ゲスト
(ka0000)
【初夢】褪せたフィルムを虫が食い
マスター:えーてる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 7日
- プレイング締切
- 2015/01/08 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/01/17 15:00
オープニング
※このシナリオは夢シナリオです。オープニングは架空のものであり、ゲームの世界観に一切影響を与えません。
●
ああこれは夢だなと彼女は思った。
ギムナジウムの六回生、青春真っ盛りの頃の自分が、校門の前でぼーっと突っ立っている。
もう色んな事を忘れてしまった、とある昔の物語。
これはきっと、悪夢というやつなのだろう。
平々凡々な人生を歩んできた。
表情に乏しく、泣きもしない赤ん坊ということで両親に多大な心労をかけたらしい。けれど心身ともに健康な自分は、無表情ながら健やかに成長した。
窓から落ちて怪我をしたり、友達と喧嘩をしたり、誘拐されかけたり、家族が急逝したり……色んな障害に直面しながら、どうにか生きてきた。
神様は誰にだって平等だと初めから知っていた。
妬まれもしたし、恨みもした。愛されもしたし、沢山の友達に囲まれた。
皆好きだった。
結局それの繰り返しだったように思う。
●
――わたしの人生?
そんなもの、恐怖ばっかりに決まってる。
こんな才能なければよかったと、ずっとずっと思ってる。
今でも思ってる。
――笑顔でなんていられるわけない。
下手をしたら昨日の心からの想いすらも、すっぱり忘れてしまうんだから。
怖い。
誰より計算が早くても、誰より音がよく聞こえても、みんなが出来る事をわたしは出来ない。
怖いに決まってる。笑えるわけない。
たまにお姉ちゃんの名前も忘れちゃうんだ。
こうして話していることを、明日忘れていたらどうしよう、って。
特別なことを幾つも幾つも経験するたび、それを忘れることが怖くなる。
●
丁度十五歳になった時。始業日に告白された。
――それは一体誰だったか。
何れにせよ、この歳でろくな恋愛もしていなかったからか、舞い上がってそれを受諾したらしい。
その一年は……なんだかんだで楽しんでいたことを覚えている。
隣には、いつも通り幼馴染がいて。
――それは一体誰だったか。
一緒に、一緒に……何をしていたっけ。ショッピング? 勉強?
昔大怪我をした時、幼馴染が大泣きしたのは覚えている。
クラスメイトの、所謂親友とも、すぐに仲良くなって。
――それは一体誰だったか。
クラブ活動に励みながら、もどかしい片思いを続けていたのを覚えている。
そうそう、後をこっそりつけていた後輩を連れてきたのも彼女だ。
――それは一体誰だったか。
結局その後輩とはなんだかんだで仲良くなって、よく遊ぶようになったのだ。グループを作って遊んでいた。
懐かしい話だ。
●
――お姉ちゃん。わたし、彼氏出来た。
……なにその顔。いや、うん、頑張ってみようって。
怖がってばかりじゃダメな気がしたから。幼馴染もそうしろって言うし。
――クラスメイトのあの子と友達になれたよ。
わたしの事情、ちゃんと分かってくれたんだ。後輩も出来た。
怖いよ。まだ怖い。
でも……でもね、頑張ってみる。
――わたしを笑顔にする会だってさ。変な名前だよね。
でも、嬉しいんだ。これほら、記念写真。
正直無理だと思うんだけど、まだまだ顔が硬いって言われるから、頑張らなきゃ。
いやー、天才イトゥリツァガ様にも出来ないことはあるんだね。びっくりだよ。
『九月。告白されて、受諾。内心では嬉しかったけど、生憎わたしは甘い雰囲気とは程遠い表情だった。初めてのデートは……。
幼馴染の企画でわたしを笑顔にする会が発足して、その内容は……。
七月。四人で海へ行く準備を進めて……。
八月……』
手帳を読み返すと嫌になるね。
生きていくたび、わたしはどんどん過去のことを忘れていく。
神様は誰にだって平等だ。
わたしの才能は、正常な機能と引き換えられたもの。
わたしは有り体に言って天才で、困った人をずばりと助けるスーパーヒロインなんだけど。
でもわたしは、そういうことを覚えていられない病気なんだ。
平等に不平等だよ。もう嫌になるね。
――でもね! なくさないように、ほら。手帳と写真を完備! 何かするたびに皆で写真取ることにしたの。
忘れてしまっても、もう怖くない。
みんなが教えてくれる。
笑顔で、その時何があって、どう楽しくて、嫌なことがあって、そういうのを包み隠さず話す約束。手帳の先頭にもメモったよ。
写真を見ればね、楽しかったんだなって分かるようになった。
ね、ほら、ちょっとだけ笑えるようになったんだ。
お姉ちゃんも、覚えててよ。わたしが何をして、どれくらい笑ったのか。
●
懐かしい話だ。
世界の全てが怖かったとある少女が、四人の友達に救われて、笑えるようになるまでのお話。
大好きだった。愛してもいた。
でも最後、どうなったのかを私は忘れてしまった。
結局それの繰り返しだったように思う。
●
舞台裏とも呼ぶべき真っ暗な場所。物語の中途、文章と文章の狭間の場所。
どことも言えない場所で佇むのは一人ではなく六人。
気が付くと、あなたたちはこの行間の舞台裏に立っていました。
遠く隔てられた観客席には、蹲る女性だけがぽつんと一人いるのが分かります。
上映される物語では、表情に乏しい年若い少女が、青春を謳歌しようと奮闘していました。
けれど物語は唐突に不自然に途切れて、フィルムは回り続けてしまいます。
終わらない、穴だらけのホームビデオ。不自然な再演を繰り返す劇場。
あなたはその舞台の袖に、或いはフィルムの黒い部分にいるようでした。
この繰り返しが終わる気配はない。夢から醒める気配もまた。
観客席から静かに響く涙の音も、また。
物語が進むに連れて、少しずつ舞台へと近づいていくことに、あなたは気付きます。
その足が舞台へと踏み出せることに気付きます。
まるで初めから設えられていたかのように、衣装が小道具が現れてくるのが見えました。
やれというのか、と誰かが言いました。
演じる題目さえも明らかではなく、台本はなく、全ては即興。結末すらも分からない物語。
けれど――。
彼女の涙を止めるためか。
この夢から抜け出るためか。
或いは単純な興味や享楽か。
何れにせよ、あなたたちはこの悪夢を終わらせるため、再演される物語へと飛び込むのです。
――ところで、あなたが見ている『彼女』とは、一体誰のことでしたっけ?
●
ああこれは夢だなと彼女は思った。
ギムナジウムの六回生、青春真っ盛りの頃の自分が、校門の前でぼーっと突っ立っている。
もう色んな事を忘れてしまった、とある昔の物語。
これはきっと、悪夢というやつなのだろう。
平々凡々な人生を歩んできた。
表情に乏しく、泣きもしない赤ん坊ということで両親に多大な心労をかけたらしい。けれど心身ともに健康な自分は、無表情ながら健やかに成長した。
窓から落ちて怪我をしたり、友達と喧嘩をしたり、誘拐されかけたり、家族が急逝したり……色んな障害に直面しながら、どうにか生きてきた。
神様は誰にだって平等だと初めから知っていた。
妬まれもしたし、恨みもした。愛されもしたし、沢山の友達に囲まれた。
皆好きだった。
結局それの繰り返しだったように思う。
●
――わたしの人生?
そんなもの、恐怖ばっかりに決まってる。
こんな才能なければよかったと、ずっとずっと思ってる。
今でも思ってる。
――笑顔でなんていられるわけない。
下手をしたら昨日の心からの想いすらも、すっぱり忘れてしまうんだから。
怖い。
誰より計算が早くても、誰より音がよく聞こえても、みんなが出来る事をわたしは出来ない。
怖いに決まってる。笑えるわけない。
たまにお姉ちゃんの名前も忘れちゃうんだ。
こうして話していることを、明日忘れていたらどうしよう、って。
特別なことを幾つも幾つも経験するたび、それを忘れることが怖くなる。
●
丁度十五歳になった時。始業日に告白された。
――それは一体誰だったか。
何れにせよ、この歳でろくな恋愛もしていなかったからか、舞い上がってそれを受諾したらしい。
その一年は……なんだかんだで楽しんでいたことを覚えている。
隣には、いつも通り幼馴染がいて。
――それは一体誰だったか。
一緒に、一緒に……何をしていたっけ。ショッピング? 勉強?
昔大怪我をした時、幼馴染が大泣きしたのは覚えている。
クラスメイトの、所謂親友とも、すぐに仲良くなって。
――それは一体誰だったか。
クラブ活動に励みながら、もどかしい片思いを続けていたのを覚えている。
そうそう、後をこっそりつけていた後輩を連れてきたのも彼女だ。
――それは一体誰だったか。
結局その後輩とはなんだかんだで仲良くなって、よく遊ぶようになったのだ。グループを作って遊んでいた。
懐かしい話だ。
●
――お姉ちゃん。わたし、彼氏出来た。
……なにその顔。いや、うん、頑張ってみようって。
怖がってばかりじゃダメな気がしたから。幼馴染もそうしろって言うし。
――クラスメイトのあの子と友達になれたよ。
わたしの事情、ちゃんと分かってくれたんだ。後輩も出来た。
怖いよ。まだ怖い。
でも……でもね、頑張ってみる。
――わたしを笑顔にする会だってさ。変な名前だよね。
でも、嬉しいんだ。これほら、記念写真。
正直無理だと思うんだけど、まだまだ顔が硬いって言われるから、頑張らなきゃ。
いやー、天才イトゥリツァガ様にも出来ないことはあるんだね。びっくりだよ。
『九月。告白されて、受諾。内心では嬉しかったけど、生憎わたしは甘い雰囲気とは程遠い表情だった。初めてのデートは……。
幼馴染の企画でわたしを笑顔にする会が発足して、その内容は……。
七月。四人で海へ行く準備を進めて……。
八月……』
手帳を読み返すと嫌になるね。
生きていくたび、わたしはどんどん過去のことを忘れていく。
神様は誰にだって平等だ。
わたしの才能は、正常な機能と引き換えられたもの。
わたしは有り体に言って天才で、困った人をずばりと助けるスーパーヒロインなんだけど。
でもわたしは、そういうことを覚えていられない病気なんだ。
平等に不平等だよ。もう嫌になるね。
――でもね! なくさないように、ほら。手帳と写真を完備! 何かするたびに皆で写真取ることにしたの。
忘れてしまっても、もう怖くない。
みんなが教えてくれる。
笑顔で、その時何があって、どう楽しくて、嫌なことがあって、そういうのを包み隠さず話す約束。手帳の先頭にもメモったよ。
写真を見ればね、楽しかったんだなって分かるようになった。
ね、ほら、ちょっとだけ笑えるようになったんだ。
お姉ちゃんも、覚えててよ。わたしが何をして、どれくらい笑ったのか。
●
懐かしい話だ。
世界の全てが怖かったとある少女が、四人の友達に救われて、笑えるようになるまでのお話。
大好きだった。愛してもいた。
でも最後、どうなったのかを私は忘れてしまった。
結局それの繰り返しだったように思う。
●
舞台裏とも呼ぶべき真っ暗な場所。物語の中途、文章と文章の狭間の場所。
どことも言えない場所で佇むのは一人ではなく六人。
気が付くと、あなたたちはこの行間の舞台裏に立っていました。
遠く隔てられた観客席には、蹲る女性だけがぽつんと一人いるのが分かります。
上映される物語では、表情に乏しい年若い少女が、青春を謳歌しようと奮闘していました。
けれど物語は唐突に不自然に途切れて、フィルムは回り続けてしまいます。
終わらない、穴だらけのホームビデオ。不自然な再演を繰り返す劇場。
あなたはその舞台の袖に、或いはフィルムの黒い部分にいるようでした。
この繰り返しが終わる気配はない。夢から醒める気配もまた。
観客席から静かに響く涙の音も、また。
物語が進むに連れて、少しずつ舞台へと近づいていくことに、あなたは気付きます。
その足が舞台へと踏み出せることに気付きます。
まるで初めから設えられていたかのように、衣装が小道具が現れてくるのが見えました。
やれというのか、と誰かが言いました。
演じる題目さえも明らかではなく、台本はなく、全ては即興。結末すらも分からない物語。
けれど――。
彼女の涙を止めるためか。
この夢から抜け出るためか。
或いは単純な興味や享楽か。
何れにせよ、あなたたちはこの悪夢を終わらせるため、再演される物語へと飛び込むのです。
――ところで、あなたが見ている『彼女』とは、一体誰のことでしたっけ?
解説
●総括
八月を終えることで彼女は悪夢から目覚めます。
そのためには、虫食いの物語をどうにしかして埋めなければなりません。
夢の人物でありながら、皆さんには意思と行動権があります。
役を得た皆さんは、役に則りながら虫食いの記憶を埋めて、八月を終わらせなければなりません。
ただし整合性の取れない物語だと、彼女はそれが嘘だと気付き、物語はリセットされてしまいます。
夢らしく物品・位置の融通が効き、設定も後付が可能です。
●役
物語は穴だらけで、重要な人物すら穴だらけであやふやです。
その穴を、一人一役で埋める事になります。
それらがどのような人物であったかは分かりません。人となりはあなたに一任されます。
・恋人
告白した側です。彼女をそれなりに幸せにしました。
・幼馴染
よき理解者だったようです。彼女をわずかに笑わせた初めての人物です。
・親友
級友です。後輩と彼女を引き合わせました。
・後輩
彼女に密かに憧れていたようです。十月頃に出会います。
・他
家族・級友等様々な役を代行します。
演じられない役は同じ展開に同じ反応だけを返します。円滑な進行のための重要な役です。
・彼女/わたし
控えめに言っても天才でした。
誰に対しても仏頂面で不機嫌な態度を取りますが、根は明るく子供らしい少女です。
記憶障害を抱えており、他人を遠ざける態度はそれに起因しています。
口ぶりから、世話焼きの姉がいるようです。
●予定
同じ一年を繰り返します。
九月 恋人に告白され初デート
十月 親友が後輩を連れてくる。輪が出来る
十二月 幼馴染の企画で彼女を笑顔にする会が発足
~六月 会の活動
七月 海に行く準備
八月 不明
十二月までの状況=彼女の記憶は比較的はっきりしており、介入の余地はあまりありません。
『設定の後付け』のための期間です。
記憶の空白が顕著なのは六月辺りから。故に演技は六月以降からが本番となるでしょう。
八月を終えることで彼女は悪夢から目覚めます。
そのためには、虫食いの物語をどうにしかして埋めなければなりません。
夢の人物でありながら、皆さんには意思と行動権があります。
役を得た皆さんは、役に則りながら虫食いの記憶を埋めて、八月を終わらせなければなりません。
ただし整合性の取れない物語だと、彼女はそれが嘘だと気付き、物語はリセットされてしまいます。
夢らしく物品・位置の融通が効き、設定も後付が可能です。
●役
物語は穴だらけで、重要な人物すら穴だらけであやふやです。
その穴を、一人一役で埋める事になります。
それらがどのような人物であったかは分かりません。人となりはあなたに一任されます。
・恋人
告白した側です。彼女をそれなりに幸せにしました。
・幼馴染
よき理解者だったようです。彼女をわずかに笑わせた初めての人物です。
・親友
級友です。後輩と彼女を引き合わせました。
・後輩
彼女に密かに憧れていたようです。十月頃に出会います。
・他
家族・級友等様々な役を代行します。
演じられない役は同じ展開に同じ反応だけを返します。円滑な進行のための重要な役です。
・彼女/わたし
控えめに言っても天才でした。
誰に対しても仏頂面で不機嫌な態度を取りますが、根は明るく子供らしい少女です。
記憶障害を抱えており、他人を遠ざける態度はそれに起因しています。
口ぶりから、世話焼きの姉がいるようです。
●予定
同じ一年を繰り返します。
九月 恋人に告白され初デート
十月 親友が後輩を連れてくる。輪が出来る
十二月 幼馴染の企画で彼女を笑顔にする会が発足
~六月 会の活動
七月 海に行く準備
八月 不明
十二月までの状況=彼女の記憶は比較的はっきりしており、介入の余地はあまりありません。
『設定の後付け』のための期間です。
記憶の空白が顕著なのは六月辺りから。故に演技は六月以降からが本番となるでしょう。
マスターより
これは夢です。本編とは関係ありません。念押ししておきます。
えーてるです。中々夢から覚めないようなので、自分たちで終わらせましょう。
出来事や性格・容姿・性別すらも捏造して(別に百合カップルでもいいし逆ハーでもいい)、『彼女』のお話を終わらせてください。
夢らしくご都合主義が許容される世界でもあります。
質問相談用にイルムをつけました。必要であれば卓を立てて呼んでください。
皆さんの知力と活力の限りを尽くしたプレイングをお待ちしています。
えーてるです。中々夢から覚めないようなので、自分たちで終わらせましょう。
出来事や性格・容姿・性別すらも捏造して(別に百合カップルでもいいし逆ハーでもいい)、『彼女』のお話を終わらせてください。
夢らしくご都合主義が許容される世界でもあります。
質問相談用にイルムをつけました。必要であれば卓を立てて呼んでください。
皆さんの知力と活力の限りを尽くしたプレイングをお待ちしています。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/01/18 04:47
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/04 23:27:48 |
|
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質問卓 走り 由良(ka3268) 人間(リアルブルー)|18才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/01/02 22:54:09 |
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![]() |
彼女の悪夢を終わらせに 走り 由良(ka3268) 人間(リアルブルー)|18才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/01/08 00:36:16 |