• 調査

秘密の宝箱

マスター:君矢

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/01/09 15:00
リプレイ完成予定
2015/01/18 15:00

オープニング

 村の南側。緩やかな丘の上に一本の大きな木が立っている。大人が二十人くらい手をつないでやっと囲えるかという大きな木だ。夏の間に青々と茂っていた葉もすっかりと落ちて、冬の到来を待つばかりとなっている。
 その木の根本に大きなウロがあった。中で5,6歳の女の子が三人、自慢の宝物を見せ合っている。
「見て。綺麗でしょ」
 と言って、ティナがガラス瓶を見せていた。細かな模様の入った緑色のガラス瓶で太陽にかざすとキラキラと輝いていた。
「きれい!いいなぁ」
 と答えたのは、ユーリだ。
「町でお父さんが買ってきてくれたの」
 ティナはガラス瓶をそっと木箱の中に入れる。白く塗られていた木箱は色あせてしまっていた。いつの頃からかこの木のウロの中にあったごく普通の木箱で、村の子供達は宝箱と呼んでいた。この箱の中に大切な宝物を入れるのが子供達の流行りだった。
「ユーリはねぇ。マリちゃんのお洋服持ってきたの」
 と言って、ユーリは人形のワンピースを広げて見せた。マリちゃんというのはユーリの祖母が手作りしてくれた人形の名前だった。
「お洋服入れちゃって大丈夫なの? マリちゃんが着る服無くなっちゃうじゃない」
 と言ったのは、サーミアだった。
「このお洋服は夏のお洋服だもん。来年まで仕舞っておくの!」
 ユーリは、ワンピースをたたむと丁寧に木箱にしまった。
「サーミアは何を持ってきたの?」
 二人の視線がサーミアに集まった。サーミアは得意げに胸をはると下げていたポシェットから、布袋を取り出した。
「これよ! きれいでしょ」
 袋の中には、子供の両手に収まる大きさの髪飾りが入っていた。真珠とピンク珊瑚のあしらわれた可愛らしい髪飾りだった。
「うわ~。すごい。どうしたの、これ!?」
「あ、あたし知ってる。これ、新年のお祭りに着けるのだよね」
「見せて、見せて」
「私も見たいよ~。サーミア、貸して」
「今度のお祭り、お姉ちゃんが神様にご挨拶するんだ。すごいでしょ!」
「サーミアのお姉ちゃん美人だもんね! いいなぁ」
 この髪飾りがとても大切なものだということは、三人ともよく分かっていた。今まで大人達から大切なものだからと言われ、さわることが出来なかった三人は、髪飾りを髪に着けてみたり、真珠や珊瑚をなぞってみたりと大はしゃぎだった。
「これ、しまっちゃっていいの?」
 ティナがサーミアに聞いた。
「大切な物を入れておく場所だよ。これよりも大切な物なんてないじゃない」
「怒られないかな」
「大丈夫よ。ここに入れていおいて無くなったものなんて無いんだから」
 といって、サーミアは髪飾りをしまうと木箱の蓋を閉めた。蓋の蝶番がギィィとかすかに音を立てて蓋が閉じられた。

 今日は、新年の祭りの練習をする日だった。サーミアの姉、リディアは化粧台にしまってある宝石箱を取り出した。実際に衣装を身につけて行う本番さながらのリハーサルの日だったので、真珠と珊瑚の髪飾りも身につける予定だ。
 普段は敬虔なエクラ教徒の村人たちだが、古くから行われているこの新年の祭りだけは、大切な伝統として継承されていた。
今回の新年の祭りは、例年になく力が入っていてリディアも失敗は出来ないと今から緊張していた。というのも、村近くの巨木の立っている丘に歪虚が居着いてしまったのだった。歪虚は今のところ、奇妙な氷のオブジェを丘の上に作っているだけで、村に被害は無いがいつ村が歪虚に襲われるのかと村人達は怯えていた。村では、ハンターに歪虚退治を依頼しようと相談をしているところだった。
 そんな状況の中での新年の祭り。村の守り神に新年の安全と繁栄を祈願する祭りなので、万が一にも失敗は出来ないとリディアはプレッシャーと戦っていた。
 宝石箱を開ける。中にはネックレス、指輪、イヤリングとリディアの私物が綺麗にそろっているのに、肝心の髪飾りがなくなっていた。リディアの顔色が見る見るうちに青ざめていく。
「お、お母さん。髪飾りが無いの。知らない?」
「真珠と珊瑚のかい?無いって……。そんなはずないわ。よく見たの?」
「私、ちゃんとここに入れておいたのに……。なんで……」
 真珠とピンク珊瑚の髪飾りは、新年の祭りの時に巫女役の少女が身につける決まりになっている。祭りの最後に次の年の巫女役の少女へと手渡され、その少女の家で一年間保管される。そうやって長い間、村に受け継がれてきた宝物だった。
 その髪飾りが盗まれたと大騒ぎになったのだった。

 サーミアは、姉の宝石箱を開けたり閉めたりしながら、窓の外を見ていた。窓の向こうに丘の上の巨木がわずかに見える。サーミアの表情は、青白く気分が悪そうに見える。
「どうしよう……」
(こんな事になっちゃうなんて! 言った方がいいよね……。でもでも、言ったら怒られちゃう。怖い。どうしてこんな事になっちゃったんだろう! 何か髪飾りを取り戻す方法見つけなきゃ!)

 村人達が難しい顔をして集会場に集まっていた。
「どうしてこう、問題ばかり起こるんだ」
「歪虚が居着いちまった次は、髪飾りが盗まれただとさ」
「きちんと探したのか?化粧台の後ろに落っこちてたとかいうことはないだろうな」
 一人がギロリとリディアとサーミアの父、ランドをにらんだ。
「家中ひっくり返して探したさ。どこにもないんだ。前の祭りの時に預かって、宝石箱にしまって大切にしていた。本当だ」
 ランドの反論する声には力が無い。顔には濃いクマが出来ていて紛失が発覚して以来の心労が伺えた。
「リディアは、寝込んじまうし。サーミアは怯えちまうし。本当にどこにいっちまったんだ」
「ランドを責めても仕方ないだろう」
 別の村人が、ランドへの批判をやめさせた。
「それよりも、これからどうする。髪飾りなしで祭りをするのか?」
「髪飾りのない中途半端な事ができるか。まして、歪虚がいつ村を襲うのかわからないんだ。万全を期して祭りをしなくてどうする」
「しかし、どこに髪飾りは消えたんだ。オレたちの誰かが盗んだとも考えられんし」
 議論は、ここで止まってしまった。盗んだのは誰なのか。それは村の中にいるのか。下手に犯人探しをしだすと村の結束にヒビが入ってしまうかもしれなかった。
「そうだ。ハンターに依頼しよう」
「ハンターに?」
「そうだ。ハンターだったら、捜し物も得意なんじゃないかな」

 集会場に集まった大人たちの会話をサーミアはこっそりと聞いていた。どうやら、ハンターという凄い人達が髪飾りのためにやってくるらしい。
(そうだ。ハンターさん達にお願いすればいいんだ。宝箱の中に髪飾りが入っているからこっそり取り戻してくださいって)
 とサーミアは決意した。

解説

 髪飾りは、真珠とピンク珊瑚があしらわれたかわいい髪飾りです。新年の祭りに使用され、古くから村に受け継がれてきました。
 その髪飾りの行方が分からなくなってしまいました。探し出してください。よろしくお願いします。

 村の南にある緩やかな丘。一本の巨木が生えています。村の子供達の遊び場です。現在は歪虚がいるため、近寄れません。
 現在、雪が5cmほど積もっています。また、歪虚が雪の上をウロウロしているので固まってしまってアイスバーン状になっている部分があります。転ぶと大変に危険です。気をつけて下さい。 
 丘の上の巨木は大人が20人ほど手をつないでやっと一周できるくらいに大きな木です。根本にはウロがあって、広さは子供が三、四人入って遊ぶことが出来ます。

 丘に現れた歪虚。雑魔です。巨木の周囲をウロウロしています。
雪玉:直径50cm~1mの大きさで七体。体当たりで攻撃してきます。
雪像:人間大の大きさで一体です。拳大の雪玉を投げたり、つららを剣のように扱って攻撃します。
 雪像の雑魔は、巨木の下に氷のオブジェを作っています。オブジェは、2m位の細長い物で丘の上や巨木の周囲に子供たちが置きっぱなしにしていた遊び道具やゴミを取り込んで作られています。ウロの中にあった宝箱もオブジェの上の方に埋まっています。
 雪像の雑魔は、オブジェの周囲を動く気配はなさそうです。
 衝撃が加わるとオブジェは崩れ落ちてしまいます。

 髪飾りは、とても古い物なので強い衝撃が加わると壊れる可能性があります。

マスターより

 巫女は、新年の祭りの主役で、毎年村の人気者が選ばれる事になっている一種の名誉職です。
 今年の巫女から次の巫女へと髪飾りを譲り渡す場面が新年の祭りのクライマックスだそうです。是非、髪飾りを取り戻してあげてください。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/01/19 23:53

参加者一覧

  • 憧れのお姉さん
    マヘル・ハシバス(ka0440
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • 巡るスズラン
    リュー・グランフェスト(ka2419
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 母の愛と勇気
    リーゼロッテ=御剣(ka3558
    人間(蒼)|30才|女性|闘狩人
  • 冒険者
    アレス=マキナ(ka3724
    エルフ|15才|男性|霊闘士
  • 冒険者
    ベラ・ハックウッド(ka3727
    エルフ|24才|女性|魔術師

  • 雪村 練(ka3808
    人間(蒼)|15才|女性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 髪飾りを取り返すために
ベラ・ハックウッド(ka3727
エルフ|24才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/01/09 07:40:41
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/04 23:48:45