• 東幕
  • 戦闘

【東幕】願わくば侍なき世を……

マスター:近藤豊

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 3~4人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
プレイング締切
2019/01/17 15:00
リプレイ完成予定
2019/01/26 15:00

オープニング

 詩天と泰山で発生した騒動は、歪虚が起因していた事で治まったかに見えた。
 双方が矛を収めて統制を強化していたが、火種は思わぬところから上がってきた。

「水野殿っ!」
 三条家軍師の水野 武徳(kz0196) は張る本陣に、楠木 香(kz0140)が飛び込んできた。
 余程急いで 来たのだろう。息を切らせながら、礼をそこそこに武徳へ対面する。
 一方、武徳は。
「思ったよりも早かったな」
「その落ち着きよう……来るのを察しておられたな」
 香と対称的な武徳の態度。
 事の発端は、幕府の影響力低下にあった。度重なる雑魔の襲撃や高位歪虚の暗躍を許した事で高い戦力を保有する幕府の不要論を叫ばれ始めたのだ。
 特に朝廷側から大政奉還を要求するかのような発言も飛び出した事で、東方の諸国は大きく揺れる事になった。
「先日も命を狙われたからな。それに手紙も届いておる故……」
「手紙?」
「いや、何でもない。それより……反乱した国衆を討ちにきたか?」
「……!」
 香は言葉を詰まらせる。
 香が急遽詩天へ急いだ理由は、詩天内での『内乱』であった。
 幕府の求心力低下による朝廷の発言権増大。さらに幕府から武家へ発令された『民の敵たる歪虚を殲滅せよ』という命は、各武家の武力増強に正当性を与える事となった。
 軍備か整えば、野心を持つ者も現れる。
 武徳は静かに語り始める。
「先日、隠忍倭衆が掴んだ話では武家の間で三条家に対する流言工作が仕掛けられておったわ。下位の武家である三条家が、次期政権の要職を狙い、真美様を帝へ差し出したとな」
「馬鹿な。三条家はお家存続の為に、婚儀には反対であろう!」
「工作を仕掛けた者にとって、真実などどうでも良い。必要な事は国衆を動かす事じゃからな」
 流言を仕掛けた者の思惑は成功した。
 この流言で困った国衆は、勝ち組と定めて幕府に関与せんとする三条家を見限り、反乱を起こしたのだ。
 武徳は騒乱に備えていた為、国衆が若峰の北にある入間原へ集まった所を見計らって布陣。敢えて奇襲を行わず、睨み合う形を取っていた。
「その者は東方を再び戦国の世へ戻す気なのか……」
「これもすべて幕府が不甲斐なさよ。帝が心を痛め、朝廷と幕府を廃そうとなされるのも分かるわい」
「…………」
「楠木殿、単身で参ったのではあるまい? 手勢はどうされた?」
「入間原の南で待機させている」
「ならば良い。幕府の兵まで現れたとなれば、国衆は降伏どころか死兵となってこちらへ攻め入るであろうからな。被害を抑える為に仕掛けた策が失敗するところじゃったわ」
「策?」
 香は問いかけた。
 既に武徳は国衆鎮圧へと動いていたようだ。それを示すかのように隠忍倭衆が一人姿を見てる。
「殿。理鶯山に陣が張られております。馬印は、三階笠。若き武将が命を下しております」
「なるほど、黒幕は観音坂か。あの生真面目息子が工作とはのぅ。
 ハンターへ理鶯山で布陣する敵陣を攻撃するよう伝令を走らせい。武将は生け捕りでも討ち取っても構わん」
 武徳は、隠密に敵陣を探らせていた。
 国衆との交戦を見計らって武徳を奇襲するのであれば、何処かからこちらの動きを見張っているはず。武徳はそれを逆手に取り、敵陣をハンターに奇襲させるつもりだった。
「待て、水野殿。観音坂を生け捕ってどうされるつもりだ?」
「処遇は検討するが、君主の子息が他国へ工作を仕掛けたのじゃ。出方次第じゃが、打ち首も致し方あるまい」
「……!」
 香も覚悟した答えであった。
 他国への工作を子息の暴発として処理すれば、三条家と観音坂家の衝突は手打ちとなる。その場合、攻め入った子息は切腹。
 逆に観音坂家が抵抗すれば三条家は対抗せざるを得ない。その場合、双方で戦闘は大規模化。民の血は流れ、子息は打ち首となるだろう。
「戦が大きくなればさらに大きな戦乱となる、か。子息を生かせば責任の所在は何処へ求めるのか……」
「これも戦国の世の習いよ。そうせねば、裏切った国衆を罰せねばならん。見せしめも仕方あるまい。
 そして、この事件をおぬしは忘れてはならん。元糺せば幕府が招いた種。時流を見失えば、更なる血が流れる事と知れ」
 武徳の言葉が、香の心へ突き刺さった。


「馬鹿な! ここに来て、父は私を見捨てるのか!」
 若き武将、観音坂智則は憤慨した。
 父であり、隣国の領主の観音坂公康は幕府を救う名目で智則に三条家攻略を命じていた。
 すべては幕府を利用せんとする三条家を倒し、幕府への忠義を示す為。
 最初は反対していたが、公康の説得に応じた智則。
 己の殺して工作を指示したが、公康は旗色が悪いと判断した途端、自らは何も知らなかった、すぐに投降しろとの手紙を寄越した。
 切り捨てられた。
 それが智則の抱いた率直な言葉であった。
「若、如何されますか?」
「…………」
 年老いた老将の言葉に、智則は黙した。
 死が怖いのではない。このまま国衆と共に三条家と戦っても、本国は争う気がない。下手をすれば本国と三条家の双方から討たれる。国衆もただでは済まない。
 では、投降して黒幕は公康だと訴えるか? いや、詩天での工作は事実であり、自らの切腹は免れない。さらに三条家も争う気の無い観音坂家と争えば第三国の介入を招く恐れもある。真実が異なると分かっていても自分の切腹で手討ちとするだろう。
「下手に生かせば、責任の所在は父上へ求める事となる。それは悪戯に民の血を流す事になる、か」
「若?」
 家臣の問いかけに、智則は心を決めた。
「爺、腹を決めた。
 戦だ。この智則、汚名を着て戦場で散って見せよう!」
 猛る智則。
 しかし、本陣にハンターが迫っている事を、智則は知らなかった。

解説

目的:観音坂智則を討ち取る、もしくは生け捕りにして武徳へ引き渡す。
概要:他国が詩天への流言工作を行ったことで、若峰より遠い国衆が三条家打倒へ動き出す。事前に動きを察知していた水野武徳は入間原で布陣。国衆の一団と睨み合う。この最中、武徳は他家の本陣を発見。ハンターを敵陣へ奇襲を命じます。
一方、国衆扇動に失敗した観音坂智則は、幕府の為と思って動いたものの、父親から捨てられて孤立無援となっています。死を覚悟した智則は三条家との戦いを決意するのですが……。

敵:
 観音坂家家臣 × 6
 舞剣士。智則の側近であり、それなりに腕は立ちますが、熟練ハンターと比べれば経験は不足しています。日本刀と東方の甲冑を装備しています。

 観音坂智則
 舞剣士。今回の国衆反乱を扇動しようとしていた隣国の武将。父親から切り捨てられ、自ら戦場で散る事を覚悟しています。部隊を指揮するのは初めてで、長年付き添った老将も同行しています。日本刀と東方の甲冑を装備しています。

備考:依頼はハンターが敵陣へ奇襲を仕掛けたところから開始します。あまり時間を掛けすぎると智則が国衆へ攻撃開始を指示して武徳の軍と衝突します(シナリオ結果に影響します)。また反乱した国衆の一族郎党処罰されます。

プレイングに智則の処遇を記載願います。
なお、予想される選択肢は下記になります。

智則を戦場で討つ→騒乱は終了。智則は汚名を着せられるが、それ以上の争いはなし。
智則を生かして武徳へ引き渡す→智則は汚名を着せられ打ち首になるが、それ以上の争いはない(助命嘆願しても高確率で打ち首になります)
智則を生かして逃がす→依頼は失敗して武徳からの信頼は低下、幕府の影響力もさらに低下します。また智則が本国に捕まれば即時打ち首になります。
その他→プレイングに記載すれば判断しますが、かなりリスクが高い物もあります。

マスターより

近藤豊です。
幕府の影響力低下は、東方の支配体制を揺るがすに繋がります。それは、かつて起こった戦乱の世を呼び起こすものであり、放置すれば民の被害は大きくなっていきます。

起こってしまった事は戻せません。
それぞれが未来を見据えて動いた結果ではありますが、大切なのはその結果に対して幕を如何に引くか。
それがこの依頼の鍵であり、新政府を担う者が背負うべきものではないでしょうか。

それでは、おでんを肴にお待ちしております。

関連NPC

  • 楠木家家長
    楠木 香(kz0140
    人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|舞刀士(ソードダンサー)
  • 三条家軍師
    水野 武徳(kz0196
    人間(クリムゾンウェスト)|52才|男性|舞刀士(ソードダンサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/01/20 08:09

参加者一覧

  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火(ka4407
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • 飢力
    不動 シオン(ka5395
    人間(蒼)|27才|女性|闘狩人
  • 変わらぬ変わり者
    ハンス・ラインフェルト(ka6750
    人間(蒼)|21才|男性|舞刀士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
エルバッハ・リオン(ka2434
エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/01/15 01:23:04
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/01/13 11:40:38