• 戦闘

先の無い道

マスター:三田村 薫

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 3~4人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2019/01/11 19:00
リプレイ完成予定
2019/01/20 19:00

オープニング

●噂
 自由都市同盟にあるちょっとした山についての噂である。
 そこはどちらかと言うと、山菜や食べられる草がたくさん自生しているため、採集目的で入る人が多い山だった。この日も、ある村の若い男性が、野草を取りに入っていた。
「そこの方……」
 その時だった。若い女の声がした。
「俺か?」
「ええ、そこの方。こちらにもっとたくさんありますよ」
「それはありがたい」
 同じように野草を探しにきたのだろう。教えてくれるとは親切な。木々の向こうにいるらしく、女の姿は見えない。青年は草木をかき分けてそちらに進んで行った。
「こちらです」
 声のする方に歩いて行く。やがて、目の前が開けた。
「うわっ!?」
 そこは急な傾斜だった。声を追って、いつの間にかこんな所まで来てしまったらしい。危なかった。かき分けていた枝につかまっていなければ、落下していたかもしれない。
 ほっと一息吐いたものの、彼は自分を呼んだ女のことが気になった。彼女はまさかここから落ちてしまったのか? そう思って慌てて下を覗き込んだその時だった。

「もう少しだったのに」

 低い女の声が彼の耳に囁いたのは。

●おばけなんてないさ
「って言う話があったんだって!」
 と、エルフの青年はぶるぶると震えながら締めくくった。話を聞いていたのは、ちょっとしたことで知り合ったドワーフ二人。その内、斧を持った方はやれやれと首を横に振る。
「くっだらねえ。女の声なんかに釣られてほいほい行っちまうのが悪いんだろ」
「いや、この話が怖いのは、わざわざ自分には悪意があったと知らせてくるところだ」
 槍を持ったドワーフが言う。
「それで、ハンターオフィスに通報は行ったのか?」
「わかんない。俺も伝聞だから。もう終わった話かもしれないし」
「そんなおかしなことが起きたら、オフィスに通報が行ってるに決まってるだろ。俺は明日あそこで材木の下見に行くんだよ」
「えっ、危なくない?」
 斧のドワーフが言うのに、エルフの青年は眉を寄せる。
「俺も付いていこうか?」
「なんなら俺も付き合うぜ」
 槍のドワーフも申し出るが、斧のドワーフは顔の前で手を振って、取り合わない。
「だーから! そんな話があるならオフィスに連絡行ってるに決まってるだろって! もう何もいねぇよ」
「ええー?」
「だからこの話はこれでしまいだ! 明日確かめてきてやるから!」
 俺が怖くなるからやめろ、とは彼は言わなかった。
 言えなかったのである。

●頭上より
「くっそ、あの軟弱野郎が妙なこと言うから落ち着かないじゃねぇか」
 翌日、斧のドワーフは件の山に入って、武器に使う材木の下見をしていた。後で仲間と来て、お目当ての木を切り倒すのだ。ぶっつけ本番で来ても仕方ないのでこうして先に来て良い木を探すのである。
「もし、そこの方……」
 突然、女の声に呼び止められて、斧のドワーフは鳥肌が立つのを感じた。
「なななななな、何だよ!」
「こちらに良い木がありますよ……」
「ほ、本当か?」
「ええ、本当ですよ。さあこちらへいらっしゃい……」
 本当なら、ここで逃げ帰ってオフィスに通報するべきなのだ。しかし、彼は恐らく歪虚であろうそれに背中を向けるのが嫌だった。そんなことはプライドが許さない。
「おう、案内してもらおうじゃねぇか」
 と、乗ってしまったのである。
 声に案内されるがままに、彼は山の中に入って行った。急な斜面に連れて行かれることはわかっていたので、慎重に進む。
「そこに大きな石がありますから、飛び越えてくださいまし」
 と、言われて彼はピンときた。ははあ、これで、飛び越えた先が斜面、と言うわけだ。
「はっ、お前、自分のことが知られてないとでも思ってんのか? 有名だぜ。残念だがここまでだ。俺はこのままハンターオフィスに通報する。どうだ、悔しいだろう」
 恐らく女の姿をしているであろう歪虚にしたり顔を見せてやろうと、彼は上を見た。そして仰天した。
 ミイラのようにひからびた、男とも女ともつかない人間のようなものが、奇妙に捻れた姿勢で枝にぶら下がっているからである。
「おのれ……!」
 静かに憤慨したような、低い声。
「ひええええええ!!!!!」
 斧のドワーフは一目散に来た道を引き返した。そしてハンターオフィスに通報した。

●ハンターオフィスにて
「やれやれ……おのれ、なんてどの口で言うんだろうね」
 ハンターオフィス中年職員はこめかみに手を当てた。斧のドワーフは丸くなってソファに座っている。その背中を撫でて宥めているのがエルフの青年で、口元を抑えてそっぽを向いているのが槍のドワーフだ。どうやら、槍の方は笑いをこらえているらしい。これでも当人同士は友人だと言うのだから関係性というのはわからないものである。
「樹上に潜んでいるようだが、山だからね。木々の間を飛んで対決するわけには行かないだろう。まずは下ろさないといけない。木を切り倒すか、遠距離攻撃で撃ち落とすか、引きつけるか、まあそれは君たちに任せる。くれぐれも気をつけてくれ」

解説

●目的
怪談雑魔の討伐

●敵情報
怪談雑魔×3
実は3体いた雑魔。性別は不詳で長い髪を振り乱して樹上を移動する。ミイラのように見えるが多少叩いたところで折れる感じではない。
枝を折っての投擲、地面では石の投擲、土を投げての目つぶし、大きい石で打ちかかるなどなど。攻撃手段は原始的です。
目つぶしは行動阻害(強度1)のBS判定が入ります。
なお、斜面に近い人には飛びかかって落とそうとしてきます(PL情報)。
便宜上A、B、Cとします。

●現場について
噂や証言に登場する山のてっぺん。登山道、と言うほどではありませんが利用者が作った道があり、そこから外れて藪の中に入ると抜けた先が急な斜面になっています。利用者は皆登ってから折り返していたのでてっぺんまでの道が1本です。
あまり整備はされておらず、草木は割と野放図です。障害物はあるものの、それ以外での移動に制限はかかりません。
ただしうっそうとしているので、敵が地上に降りた場合は、双方の命中に-30%の補正がかかります。
雑魔が樹上にいるときは高さ2キューブとします。
広さは動き回るのには困らないとお考えください。

飛行は不可です。

●木を切り倒す場合
筋力を使用して一般行為判定にて難易度2で判定します。メインアクションを消費します。

マスターより

あけましておめでとうございます、三田村です。
冬ですし、怪談の類型たる「もう少しだったのに」はやっておかねばと。
「もう少しだったのに」はOPにも書きましたが、悪意があったとわざわざ言ってくるところが、めちゃくちゃ根性悪いなって思いつつ怖いので好きなパターンの一つです。

ところでこの雑魔をなんと形容したら良いのかわからなくて怪談雑魔って呼んでるんですけどもし良い命名があったらプレイングでどしどしご提案ください。

今年もよろしくお願いします。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/01/18 01:06

参加者一覧

  • 赤き大地の放浪者
    エアルドフリス(ka1856
    人間(紅)|30才|男性|魔術師
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
  • 風雅なる謡楽士
    玲瓏(ka7114
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 舌鋒のドラグーン
    エンバディ(ka7328
    ドラグーン|31才|男性|魔術師
依頼相談掲示板
アイコン 怪談雑魔討伐【相談卓】
エアルドフリス(ka1856
人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/01/10 22:02:54
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/01/08 14:38:12