ゲスト
(ka0000)
幻灯の殺人鬼
マスター:まれのぞみ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在5人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/01/29 19:00
- リプレイ完成予定
- 2019/02/07 19:00
オープニング
雑多な物がならぶバザール。
狭い界隈に立ち並ぶ数百はあろうかという露天の店先には、さまざまな品々が並び、異国から運ばれた奇妙な品や、あるいはどこかの貴族の家から流れてきたとおぼしき宝飾品の類までもが並んでいる。
良き物も、悪しき物も、あらゆる品々が並んでいるといわれるだけはある。
そして良きことも、悪しきことは人も同じ。
品の良さそうな婦人が頭からマントかぶり、隠れるようにして人ごとの中を歩いている。
懐の財布をぎゅっと握っているのは、街の守備隊の隊長をする夫からは、女ひとりでいくのはあまり感心がしないといわれている場所だからだ。
すでに、何人もの手が懐を狙って近づいてきたことがわかった。
早く去りたい――
気持ちが急く。
客を引く声が妙に耳に響く。
このような場所に婦人が足を踏み入れたのは、じきに仕事を辞し、引退をする夫の為であった。
それまでの人生に感謝として、何かを贈りたいのだ。
「そこな方――」
声がした。
「はい?」
まるで心を奪い去ろうとするような鋭い声だ。
女が振り返ると、そこには誰の姿もなかった。
ただテントがひとつ、物が一個。
箱だ。
黒い箱がぽつりとあった。
周囲の気配が消える。
婦人は手をのばすと、それを懐にしまい、女はその場を去った。
そのまなざしには生気はなかった。
●
「おや、こんなものを買ったことがあったかな?」
男が、それを見つけたのはすでに眠る支度を終えてからのことであった。
すでに毎夜のようにつづいた年末年始の――彼の公務としての――祝い事も一通り終わり、しばらくは、いやじきに静かな宵がつづくはずである。
「さぁ?」
昼間、それを手にしていたはずの女は首をかしげた。
正気を取り戻した瞳には、まるで記憶にないという困惑が浮かんでいる。
「まあ、わしが買ったまま放っておいた物かもしれんな」
中身を確認し、それがオルゴールであり、箱の中に蝋燭をつけると音に合わせて影絵があたりの壁に映し出す機械仕掛けがあることがわかる。
異界より艦が来ていらい、異世界の遊びも世間には広まってきて、幾らか変わってきたが、旧来の――あるいは古風なと呼んでいいだろうか――世界の娯楽を好む者も多い。
時代に取り残されていると若い者はいうが、最新を追い続けるというのは勢い体力と精神力がいることなのだ。すでに過去の遺物と呼ばれる身となり、この春には職を後輩に託すことに決めている男は、そう考える。
すくなくとも保守的な性格をする妻と老いを供にするには、それで十分ではないだろうか――償いの思いを抱きながら男は、そう考える。
男は新婚の頃やったように、ベットの上でオルゴールを開いた。
●
まわる、まわる――
鉄をはじきながらオルゴールが音楽を奏でる。
幻灯が回る。
周囲に羊が牧場を歩く影絵が映る。
羊が一匹、二匹、三匹――やがて――少女がそれを追いはじめる。そして、その後から狼が迫ってくる。
小さな悲鳴をあげかけて、恥ずかしそうに妻は口元を隠して夫に笑いかけた。夫も、暖かな笑みが応える。
曲がつづく。
「おや?」
曲が変わっている。
暗い、まるで葬儀のような曲だ。
影絵の動きも変わっている。
羊が消えた、少女の姿もない。
ただ、狼が、狼のみがくわっと口を開き――その巨大な歯の影は現実の刃となって夫婦を襲った。
深夜、悲鳴が館に響いた――死ヲ死ヲ血ヲ血ヲ――
●
昨日までの上司も、もはやこうなってしまっては、かつては隊長と呼んでいた物だな――と心の中では不敬なことをつぶやきながら、街の警護を担う副隊長は手ではシーツのかぶせられた死骸を前に聖印を切る。
仲むつまじかった夫婦とも――あるのならば――死後の世界で生前はなしえなかった余生を幸せに暮らしてもらいたいものである。
「それにしても惨いですね」
部下が目を見張っている。
淡い白で彩られた寝室のベットや壁は鮮血にまだらに彩られ、昨夜、寝室にいた夫婦を襲った惨劇はいかなるものであったのかを物語っている。
「そういえば、こんな風に人を殺しまくった殺人鬼がいましたね」
なにげに思い出したのは何十年前の事件。
「ああ、そういえば上司殿の初手柄の仕事だったか」
記憶の書物の端にある事件だ。
当時、まだ若かった故人が、正体不明であった連続無差別殺人犯を仲間たちとともに追い詰めたというものだ。
「最後はどうなったんだっかな?」
「世間への逆恨みを口にしながら、上司殿たちに追い詰められての自死でしたっけ?」
「死ヲ死ヲ血ヲ血ヲ……だったかな?」
「ああ、そんな言葉でしたね。よく知ってらっしゃる」
「子供時代、亡くなったバアさまが子守唄代りのつもり夜な夜な聞かされて、一時期はトラウマになったからな」
「ご愁傷様です」
「その話がらみだったら、その件での恨みということはないだろうな。それに、これは人がやったというにはどうも腑に落ちない」
「どうしてです?」
「お前、あの方に剣の練習で勝てたことがあったか? あの方がいくら寝起きを襲われたとは言え、なんの反撃もなく倒されるとは俺には思えないんだ」
ベットには柄に収まったままの剣がある。
「するとヴォイドがらみですか?」
「知らんな。ハンターズギルドにでも相談を持って行くか?」
「それも手ですね――」
いい手も浮かばず、そうすることとなる。まこと、頭を失った組織は動きが鈍いものである。
そんな中、部下のひとりが、証拠品だと言って生気のない目のまま箱を、宿舎へと運んでいった。
狭い界隈に立ち並ぶ数百はあろうかという露天の店先には、さまざまな品々が並び、異国から運ばれた奇妙な品や、あるいはどこかの貴族の家から流れてきたとおぼしき宝飾品の類までもが並んでいる。
良き物も、悪しき物も、あらゆる品々が並んでいるといわれるだけはある。
そして良きことも、悪しきことは人も同じ。
品の良さそうな婦人が頭からマントかぶり、隠れるようにして人ごとの中を歩いている。
懐の財布をぎゅっと握っているのは、街の守備隊の隊長をする夫からは、女ひとりでいくのはあまり感心がしないといわれている場所だからだ。
すでに、何人もの手が懐を狙って近づいてきたことがわかった。
早く去りたい――
気持ちが急く。
客を引く声が妙に耳に響く。
このような場所に婦人が足を踏み入れたのは、じきに仕事を辞し、引退をする夫の為であった。
それまでの人生に感謝として、何かを贈りたいのだ。
「そこな方――」
声がした。
「はい?」
まるで心を奪い去ろうとするような鋭い声だ。
女が振り返ると、そこには誰の姿もなかった。
ただテントがひとつ、物が一個。
箱だ。
黒い箱がぽつりとあった。
周囲の気配が消える。
婦人は手をのばすと、それを懐にしまい、女はその場を去った。
そのまなざしには生気はなかった。
●
「おや、こんなものを買ったことがあったかな?」
男が、それを見つけたのはすでに眠る支度を終えてからのことであった。
すでに毎夜のようにつづいた年末年始の――彼の公務としての――祝い事も一通り終わり、しばらくは、いやじきに静かな宵がつづくはずである。
「さぁ?」
昼間、それを手にしていたはずの女は首をかしげた。
正気を取り戻した瞳には、まるで記憶にないという困惑が浮かんでいる。
「まあ、わしが買ったまま放っておいた物かもしれんな」
中身を確認し、それがオルゴールであり、箱の中に蝋燭をつけると音に合わせて影絵があたりの壁に映し出す機械仕掛けがあることがわかる。
異界より艦が来ていらい、異世界の遊びも世間には広まってきて、幾らか変わってきたが、旧来の――あるいは古風なと呼んでいいだろうか――世界の娯楽を好む者も多い。
時代に取り残されていると若い者はいうが、最新を追い続けるというのは勢い体力と精神力がいることなのだ。すでに過去の遺物と呼ばれる身となり、この春には職を後輩に託すことに決めている男は、そう考える。
すくなくとも保守的な性格をする妻と老いを供にするには、それで十分ではないだろうか――償いの思いを抱きながら男は、そう考える。
男は新婚の頃やったように、ベットの上でオルゴールを開いた。
●
まわる、まわる――
鉄をはじきながらオルゴールが音楽を奏でる。
幻灯が回る。
周囲に羊が牧場を歩く影絵が映る。
羊が一匹、二匹、三匹――やがて――少女がそれを追いはじめる。そして、その後から狼が迫ってくる。
小さな悲鳴をあげかけて、恥ずかしそうに妻は口元を隠して夫に笑いかけた。夫も、暖かな笑みが応える。
曲がつづく。
「おや?」
曲が変わっている。
暗い、まるで葬儀のような曲だ。
影絵の動きも変わっている。
羊が消えた、少女の姿もない。
ただ、狼が、狼のみがくわっと口を開き――その巨大な歯の影は現実の刃となって夫婦を襲った。
深夜、悲鳴が館に響いた――死ヲ死ヲ血ヲ血ヲ――
●
昨日までの上司も、もはやこうなってしまっては、かつては隊長と呼んでいた物だな――と心の中では不敬なことをつぶやきながら、街の警護を担う副隊長は手ではシーツのかぶせられた死骸を前に聖印を切る。
仲むつまじかった夫婦とも――あるのならば――死後の世界で生前はなしえなかった余生を幸せに暮らしてもらいたいものである。
「それにしても惨いですね」
部下が目を見張っている。
淡い白で彩られた寝室のベットや壁は鮮血にまだらに彩られ、昨夜、寝室にいた夫婦を襲った惨劇はいかなるものであったのかを物語っている。
「そういえば、こんな風に人を殺しまくった殺人鬼がいましたね」
なにげに思い出したのは何十年前の事件。
「ああ、そういえば上司殿の初手柄の仕事だったか」
記憶の書物の端にある事件だ。
当時、まだ若かった故人が、正体不明であった連続無差別殺人犯を仲間たちとともに追い詰めたというものだ。
「最後はどうなったんだっかな?」
「世間への逆恨みを口にしながら、上司殿たちに追い詰められての自死でしたっけ?」
「死ヲ死ヲ血ヲ血ヲ……だったかな?」
「ああ、そんな言葉でしたね。よく知ってらっしゃる」
「子供時代、亡くなったバアさまが子守唄代りのつもり夜な夜な聞かされて、一時期はトラウマになったからな」
「ご愁傷様です」
「その話がらみだったら、その件での恨みということはないだろうな。それに、これは人がやったというにはどうも腑に落ちない」
「どうしてです?」
「お前、あの方に剣の練習で勝てたことがあったか? あの方がいくら寝起きを襲われたとは言え、なんの反撃もなく倒されるとは俺には思えないんだ」
ベットには柄に収まったままの剣がある。
「するとヴォイドがらみですか?」
「知らんな。ハンターズギルドにでも相談を持って行くか?」
「それも手ですね――」
いい手も浮かばず、そうすることとなる。まこと、頭を失った組織は動きが鈍いものである。
そんな中、部下のひとりが、証拠品だと言って生気のない目のまま箱を、宿舎へと運んでいった。
解説
すこし未来語り。
なにやら曰くありげな箱は、この先、街の中央部にある守備隊のある建物の一室に保管されることとなります。そこは、街の警察署のようなところでひとの出入りは多いですし、小さいながらも犯罪者たちを閉じ込めておく監獄もあります。
さて、このような場所で、あの箱が暴れたならばどうなるでしょうか?
ひとの多数出入りする場え、はて、さてどのような惨事が起こりえるでしょうか?
それを阻止をするのは、皆さんだけなのです。
なにやら曰くありげな箱は、この先、街の中央部にある守備隊のある建物の一室に保管されることとなります。そこは、街の警察署のようなところでひとの出入りは多いですし、小さいながらも犯罪者たちを閉じ込めておく監獄もあります。
さて、このような場所で、あの箱が暴れたならばどうなるでしょうか?
ひとの多数出入りする場え、はて、さてどのような惨事が起こりえるでしょうか?
それを阻止をするのは、皆さんだけなのです。
マスターより
いまさならながら、新年あけましておめでとうございます。
今年が皆様にとってよい年でありますように。そして、ファナティックブラッドもクライマックスに向かって全力で走り抜きましょう!?
今年が皆様にとってよい年でありますように。そして、ファナティックブラッドもクライマックスに向かって全力で走り抜きましょう!?
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/02/07 00:42
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/01/29 15:04:12 |
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死を撒き散らす悪意を探して ディーナ・フェルミ(ka5843) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2019/01/29 15:08:13 |