• 日常

のんべんたこぱりん

マスター:愁水

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在5人 / 3~5人
サポート
現在1人 / 0~2人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
7日
プレイング締切
2019/01/03 19:00
リプレイ完成予定
2019/01/17 19:00

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。


 X’mas Eve。
 聖なる夜に、鈴が鳴る。

 りんごんべる。
 りんごんべる。

 サーカスの天幕でも、旧市街でも、三兄妹が住まうアパートでも――鈴は鳴る。





「おー……これ……?」
「ん。ホームパーティー用に作られた……リアルブルーの、物体」

 その名を、たこ焼き器。

「はわ……お祭りの時しか食べられないと思ってた……お家で作れるの、すごいねー……。たこパだ、たこパー……」

 テーブルに準備された数台のたこ焼き器にぱちぱちと拍手を送ると、紅亜(kz0239)はスカートの裾を羽のようにはためかせ、キッチンへ羽ばたく。作業台では白亜(kz0237)が紅亜に背を向ける形で、たこを切っていた。だが、彼女の気配には気づいていたようで、手許の作業はそのまま、声を掛けてくる。

「紅亜か。すまないが、棚にある深皿を――」

 そう言い終える前、白亜は一瞬、身動ぎをした。紅亜が腕を回し、後ろから抱き付いてきたのである。女性恐怖症の白亜にとって、妹である紅亜は対象外。――だが、妹もうら若き女性だ。背後から唐突に抱き付かれれば、驚きもする。しかし、そんな兄の内心は気にもせず、紅亜は「んー……」と、安堵するように瞳を伏せながら、白亜の温もりに頬を預ける。こんな時の紅亜の気分を、白亜は知っていた。

「何だ、随分と機嫌が良いな。ホームパーティーがそんなに楽しみだったか?」
「んー……それも、あるけど……」
「けど、どうした?」
「ん……あのね、ハク……この前……収穫祭あった、でしょ……? そこでね……私……――」

 ――“あの人”の姿を、見たの。

「……」
「紅亜?」
「んん……なんでもない……収穫祭、楽しかったね……」

 あの穏やかな声。月に沈む瞳。彼は間違いなく、彼だった。
 大好きなおにいちゃんが生きていたことを伝えたら、大切な兄はどんな表情をするのだろう。彼の話題をする度、鬱悶に面を歪める兄は――。

「ねえ……ハク……」
「何だ?」
「ハクは……好きな人いたのに、どうして結婚しなかったの……?」
「な、何?」

 包丁を動かす白亜の手許が止まる。突如振られた話題に、白亜の声は僅かに上擦っていた。

「あれ……? ハクが軍人だった頃……婚約者、いたよね……?」
「あ、ああ……その話か」

 白亜は思い返すように呟きながら、再び包丁を動かす。――何年も前のことだ。白亜が重傷を負い、軍を退役する以前、白亜には婚約者がいた。相手は、軍にも顔が利く伯爵家の令嬢。伯爵は何度か応対した白亜のことを甚く気に入り、半ば強引に婚姻の話が進んだ。

「“好き”、……か。さて、な」
「……?」
「結婚、とは言っても、一言では語れんよ。俺にとっては、感情が先に来た話ではなかったんだ」
「でも……相手の人は、違ったんでしょ……?」
「……どうだろうな」
「あの時、結婚してたら……大きなお家も、綺麗な奥さんも、お金も手に入って……ハク、楽できたんでしょ……?」
「何だ、紅亜は今のような生活は嫌か?」
「んー……? んん……好きだよ……。クロは意地悪だけど、優しいし……ハクはあったかいし……ハクとクロが一緒だから……サーカス団、頑張れるよ……」
「ほう、クロは優しいか?」
「んー……時々……?」

 そこへ、咎めるような声音が紅亜の背を衝く。

「ちょっと……なにハク兄の邪魔してんの? ちゃんと手伝わないと食べさせないからね」
「えー……やっぱり、時々……ない……いつも意地悪だー……」
「は? なに、喧嘩売ってんの?」

 白亜は弟妹の戯れ合いに苦笑を零しながら、肩越しに振り返る。

「その辺にしておけ。ほら、そろそろ彼等も来る頃だろう。紅亜、皿を出しておけよ」
「はーい……」

 紅亜は白亜の身体から腕を引くと、棚から数枚の皿を取り出して、リビングの方へスリッパを鳴らしていった。

「クロ、生地を作っておいてくれるか?」
「……ん」

 黒亜(kz0238)はエプロンを着けると、袖を捲り、アームバンドで留める。ボウルを手に取り、薄力粉に卵、出汁汁――

「……」

 黒亜は横目に兄を盗み見る。彼の横顔は、何時もと何ら変わりはなかった。

「(クーの馬鹿正直さには呆れるけど……あの単純さに、ハク兄も救われてたりするのかな……)」

 それはきっと、自分には出来ないこと。

「(…………ま、別にいいけど)」

 黒亜は目線を手許に戻すと、ボウルをカシャカシャと鳴らし始めた。





 ――ピンポーーーン。

「はーい……」

 呼び鈴に応えながら、紅亜がパタパタと玄関へ向かう。





 りんごんべる。
 りんごんべる。

 誰の心にも鈴は鳴る。


解説

《目的》
・あなた達はたこ焼きパーティーに招待されました。
 ということで、たこパやろうぜ。

《場所・時間》
・天鵞絨サーカス団の三兄妹が住むアパート。
・夕方~(終了時間は特に決めていない)

《その他》
・たこ焼きをするにおいて必要なもの(食材や道具)は全て揃っている。
 他の具材を持ち寄ってアレンジするのも勿論可。カオスになってもちゃんと全部食べること。いいね?
・未成年でなければ飲酒も可。煙草はベランダで。
・集合時間はおおよそな為、訪問はばらつきがあっても構わない。

《NPC》
 白亜:
 天鵞絨サーカス団の団長。黒亜と紅亜の兄。
 元帝国軍所属。軍を退役するまでは、婚約者がいた(PL情報)
 必然と、食べるよりも調理する側。

 黒亜:
 天鵞絨サーカス団の副団長。三兄妹の次男。
 焼く人がいなければずっとたこ焼きと対面しているかも。

 紅亜:
 天鵞絨サーカス団の団員。三兄妹の末っ子。
 珍しくご機嫌。だが気をつけろ。彼女に食材を持たせたら全てが終わる。

 桜久世 琉架:
 帝国軍の軍人。白亜とは昔馴染み。
 パーティーに招待されてはいるが、時間通りに来るとは限らない。因みに、料理は作れないというわけではないが、面倒だからやりたくない。

 シュヴァルツ:
 帝国軍の軍医。白亜とは昔馴染み。
 パーティー参加。手先は器用な為、何かを頼まれても大抵のことはそつなく熟す。但し、物体Xの処理には対応しておりません。

※質問は白亜が回答。

マスターより

お世話になっております、愁水です。
聖なる夜にたこパ。私はアリだと思います。……たこ焼き器ないので出来ませんけど。

内容はたこパですが、OPにサラッと色々情報詰め込んでいます。勿論リプレイには影響ありませんので、触れるか触れないかは自由です。
たこパ以外は略フリーな為、プレゼント交換や交流にもどうぞ。しかしプレの字数は計画的に。
又、年末年始を挟むので、相談時間多めです。ご注意下さい。

今年最後の貴いご縁、お待ちしております。

関連NPC

  • 天鵞絨ノ月下美人
    紅亜(kz0239
    人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|格闘士(マスターアームズ)
  • 天鵞絨ノ赤椿
    白亜(kz0237
    人間(クリムゾンウェスト)|36才|男性|猟撃士(イェーガー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/01/15 04:06

参加者一覧

  • 天鵞絨ノ空木
    白藤(ka3768
    人間(蒼)|28才|女性|猟撃士
  • ヒトとして生きるもの
    蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009
    エルフ|22才|女性|魔術師
  • 夜空に奏でる銀星となりて
    レナード=クーク(ka6613
    エルフ|17才|男性|魔術師
  • 天鵞絨ノ風船唐綿
    ミア(ka7035
    鬼|22才|女性|格闘士
  • 花車の聖女
    灯(ka7179
    人間(蒼)|23才|女性|聖導士

サポート一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/12/31 07:23:21
アイコン たこパの夜の相談卓
灯(ka7179
人間(リアルブルー)|23才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2019/01/03 16:33:19