ゲスト
(ka0000)
深き遺恨の道の標
マスター:赤山優牙

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/01/07 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/01/16 22:00
オープニング
●港町ガンナ・エントラータのある商会にて
痩せ男がデスクワークに追われていた。
中卸しを営む、ある商会で働く彼は、ここの所、ずっと家に帰れない状態だった。
人員の補充を繰り返し要望しても、聞く耳を持たない経営者。
今、商会の仕事の大部分は、彼が死ぬ思いでまわしていたのだ。
「……元気にしてるかな」
ふと、手を休め、家で待つ家族を思い出す。
今から数年前、普通に休めた頃、子供達と遊んだ日の事が浮かんだ。
「今日は絶対に帰るぞ!」
気合を入れ直し、仕事に戻る。
だが、彼が一時的に帰宅を許されたのは、それから数日後の事だった。
痩せ男が自宅に一時帰宅した時には、全てが手遅れだった。
「どこ行ったんだ……」
彼を待つ家族はいなかった。
テーブルの上に置手紙が置いてある。そこには、実家に帰る事が記されていた。
「う、嘘だ……こ、こんなの!」
紙をくしゃくしゃと握り潰す。
なにかの間違いだ。死ぬかと思うほど一生懸命働いた結果がこれだなんて。
その時、扉を叩く音。
零れた涙を袖で乱暴に拭い、玄関の戸を開けると、一人の女性騎士が立っていた。
「ど、どなたですか?」
「王国の者です。実は、この港町に来る途中の事で……」
そう切り出して女性騎士は重く語り出した。
ある街道でゴブリンの一団に襲われている馬車を見かけ、ゴブリンを追い払った事。しかし、既に犠牲者が数名おり、その中に、ある親子がいた事。
息を引き取る前に、言付けと渡す物を預かった事。
渡すべき家の主が、ここであった事……。
「つまり……私の妻と子は……」
「最後に、『愛している』と伝えて下さいと。あと、これを……お子様からです」
子供の誕生日に買った、宝石のついた十字のクロスだ。
「残念ですが……ご遺体はある村の教会に運ばれました。なんとか、お顔だけでも合わせてあげたいと、数日間、貴方を探していたのですが……」
遅れてしまって申し訳ないと深く頭を下げた。
「い、いえ、ありがとうございます」
痩せ男は気を失いそうな所を堪えて、女性騎士に感謝を告げた。
●遺恨
「行かせて下さい! 妻と子が待っているんです!」
痩せ男が上司に懇願した。
仕事はまだまだ残っている。だが、今すぐにでも行きたい。
「うるさい! どうせ、死んでるんだから、後で行けばいいだろう!」
「どうしても、行きたいんです!」
泣き出しながら必死にお願いする痩せ男の腹に、上司が容赦なく蹴りを入れる。
嗚咽をもらしながら崩れる痩せ男。
「例の商品を用意できるまでは、絶対に許さん!」
「そ、そんな。あれを集めるのに、一か月以上かかります!」
「てめぇで、なんとかしやがれ!」
再び蹴りが入る。今度は、痩せ男の顎に入った。
口の中を切ったのだろう。鉄の味がした。
「さっさとやれ!」
上司は怒鳴って出て行った。
●恨晴石
痩せ男は取引先に出かけた。
だが、やはり、用意しなければならない商品はすぐに集められない。
とぼとぼと十字のクロスを握りしめて歩く。
商会が憎い。上司が憎い。
大切な家族を守れなかった。傍にも行ってやれない自分が情けない。
頭の中を恨みと悲しみがぐるぐるまわっていた。
ふと、顔を上げたら、そこは商会ではなく、崩れかけた教会の前にいた。
視界の中に、台座に神々しいく乗っている石が見える。
噂で聞いた事があった。
己の全てと交換で恨みを晴らしてくれるという石が、この港町のどこかにあると……。
痩せ男は倒れこむ様に石に飛びつき、両手で、はさみこんだ。
そして、語りだした。恨みの全てを。悲しみの全てを。
「頼む……たのむぅ……」
大泣きしながら祈る痩せ男。
「貴方の願い、叶える事、できますよ」
どこからか、緑髪の少女が現れた。歳は12か13ぐらいだろうか。
クルセイダーローブに身を包んでいた。
「だ、誰ですか?」
「貴方のノゾミを叶える者です。貴方の全てと交換で、恨みを晴らせる場を教えます」
「……恨みを晴らせる場?」
そんな場所があるというのだろうか。普段なら警戒するだろう。しかし、痩せ男にとって、その話は今すぐにでも聞きたい所だった。
「港に今は使われなくなった、ある古倉庫があります。そこの古倉庫の中に雑魔が居ます。見境なしに襲ってきますので、貴方の命も……」
少女の言葉に、痩せ男は覚悟を決めた瞳で頷いた。
残す物などなにもない。この恨みの全てを晴らせるのであれば。
「僕の全て、ここに置いていきます」
十字のクロスを台座に置いた。
「貴方のノゾミ、確かに受け取りました」
少女が丁寧に一礼し、十字のクロスを大事そうに両手で包み込むように持った。
「私にも、貴方みたいな父親がいれば、きっと幸せだったと思います」
愛らしい笑顔を痩せ男に向けて、そう言ってから少女は足早に立ち去る。
痩せ男は救われたような気持ちで、それを見送った。
●あるハンターオフィスより
「惨劇は、今は使われていないはずの港の古倉庫で発生しました。倉庫の中で、数名が突如現れた雑魔に襲われて、全員死亡しだようです」
ハンター達に資料を渡しながら受付嬢が説明をした。
「たまたま近くを通りがかった人が、倉庫の窓から一部始終を目撃しておりまして、入り口を堅く封鎖したのですが、中には、雑魔が潜んでいます。ハンターの皆様は、速やかに雑魔の討伐をお願いします」
配られた資料には、倉庫と雑魔の情報が書かれている。
それとは、別の書類も入っていた。
「犠牲者は全員、ある中卸し業者の経営者や従業員です。倉庫の下見という事で、倉庫内に入ったそうですが……」
そこで一区切りし、
「この業者、従業員をこき使う事で評判悪いんですよ」
と、なくても良い様な情報を伝える。
「そういう事で、年末年始でお互い多忙だとは思いますが、この依頼、お引き受けいただけますか?」
苦笑を浮かべながら受付嬢は、ハンター達に依頼を紹介したのであった。
痩せ男がデスクワークに追われていた。
中卸しを営む、ある商会で働く彼は、ここの所、ずっと家に帰れない状態だった。
人員の補充を繰り返し要望しても、聞く耳を持たない経営者。
今、商会の仕事の大部分は、彼が死ぬ思いでまわしていたのだ。
「……元気にしてるかな」
ふと、手を休め、家で待つ家族を思い出す。
今から数年前、普通に休めた頃、子供達と遊んだ日の事が浮かんだ。
「今日は絶対に帰るぞ!」
気合を入れ直し、仕事に戻る。
だが、彼が一時的に帰宅を許されたのは、それから数日後の事だった。
痩せ男が自宅に一時帰宅した時には、全てが手遅れだった。
「どこ行ったんだ……」
彼を待つ家族はいなかった。
テーブルの上に置手紙が置いてある。そこには、実家に帰る事が記されていた。
「う、嘘だ……こ、こんなの!」
紙をくしゃくしゃと握り潰す。
なにかの間違いだ。死ぬかと思うほど一生懸命働いた結果がこれだなんて。
その時、扉を叩く音。
零れた涙を袖で乱暴に拭い、玄関の戸を開けると、一人の女性騎士が立っていた。
「ど、どなたですか?」
「王国の者です。実は、この港町に来る途中の事で……」
そう切り出して女性騎士は重く語り出した。
ある街道でゴブリンの一団に襲われている馬車を見かけ、ゴブリンを追い払った事。しかし、既に犠牲者が数名おり、その中に、ある親子がいた事。
息を引き取る前に、言付けと渡す物を預かった事。
渡すべき家の主が、ここであった事……。
「つまり……私の妻と子は……」
「最後に、『愛している』と伝えて下さいと。あと、これを……お子様からです」
子供の誕生日に買った、宝石のついた十字のクロスだ。
「残念ですが……ご遺体はある村の教会に運ばれました。なんとか、お顔だけでも合わせてあげたいと、数日間、貴方を探していたのですが……」
遅れてしまって申し訳ないと深く頭を下げた。
「い、いえ、ありがとうございます」
痩せ男は気を失いそうな所を堪えて、女性騎士に感謝を告げた。
●遺恨
「行かせて下さい! 妻と子が待っているんです!」
痩せ男が上司に懇願した。
仕事はまだまだ残っている。だが、今すぐにでも行きたい。
「うるさい! どうせ、死んでるんだから、後で行けばいいだろう!」
「どうしても、行きたいんです!」
泣き出しながら必死にお願いする痩せ男の腹に、上司が容赦なく蹴りを入れる。
嗚咽をもらしながら崩れる痩せ男。
「例の商品を用意できるまでは、絶対に許さん!」
「そ、そんな。あれを集めるのに、一か月以上かかります!」
「てめぇで、なんとかしやがれ!」
再び蹴りが入る。今度は、痩せ男の顎に入った。
口の中を切ったのだろう。鉄の味がした。
「さっさとやれ!」
上司は怒鳴って出て行った。
●恨晴石
痩せ男は取引先に出かけた。
だが、やはり、用意しなければならない商品はすぐに集められない。
とぼとぼと十字のクロスを握りしめて歩く。
商会が憎い。上司が憎い。
大切な家族を守れなかった。傍にも行ってやれない自分が情けない。
頭の中を恨みと悲しみがぐるぐるまわっていた。
ふと、顔を上げたら、そこは商会ではなく、崩れかけた教会の前にいた。
視界の中に、台座に神々しいく乗っている石が見える。
噂で聞いた事があった。
己の全てと交換で恨みを晴らしてくれるという石が、この港町のどこかにあると……。
痩せ男は倒れこむ様に石に飛びつき、両手で、はさみこんだ。
そして、語りだした。恨みの全てを。悲しみの全てを。
「頼む……たのむぅ……」
大泣きしながら祈る痩せ男。
「貴方の願い、叶える事、できますよ」
どこからか、緑髪の少女が現れた。歳は12か13ぐらいだろうか。
クルセイダーローブに身を包んでいた。
「だ、誰ですか?」
「貴方のノゾミを叶える者です。貴方の全てと交換で、恨みを晴らせる場を教えます」
「……恨みを晴らせる場?」
そんな場所があるというのだろうか。普段なら警戒するだろう。しかし、痩せ男にとって、その話は今すぐにでも聞きたい所だった。
「港に今は使われなくなった、ある古倉庫があります。そこの古倉庫の中に雑魔が居ます。見境なしに襲ってきますので、貴方の命も……」
少女の言葉に、痩せ男は覚悟を決めた瞳で頷いた。
残す物などなにもない。この恨みの全てを晴らせるのであれば。
「僕の全て、ここに置いていきます」
十字のクロスを台座に置いた。
「貴方のノゾミ、確かに受け取りました」
少女が丁寧に一礼し、十字のクロスを大事そうに両手で包み込むように持った。
「私にも、貴方みたいな父親がいれば、きっと幸せだったと思います」
愛らしい笑顔を痩せ男に向けて、そう言ってから少女は足早に立ち去る。
痩せ男は救われたような気持ちで、それを見送った。
●あるハンターオフィスより
「惨劇は、今は使われていないはずの港の古倉庫で発生しました。倉庫の中で、数名が突如現れた雑魔に襲われて、全員死亡しだようです」
ハンター達に資料を渡しながら受付嬢が説明をした。
「たまたま近くを通りがかった人が、倉庫の窓から一部始終を目撃しておりまして、入り口を堅く封鎖したのですが、中には、雑魔が潜んでいます。ハンターの皆様は、速やかに雑魔の討伐をお願いします」
配られた資料には、倉庫と雑魔の情報が書かれている。
それとは、別の書類も入っていた。
「犠牲者は全員、ある中卸し業者の経営者や従業員です。倉庫の下見という事で、倉庫内に入ったそうですが……」
そこで一区切りし、
「この業者、従業員をこき使う事で評判悪いんですよ」
と、なくても良い様な情報を伝える。
「そういう事で、年末年始でお互い多忙だとは思いますが、この依頼、お引き受けいただけますか?」
苦笑を浮かべながら受付嬢は、ハンター達に依頼を紹介したのであった。
解説
●目的
倉庫内の雑魔3体の探索及び殲滅。
●作戦内容
倉庫内にいる雑魔3体を見つけ出し、倉庫から逃亡させずに、全て殲滅する。
●地形
縦横約20メートル、高さ5メートル程のレンガ組みの倉庫。階層はない。
1メートル位の大きさの格子窓が等間隔に並んでいる。
出入り口は一か所のみ。
●雑魔
縦横高1メートル位の木箱の形をした雑魔です。3体います。
飛び跳ねる様に移動し、攻撃してきます。また、隠し腕を振るったり、酸を吐いたりしてくる様子です。
眠りをもたらすガスの様な物を吐きだしてくる時があります。抵抗に失敗すると寝てしまいます。
雑魔は木箱に擬態して隠れています。不意に近づいた場合、奇襲を受けてしまいます。
●木箱
倉庫の中には、木箱が30個、乱雑に転がっています。
戦闘の際、外れた攻撃が当たったり、なにかの拍子で、ダメージを与えられると、1/2の確率で破損してしまいます。
クライアントからは、木箱をなるべく壊さないようにという意向もあります(木箱が5個以上壊れてしまったら、シナリオ成功度は『普通』以上にはなりません)。
覚醒状態であれば、一人で一つ持ち上げて移動する事も可能です。
倉庫内の雑魔3体の探索及び殲滅。
●作戦内容
倉庫内にいる雑魔3体を見つけ出し、倉庫から逃亡させずに、全て殲滅する。
●地形
縦横約20メートル、高さ5メートル程のレンガ組みの倉庫。階層はない。
1メートル位の大きさの格子窓が等間隔に並んでいる。
出入り口は一か所のみ。
●雑魔
縦横高1メートル位の木箱の形をした雑魔です。3体います。
飛び跳ねる様に移動し、攻撃してきます。また、隠し腕を振るったり、酸を吐いたりしてくる様子です。
眠りをもたらすガスの様な物を吐きだしてくる時があります。抵抗に失敗すると寝てしまいます。
雑魔は木箱に擬態して隠れています。不意に近づいた場合、奇襲を受けてしまいます。
●木箱
倉庫の中には、木箱が30個、乱雑に転がっています。
戦闘の際、外れた攻撃が当たったり、なにかの拍子で、ダメージを与えられると、1/2の確率で破損してしまいます。
クライアントからは、木箱をなるべく壊さないようにという意向もあります(木箱が5個以上壊れてしまったら、シナリオ成功度は『普通』以上にはなりません)。
覚醒状態であれば、一人で一つ持ち上げて移動する事も可能です。
マスターより
●ご挨拶
こんばんわ。赤山です。年末年始ですが、ハンターの皆様に、休む暇は与えません!
また倉庫かよというツッコミはご勘弁下さい。
●攻略のヒント
擬態している雑魔をどう発見させるか、木箱の損害をどう抑えるかがポイントになると思います。
●その他
オープニングの『●あるハンターオフィスにて』以外の内容はPL情報としてお楽しみ下さい。
恨晴石や緑髪の少女、女性騎士がリプレイで出てくる事はありません。
こんばんわ。赤山です。年末年始ですが、ハンターの皆様に、休む暇は与えません!
また倉庫かよというツッコミはご勘弁下さい。
●攻略のヒント
擬態している雑魔をどう発見させるか、木箱の損害をどう抑えるかがポイントになると思います。
●その他
オープニングの『●あるハンターオフィスにて』以外の内容はPL情報としてお楽しみ下さい。
恨晴石や緑髪の少女、女性騎士がリプレイで出てくる事はありません。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/01/13 00:14
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 リンカ・エルネージュ(ka1840) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/01/07 19:31:54 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/03 10:16:15 |