ゲスト
(ka0000)
商工会、冬のインターンシップのお知らせ
マスター:のどか

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在5人 / 3~5人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2018/12/21 07:30
- リプレイ完成予定
- 2018/12/30 07:30
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
ヴァリオス商工会館・応接室。
気品と尊厳を兼ね備えた商売人たちの「顔」たるこの場所で、アンナ=リーナ・エスト(kz0108)は自分の呼ばれた意味をいまいち飲み込めないままでいた。
というのも贔屓にしているちょっと言葉足らずな受付嬢の紹介で「行け」と言われただけであり、その用事がなんなのかも知らされていなかった。
とうの受付嬢はというと――聖輝節の売り上げ合戦だがなんだかで、ここのところひっきりなしにケーキ屋で働いている。
しばらく待たされたのち、彼女の前に現れたのはエヴァルド・ブラマンデ(kz0076)と名乗る青年の優男だった。
数年間を同盟で過ごしたアンナなら名前くらいは知っている。
ヴァリオス商工会の青年会派閥のトップにして評議会議員の1人。
またの名を、若くして貿易で一財築いた「航海王子」その人だ。
畏まった挨拶もそこそこに、多少の身の上話を交えながらエヴァルドは本題に入る。
その内容を聞いて、アンナは思わず首をかしげて問い返してしまった。
「私に会長の秘書を……ですか?」
エヴァルドはにこやかな自信に満ちた笑みで、こくりと頷きかえす。
「ええ。最近多忙を極めておりまして。そろそろ秘書の1人でも持とうと、人脈の広い受付嬢さんに相談させていただいたところ――『ちょうど活き良いのがいる』とご紹介を受けた次第です」
「……また雑な紹介を」
友人の悪びれない笑顔を脳裏に浮かべ、頭を抱える。
「なぜハンターに声を? 同じ商工会の会員でもよいのでは?」
「秘書としての仕事はもちろんこなしていただきます。しかしそれと同時に、傍付きとしてボディガードも兼ねて欲しいというのがこちらの条件でした。最近、都市を行き来する機会も増えましたのでね。本来ならそれぞれ別に雇うべきですが……私が自由に使える商工会の資産にも限りがありますので、2つの仕事を一緒くたにできる人物が望ましいのです。ハンターというだけで一般的なボディガードの素質としては十二分。あとは秘書として優秀な人材を求めるだけ。非常に合理的な判断です」
「なるほど、お話は分かりました」
アンナは一息入れるように、出されたお茶に口をつける。
唇を潤して、それからふと、視線を落とした。
「だとしたら、私がお力になれるとは考えられません。だいいち商売をしたことがないのですから」
断りのつもりで口にしたアンナだったが、エヴァルドはその言葉を待っていたかのように、ニコリと口角をあげる。
「リアルブルーでは政治学と社会学を学んでいたと――そう、お聞きしておりますが」
アンナは外した視線を彼の方へと戻した。
「その情報は『彼女』からですか……確かに、専攻と付随分野として学んでおりました」
「でしたら、まさしく私の求める人材だ」
アンナの肯定に、エヴァルドは心持弾んだ調子で答えた。
「文化的な側面で、リアルブルーはクリムゾンウェストよりも数百年先を行っています。それは政治や社会的な側面であっても同じこと。我々の住むこの世界の経済概念は、そちらの世界ではすでに過去の遺物なのではありませんか?」
「一概にそうだとは言い切れませんが……おおむね『歴史』として学ぶ分野ではあります」
「素晴らしい」
エヴァルドは被せぎみに言い切る。
「ヴァリオスも、他の都市も、他の国家も、いつまでも今のままで未来へつながっていくことはありえない。新たな国家。新たな主権。新たな制度。そして新たな経済。それは目前のことではなくとも、近くも遠い将来、何度となく繰り返されていく事でしょう。同盟諸都市が王国から独立した時のように」
「それに関しては私も同意見です。現に他の国家ではすでにそう言った動きもみられているそうですね」
「そう。だからこそ、私は学びたいのです。リアルブルーという文化的未来を生きたその経験から」
落ち着き払ったように見えて、熱意のこもったエヴァルドの瞳。
それをどこか恐ろしいものと感じながら、アンナは気圧されるように言葉を濁した。
「私はまだまだ学徒の身でした。こちらの世界に転移してからは研究もままならない日々です。とても、人に教えられるような人間では……」
「構いません。秘書として私の仕事を手伝っていただきながら、時折、感じたことや思ったことを素直に口にしてくださればよいのです。その言葉のひとつひとつは、私にとっては未来から送られて来たメッセージに等しいのですから」
言い切って、エヴァルドはそれ以上言葉を重ねることをしなかった。
返事を待っている。
時間を与えられていることに気づいて、アンナは言われた通りに、正直に今の心境を語った。
「……すみません。突然のことで……少し、考えさせていただけませんか」
「もちろんです。指針になるのなら、報酬の話をしても構いませんよ」
「それは引き受けるかどうかを決めてからでお願いします」
「素晴らしい」
称えるように、エヴァルドは目を細めてほほ笑んだ。
「そうだ。迷われているあなたに、ちょうどいいイベントがあるのですが」
話を切り替えるように、エヴァルドはぽんと拍子を打つ。
「イベント、ですか?」
彼は傍にあった羊皮紙を1枚取り出すと、それを向かい合うテーブルの上に広げてみせた。
そこには整った字体で「ヴァリオス商工会・冬のインターンシップのお知らせ」と書かれていた。
「職場体験、というものだそうですね。リアルブルー出身の会員からうかがって、私どもでも取り入れてみようと企画したものです」
商工会の仕事を体感する6日間の職場体験。
どうやら募集者をグループ分けして、それぞれに仕事を割り振りこなしてもらう、という形式のようだ。
なるほど、リアルブルーの良いところは取り入れていこうと――エヴァルドの熱意に嘘がないことは、アンナにもなんとなく理解できたような気がした。
「分かりました。では、お返事はこれに参加をしてみてから――で構わないでしょうか」
「ええ。ぜひそうしてください。もちろん、色よいお返事を待っていますよ」
インターンの開始は数日後。
まずはこの目の前の案件に集中して取り組もう。
それがハンターとしてのアンナの、唯一絶対の信条だから。
ヴァリオス商工会館・応接室。
気品と尊厳を兼ね備えた商売人たちの「顔」たるこの場所で、アンナ=リーナ・エスト(kz0108)は自分の呼ばれた意味をいまいち飲み込めないままでいた。
というのも贔屓にしているちょっと言葉足らずな受付嬢の紹介で「行け」と言われただけであり、その用事がなんなのかも知らされていなかった。
とうの受付嬢はというと――聖輝節の売り上げ合戦だがなんだかで、ここのところひっきりなしにケーキ屋で働いている。
しばらく待たされたのち、彼女の前に現れたのはエヴァルド・ブラマンデ(kz0076)と名乗る青年の優男だった。
数年間を同盟で過ごしたアンナなら名前くらいは知っている。
ヴァリオス商工会の青年会派閥のトップにして評議会議員の1人。
またの名を、若くして貿易で一財築いた「航海王子」その人だ。
畏まった挨拶もそこそこに、多少の身の上話を交えながらエヴァルドは本題に入る。
その内容を聞いて、アンナは思わず首をかしげて問い返してしまった。
「私に会長の秘書を……ですか?」
エヴァルドはにこやかな自信に満ちた笑みで、こくりと頷きかえす。
「ええ。最近多忙を極めておりまして。そろそろ秘書の1人でも持とうと、人脈の広い受付嬢さんに相談させていただいたところ――『ちょうど活き良いのがいる』とご紹介を受けた次第です」
「……また雑な紹介を」
友人の悪びれない笑顔を脳裏に浮かべ、頭を抱える。
「なぜハンターに声を? 同じ商工会の会員でもよいのでは?」
「秘書としての仕事はもちろんこなしていただきます。しかしそれと同時に、傍付きとしてボディガードも兼ねて欲しいというのがこちらの条件でした。最近、都市を行き来する機会も増えましたのでね。本来ならそれぞれ別に雇うべきですが……私が自由に使える商工会の資産にも限りがありますので、2つの仕事を一緒くたにできる人物が望ましいのです。ハンターというだけで一般的なボディガードの素質としては十二分。あとは秘書として優秀な人材を求めるだけ。非常に合理的な判断です」
「なるほど、お話は分かりました」
アンナは一息入れるように、出されたお茶に口をつける。
唇を潤して、それからふと、視線を落とした。
「だとしたら、私がお力になれるとは考えられません。だいいち商売をしたことがないのですから」
断りのつもりで口にしたアンナだったが、エヴァルドはその言葉を待っていたかのように、ニコリと口角をあげる。
「リアルブルーでは政治学と社会学を学んでいたと――そう、お聞きしておりますが」
アンナは外した視線を彼の方へと戻した。
「その情報は『彼女』からですか……確かに、専攻と付随分野として学んでおりました」
「でしたら、まさしく私の求める人材だ」
アンナの肯定に、エヴァルドは心持弾んだ調子で答えた。
「文化的な側面で、リアルブルーはクリムゾンウェストよりも数百年先を行っています。それは政治や社会的な側面であっても同じこと。我々の住むこの世界の経済概念は、そちらの世界ではすでに過去の遺物なのではありませんか?」
「一概にそうだとは言い切れませんが……おおむね『歴史』として学ぶ分野ではあります」
「素晴らしい」
エヴァルドは被せぎみに言い切る。
「ヴァリオスも、他の都市も、他の国家も、いつまでも今のままで未来へつながっていくことはありえない。新たな国家。新たな主権。新たな制度。そして新たな経済。それは目前のことではなくとも、近くも遠い将来、何度となく繰り返されていく事でしょう。同盟諸都市が王国から独立した時のように」
「それに関しては私も同意見です。現に他の国家ではすでにそう言った動きもみられているそうですね」
「そう。だからこそ、私は学びたいのです。リアルブルーという文化的未来を生きたその経験から」
落ち着き払ったように見えて、熱意のこもったエヴァルドの瞳。
それをどこか恐ろしいものと感じながら、アンナは気圧されるように言葉を濁した。
「私はまだまだ学徒の身でした。こちらの世界に転移してからは研究もままならない日々です。とても、人に教えられるような人間では……」
「構いません。秘書として私の仕事を手伝っていただきながら、時折、感じたことや思ったことを素直に口にしてくださればよいのです。その言葉のひとつひとつは、私にとっては未来から送られて来たメッセージに等しいのですから」
言い切って、エヴァルドはそれ以上言葉を重ねることをしなかった。
返事を待っている。
時間を与えられていることに気づいて、アンナは言われた通りに、正直に今の心境を語った。
「……すみません。突然のことで……少し、考えさせていただけませんか」
「もちろんです。指針になるのなら、報酬の話をしても構いませんよ」
「それは引き受けるかどうかを決めてからでお願いします」
「素晴らしい」
称えるように、エヴァルドは目を細めてほほ笑んだ。
「そうだ。迷われているあなたに、ちょうどいいイベントがあるのですが」
話を切り替えるように、エヴァルドはぽんと拍子を打つ。
「イベント、ですか?」
彼は傍にあった羊皮紙を1枚取り出すと、それを向かい合うテーブルの上に広げてみせた。
そこには整った字体で「ヴァリオス商工会・冬のインターンシップのお知らせ」と書かれていた。
「職場体験、というものだそうですね。リアルブルー出身の会員からうかがって、私どもでも取り入れてみようと企画したものです」
商工会の仕事を体感する6日間の職場体験。
どうやら募集者をグループ分けして、それぞれに仕事を割り振りこなしてもらう、という形式のようだ。
なるほど、リアルブルーの良いところは取り入れていこうと――エヴァルドの熱意に嘘がないことは、アンナにもなんとなく理解できたような気がした。
「分かりました。では、お返事はこれに参加をしてみてから――で構わないでしょうか」
「ええ。ぜひそうしてください。もちろん、色よいお返事を待っていますよ」
インターンの開始は数日後。
まずはこの目の前の案件に集中して取り組もう。
それがハンターとしてのアンナの、唯一絶対の信条だから。
解説
▼概要
ヴァリオスの将来を担う若者育成のため、「商工会って結局なにするところなの?」の疑問に答えるインターンシップが開催されることとなりました。
同盟各地から多くの人々が集まるなか、割り振られたグループごとに与えられた商工会の案件に挑戦してもらいます。
メンバーで協力して、困ったことがあれば担当職員に助言を貰いながら、仕事を体感してみてください。
以下、みなさんのグループに提示された資料となります。
▼資料
〇案件
商店街のキャンペーン企画・運営に携わる6dayインターン
〇概要
ヴァリオスの裏通りにある露店商店街の振興キャンペーンを企画・運営してください。
様々な露店が100mほどにわたって並び、店を構えるお金がない若手の経営者向けに整備した新区画。
しかし他の商店街に比べて華やかさと印象がちょっと薄いのが悩みのよう。
この通りにお客さんを呼び込み、存在を認知させることがキャンペーンの目的です。
〇条件
「通りを端から端まで歩きたくなるキャンペーン」という条件が提示されています。
〇予算
現実的な範囲内ですべて商工会が持ちます。
〇日程
「1~5日目」
企画と準備を行います。
システム上の相談期間と同等と扱い、リプレイでの描写は省きます。
時間の掛かる準備はここで行うことができます。
「6日目」
実際に商店街でキャンペーンを開催します。
みなさんが直接運営するのはこの1日だけですが、継続的に続けていけるようなキャンペーンでも構いません。
リプレイはこの日を描写します。
露店の店主たちは協力的ですので、みなさんのアイディアで商店街をアピールしてください。
▼NPC
「アンナ」
グループメンバーの1人です。
案件に関することなら基本的にNG無しなので人手として数えてどうぞ。
OPの内容はお茶請け話などで聞いていて構いません。
「エヴァルド」
インターンの統括者です。たまに顔を出します。
彼とは別に担当の女性職員が1人グループについています。
ヴァリオスの将来を担う若者育成のため、「商工会って結局なにするところなの?」の疑問に答えるインターンシップが開催されることとなりました。
同盟各地から多くの人々が集まるなか、割り振られたグループごとに与えられた商工会の案件に挑戦してもらいます。
メンバーで協力して、困ったことがあれば担当職員に助言を貰いながら、仕事を体感してみてください。
以下、みなさんのグループに提示された資料となります。
▼資料
〇案件
商店街のキャンペーン企画・運営に携わる6dayインターン
〇概要
ヴァリオスの裏通りにある露店商店街の振興キャンペーンを企画・運営してください。
様々な露店が100mほどにわたって並び、店を構えるお金がない若手の経営者向けに整備した新区画。
しかし他の商店街に比べて華やかさと印象がちょっと薄いのが悩みのよう。
この通りにお客さんを呼び込み、存在を認知させることがキャンペーンの目的です。
〇条件
「通りを端から端まで歩きたくなるキャンペーン」という条件が提示されています。
〇予算
現実的な範囲内ですべて商工会が持ちます。
〇日程
「1~5日目」
企画と準備を行います。
システム上の相談期間と同等と扱い、リプレイでの描写は省きます。
時間の掛かる準備はここで行うことができます。
「6日目」
実際に商店街でキャンペーンを開催します。
みなさんが直接運営するのはこの1日だけですが、継続的に続けていけるようなキャンペーンでも構いません。
リプレイはこの日を描写します。
露店の店主たちは協力的ですので、みなさんのアイディアで商店街をアピールしてください。
▼NPC
「アンナ」
グループメンバーの1人です。
案件に関することなら基本的にNG無しなので人手として数えてどうぞ。
OPの内容はお茶請け話などで聞いていて構いません。
「エヴァルド」
インターンの統括者です。たまに顔を出します。
彼とは別に担当の女性職員が1人グループについています。
マスターより
おはようございます、のどかです。
今回は商工会インターンシップということで、いつものような現場単位ではなく、会員のお店を手助けするための提案者・協力者としての側面を体験するようなシナリオとなっています。
物を売るのではなく、いわば街の空気を売り込む。
ちょっと考えることは多いかもしれませんが、楽しんでキャンペーンを盛り上げていただければなと思います。
商工会や商店街への質問があれば別途卓を立ててエヴァルドまでどうぞ。
アンナへの質問も同じくお受けしておりますが、仕事を割り振りたい場合はプレイングに内容を明記してくださいね!
ご参加をお待ちしております。
今回は商工会インターンシップということで、いつものような現場単位ではなく、会員のお店を手助けするための提案者・協力者としての側面を体験するようなシナリオとなっています。
物を売るのではなく、いわば街の空気を売り込む。
ちょっと考えることは多いかもしれませんが、楽しんでキャンペーンを盛り上げていただければなと思います。
商工会や商店街への質問があれば別途卓を立ててエヴァルドまでどうぞ。
アンナへの質問も同じくお受けしておりますが、仕事を割り振りたい場合はプレイングに内容を明記してくださいね!
ご参加をお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2018/12/31 00:46
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
質問卓 ジャック・エルギン(ka1522) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/12/16 22:19:29 |
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![]() |
振興キャンペーン相談室(相談卓 ジャック・エルギン(ka1522) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2018/12/20 22:27:29 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2018/12/17 16:57:54 |