• 戦闘

【糸迎】裁きを受けるひと

マスター:三田村 薫

このシナリオは2日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
魔術師協会広報室

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加人数
現在5人 / 3~5人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2019/01/25 19:00
リプレイ完成予定
2019/02/05 19:00

オープニング

●前回までのあらすじ
 フマーレで発生していた連続連れ去り・傷害事件。その犯人は、嫉妬歪虚アウグスタと契約した退役軍人ザイラ・シェーヴォラ。迎えが間に合わなかったことに心の折れた彼女はアウグスタの誘いに乗って契約し、自分が救えなかった怪我人を、何の関係も無い人間に投影して連れ去っていたのである。自分ではない迎えに対して嫉妬したアウグスタが被害者を襲って怪我をさせていた。

 ハンターたちの尽力により、アウグスタを退けザイラは確保。戦闘の際に大怪我をした彼女は監視付きで治療を受けていたが、その傷も癒えた。証人もいる、証拠もある、本人の自白もある。裁判の日取りも決まり、ハンターたちにも証人として出廷が求められた。

 だが、一つだけ未解決のことがある。

 ザイラとアウグスタの契約はまだ残っているのだ。

●オフィスの心配事
「君たち、ザイラの裁判に出るんだろう?」
 オフィス中年職員は、ハンターたちをそう言って呼び止めた。
「アウグスタと彼女の契約はまだ切れてないらしい。もしかしたら、アウグスタがザイラを取り返しに来る可能性もある。とは言え、彼女も今度は別のハンターにちょっかい掛けてるようだからザイラをどうする気なのかはちょっと予想がつかない。くれぐれも気をつけて」

 ハンターたちは、彼の言うことに頷いて裁判所に向かった。

●償いの法廷
 裁判所には、証人としてオフィス職員の平坂みことと、魔術師のヴィルジーリオも到着していた。みことはザイラを捕縛したときに連れ去られていた被害者で、ヴィルジーリオはその時に彼女をオフィスに連れ帰っている。
「あ、皆さんこんにちは。今日は私証人なんですよぉ」
「お疲れ様です。何事もなく終わると良いですね」
 無表情ではあるが、彼も少し神経質になっているようではある。アウグスタを警戒しているのだろう、ハンターたちには、彼の装備が戦闘に備えたものであることがわかった。

 やがて、裁判が開廷した。覚醒者としての装備を全部外された、着の身着のままのザイラは少しやつれているように見える。裁判官は、証言台に立った彼女に対して罪状を読み上げる。
「相違ありませんか?」
「はい」
 ザイラは頷いた。彼女の弁護士も、それを穏やかな顔で見守っている。
 戦うためではなくて、償うための裁判だと受け止めているようだ。被害者たちも、ザイラに対しては同情的で、どちらかと言えば怒りはアウグスタに向いているようにも見える。とは言え、実行犯である彼女を責める声もあるし、責任があることは間違いない。

「では、次に平坂さんに証言をお願いします」
 控え室で待っていると、みことを迎えに職員がやって来た。彼女が立ち上がって出て行こうとしたその時だった。

 建物の外から、けたたましい金属音が響いたのは。

 ハンターたちはすぐにそれがアウグスタの乗る鉄板の蜘蛛であることに気付いた。法廷が危ない。慌てて飛び込む。
「たたた、大変です!」
 様子を見に行っていたらしい職員も駆け込んできた。
「三メートルはある大型蜘蛛に騎乗した少女が接近! アウグスタのようです!」
 その声に、傍聴席が一気に騒がしくなった。
「おい! あんたが契約してるんだろ! どうにかならないのか!」
 一人の男性がザイラに怒鳴った。ザイラは首を横に振る。
「私の指示を彼女は聞かないわ」
「じゃあどうするんだよ! あんたがいるからここに来たんだろう!」
「それはわからない……でもやることは一つしかない」
 ザイラは裁判長を見た。
「裁判長、アウグスタを撃退します」
 法廷が騒がしくなった。
「幸い、今日は証人として頼もしいハンターが何人も来ています。彼らの手を借りれば、アウグスタを撃退するのも難しくはないはずです。私も助力します。戦闘装備の許可を」
「信用できない!」
 先ほどの男性が怒鳴った。
「信用できない! 装備を渡したら、また歪虚の味方をするかもしれない! 契約しているんだから! 人類の裏切り者、それをどうして信用できる!」
「彼女は私を逃がしてくれました!」
 みことが反論する。
「ええ、無傷で逃がしています。そもそも、傷害の実行犯は彼女ではない。私はどちらの味方をするつもりもありませんが、その辺は再確認しておかないとフェアではありませんね」
 ヴィルジーリオも言葉を添える。彼はハンターたちを見た。
「私より、彼らの意見を聞くべきでしょう。この件に関わっているか、少なくとも経緯を追っている方々です。私より彼女のことはわかっているはずです」
 ザイラもハンターたちを見る。
「力になるわ」
 轟音がした。玄関部分に蜘蛛が激突したらしい。建物が揺れる。
「危ない! 職員の方は避難誘導を! 皆さんは避難してください!」
 ヴィルジーリオが駆け出した。ザイラを糾弾している男は、傍聴席と法廷の境にある手すりを掴んで身を乗り出す。彼はザイラに人差し指を突きつけた。
「俺は逃げないぞ! この女が歪虚の尖兵だと認めない限り……」
「いい加減になさい」
 赤毛の魔術師はその男の腕を掴む。
「それを決めるのはあなたではない。ここは法廷です」
 ヴィルジーリオは男の関節を押さえながら引きずるように法廷を出て行った。既にほとんどの一般人は逃げ出している。あとは裁判長、ザイラと弁護士、ハンターたちだ。
「裁判長、私からもお願いします」
 弁護士が言った。
「弁護士さん、あなたも逃げて」
「いや、あなたの弁護士としてこれだけは言わないと。裁判長、ザイラ・シェーヴォラはその動機からして、困っている人間を放っておけない人格です。こうして罪を認め、出廷している以上、その善意を疑うべきではありません」
 裁判長は考えている。
「あとはあなたたちだけです」
 ヴィルジーリオが戻って来た。
「裁判長、ご判断を」
「うむ。では、君たちの意見を聞かせてくれないか?」
 裁判長はそこでハンターたちを見た。
「彼女に武器を持たせるべきか。もし持たせるべきならば、彼女の装備は証人控え室の右隣に保管してある。緊急事態だから蹴破ってくれて構わない。持たせないべきなら、彼女は我々と共に避難だ」
 彼が言い終わった瞬間だった。こんこん、とノックの音がする。法廷とロビーを結ぶ大きな扉からだ。
「こんにちは。ごめんなさい、ハンターに追われて建物を壊してしまったの」
 幼い少女の声。
「すぐにお暇しようとしたけど……そこにザイラがいるわね?」
「アウグスタ……」
「ねえ、ザイラ。この前はあんなことになっちゃったけど、また私と一緒に来てくれる気はある?」
「……」
 ヴィルジーリオが杖を構えた。ザイラがそれを制する。
「お外で待ってる。早く来てね」
 靴音が遠ざかった。ザイラはハンターたちを見る。
「私はアウグスタに言わないといけないことがある」
 その黒い目には固い決意が灯っていた。

解説

●目的
アウグスタの撃退

●敵情報
アウグスタ
サイズ2の鉄板蜘蛛に騎乗(ユニット扱い)。
蜘蛛による突進、噛み付き(強度3毒)、糸を吐く(サブ強度3行動阻害)が攻撃手段。
一定のダメージを与えると撤退。あるいはハンターとのやりとりで撤退する可能性もあり。

小型蜘蛛雑魔×50
サイズ1。小型犬程度。
蜘蛛による突進、噛み付き(強度1毒)、糸を吐く(サブ強度1行動阻害)が攻撃手段。
一般人でも椅子で殴れば倒せる程度の雑魚。

●場所
裁判所正面玄関前。町外れにあるので隣の建物まで結構離れている。植木や花壇などの障害物は多少あり。
正面扉は蜘蛛が激突した衝撃で吹き飛んでいる

●友軍
ザイラ(機導師レベル35相当)
参加PC全員が裁判長に装備許可を求めることで参戦。装備は控え室の隣室まで取りに行く必要がある。
参戦した場合は、アウグスタに対して、自分にもうアウグスタの力は必要ないのだと言うことを告げる予定。
「私たちは、お互いに駄目になってしまう。あなたがただの悪党だとは思えない。だから、もう終わりにしましょう」

ザイラの参戦は全員の「許可要請」が必要。1人でも反対があった場合や、プレイングにて言及がない場合は「消極的な反対」と扱われ避難する。
その場合のセットスキルは、攻性防壁、デルタレイ、ファイアスローワー、エレクトリックショック。

ヴィルジーリオ(魔術師レベル30相当)
避難誘導兼避難した人たちの護衛。セットスキルはファイアーボール、マジックアロー、ストーンアーマー、ウィンドガスト。
戦局が危ういようなら合流するが基本的に一般人の護衛。

●アウグスタが言っていたハンターたち
追いつけないのでリプレイ中には登場しない。

●その他
裁判長と弁護士はザイラの装備可否の結論が出た時点でヴィルジーリオに伴われて避難する。平坂はOP中に避難済み。

マスターより

こんにちは三田村です。
【糸迎】最終話となります。
実はここまでの過程で当初と筋書きが大幅に良い方向へ変わっています。プレイング次第でいかようにも変わるんだな……と言うのを痛感しております。今回も、プレイング次第では予想と大きく違うことが起きるかもしれません。
どうぞよろしくお願いします。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/01/31 01:14

参加者一覧

  • THE "MAGE"
    フワ ハヤテ(ka0004
    エルフ|26才|男性|魔術師
  • 金糸篇読了
    イリアス(ka0789
    エルフ|19才|女性|猟撃士
  • 死者へ捧ぐ楽しき祈り
    レオン(ka5108
    人間(紅)|16才|男性|闘狩人
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 私は彼が好きらしい
    穂積 智里(ka6819
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
フワ ハヤテ(ka0004
エルフ|26才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/01/25 11:03:44
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/01/23 21:17:29