということだ。命を散らした同胞は幾らでもいる。
施術を受けなかった一般兵にだって前線を押された結果、あるいは奇襲を受けて命を落としたものもいる。彼らの中に、そのいまわの際に「こんなことなら強化人間になっていれば」と考えなかった者が居ないと言えるだろうか?
つまりはそういうことだ。後からあれこれいっても詮なきこと……。
「そうだな。『これまで』の話であれば、それはそれだけの話かもしれん。だが……」
上官はゆっくりと首を振って、あとを続ける。
「……今は、軍組織というものは無いのだ。軍人と言う立場も。一度君たちは、身の振り方を自由に考え直すことが出来る。……特に君たち、元強化人間であるものたちは」
「何が……仰りたいのでしょう」
「……残された時間を、君の、君のためだけに使ってもいいと、私は思うよ」
ここはクリムゾンウェストだ。故郷のためにと自分たちが第一であると気を張る必要は無く、ハンター到着のタイムラグを気にする必要も今はない。リアルブルーの人間のほとんどは覚醒者たる資格を持ち、この度の転移でまたその数を急速に増やすだろう。だから。
……もう、休んでもいいんだ、と。
「自分……は……」
「勘違いしないでほしい。君の力が不要だとは言わない。これまでの経験、それを正式に覚醒者の力を得て奮ってくれるなら、大いに貢献してくれることだろう。……君の幸せがなんなのか、私からとやかく言うつもりはないよ。だから……一度じっくり、よく考えてみるといい」
よく考えろ。果たしてその上官の言葉の通りに、考えることと言えばそのことばかりだった。
……今更、幸せなど。
そんなこと考えられるのだろうか。これまでの人生でそんなことをじっくり考えることなど無かった。すべきと信じたことを果たす。それだけの……それでよかった、人生。
迷うことなどないはずだ。考えることなど。ならば今、自分は何に引っ掛かっているのだろう。
自分にとって戦いとはなんだったのだろう。戦いそのものに楽しみがあったわけではない。興奮は恐怖の裏返して決して快感になることなどは無かった。それでも誰かがやらねばならないことで、やれる人間は限られている。その、限られた人間であることを誇りにして来た。
……戦いに、喜びなど。
あった。地上での、最後の任務。ハンターたちとともに戦い、守り抜いた。犠牲のない戦いなど有り得ないと思っていた自分にとって、青天の霹靂とも言える勝利の形。
その喜びを知ってしまった。その熱を。
……軍組織から一旦離れ、ハンターとなるものも居るという。特にまだ若い強化人間だったものたちはそうする者も居るという。
……自分らしく生きてきた、とは思う。
……だが、自分のために、とは何だろう。
──残された命を、有効に使うにはどうすればいいのか。
それは、あの戦いの間ずっと問い続けていたことで、そして今、全く意味を変えていた。
それを自覚したとき、自分の中で何かがもう変わっているのだということを自覚した。
契約を新たにし、強化人間であることをやめて覚醒者となったとき。
どうせ次の戦いまでに暴走するかも知れないのだからと、常に命を捨てるつもりで戦う必要など、無くなるのだ。
あと、一年ほど。だけど、生きようと思えば不本意に終えること無く、その一年は生き延びることが出来る。その事実に。
悔いのない終わりとは何なのだろうか。それを、考えている自分が居る。
強化人間という自分の終わりに。
答えを求めて、少尉は行き交う人々をじっと見つめていた。
ぼんやり、大量の人でごった返すカウンターを見つめている。
ハンターオフィスは今、再びのリアルブルーからの転移者、そこからの大量のハンター希望者の処理に忙殺──事実、文字通り死人が出そうな勢いだ──されていた。
強化人間である高瀬少尉も、勿論覚醒者となることを希望する一人である。身分として、散々見下したハンターとなることに思うことは無いのかと言えば全く無いわけではないが、暴走のリスクやこれ以上命を縮めて行くとこに比べたら、そんな意地などつまらないものに過ぎると判断できる程度の理性はある。
そうして、この状況の職員たちの手を極力煩わせまいと、整理券を受け取ったあとは大人しくこうして近くで順番を待っている。
……ぼんやりと物思いに耽る、耽らなければならない時間は、まだ当分長そうだった。
「君はこれから……どうするつもりかね」
大規模作戦や転移にまつわるゴタゴタが一息──本当に一息だ。そうすぐに落ち着くわけがない。だがどうにかして出来た隙間時間──ついた時に、上官──これも、この時点で既にこの関係が妥当なのかと言うと微妙──は、強化人間の今後について軽く説明をしたあと、少尉にそう尋ねてきた。
統一連合宇宙軍はどうなるのか、と問えば、これまで通りとは行かないと、予測混じりに上官は答えた。統一地球連合政府は停止し、軍としても転移した状況からすれば組織としてはもう崩壊している。再編はされるのだろうが、その組織はクリムゾンウェスト連合軍の指揮下に入り、あくまでソサエティの援護という形で動くことになるだろう、と。
つまり、地球軍としての組織と立場は一旦凍結。連合軍の中でも特に地球奪還に向けて動く有志の集まり、という体になるだろう、と。
「それでも……それならば考えることなどありません。自分もその一員としてこれまで通りこの力、地球市民のために尽くすのみです」
少尉は、当然のごとく、迷う間もなくそう答えた。当たり前のことの、ただの確認、そういった類いの質問であろうと、上官を見返して。だが、相手の表情は想像していたものより渋いものだった。
「……高瀬くん」
「はい」
「強化人間として……初期に施術をされて。前線で戦い続けた君の余命は……おそらく一年ほどだろう、と説明を受けた」
「……。もとより。殉職の可能性は極めて高くなるという覚悟の上のことです。現時点で生きていることですら、幸運と感謝すべきとも考えております、から」
力を得るということは最前線に出る機会が増えるということだ。命を散らした同胞は幾らでもいる。
施術を受けなかった一般兵にだって前線を押された結果、あるいは奇襲を受けて命を落としたものもいる。彼らの中に、そのいまわの際に「こんなことなら強化人間になっていれば」と考えなかった者が居ないと言えるだろうか?
つまりはそういうことだ。後からあれこれいっても詮なきこと……。
「そうだな。『これまで』の話であれば、それはそれだけの話かもしれん。だが……」
上官はゆっくりと首を振って、あとを続ける。
「……今は、軍組織というものは無いのだ。軍人と言う立場も。一度君たちは、身の振り方を自由に考え直すことが出来る。……特に君たち、元強化人間であるものたちは」
「何が……仰りたいのでしょう」
「……残された時間を、君の、君のためだけに使ってもいいと、私は思うよ」
ここはクリムゾンウェストだ。故郷のためにと自分たちが第一であると気を張る必要は無く、ハンター到着のタイムラグを気にする必要も今はない。リアルブルーの人間のほとんどは覚醒者たる資格を持ち、この度の転移でまたその数を急速に増やすだろう。だから。
……もう、休んでもいいんだ、と。
「自分……は……」
「勘違いしないでほしい。君の力が不要だとは言わない。これまでの経験、それを正式に覚醒者の力を得て奮ってくれるなら、大いに貢献してくれることだろう。……君の幸せがなんなのか、私からとやかく言うつもりはないよ。だから……一度じっくり、よく考えてみるといい」
よく考えろ。果たしてその上官の言葉の通りに、考えることと言えばそのことばかりだった。
……今更、幸せなど。
そんなこと考えられるのだろうか。これまでの人生でそんなことをじっくり考えることなど無かった。すべきと信じたことを果たす。それだけの……それでよかった、人生。
迷うことなどないはずだ。考えることなど。ならば今、自分は何に引っ掛かっているのだろう。
自分にとって戦いとはなんだったのだろう。戦いそのものに楽しみがあったわけではない。興奮は恐怖の裏返して決して快感になることなどは無かった。それでも誰かがやらねばならないことで、やれる人間は限られている。その、限られた人間であることを誇りにして来た。
……戦いに、喜びなど。
あった。地上での、最後の任務。ハンターたちとともに戦い、守り抜いた。犠牲のない戦いなど有り得ないと思っていた自分にとって、青天の霹靂とも言える勝利の形。
その喜びを知ってしまった。その熱を。
……軍組織から一旦離れ、ハンターとなるものも居るという。特にまだ若い強化人間だったものたちはそうする者も居るという。
……自分らしく生きてきた、とは思う。
……だが、自分のために、とは何だろう。
──残された命を、有効に使うにはどうすればいいのか。
それは、あの戦いの間ずっと問い続けていたことで、そして今、全く意味を変えていた。
それを自覚したとき、自分の中で何かがもう変わっているのだということを自覚した。
契約を新たにし、強化人間であることをやめて覚醒者となったとき。
どうせ次の戦いまでに暴走するかも知れないのだからと、常に命を捨てるつもりで戦う必要など、無くなるのだ。
あと、一年ほど。だけど、生きようと思えば不本意に終えること無く、その一年は生き延びることが出来る。その事実に。
悔いのない終わりとは何なのだろうか。それを、考えている自分が居る。
強化人間という自分の終わりに。
答えを求めて、少尉は行き交う人々をじっと見つめていた。
解説
●目的
オフィスにごった返す覚醒者希望者の列を眺めつつ、これまでの戦い、主に強化人間周りを振り返ったり自由な心情。
●状況
そんなこんなでリアルブルーからの転移者が押し寄せてすげー大変そうなハンターオフィス、あなたは物見遊山に見物してるのかも知れないし見かねて列整理など手伝ってたのかもしれないし、何か別の用事があったけどクソ待たされてるのかもしれません。そんな感じで居合わせてます。その際に、なんか魂が抜けてそうな目で人々を見渡してる高瀬少尉に気づいたものとします。
声をかけて話を聞き、何かアドバイスしても良いし、明らかに軍人な物腰の彼に何かを察して、強化人間のこれまでとこれから、それに思いを馳せるだけでも構いません。
これまで強化人間に対し様々なことを尽くして下さったと思います。覚醒者になれるという結果、それでも寿命はどうにもならないという事実に、色んな思いはあるかと思います。
最後の最後まで何か手を差し伸べられないかと考えても良いし、ただ思いを吐き出すだけでも構いません。
高瀬少尉には「元軍属派閥に合流する」「ハンターとしてもう少し自由な立場で戦いを続ける」「静かに余生を過ごす」などの選択肢かあるわけですが、あなたの言葉で何か決まるかもしれませんししないかもしれません。
そんな一幕、そしてこちらがやってきた空蒼連動の終幕の一つとなります。
オフィスにごった返す覚醒者希望者の列を眺めつつ、これまでの戦い、主に強化人間周りを振り返ったり自由な心情。
●状況
そんなこんなでリアルブルーからの転移者が押し寄せてすげー大変そうなハンターオフィス、あなたは物見遊山に見物してるのかも知れないし見かねて列整理など手伝ってたのかもしれないし、何か別の用事があったけどクソ待たされてるのかもしれません。そんな感じで居合わせてます。その際に、なんか魂が抜けてそうな目で人々を見渡してる高瀬少尉に気づいたものとします。
声をかけて話を聞き、何かアドバイスしても良いし、明らかに軍人な物腰の彼に何かを察して、強化人間のこれまでとこれから、それに思いを馳せるだけでも構いません。
これまで強化人間に対し様々なことを尽くして下さったと思います。覚醒者になれるという結果、それでも寿命はどうにもならないという事実に、色んな思いはあるかと思います。
最後の最後まで何か手を差し伸べられないかと考えても良いし、ただ思いを吐き出すだけでも構いません。
高瀬少尉には「元軍属派閥に合流する」「ハンターとしてもう少し自由な立場で戦いを続ける」「静かに余生を過ごす」などの選択肢かあるわけですが、あなたの言葉で何か決まるかもしれませんししないかもしれません。
そんな一幕、そしてこちらがやってきた空蒼連動の終幕の一つとなります。
マスターより
凪池です。
その節はこいつが大変お世話になりました。私としてはほんとそんなつもりじゃなかった。君はどうしてこうなったんだろうね。
まあ掛け合いのうちにキャラと計画が変わっていくのはWTに限ったことではないと思うのですが、なんというかまあ……だから、ある種のこのゲームの醍醐味を味わったと言えるのでしょう。
【RH】から、強化人間については本当にPCの皆さんにはきつい思いをさせてきたと思います。本当にお疲れ様でした。一旦の締めとして、こちらをお届けします。
その節はこいつが大変お世話になりました。私としてはほんとそんなつもりじゃなかった。君はどうしてこうなったんだろうね。
まあ掛け合いのうちにキャラと計画が変わっていくのはWTに限ったことではないと思うのですが、なんというかまあ……だから、ある種のこのゲームの醍醐味を味わったと言えるのでしょう。
【RH】から、強化人間については本当にPCの皆さんにはきつい思いをさせてきたと思います。本当にお疲れ様でした。一旦の締めとして、こちらをお届けします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/11/18 17:24
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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これからのこと(打ち合わせ?) 初月 賢四郎(ka1046) 人間(リアルブルー)|29才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2018/11/10 21:29:31 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/11/07 21:16:19 |