ゲスト
(ka0000)
不安と恐怖は表裏
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/01/07 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/01/16 07:30
オープニング
●閉ざされた家
この村に大きな農園を持つ地主ロイが息子サムと共に家にこもって、三年が経つ。
ロイの友人で農園経営に協力しているジーロは溜息と共に、地主の家がある緩やかな坂を上る。村はずれであり、心を籠めて育てた畑に囲まれた穏やかな土地であるが、ジーロには様々な思いがのしかかる。
十年前ロイの妻が病気でなくなったのは悲しいが仕方がないことであった。
その後、サムが結婚しその妻ニーナが子を産んだ。
ロイは大変喜んでいた。
この後不幸が重なる。初孫の事故死、二人目の孫の病死、家政婦の死、別の家政婦は大けが……。
サムが村の青年会の帰り道で川に転落し、この怪我が元で体に麻痺が残り寝たきりに近くなった。ニーナが強盗からロイをかばって死んだ……のが三年前の出来事だった。
ニーナの葬儀の時、仲間に支えられて参列したサムは無言で、父のロイが自分のせいだと慟哭していた。
「父さんだけが悪いんではないんです。犯人が一番悪い、こいつはもうつかまっています。僕だって、こんな体で、何もできなくて」
ロイを慰めるサムの言葉を聞いて、ジーロは目を潤ませるしかなかった。
葬式の後、ロイは高い塀で家を囲み、門は頑丈な鉄製を付け、外界と接触を大きく断った。ロイは門の所で生活必需品を商人から買ったり、ジーロから業務の報告を受ける。
ジーロがこの道を登るのは、報告と少しの世間話のため。
呼び出し鈴を引っ張ると、しばらくしてロイが出てきた。やせ細って青白いく、歩くのもやっとなのだろうと見える。
業務のやり取りを行い、ジーロや村の事などを話題に雑談をする。
「サム君は元気かい?」
三年の間、サムも自分で何とかしようと起き上がり歩く訓練をしているとロイから聞いていた。
「ああ、元気さ。二階で杖をついたり、壁に沿って歩き回っている。階段はまだ難しいがねぇ」
「あんただって階段上り下りできるんだろう? サム君だってできるさ」
「そうさな。わしは衰える一方だが、あいつはまだ若いんだし」
ロイは寂しそうに顔をゆがめる。
「なあ、あんたさえよければ、わしの家の裏に空家あるんだ。そこに住めばいい」
「……いつも言うが、ここでわしはいい。この三年何も悪いこと起こってないから安全じゃ」
ロイの笑顔は笑って見えないとジーロは言いそうになる。
塀を作ってこもって悪いことはないが、良いこともないのではないか?
「そうか。でもまあ、気が変わったらいつでも言ってくれ。わしはロイやサム君と一緒も楽しいと思うんじゃ」
「すまんな」
次に会う日を約束し、ジーロは後ろ髪を引かれつつも立ち去った。
●夜の悲鳴と村人
「来るな、サム」
「父さん! 早く」
「お前こそ隠れていなさい。ダメだ、うわああああああ」
それに付属し何かを叩きつける音、階段を転げ落ちる音もした。助けに行かないといけない、扉を開けると奴がいるかもしれない、独りの方が息子は逃げられる……ロイは扉に手をかけたまま震えて動けなかった。
高い塀に囲まれた家から洩れたのは、老人の物と思われる悲鳴だった。
あの家でただならぬ事件が発生したというのは、悲鳴を聞きとった村人は思うこと。そして、すぐにジーロを中心に村人は集まって家の周りに来る。松明で照らされる地主宅の塀は、より巨大であり恐怖と不安の根源に見えた。
門を壊すことはできず、周りから中に声をかける。戻ってくるのは静寂だけである。かすかな物音も聞き洩らさないようにするが、限度があった。
「梯子だ、梯子で入ろう」
ジーロの提案は村人も受け入れる。ここで何が起こっているのか分からないのは、恐怖と不安の元である。隣との距離もあるのに悲鳴が聞こえる事態異常事態なのであるから。
四メートル超える梯子を見つけ出すのに手間がかり、梯子を持ってきてかけたころには深夜になっていた。
梯子をかけた後問題に気付かされる。上った若者が「超えるには針をどうにかしないとだめだ」と告げたのだ。侵入者を攻撃するように剣山のようにある針が、塀を乗り越える障害となっている。
家を見張ることにして、一部の人間は一度解散することになった。
●救出に向けて
日が昇る前に地主の家の周りに村人は三々五々やってくる。
まず塀の上の針に板などを置き、七十センチほどを無力化させた。
村の若者が率先して動くのを見て、ジーロはサムを思い出さずにはいられない。体が不自由になってしまったといは、この若者たちに齢は近いのだ。
塀の中に降りるには梯子を入れずにロープを垂らして一人降り、門を開けることにした。
「まずは確認しないと」
村人がじっくりと中を見るが、ずり落ちるように降りてきた。
「……俺の中の本能が入るなって言ってる」
冗談ではないと、真っ蒼な顔でわかる。他の者が次に覗いてみたが、悲鳴を上げて戻る。
「なんかいるよ。黒くて大きい……ゴキブリみたいなのが」
村人の中に恐怖が膨れ上がる。
「わしが行く」
ジーロが上がり始めるが、二段で引きずり下ろされる。
「じいさんが怪我でもしたら大変だよ」
「なら、どうやって確認するんだ!」
入るのは危険であるが見張りは必要、何かいるようなので出てこられると困る。その間にジーロにハンターに助けを求めに行ってもらう。
「おい、誰かがいるみたいだ」
中を見ている若者が言う。手前の部屋に人影あるという。
「地主さん? 若さん?」
村人の中でサムのことを地主の若い方ということで『若さん』と呼ぶ者もある。
窓が少し開いてか細い声が聞こえた。
「サムが……サムがわしを助けようと……どうしたらいいんじゃ」
「地主さん! ハンターが来るからそこが安全なら動くなよ! 若さんはしっかりしているから隠れてるさ」
梯子を登たいが止められているジーロは声を張り上げた。
「ロイ、大人しくしていろよ! わしは……言ってやらんといけないことがあるからな!」
友が生きていると安堵したジーロは、すぐに村の馬車を使って街に向った。
●依頼
ハンターオフィスに掲示された捜索依頼には、生存者がいるのが衰弱しているので早急に向かってほしいと印もつけられる。
「二階で夕食を摂った後、ロイさんが片付けのため台所に行き、巨大な黒光りする巨大な昆虫と遭遇。ロイさんを助けようとサムさんが部屋から出てたので二人で逃げ、二人で二階階段側のサムさんの部屋入りました。扉を閉める前、昆虫が入りそうでサムさんは追い払うために出たそうです。そのとき、階段から落ちたような音があったそうです」
落ちたのは昆虫かサムか。
「サムさんは支えがないと歩けない状況なので、転がってしまった可能性が高いです。あの昆虫は飛べるので転げないでしょう」
昆虫に関して質問すると職員は決まって視線が泳ぐ。
「ロイさんの救出、サムさんの捜索……雑魔も退治してください」
この村に大きな農園を持つ地主ロイが息子サムと共に家にこもって、三年が経つ。
ロイの友人で農園経営に協力しているジーロは溜息と共に、地主の家がある緩やかな坂を上る。村はずれであり、心を籠めて育てた畑に囲まれた穏やかな土地であるが、ジーロには様々な思いがのしかかる。
十年前ロイの妻が病気でなくなったのは悲しいが仕方がないことであった。
その後、サムが結婚しその妻ニーナが子を産んだ。
ロイは大変喜んでいた。
この後不幸が重なる。初孫の事故死、二人目の孫の病死、家政婦の死、別の家政婦は大けが……。
サムが村の青年会の帰り道で川に転落し、この怪我が元で体に麻痺が残り寝たきりに近くなった。ニーナが強盗からロイをかばって死んだ……のが三年前の出来事だった。
ニーナの葬儀の時、仲間に支えられて参列したサムは無言で、父のロイが自分のせいだと慟哭していた。
「父さんだけが悪いんではないんです。犯人が一番悪い、こいつはもうつかまっています。僕だって、こんな体で、何もできなくて」
ロイを慰めるサムの言葉を聞いて、ジーロは目を潤ませるしかなかった。
葬式の後、ロイは高い塀で家を囲み、門は頑丈な鉄製を付け、外界と接触を大きく断った。ロイは門の所で生活必需品を商人から買ったり、ジーロから業務の報告を受ける。
ジーロがこの道を登るのは、報告と少しの世間話のため。
呼び出し鈴を引っ張ると、しばらくしてロイが出てきた。やせ細って青白いく、歩くのもやっとなのだろうと見える。
業務のやり取りを行い、ジーロや村の事などを話題に雑談をする。
「サム君は元気かい?」
三年の間、サムも自分で何とかしようと起き上がり歩く訓練をしているとロイから聞いていた。
「ああ、元気さ。二階で杖をついたり、壁に沿って歩き回っている。階段はまだ難しいがねぇ」
「あんただって階段上り下りできるんだろう? サム君だってできるさ」
「そうさな。わしは衰える一方だが、あいつはまだ若いんだし」
ロイは寂しそうに顔をゆがめる。
「なあ、あんたさえよければ、わしの家の裏に空家あるんだ。そこに住めばいい」
「……いつも言うが、ここでわしはいい。この三年何も悪いこと起こってないから安全じゃ」
ロイの笑顔は笑って見えないとジーロは言いそうになる。
塀を作ってこもって悪いことはないが、良いこともないのではないか?
「そうか。でもまあ、気が変わったらいつでも言ってくれ。わしはロイやサム君と一緒も楽しいと思うんじゃ」
「すまんな」
次に会う日を約束し、ジーロは後ろ髪を引かれつつも立ち去った。
●夜の悲鳴と村人
「来るな、サム」
「父さん! 早く」
「お前こそ隠れていなさい。ダメだ、うわああああああ」
それに付属し何かを叩きつける音、階段を転げ落ちる音もした。助けに行かないといけない、扉を開けると奴がいるかもしれない、独りの方が息子は逃げられる……ロイは扉に手をかけたまま震えて動けなかった。
高い塀に囲まれた家から洩れたのは、老人の物と思われる悲鳴だった。
あの家でただならぬ事件が発生したというのは、悲鳴を聞きとった村人は思うこと。そして、すぐにジーロを中心に村人は集まって家の周りに来る。松明で照らされる地主宅の塀は、より巨大であり恐怖と不安の根源に見えた。
門を壊すことはできず、周りから中に声をかける。戻ってくるのは静寂だけである。かすかな物音も聞き洩らさないようにするが、限度があった。
「梯子だ、梯子で入ろう」
ジーロの提案は村人も受け入れる。ここで何が起こっているのか分からないのは、恐怖と不安の元である。隣との距離もあるのに悲鳴が聞こえる事態異常事態なのであるから。
四メートル超える梯子を見つけ出すのに手間がかり、梯子を持ってきてかけたころには深夜になっていた。
梯子をかけた後問題に気付かされる。上った若者が「超えるには針をどうにかしないとだめだ」と告げたのだ。侵入者を攻撃するように剣山のようにある針が、塀を乗り越える障害となっている。
家を見張ることにして、一部の人間は一度解散することになった。
●救出に向けて
日が昇る前に地主の家の周りに村人は三々五々やってくる。
まず塀の上の針に板などを置き、七十センチほどを無力化させた。
村の若者が率先して動くのを見て、ジーロはサムを思い出さずにはいられない。体が不自由になってしまったといは、この若者たちに齢は近いのだ。
塀の中に降りるには梯子を入れずにロープを垂らして一人降り、門を開けることにした。
「まずは確認しないと」
村人がじっくりと中を見るが、ずり落ちるように降りてきた。
「……俺の中の本能が入るなって言ってる」
冗談ではないと、真っ蒼な顔でわかる。他の者が次に覗いてみたが、悲鳴を上げて戻る。
「なんかいるよ。黒くて大きい……ゴキブリみたいなのが」
村人の中に恐怖が膨れ上がる。
「わしが行く」
ジーロが上がり始めるが、二段で引きずり下ろされる。
「じいさんが怪我でもしたら大変だよ」
「なら、どうやって確認するんだ!」
入るのは危険であるが見張りは必要、何かいるようなので出てこられると困る。その間にジーロにハンターに助けを求めに行ってもらう。
「おい、誰かがいるみたいだ」
中を見ている若者が言う。手前の部屋に人影あるという。
「地主さん? 若さん?」
村人の中でサムのことを地主の若い方ということで『若さん』と呼ぶ者もある。
窓が少し開いてか細い声が聞こえた。
「サムが……サムがわしを助けようと……どうしたらいいんじゃ」
「地主さん! ハンターが来るからそこが安全なら動くなよ! 若さんはしっかりしているから隠れてるさ」
梯子を登たいが止められているジーロは声を張り上げた。
「ロイ、大人しくしていろよ! わしは……言ってやらんといけないことがあるからな!」
友が生きていると安堵したジーロは、すぐに村の馬車を使って街に向った。
●依頼
ハンターオフィスに掲示された捜索依頼には、生存者がいるのが衰弱しているので早急に向かってほしいと印もつけられる。
「二階で夕食を摂った後、ロイさんが片付けのため台所に行き、巨大な黒光りする巨大な昆虫と遭遇。ロイさんを助けようとサムさんが部屋から出てたので二人で逃げ、二人で二階階段側のサムさんの部屋入りました。扉を閉める前、昆虫が入りそうでサムさんは追い払うために出たそうです。そのとき、階段から落ちたような音があったそうです」
落ちたのは昆虫かサムか。
「サムさんは支えがないと歩けない状況なので、転がってしまった可能性が高いです。あの昆虫は飛べるので転げないでしょう」
昆虫に関して質問すると職員は決まって視線が泳ぐ。
「ロイさんの救出、サムさんの捜索……雑魔も退治してください」
解説
村人が勇気を振り絞ってやったことを引き継ぎ、地主一家の救出をお願いします。
●塀
塀を上ったらロープで家側に降りられるようになっています。門はかんぬきがかかっているので、外せばそこから出入り可能です。
●家の中のこと
建物は地上二階建て。一階には玄関、台所、食堂、居間と仕事部屋、応接間があります。台所には地下室があり、食糧を約二か月分は貯蔵できるようになっています。
二階には子供部屋二部屋、ロイの寝室、サムの寝室があります。
今、サムの寝室にロイが隠れています。
生活範囲の二人の寝室と台所への通路以外はたいした掃除はしていません。二階はサムが歩き回っているので、通り道には積もっていませんでした。
●家の戸締り
この項はロイの証言によります。
玄関は鍵がかけられています。
勝手口は小さな金具が鍵替わりに掛けられています。そのため、金具で閉めてあっても力強く動かすと壊れるとのことです。
窓はロイが開けたサムの部屋の所以外は閉まっているはずです。
●不審物、雑魔?
全長五十センチほどの黒光りする昆虫は七匹、飛びます。もともとは何十匹かいたかもしれませんが、雑魔になったのは七匹のみとします。
ロイが気付いたときは台所にいたそうです。地下室の扉が開いているので不審に思ったそうです。
大きいので入れる隙間は限られるようになりました。どこから外に出たとするなら、開きやすかったところが開いちゃったことになるでしょう。
外にふらっと出ても餌があるからか家の中にとどまっているようです。
●ロイとサムの健康状態
ロイは老年により、身体能力が衰えている状況。杖なしでも歩けますが、歩幅狭くよたよたしています。
サムは元気ですが、怪我により運動能力が損傷、マヒ状態です。杖や壁伝いなど支えがあれば歩けます。ロイ並みに動きが鈍いですが、若さゆえの力強さはあります。
●塀
塀を上ったらロープで家側に降りられるようになっています。門はかんぬきがかかっているので、外せばそこから出入り可能です。
●家の中のこと
建物は地上二階建て。一階には玄関、台所、食堂、居間と仕事部屋、応接間があります。台所には地下室があり、食糧を約二か月分は貯蔵できるようになっています。
二階には子供部屋二部屋、ロイの寝室、サムの寝室があります。
今、サムの寝室にロイが隠れています。
生活範囲の二人の寝室と台所への通路以外はたいした掃除はしていません。二階はサムが歩き回っているので、通り道には積もっていませんでした。
●家の戸締り
この項はロイの証言によります。
玄関は鍵がかけられています。
勝手口は小さな金具が鍵替わりに掛けられています。そのため、金具で閉めてあっても力強く動かすと壊れるとのことです。
窓はロイが開けたサムの部屋の所以外は閉まっているはずです。
●不審物、雑魔?
全長五十センチほどの黒光りする昆虫は七匹、飛びます。もともとは何十匹かいたかもしれませんが、雑魔になったのは七匹のみとします。
ロイが気付いたときは台所にいたそうです。地下室の扉が開いているので不審に思ったそうです。
大きいので入れる隙間は限られるようになりました。どこから外に出たとするなら、開きやすかったところが開いちゃったことになるでしょう。
外にふらっと出ても餌があるからか家の中にとどまっているようです。
●ロイとサムの健康状態
ロイは老年により、身体能力が衰えている状況。杖なしでも歩けますが、歩幅狭くよたよたしています。
サムは元気ですが、怪我により運動能力が損傷、マヒ状態です。杖や壁伝いなど支えがあれば歩けます。ロイ並みに動きが鈍いですが、若さゆえの力強さはあります。
マスターより
こんにちは。年末年始いかがお過ごしでしょうか。布団と友達になり、なかなか出られないです。
引きこもったから安全とは言えないのが現実です。心配性で過保護のロイと親孝行なサムを助けてください。
よろしくお願いします。
引きこもったから安全とは言えないのが現実です。心配性で過保護のロイと親孝行なサムを助けてください。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/01/12 13:34
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/05 08:46:43 |
|
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相談卓 藤田 武(ka3286) 人間(リアルブルー)|18才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/01/06 22:17:13 |