• 戦闘

モルッキー危機一発

マスター:凪池シリル

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在5人 / 3~5人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2018/12/29 19:00
リプレイ完成予定
2019/01/07 19:00

オープニング

「姐さん、大変でおます!」
 ボロボロになったセルトポが息も絶え絶えにラロッカのところへと戻ってくる。
 ラロッカはビッグマーが倒されて以降、無気力にねぐらでゴロゴロしていた。……怠惰はむしろたまにやる気を出したとき以外はいつもこんなもん、という気もしなくもないがさておき。
「あらぁ。どうしちゃったのぉ」
 なにやらズタボロになっているセルトポに声をかけたのはモルッキーだった。ラロッカは、面倒くさそうに一瞥だけして、また気だるそうに視線を伏せるのみだ。だが。
「ビッグマー様を討ち取ったやつが誰なのか分かったんでおますー!」
「何!?」
 続く言葉は、ラロッカのその、「たまに出るやる気」を刺激するほどのインパクトはあったようだ。二体の視線がセルトポに集まる。
「本当でおます! ハンターが言ってたでおます! ビッグマー様を倒したのは!」
「倒したのは!?」
「倒したのは!」
「倒したのはぁ?」
「倒したのは!」
 固唾を飲んで見守る二体。そしてセルトポは……。
「………………あれ? 誰って言ってたでおますっけ?」
 その言葉に、二体は盛大にずっこける。
 ……まあ、そんなわけで。
 馬鹿は、絶賛馬鹿であった。
 むしろ「逃げることに必死」になった時点で、「何かを伝えるために逃げようとした」ことを覚えていたことが奇跡に等しい。
「はあ……あんたに期待したあたしが馬鹿だったよ……」
 冷たい声で言って、再びふて寝に入るラロッカ。
「う、うう……おいたわしや姐さん……不甲斐なくてすまないでおます……」
 セルトポはそれにがっくりと肩を落とし……そこで体力がつきたのかパタッと倒れて寝息を立て始めた。
「……」
 残されたモルッキーはしばし何かを考えている。
「でも、そうねえ。ハンターに聞けば確かに、ビッグマー様に止めを刺したのが誰かは分かるわよねえ……」
 呟いて、ちらり、ラロッカとセルトポに順番に視線を向ける。
「姐さんのために、次はあたしが男を見せる番、かしらあ? なーんて、きゃ、格好いいー! 全国の女子中学生の皆さん、あたしの勇姿に期待よーん?」
 そういってモルッキーは、手近なもので突貫で、今回の決戦用メカを作成するのだった。




 目の前の雑魔を切り伏せて、その存在が無に還るのしっかりと確かめて……視線を、周囲に転じる。見れば仲間たちもそれぞれ敵を倒したところのようだ。
 もう気配が無くなったのを感じて、伊佐美 透(kz0243)はふ、と息を吐く。
 何気なさそうに軽く手首を返すと、手にした刀の剣先が鮮やかに翻る。残光を引くように、疾く──最後は余韻を残すように緩急をつけて──納刀。
 たまたまなのだろうが、避難させていた辺境民たちから感謝と安堵のどよめきが上がったのはそのタイミングだった。
 ビッグマーは討伐されたが、その破壊の爪痕は辺境に大きく残された。建て直しのために破壊された街道の整備などはまだまだ必要で、今日ここに集まるハンターたちが受けたのはその作業員たちの護衛である。
 現れた雑魔を瞬く間に退治したハンターたちに、辺境の民は全員に代わる代わる称賛の声を浴びせていく。
 透もその剣技を褒められると、遠慮しながらも恐怖を味わっただろう彼らを不安にさせまいと、「大丈夫ですよ。安心してください」と軽く応じた。
 ……ふと、振り替える。己の剣と言うものを。刀の扱いに慣れていたのは殺陣の技術があったからだ。戦いのためではない。
 ……別に戦いに使うことが嫌というわけではない。ただなんというか、自分が受ける評価は相応なのだろうか、ハッタリで誤魔化してここまでやってこれたのではないだろうか……そんな意識が、ずっとどこか心の奥底にあった……気はした。
 そのことを、深く考えることはなかった。どうでもいいことではあるのだ。ハンターと言う立場は、自分にとって仮の居場所ではあるから。そこまで重要なことでもないから、その不安はなおざりにして……そうするうちに、戦いを重ねて。今は結局、どうなっているのだろう。
 雑魚雑魔くらいなら、難なく倒せる。昔の自分なら、頼れる仲間が居たところで容易く自分から「安心してください」など言えなかったと……思う。
 考えぬうちに、己の中で築かれていたもの。そうなったのは……。
 そんなこともとりとめもなく考えながら過ごしていた護衛期間。
 異常事態はまた発生した。
 地響きを立てて接近してくるそれは……巨大な樽だった。その樽から、もぐらの歪虚が顔だけ出している。
 辺境で時折確認される三馬鹿歪虚が一体、モルッキー。
「……何かを思い出すなあ、その状態」
「デザインに文句は言わないでちょうだいぃ。急いで作ったんだからぁ」
「いや、文句と言うか……」
 脱力しかけて、しかし次の瞬間、そんな場合ではないと気を引き締めることになる。樽の横から何かが飛び出してきた。
 手錠を思わせる輪を着けたアームが、樽から独立して行動していた。分離したそれが向かう方向は……!
「……!」
 とっさに構え、アームの一体に近付く。刀捌きでその移動を阻むと、アームはそこで仕方ないと言う風に透に狙いを定めた。輪がぱかりと開き、中にあるワイヤーを蠢かせながらぶつかってくる。
「……作業員たちを狙う気か!?」
 間近で見たその動きにはっきりと意図を感じて、怒りすら込めて透はモルッキーを見た。
「あのねぇ……ちょっとあなたたちハンターに聞きたいことかあるんだけどお」
 モルッキーはそうして、身をくねらせながら答えてくる。
「だけどお、普通に聞いても素直に本当のこと教えてくれるとかぎらないでしょおー? で、今回のこのビックリメカ、『捕まえタル』ってわけえ」
 ……要するに。作業員を人質に取った上で何か聞こう、という訳なのだろう。何を聞くつもりなのか。……少し前にセルトポから交戦した、あの事か。あれと違って、そのまま言っても簡単には信じない、くらいの判断力はあるのか。
「……んなこと、させるかでさぁ!」
 そうして、はっきりと怒気を込めて、辺境の戦士であるチィ=ズヴォーがモルッキーへと突撃していく。
 怒りをこめて……だが、怒り任せではない。
 今透が留めているアーム、それがその一体だけでないことはチィも認識している。その上で、モルッキーに向かうという意志を見せる。
 ──援護は、対処は、何とかしてくれ、してくれるだろうと、言葉すら交わさずその全身で示して見せて。
 ……自分の剣を最初に認めて、ずっと共にあってくれた存在。だから思える。今の俺に、出来ることがあるなら。守るべき人たちのために。……相棒のために。
 チィはそのままモルッキーの居る樽に向かっていき、踏み込んで巨体のそれを貫通するような刺突を繰り出して見せる。
「……ヒッ!」
 その一撃に、モルッキーは何故か、ただ威力に対してだけではない焦りを見せた気がした。

解説

●目的
歪虚モルッキーの撃退(倒してしまっても良い)
街道復旧を行う辺境民の防衛

●敵戦力
・自律型拘束アーム
サイズ1。長さ1mの筒上の胴体に開閉する輪っか、輪の内部に拘束用のワイヤーを備えている。
輪っかを開いて体当たりをし、命中した相手を拘束する。
攻撃が命中した場合、ダメージに関わらずBS【移動不能】、【武器使用不可】が与えられる。共に強度3。
このBSは抵抗に成功する他、拘束するアームが破壊されることでも解除される。
戦闘開始時点で三体が展開し、三体がモルッキーの後方に居る。全六体だが、一度に動かせるのは三体までの模様。
現在動いている三体のうち、一体は現在伊佐美 透が【守りの構え】にてその場に留めている。
ハンターよりも無力な一般人を捕らえるよう設定されている模様。

・モルッキーin樽型ゴーレム
サイズ2。モルッキーが辺境民を急襲するために突貫で作った樽型ゴーレム。樽の底のローラーで自走し、アームを二つ備えている。
攻撃方法は二つの拘束アームによる二回攻撃、中央から放射するビーム(射程8、単体)。
拘束アームは命中すると強度4の【移動不能】を与えるが、誰かを移動不能にしている間は攻撃に使用できなくなる。
以下はPL情報。このゴーレムは突貫の作成の為か、「範囲攻撃により2回ヒット」させると、内部スイッチを押す判定が入り、確率で「緊急脱出装置」が作動する。押された場合、ゴーレムが居た場所から2スクエア内のどこかにモルッキーが放り出される。この場合、ゴーレムは動作を停止し、モルッキーは逃走に転じる。

●状況
地形は整備中の街道と荒野、遮蔽なし。
一般人はゴーレムの存在が関知されてから自発避難を開始、これまでの信頼によりパニックは起きていない。
OP冒頭一度戦闘した描写があるが、雑魚雑魔だったので体力、スキルの消耗は考慮しなくてよい。

マスターより

凪池です。
危機一髪は本来危機一髪ですが、この場合これで正しいです。
前回セルトポを逃がした結果ですが、残念馬鹿は馬鹿でしたという無情な落ちが待っているのでした。すまない。
そんなわけで世間はクリスマスですがそんなことも関係なくお仕事のハンターの皆さん、ご苦労様です。せめてこんなパーティーゲーム要素をご用意してみました。
樽のギミックを利用しようがしまいが、撃退事態はそこまで難しくはありません。が、逃がさず倒しきろうとすれば、やはり歪虚は歪虚。相応の作戦と実力は必要でしょうか。
ではよろしくお願いします。

関連NPC


  • 伊佐美 透(kz0243
    人間(リアルブルー)|28才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/01/04 22:00

参加者一覧

  • ふたりで歩む旅路
    アティエイル(ka0002
    エルフ|23才|女性|魔術師
  • 爆炎を超えし者
    ネフィリア・レインフォード(ka0444
    エルフ|14才|女性|霊闘士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
依頼相談掲示板
アイコン モッルキー撃退相談卓
神楽(ka2032
人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2018/12/29 15:27:05
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2018/12/26 19:20:28