• 無し

星空の煌きと冬の吐息

マスター:ことね桃

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 3~6人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
プレイング締切
2019/01/29 12:00
リプレイ完成予定
2019/02/12 12:00

オープニング

●ある職員の憂鬱

 午後を迎えたばかりの帝都近郊にあるハンターオフィス。
 そこで只埜 良人(kz0235)は同僚が淹れてくれた紅茶を飲みながら昨年の資料を読みふけっていた。
 帝国の民主化の動きは民主制の国家出身の自分には好ましいものであるし、過去の戦争の禊が終わりつつある流れにも安堵している。
 だが歪虚王ハヴァマールの行方や、先の戦争で共闘したアイゼンハンダーの動向など気になるものは数多くある。
(とはいえハンター達や他のオフィスから話を纏め、本部に伝えるぐらいしかできないか、今は)
 彼は自分にもっと力があれば前線で高位歪虚に尋問する機会もあるだろうに、と苦い想いを抱えつつ書類をファイルに綴じた。
 そんな時、軽やかにドアベルの音が響いた。そこにいるのは20代前半と思しき女性と子供達。いずれもリアルブルー由来の意匠の服を着ている。
「あの、こちらに来ればハンターの方にお仕事を依頼できると聞きましてやって参りました」
「ええ、依頼について詳細をお話しいただけましたらハンターに通達いたします。ところでどのようなご用件で?」
「私、日野原裕乃と申します。御覧の通り私達はリアルブルーから避難してきた者なのですが……私は天文学を専攻していた大学生で。それで子供達に定期的に星空観察のボランティアをしていたんですね。……でも」
「でも?」
 表情を曇らせる裕乃。カウンター越しに良人が身を乗り出すと、彼女は下唇を噛んで言葉を選ぶように続けた。
「子供たちの中には親と離れて避難している子も少なくなくて……避難先の宿舎で夜中に泣く子がいるんです。ですから日常を少しでも取り戻せるように、星空観察をまたやりたいなって思っていて。でも帝都では街灯が眩しくて星が見えにくいでしょう? ですから、ハンターさんに護衛してもらって星空観察をしたいと思っているんです」
「なるほど……それはいいことですね」
 良人は依頼書に要件を書きながら大きく頷いた。最近は歪虚由来の事件が減り、亜人との諍いもほぼ発生していない。天候さえよければ安全に美しい星空を観られることだろう。
「それに私もクリムゾンウェストの星空には興味があるんです。リアルブルーの星は有名なものをほとんど望遠鏡で観てきましたが、こちらでは見えるものが全然違うから。もし不思議な形や変わった色の星を見つければ子供達もきっと喜ぶに違いありません」
 にこりと微笑む裕乃。探求心と子供達への愛情で満たされているのだろうと良人は思った。
「それでは行き先は帝都の外にある森で、一晩キャンプという形でよろしいですか? よろしければここにサインを」
「ええ、よろしくお願いします」
 裕乃は素直にペンでさらりと自分の名前を記した。
 ――だが、子供たちの顔はやはり寂しげで。
「先生、お出かけよりもオレ……リアルブルーに帰りたいよ」
「うん。学校の皆に会いたい」
「私のおじいちゃんやおばあちゃん、リアルブルーにいるの……ハンターの皆に早く助けてってお願いしてよ!」
 中には涙声で裕乃に縋りつく子供もいる。
(参ったな……あっちには邪神がいる分、すぐに帰れるなんて軽口を叩くわけにもいかない。だからといって厳しいことも言えないしな……)
 子供とは純真ゆえに感情で動くもの。大人はそれを軽んじてはいけないと、彼は5人の弟妹を育て上げた経験で十分に知っている。
「……大丈夫、必ずハンターが皆もリアルブルーも守るから」
 それ以外、言葉の掛けようがなかった。


●不思議な生き物

 子供達に良人が頭を抱えたその時。ドアベルが再び鳴ったかと思うと真っ黒な二足歩行の子犬がぴょこりと顔を出した。
「オフィスノ皆、オ疲レ様ナノヨ~。コレ、新作ノチーズケーキ。皆デ分ケッコシテ食ベテネ!」
 フィー・フローレ(kz0255)が大きめの紙箱を持ってトコトコと歩く。
 その姿はリアルブルーのポメラニアンにそっくりだが、身体には野菊の華が無数に咲き不思議な芳香を放っている。身長は子供達と同じぐらいで、柔らかそうな毛皮は抱き着けばきっと気持ち良いに違いない。
「……犬?」
「着ぐるみよ、きっと。だって犬って人の言葉しゃべらないし。あんなにポメラニアンは大きくならないもの」
 目を白黒させてフィーを見つめる子供達。するとフィーはテーブルに箱を置くなり「ムー。私ハ犬ジャナイノ! 精霊ナンダカラ!」と胸を張った。
「精霊……? 精霊って、漫画とかゲームに出てくるようなやつ? 羽の生えた綺麗なお姉さんとか、かっこいい空飛ぶ獣とか、そういうのじゃないの?」
「嘘だろー。この前、ハンターからこの世界にはコボルドっていう犬みたいな恰好の生き物がいるって聞いたぜ。お前、それだろ?」
「違ウヨ! 私ハコボルドト仲良シダッタカラ、コウイウ姿にナッンダモン! チャント悪イ雑魔ヲヤッツケルグライデキルンダカラ!」
 これは半ば嘘だ。フィーは傷の治療に長けた精霊で、雑魔には僅かな土のマテリアルをぶつけて怯ませる程度の力しかない。
「それじゃキャンプに来る? もし雑魔が現れたら私達を守ってよ」
 そんなませた少女の一言にフィーが肩を震わせた。
「イイヨ! 私ダッテ強イトコ見セテアゲルンダカラ!」
 ――いずれにせよ、フィーの登場で子供達が騒々しくなりながらも元気を取り戻したのは何よりだ。
 良人は「同行者:フィー・フローレ」と書類に書き足し「気を付けて行くんだよ、君がこの中で一番のお姉さんなんだから頼りにしてる」とフィーの耳元で囁く。
 フィーは「……ソレハ当然ナノヨ」と呟くと、チーズケーキの箱を彼の手に押し付けるのだった。

解説

●目的
 裕乃と子供8名と揃って無事にキャンプを終わらせる

●場所
 帝都から少し離れた森。馬車で移動します。天候は良好で雲ひとつない穏やかな夜です。

●用意するもの
 テントと毛布、天体観測の道具類、食料(パンとスープとバーベキューセット)ならびに照明類は馬車に積むので用意する必要はなし。
 それとフィーがまた何かお菓子を作って来るようです。
 なお、個人で使用したい嗜好品(お酒やお菓子など)はご自身で用意してください。

●敵について
 移動中に動く死体が10体ほど出現。出現時は夕方なので照明類は不要です。
 いずれも平均的なものより少し弱いです。
 弓を持っている者が3体、剣を持っている者が2体、
 槍を持っている者が3体、杖を持っている者が2体という構成。
 馬車はある程度の攻撃には耐えられますが、集中攻撃されると転倒する恐れがあります。
 もっとも所詮雑魚なので気にしないでどんどん倒しちゃってください。
 キャンプがメインなので。

●同行NPC
 フィー・フローレ
 犬っぽい精霊で防御力は弱いですが、治癒の力に特化しています。
 花びらを撒いて広範囲を癒す力や、リザレクションに匹敵する強力な回復技が使用可能。
 ただし土のマテリアルによる攻撃はほとんど威力がないので期待しないでください。

●質問について
 確認したいことがございましたら出発日の前日正午までに質問卓を立ててお問い合わせください。
 フィーが分かっている範囲でお答えします。

マスターより

こんにちは、ことねです。

最近グラシナとか異界での戦いとか
忍者バトルロワイヤルとか殺伐としたものをメインに書いていたので
たまには息抜きにと思いどなたでも参加できるお手軽なシナリオを考えてみました。
リアルブルーへ帰りたい子供達を励ますもよし、
クリムゾンウェスト見えるで星をじっくり観測するもよし、
お友達とまったりするもよしで、のんびり楽しんでいただけますと幸いです。
戦いはありますがおまけのようなものですので初心者さんもお気軽にどうぞ!

それではなにとぞよろしくお願いします。

関連NPC

  • ふわふわふんわり
    フィー・フローレ(kz0255
    精霊|10才|女性|精霊
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/02/11 13:11

参加者一覧

  • よき羊飼い
    リアリュール(ka2003
    エルフ|17才|女性|猟撃士
  • 弓師
    八原 篝(ka3104
    人間(蒼)|19才|女性|猟撃士
  • 分け合う微笑み
    シャーロット=III(ka4877
    ドワーフ|15才|女性|機導師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • Braveheart
    ジェスター・ルース=レイス(ka7050
    ドラグーン|14才|男性|舞刀士

  • フレデリカ・ベルゲンハルト(ka7301
    エルフ|18才|女性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン キャンプのしおり(相談卓)
鞍馬 真(ka5819
人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2019/01/29 02:40:30
アイコン 質問卓
八原 篝(ka3104
人間(リアルブルー)|19才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2019/01/27 22:32:46
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/01/25 18:55:15