ゲスト
(ka0000)
アウグスタのキャロル
マスター:三田村 薫

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/12/20 12:00
- リプレイ完成予定
- 2019/01/03 12:00
オープニング
●孤児院のクリスマス
その孤児院は厳しい園長で知られる院であった。厳しいと言っても、里親の条件がやたらと厳しいだけで、虐待の類はない。形はどうであれ、院長は子どもたちの幸せと安全を願っている。
先日、ここのところ同盟を騒がせている歪虚と、孤児たちの接触が明らかになった。これ以上、子どもたちと歪虚の接点を作りたくない。そう思った院長は調査に対してやや距離を置き気味ではあったが、ハンターたちの説得によって、子どもたちが話した歪虚・アウグスタの資料をハンターたちに渡した。
それ以来、アウグスタの姿は見かけない。彼女は、遠くの町のハロウィンをめちゃくちゃにしたり、郷祭に出没したり、フマーレの町で自分の手下にしたハンターを使って事件を起こしている様だが、この孤児院は今のところ何もない。
アウグスタはこの孤児院のことなど忘れてしまったのだろう。院長や職員はそう思って徐々に警戒心を解きつつある。ずっと神経を張っていては疲れてしまう。
「さあ、皆さん、今日はクリスマスのごちそうですよ」
院長はあれ以来、少しだけ子どもたちに甘くなった。身体に悪いと制限していたお菓子も少し量が増えた。今日も、例年より少し贅沢なクリスマスのごちそうだ。職員たちも楽しく作った。だって、ごちそうだもの。贅沢に作らないと楽しくない。
「わーい!」
「おいしそう!」
「良いの? ケーキまである!」
「良いのよ。今日だけですからね。ちゃんと歯磨きをするんですよ」
●獣のキャロル
「獣の数は人を表しているそうよ」
孤児院が見える場所で、一人の少女が、三メートルはあろうかという大きな蜘蛛に乗って呟いた。その足下には、小型犬サイズの蜘蛛が蠢いている。
彼女はその数を把握していた。六百六十六。この数だけ用意したのだから。
その数が何を示しているのか、彼女は知らない。ただ、リアルブルーから来た一部の人間にはあまり好かれていないらしいと言うことだけ知っている。
「きっと、この蜘蛛をハンターたちが倒しにくるわね」
くすりと彼女は微笑む。
「さ、あなたたち、その数を示すのよ。ハンターたちがその数に気付くように! 自分たちの不幸を、世界の不幸を想像するように!」
子どもらしい思いつき。そういえば、ブルーの一部地域では、夜の蜘蛛は不吉だった筈だ。
「夜に、獣の数だけ蜘蛛が来るわ」
少女は詩を諳んじるように言葉を紡ぐ。蜘蛛が巣を張るように。
その言葉が、人の尊厳を蝕むのかのように。
「ええ、数がわからなくても、きっと怖いでしょうね」
蜘蛛たちは孤児院に向かって行く。
獣の数字と同じ数。
六六六。
●Jingle Spider
食事を終えて、皆で歌ったりゲームに興じていると、一人の子どもが異音に気付いた。
「ねえ、変な音が聞こえませんか?」
「変な音?」
「なんだが、がちゃがちゃうるさいんです」
その言葉に、一人の職員が様子を見に外に向かった。彼はすぐに戻って来た。顔色を青くして。
「どうしましたか」
ただならぬ気配を感じた院長が、険しい顔で言う。
「く、蜘蛛が! 犬くらいの蜘蛛がいるんです! それも大群が!」
「大群ですって?」
院長は自分も様子を見に行こうと立ち上がるが、職員がそれを押しとどめた。
「駄目です院長! 大群って言っても、蟻の大群みたいな可愛い数じゃない! 百、二百、三百……いやもっといる! この孤児院を囲んでいます!」
「すぐに避難を……」
「裏が無事なら。正面はもう駄目です!」
しかし、裏口を見に行った職員もまた首を横に振って戻ってくる。
「駄目、囲まれてるわ」
「なんてこと……」
「僕たちどうなっちゃうの?」
子どもたちが院長を見上げる。院長はいつだって、僕たちを守ってきてくださった。今度もきっと大丈夫。それでも、その院長がまだ指示を出さないことが子どもたちには不安だった。
院長はしばらく蜘蛛ががちゃがちゃ言う音を、唇を噛んで聞いていた。やがて顔を上げると、いつもの毅然とした態度で言い放つ。
「皆さん、二階に行きましょう。その上で全ての扉を閉めて、私たちは戦えるものを持ちましょう。近隣の方がオフィスに通報してくれるはずです。ハンターはきっと来ます。それまで持ちこたえるの。行きましょう」
●ハンターオフィスにて
「イベントごとにちょっかい掛けてるんじゃねぇぞ、あの女」
オフィス職員C.J.は苛立ったように毒づいた。彼は通報の内容をハンターたちに説明している。
「知ってる人もいるかもしれないね。前にアウグスタの調査で対象になった孤児院だよ。最初はあんまり協力的じゃなかったけど、ハンターたちの説得で口を割ってくれたところだ。アウグスタは孤児院が喋ったことを知らないと思うんだけどな……あれ以来接触なかったみたいだし。単に知ってるところを冷やかしてるくらいのつもりかもしれない」
それから、彼は息を吐いてからハンターたちを見上げた。
「孤児院は籠城してるみたい。でも、小型犬くらいのブリキ製蜘蛛が優に五百は超えてるんだよ。建物に全部登ったりしたら倒壊の危険もある。何だかんだで金属だから多く集まれば重いはずだ。そうなる前に少しでも減らして。お願いだよ」
その孤児院は厳しい園長で知られる院であった。厳しいと言っても、里親の条件がやたらと厳しいだけで、虐待の類はない。形はどうであれ、院長は子どもたちの幸せと安全を願っている。
先日、ここのところ同盟を騒がせている歪虚と、孤児たちの接触が明らかになった。これ以上、子どもたちと歪虚の接点を作りたくない。そう思った院長は調査に対してやや距離を置き気味ではあったが、ハンターたちの説得によって、子どもたちが話した歪虚・アウグスタの資料をハンターたちに渡した。
それ以来、アウグスタの姿は見かけない。彼女は、遠くの町のハロウィンをめちゃくちゃにしたり、郷祭に出没したり、フマーレの町で自分の手下にしたハンターを使って事件を起こしている様だが、この孤児院は今のところ何もない。
アウグスタはこの孤児院のことなど忘れてしまったのだろう。院長や職員はそう思って徐々に警戒心を解きつつある。ずっと神経を張っていては疲れてしまう。
「さあ、皆さん、今日はクリスマスのごちそうですよ」
院長はあれ以来、少しだけ子どもたちに甘くなった。身体に悪いと制限していたお菓子も少し量が増えた。今日も、例年より少し贅沢なクリスマスのごちそうだ。職員たちも楽しく作った。だって、ごちそうだもの。贅沢に作らないと楽しくない。
「わーい!」
「おいしそう!」
「良いの? ケーキまである!」
「良いのよ。今日だけですからね。ちゃんと歯磨きをするんですよ」
●獣のキャロル
「獣の数は人を表しているそうよ」
孤児院が見える場所で、一人の少女が、三メートルはあろうかという大きな蜘蛛に乗って呟いた。その足下には、小型犬サイズの蜘蛛が蠢いている。
彼女はその数を把握していた。六百六十六。この数だけ用意したのだから。
その数が何を示しているのか、彼女は知らない。ただ、リアルブルーから来た一部の人間にはあまり好かれていないらしいと言うことだけ知っている。
「きっと、この蜘蛛をハンターたちが倒しにくるわね」
くすりと彼女は微笑む。
「さ、あなたたち、その数を示すのよ。ハンターたちがその数に気付くように! 自分たちの不幸を、世界の不幸を想像するように!」
子どもらしい思いつき。そういえば、ブルーの一部地域では、夜の蜘蛛は不吉だった筈だ。
「夜に、獣の数だけ蜘蛛が来るわ」
少女は詩を諳んじるように言葉を紡ぐ。蜘蛛が巣を張るように。
その言葉が、人の尊厳を蝕むのかのように。
「ええ、数がわからなくても、きっと怖いでしょうね」
蜘蛛たちは孤児院に向かって行く。
獣の数字と同じ数。
六六六。
●Jingle Spider
食事を終えて、皆で歌ったりゲームに興じていると、一人の子どもが異音に気付いた。
「ねえ、変な音が聞こえませんか?」
「変な音?」
「なんだが、がちゃがちゃうるさいんです」
その言葉に、一人の職員が様子を見に外に向かった。彼はすぐに戻って来た。顔色を青くして。
「どうしましたか」
ただならぬ気配を感じた院長が、険しい顔で言う。
「く、蜘蛛が! 犬くらいの蜘蛛がいるんです! それも大群が!」
「大群ですって?」
院長は自分も様子を見に行こうと立ち上がるが、職員がそれを押しとどめた。
「駄目です院長! 大群って言っても、蟻の大群みたいな可愛い数じゃない! 百、二百、三百……いやもっといる! この孤児院を囲んでいます!」
「すぐに避難を……」
「裏が無事なら。正面はもう駄目です!」
しかし、裏口を見に行った職員もまた首を横に振って戻ってくる。
「駄目、囲まれてるわ」
「なんてこと……」
「僕たちどうなっちゃうの?」
子どもたちが院長を見上げる。院長はいつだって、僕たちを守ってきてくださった。今度もきっと大丈夫。それでも、その院長がまだ指示を出さないことが子どもたちには不安だった。
院長はしばらく蜘蛛ががちゃがちゃ言う音を、唇を噛んで聞いていた。やがて顔を上げると、いつもの毅然とした態度で言い放つ。
「皆さん、二階に行きましょう。その上で全ての扉を閉めて、私たちは戦えるものを持ちましょう。近隣の方がオフィスに通報してくれるはずです。ハンターはきっと来ます。それまで持ちこたえるの。行きましょう」
●ハンターオフィスにて
「イベントごとにちょっかい掛けてるんじゃねぇぞ、あの女」
オフィス職員C.J.は苛立ったように毒づいた。彼は通報の内容をハンターたちに説明している。
「知ってる人もいるかもしれないね。前にアウグスタの調査で対象になった孤児院だよ。最初はあんまり協力的じゃなかったけど、ハンターたちの説得で口を割ってくれたところだ。アウグスタは孤児院が喋ったことを知らないと思うんだけどな……あれ以来接触なかったみたいだし。単に知ってるところを冷やかしてるくらいのつもりかもしれない」
それから、彼は息を吐いてからハンターたちを見上げた。
「孤児院は籠城してるみたい。でも、小型犬くらいのブリキ製蜘蛛が優に五百は超えてるんだよ。建物に全部登ったりしたら倒壊の危険もある。何だかんだで金属だから多く集まれば重いはずだ。そうなる前に少しでも減らして。お願いだよ」
解説
●敵情報
蜘蛛雑魔…666体
ブリキで出来たような小型犬サイズの蜘蛛雑魔。
突進でダメージ、噛み付きでダメージと強度1の毒、糸を吐くことで強度1の行動阻害を付与します。3匹1組で徒党を組んで攻撃してくることもあり、その場合は複数攻撃扱いになります。噛み付きはメインアクション、糸を吐くのはサブアクションです。
スキルなしで叩いても消える程度の雑魚です。ただし666います。
戦闘開始時点で半分が2階建ての1階部分を覆い尽くしています。
10ラウンドで300倒せれば建物の倒壊は防ぐことができます。
●孤児院について
2階建ての少々古い建物です。
シナリオ「蜘蛛の糸を辿って」の選択肢3で登場した孤児院です。
子どもたちは全員2階の部屋に立てこもり、窓とカーテンを締め切っています。職員は一部が廊下で下から蜘蛛が来た場合の迎撃準備、一部は子どもたちがいる部屋に一緒に入って窓からの侵入に備えています。職員は箒やフライパンなどで武装。
●アウグスタについて
蜘蛛をけしかけてから離脱しているので接触はありません。
●蜘蛛の数について
聞きかじりの知識にて、アウグスタが嫌がらせで設定した数。
情報をすりあわせることで666体いた、と言うことを知ることができます。
参加者の過半数が計数を宣言し、知性で更にその過半数が判定に成功した場合は666体の数を知ることができます。
プレイングに記載があるPCのみ宣言として扱います。掲示板での発言は無効です。
蜘蛛の数はフレーバー程度ですしプレイング字数も限られているので、無理に知る必要はありません。
●その他
人数が足りない場合はNPCの増援が出ます。最大8人ですが内6人は新人です。
蜘蛛雑魔…666体
ブリキで出来たような小型犬サイズの蜘蛛雑魔。
突進でダメージ、噛み付きでダメージと強度1の毒、糸を吐くことで強度1の行動阻害を付与します。3匹1組で徒党を組んで攻撃してくることもあり、その場合は複数攻撃扱いになります。噛み付きはメインアクション、糸を吐くのはサブアクションです。
スキルなしで叩いても消える程度の雑魚です。ただし666います。
戦闘開始時点で半分が2階建ての1階部分を覆い尽くしています。
10ラウンドで300倒せれば建物の倒壊は防ぐことができます。
●孤児院について
2階建ての少々古い建物です。
シナリオ「蜘蛛の糸を辿って」の選択肢3で登場した孤児院です。
子どもたちは全員2階の部屋に立てこもり、窓とカーテンを締め切っています。職員は一部が廊下で下から蜘蛛が来た場合の迎撃準備、一部は子どもたちがいる部屋に一緒に入って窓からの侵入に備えています。職員は箒やフライパンなどで武装。
●アウグスタについて
蜘蛛をけしかけてから離脱しているので接触はありません。
●蜘蛛の数について
聞きかじりの知識にて、アウグスタが嫌がらせで設定した数。
情報をすりあわせることで666体いた、と言うことを知ることができます。
参加者の過半数が計数を宣言し、知性で更にその過半数が判定に成功した場合は666体の数を知ることができます。
プレイングに記載があるPCのみ宣言として扱います。掲示板での発言は無効です。
蜘蛛の数はフレーバー程度ですしプレイング字数も限られているので、無理に知る必要はありません。
●その他
人数が足りない場合はNPCの増援が出ます。最大8人ですが内6人は新人です。
マスターより
こんにちは三田村です。
「鐘のキャロル」と言うウクライナのクリスマスキャロルを最近知ったのですが、ちょっとシリアスな雰囲気がして最近のお気に入りです。
以前ゾンビ映画が好きだと書かせていただきましたが、中にいる人たちからしたらゾンビ映画の様なシチュエーションかもしれません。
関連歪虚はいますが、ご縁のある方も、お初の方もよろしければご参加下さい。
「鐘のキャロル」と言うウクライナのクリスマスキャロルを最近知ったのですが、ちょっとシリアスな雰囲気がして最近のお気に入りです。
以前ゾンビ映画が好きだと書かせていただきましたが、中にいる人たちからしたらゾンビ映画の様なシチュエーションかもしれません。
関連歪虚はいますが、ご縁のある方も、お初の方もよろしければご参加下さい。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/12/27 00:15
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2018/12/20 03:15:56 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/12/20 02:13:58 |