• 冒険

恩義に似た親愛

マスター:紺堂 カヤ

このシナリオは3日間納期が延長されています。

シナリオ形態
イベント
難易度
普通
参加費
500
参加人数
現在7人 / 1~25人
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/11/19 12:00
リプレイ完成予定
2018/12/01 12:00

オープニング

●これは現実
「ガーデンパーティまでには帰ってきてくださいね」
 夢追い人こと、セブンス・ユング(kz0232)にそう言ったのは、モンド家の使用人、クロスだった。
「え?」
 セブンスは首を傾げた。彼は、焼野原となった集落の復興手伝いから居候先であるモンド邸へ戻ってきてすぐ、また外出する支度をしていた。
「お嬢様がずいぶんと、楽しみにしておいでです。あなたにも、楽しんでほしいそうですよ。三日後です。是非、それまでには」
「……ありがとう、ございます。もし可能であれば、パーティまでに帰りましょう」
 セブンスは、居候をするようになってから何かと気遣ってくれるこのクロス青年を改めて好もしく思いながら頷いた。夢以外の記憶をすぐになくしてしまうセブンスにとって、こうして何度も顔を合わせ、話をしてくれる人物は貴重だ。クロスだけでなくモンド家の人々に、セブンスは深く感謝していた。
 そして、セブンスはモンド家を出て歩き出した。……故郷の街に向かって。



 ふるさと、といってもセブンスには懐かしさなど少しもなかった。なにせ、セブンスがこの街で過ごした時間はあまりに少なく、そしてその少ない時間のほとんどが、狭い部屋の中で流れるものだったのだから。
(つまりはもう、俺に帰る場所などひとつもないわけか)
 柄にもなくセンチメンタルな思いが湧いて、セブンスはそんな自分に苦笑した。そんなことは、今に始まった話ではない。
 深呼吸をひとつして、周囲を見回した。
 セブンスは先日、とある村の襲撃事件に関わった。無残にも焼き尽くされてしまったその村は、自分の故郷によく似ているように思われたのだが、それもそのはずで、その村はセブンスの故郷の街を真似てつくられたのだという。
 街は、穏やかだった。かなり人口の多い街であるようで、行き交う人々には、そうした大きな街特有の「他人への無関心さ」が備わっているようだった。きょろきょろ見回しながら歩くセブンスを気にする者はひとりもいない。あまり目立ちなくないセブンスとしては、有難い状況だった。
(さて……、どこをどう調べるべきか)
 セブンスは、きょろきょろしながら早速困ってしまった。特に故郷を探していたわけではなく、ここへ来ることになったのは成り行きに近かった。ただ……、まるで導かれるような流れだったことは、確かだ。そのため、セブンスにはひとつ予感もあった。
 もしかしたら、自分がここのところ追っている謎……、「意図的に見せられている夢」についての手掛かりが得られるのではないだろうか、という予感が。
 その謎を探るためのキーワードはふたつ。『緑色の宝石』と『玉虫色の瞳の男』である。生まれつき夢に関して不思議な力を持つセブンスの、その特殊な夢に干渉できる人物。何者なのか、そして目的は何なのか。
(まずは聞き込み、か……。あまり目立つわけにはいかないからな……、慎重に行かなければ)
 セブンスは表情を引き締めると、まずは街の宝石店に入り、これまでの事件で手に入れていた『緑色の宝石』を見せ、同じものを取り扱っていないか尋ねた。しかし、取り扱いはおろか、問屋などで見たこともないという。
(早速、行き詰まったか……)
 宝石店を出たセブンスは、もう一度街を見回した。そして、街の一番奥に立つ大きな屋敷を眺めた。嫌でも目に入る、街で一番大きな屋敷だった。
「あそこへ、行かなけれなならないのだろうか」
 セブンスは、沈鬱な声で呟いた。気が付けばもう、日が暮れかかっている。ひとまずどこか宿で一晩を過ごすことにして、セブンスは足早に夕暮れの街を歩いた。
 そしてその夜。
 セブンスは夢を見た。



●これは夢
 暗い部屋に、男が三人。頭を寄せ合い、何やらひそひそと密談をしている。
「そうだ、ここが正面入り口だ。で、こっちが金庫へ続く通路だ」
「全員で行くのか? ひとり見張りを置いた方が……」
「何を言ってるんだ、俺たちはたった三人なんだぜ、見張りなんか置いたら重い金庫をどうやって運び出すんだよ」
「何? 金庫ごと運び出すのか?」
「そうさ。この家の金庫は最新式だ。とても小手先で開けられる鍵じゃねえ。だから、金庫ごと盗みだして、鍵はあとでゆっくり、とこういう作戦さ」
「なるほどな……、で、決行はいつだ? というか、正面から行って大丈夫なのか?」
「三日後の夜だ。この日、この屋敷ではガーデンパーティとやらをするらしい。パーティ会場は裏口寄りだから、正面の方がむしろ安全ってわけさ」
「そういうことか。けっ、パーティか。いい気なものだぜ、金持ちってのはよ」
「まったくだぜ。ま、そのパーティで浮かれているうちに、盗みだしちまおうってことさ」
「じゃあ、俺は……で……」
「そうだな、そっちは任せた、そんでお前は……」
 男たちのひそひそ話は、さらに声量を落とされ、聞こえにくくなった。だいたいの相談が終わったらしい頃になって、ひとりの男が、ああそうだ、と少し大きな声を出した。
「これを配っておく。幸運の石だ。これを持っていれば、何事も上手くいくらしいぜ。とある筋から、手に入れたんだ」
「幸運の石ぃ? お前、そんなもの信じる方だったかぁ?」
「まあいいじゃねえか、ものは試しだ。こんな小さなもの、邪魔になるわけでもねえしよ」
 石の色は、部屋の暗さのせいで見ることができなかった……。



●これは現実
 セブンスは、飛び起きた。
「三日後……、ガーデンパーティー……」
 呆然と、呟く。どう考えても、偶然とは思えない。きっとこれは未来を示す夢で、その未来とはまさしく、モンド邸で行われる予定のガーデンパーティだ。
 実のところ、セブンスはパーティまでにモンド邸へ帰るつもりがなかった。クロスは知らなかったようだが、そもそもモンド邸からこの街まで来るには丸一日かかる。そう調査が上手く行くとも思っていなかったし、自分のような者がいてはパーティに水を差すだろうという心配もあったからだ。
 しかし。
「……すぐに帰って、知らせなければ」

 俺に帰る場所などひとつもないわけか。

「……ない、はずなのにな」
 昼間、自分の胸に湧いた思いをもう一度思い出して、セブンスは目を鋭くした。帰る場所などとそんな図々しいことは言えないけれど、守りたい場所であることは、間違いないのだ。

解説

■成功条件
強盗からモンド邸を守る。
(強盗の生死は問わないが、生け捕りにできた場合には、セブンスにとって有用な情報を入手することができる)

■参加状況
皆さんは、「モンド家のガーデンパーティに招待されたハンターたち」である。
強盗の情報はすべてPL情報である。パーティ参加中には、この事実を知らない。
パーティはダイヤが計画したもの。(今年はハロウィンパーティができなかったため、そのかわりになんでもいいからパーティがしたい!と開催)
夕方から夜にかけてのパーティで、ハンターたちの他、ダイヤの友人であるジャン・マルコリーニが出席している。
モンド邸の広い庭にたくさんのランタンをぶら下げ、その下で食事やお喋り、音楽などを楽しもうという趣旨のパーティである。

■強盗
男の三人組。所持している武器などは不明。

■モンド邸
めちゃめちゃ敷地面積の大きいお屋敷。
庭はいくつもあるうちの、芝生の広い庭で、屋敷の裏側にある。
正面入り口までは、屋敷をまわりこむと徒歩十五分ほど、屋敷内を突っ切っていけば五分ほど。
しかし、屋敷内のルートは一本道ではないため迷いやすく、ダイヤやクロス、他モンド邸で働く使用人など、モンド邸に詳しい人間と一緒にいなければ通り抜けられない。
パーティの世話をするために出てきている使用人(メイド)は五名。

■セブンス・ユング
必ず現実となることを夢に見る青年。彼についての詳細は過去の依頼を確認のこと(ただし知らなくても今回の依頼には問題なく参加していただけます)。
出かけていた調査先から戻るには、どんなに急いでもパーティスタート後の時間にしかモンド邸へ辿り着かない。
※ご質問にはセブンスが可能な範囲で対応します。出発の24時間前までにお願い致します。

マスターより

皆さまごきげんいかがでしょうか。紺堂カヤでございます。
ちょっと不思議な依頼ですが、たった三人の強盗から屋敷を守るのは難しくないはず……。ただし、駆け込んできたセブンス君の話をすんなり信じてくだされば、ですが……。
セブンスは必ず、強盗が襲撃する前にパーティ会場に辿り着き、夢の話をしますので、それを聞いたとき、聞いた後の行動をプレイングに盛り込んでいただきたいと思います。
よろしくお願い致します!

関連NPC

  • 夢を追う者
    セブンス・ユング(kz0232
    人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2018/11/29 19:55

参加者一覧

  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • ヒトとして生きるもの
    蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009
    エルフ|22才|女性|魔術師
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • 正秋隊(紫龍)
    劉 厳靖(ka4574
    人間(紅)|36才|男性|闘狩人
  • 悲劇のビキニアーマー
    エメラルド・シルフィユ(ka4678
    人間(紅)|22才|女性|聖導士
  • 凛然奏する蒼礼の色
    イルム=ローレ・エーレ(ka5113
    人間(紅)|24才|女性|舞刀士
  • 我が辞書に躊躇の文字なし
    ルベーノ・バルバライン(ka6752
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 質問卓
レイア・アローネ(ka4082
人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/11/16 09:12:16
アイコン 緊急事態
レイア・アローネ(ka4082
人間(クリムゾンウェスト)|24才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2018/11/19 09:39:41
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/11/17 23:53:01