ゲスト
(ka0000)
【陶曲】その手を貸して
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
魔術師協会広報室- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2019/02/10 19:00
- リプレイ完成予定
- 2019/02/19 19:00
オープニング
●ペリニョン村。
英霊ぴょこの祠の前にもこんと、土の大山が出来ている。
いや、よく見たら大山ではなかった。大地の精霊もぐやんだった。
季節にふさわしい水仙の花を頭に咲かせた彼は、ぴょこと話をしている。
『――というわけでなあ、自由都市同盟界隈は大変なんだんべ。おらたち地の眷属はアメンスィさまのために力を尽くす所存だども、それだけでは心もとねえかなあとも思うべよ。なにしろ同時期に傲慢王、怠惰王、おまけに邪神なんちゅうものもわいてきとるらしいでなあ……』
正直戦力が足りないと思う。だから同盟界隈に住んでいる精霊はその由来、属性を越えて力を貸してほしい――という意味のことをもぐやんは、のんびりした口調で切々とぴょこに訴えた。
それに対しぴょこはシンプルに賛同の意を示した。
『うむ、よいぞ! ペリニョン村を守るついでに力を貸すのじゃ、のじゃ!』
生前も現在もソルジャー一直線な彼女には願ったりかなったり、渡りに船なお誘いである。
もぐやんは大きな顔の小さな目を細めて喜んだ。
『おお、ありがてえ。感謝するべ』
そのまま巨体を地面に沈めていく。が、すぐにまた出てくる。
『あ、そうだべ。ぴょこどんに頼みたいことあったんだべ』
『なんじゃな?』
『ぴょこどんは、まごいどんという英霊を知ってるべ?』
『うむ、知っておるぞ』
『仲良しだべ?』
『うむ、前は全然そうではなかったが、今はそうでもないのう』
『それなら、まごいどんにもこの話を伝えてくれねえべか。本当はおらが直に会うて話したらええんだが、まごいどんのおるところは海の向こうだべ? おら泳げねえだでなあ、とてもそこまで行くことが出来ねえべよ』
『そうか。あい分かった。伝えておくのじゃ』
●ハンターオフィス・ジェオルジ支局。
マリーは集まってきている依頼を整理した後、壁にかかっているカレンダーを見た。
何度も指折り数えて顔をしかめる。それから同僚のジュアンに言う。
「……ねえジュアン、4月にアレックスと結婚するんだったわね?」
「そうだよー」
「……それ、来年に延ばせない?」
「やだよ。なんでだよ。人の幸せにどういう趣旨で文句つけてるのさ」
「いや、別にジュアンの幸せに文句があるわけじゃないのよ。ただ」
「ただ?」
「カチャの方も春あたりに結婚するらしいのよ。祝い事が続くと出費重なるなって思ってね」
そこにコボちゃんが入ってきた。マリーを指さして、一言。
「けち」
「三食昼寝付きの居候にそういうことは言われたくないわね」
マリーから睨まれたコボちゃんはふふふんと鼻を鳴らし、胸を反る。
「こぼ、いそーろ、ちがう。しきょくのますこーと。こうしきますこーと。そしてうにぞんしーぜんたいし」
「は? ユニゾン親善大使? いつからそんなもんになったのよ」
「さいきん。とにかく、もうさんじ。おやつよこせ。けち」
「黙りなさい。入るときはマットでちゃんと足を拭いて。おやつはそれからよ。全く、口ばっかり達者になって」
そこでジュアンもカレンダーを見上げ、眉をひそめる。
「そういえば、オフィスの次期総長は誰になるんだろうね」
「え? ジュアン、ナディア総長が死ぬと思ってるの?」
「いや、そこまでは――だけど、この先邪神が倒されたとしても――これまで通りにやれるのか疑問じゃないかなって。交替が必要な時期に来てるんじゃないかと思う。私的な意見だけどね」
「……あんた、意外にシビアなのね」
「そう?」
「うん。総長がいないハンターオフィスって、私にはちょっと想像つかないわ。ていうか、あの人以外に適当なまとめ役っているかしら」
コボちゃんが焦れて地団駄を踏み、吠えた。
「おやーつう!」
●魔術師協会
スペットは結界つきのケースをのぞき込む。
中にあるのはオートマトンの腕。
皮膚はない。金属部品とコードが剥き出しになっている。指は何かを掴もうとするかのように曲がったまま。
「切断部分がえらい変形しとるで。ものごっつい力でもぎ取られてんなあ」
しげしげと腕を観察した彼は、脇にいる人物に顔を向けた。
「しかしなあタモンはん、せっかく呼んでもろうてなんやけど、これはちょっと分からんわ。一般労働用なのか、特殊作業用なのか、戦闘用なのか。部品、ごっちゃになってるさかいな」
「ごっちゃ?」
「寄せ集めのパーツで作られてんねん。言わば自作オートマトンや。せやからこれ見ただけでは、性能とかについてはまるきり見当がつかん。聞いた話から推測するに、戦闘用オートマトンの要素が大やとは思うけど」
「そうなんですか……」
「そもそもなあ、俺オートマトンにはそんな詳しうないで。ユニオンでは禁制品やったんやから。ハンターオフィスに言うて、トマーゾに連絡つけてもろたらどないや?」
スペットの提案にタモンは、横方向の首振りで返す。
「それが出来れば言うことはないですけど、とてもそんな余裕は。邪神への対策で手一杯ですよ」
「邪神て、リアルブルーの大精霊が地球と一緒に凍結封印したて言うてなかったか?」
「はい。ですがあれは、永久的に効果が続くものでないんだそうです。遅かれ早かれいずれは溶かされてしまう、と。ナディア総長も昏睡状態が続いていて……場合によっては……」
「死ぬんか?」
「はい。そうならないで欲しいのは山々なのですが」
「なんや、俺が刑務所で岩塩掘ってる間に、色々どえらいことになってんねんな」
「なってますね」
「刑期があける前に世界滅亡とか、勘弁してほしいねんけどな。俺、ペリニョン村に移住するちゅうことにしてんねんから。ブルーチャーかて出所したらもっぺん会社立ち上げるて言うてんねんで」
「私だって勘弁して欲しいですよ。もうそろそろ昇進したっていい時期なんですから。世界が終わるまでヒラだったなんて真っ平です――」
憤懣やる形無しに愚痴るタモンは、直後身をすくめた。
結界から火花が上がったのだ。腕の指が一瞬ぴくっと、微かに動く。
「なんや、こいつまだ力が残ってんのんか」
「のようですね。負のマテリアルがとれていないことは分かっていたのですが……いや、すごい執念です。心底人間を憎んでいるんでしょうが、それにしても……」
しばし思索に耽ったタモンは、スペットに聞いた。
「オートマトンは人間に害をなさないよう作られていたんですよね?」
「そら、もちろん。そのための安全回路が組み込まれとる」
「しかし戦闘用オートマトンもいるわけですよね?」
「ああ、おったなあ。ぎょうさんと。うち以外のどこでも」
「それらには、安全回路が組み込まれてないわけですか?」
「いいや。組み込まれてるはずや。人間を襲うことだけはせんように。まあそれでも結局は暴走してもうたわけやけど……」
英霊ぴょこの祠の前にもこんと、土の大山が出来ている。
いや、よく見たら大山ではなかった。大地の精霊もぐやんだった。
季節にふさわしい水仙の花を頭に咲かせた彼は、ぴょこと話をしている。
『――というわけでなあ、自由都市同盟界隈は大変なんだんべ。おらたち地の眷属はアメンスィさまのために力を尽くす所存だども、それだけでは心もとねえかなあとも思うべよ。なにしろ同時期に傲慢王、怠惰王、おまけに邪神なんちゅうものもわいてきとるらしいでなあ……』
正直戦力が足りないと思う。だから同盟界隈に住んでいる精霊はその由来、属性を越えて力を貸してほしい――という意味のことをもぐやんは、のんびりした口調で切々とぴょこに訴えた。
それに対しぴょこはシンプルに賛同の意を示した。
『うむ、よいぞ! ペリニョン村を守るついでに力を貸すのじゃ、のじゃ!』
生前も現在もソルジャー一直線な彼女には願ったりかなったり、渡りに船なお誘いである。
もぐやんは大きな顔の小さな目を細めて喜んだ。
『おお、ありがてえ。感謝するべ』
そのまま巨体を地面に沈めていく。が、すぐにまた出てくる。
『あ、そうだべ。ぴょこどんに頼みたいことあったんだべ』
『なんじゃな?』
『ぴょこどんは、まごいどんという英霊を知ってるべ?』
『うむ、知っておるぞ』
『仲良しだべ?』
『うむ、前は全然そうではなかったが、今はそうでもないのう』
『それなら、まごいどんにもこの話を伝えてくれねえべか。本当はおらが直に会うて話したらええんだが、まごいどんのおるところは海の向こうだべ? おら泳げねえだでなあ、とてもそこまで行くことが出来ねえべよ』
『そうか。あい分かった。伝えておくのじゃ』
●ハンターオフィス・ジェオルジ支局。
マリーは集まってきている依頼を整理した後、壁にかかっているカレンダーを見た。
何度も指折り数えて顔をしかめる。それから同僚のジュアンに言う。
「……ねえジュアン、4月にアレックスと結婚するんだったわね?」
「そうだよー」
「……それ、来年に延ばせない?」
「やだよ。なんでだよ。人の幸せにどういう趣旨で文句つけてるのさ」
「いや、別にジュアンの幸せに文句があるわけじゃないのよ。ただ」
「ただ?」
「カチャの方も春あたりに結婚するらしいのよ。祝い事が続くと出費重なるなって思ってね」
そこにコボちゃんが入ってきた。マリーを指さして、一言。
「けち」
「三食昼寝付きの居候にそういうことは言われたくないわね」
マリーから睨まれたコボちゃんはふふふんと鼻を鳴らし、胸を反る。
「こぼ、いそーろ、ちがう。しきょくのますこーと。こうしきますこーと。そしてうにぞんしーぜんたいし」
「は? ユニゾン親善大使? いつからそんなもんになったのよ」
「さいきん。とにかく、もうさんじ。おやつよこせ。けち」
「黙りなさい。入るときはマットでちゃんと足を拭いて。おやつはそれからよ。全く、口ばっかり達者になって」
そこでジュアンもカレンダーを見上げ、眉をひそめる。
「そういえば、オフィスの次期総長は誰になるんだろうね」
「え? ジュアン、ナディア総長が死ぬと思ってるの?」
「いや、そこまでは――だけど、この先邪神が倒されたとしても――これまで通りにやれるのか疑問じゃないかなって。交替が必要な時期に来てるんじゃないかと思う。私的な意見だけどね」
「……あんた、意外にシビアなのね」
「そう?」
「うん。総長がいないハンターオフィスって、私にはちょっと想像つかないわ。ていうか、あの人以外に適当なまとめ役っているかしら」
コボちゃんが焦れて地団駄を踏み、吠えた。
「おやーつう!」
●魔術師協会
スペットは結界つきのケースをのぞき込む。
中にあるのはオートマトンの腕。
皮膚はない。金属部品とコードが剥き出しになっている。指は何かを掴もうとするかのように曲がったまま。
「切断部分がえらい変形しとるで。ものごっつい力でもぎ取られてんなあ」
しげしげと腕を観察した彼は、脇にいる人物に顔を向けた。
「しかしなあタモンはん、せっかく呼んでもろうてなんやけど、これはちょっと分からんわ。一般労働用なのか、特殊作業用なのか、戦闘用なのか。部品、ごっちゃになってるさかいな」
「ごっちゃ?」
「寄せ集めのパーツで作られてんねん。言わば自作オートマトンや。せやからこれ見ただけでは、性能とかについてはまるきり見当がつかん。聞いた話から推測するに、戦闘用オートマトンの要素が大やとは思うけど」
「そうなんですか……」
「そもそもなあ、俺オートマトンにはそんな詳しうないで。ユニオンでは禁制品やったんやから。ハンターオフィスに言うて、トマーゾに連絡つけてもろたらどないや?」
スペットの提案にタモンは、横方向の首振りで返す。
「それが出来れば言うことはないですけど、とてもそんな余裕は。邪神への対策で手一杯ですよ」
「邪神て、リアルブルーの大精霊が地球と一緒に凍結封印したて言うてなかったか?」
「はい。ですがあれは、永久的に効果が続くものでないんだそうです。遅かれ早かれいずれは溶かされてしまう、と。ナディア総長も昏睡状態が続いていて……場合によっては……」
「死ぬんか?」
「はい。そうならないで欲しいのは山々なのですが」
「なんや、俺が刑務所で岩塩掘ってる間に、色々どえらいことになってんねんな」
「なってますね」
「刑期があける前に世界滅亡とか、勘弁してほしいねんけどな。俺、ペリニョン村に移住するちゅうことにしてんねんから。ブルーチャーかて出所したらもっぺん会社立ち上げるて言うてんねんで」
「私だって勘弁して欲しいですよ。もうそろそろ昇進したっていい時期なんですから。世界が終わるまでヒラだったなんて真っ平です――」
憤懣やる形無しに愚痴るタモンは、直後身をすくめた。
結界から火花が上がったのだ。腕の指が一瞬ぴくっと、微かに動く。
「なんや、こいつまだ力が残ってんのんか」
「のようですね。負のマテリアルがとれていないことは分かっていたのですが……いや、すごい執念です。心底人間を憎んでいるんでしょうが、それにしても……」
しばし思索に耽ったタモンは、スペットに聞いた。
「オートマトンは人間に害をなさないよう作られていたんですよね?」
「そら、もちろん。そのための安全回路が組み込まれとる」
「しかし戦闘用オートマトンもいるわけですよね?」
「ああ、おったなあ。ぎょうさんと。うち以外のどこでも」
「それらには、安全回路が組み込まれてないわけですか?」
「いいや。組み込まれてるはずや。人間を襲うことだけはせんように。まあそれでも結局は暴走してもうたわけやけど……」
解説
補足説明
これは対サイゴン戦を控え、今後の戦いを有利に運べるよう、布石を打っておくことを目的とするシナリオです。
PCに求められるのは、次回以降の戦いを有利に運ぶため、英霊マゴイさんから、「いざと言うときは協力する」という言葉を引き出すこと。
マゴイさんはユニゾン市民の安心安全には心を砕くのですが、ユニゾンと関わりを持たない場所や人のことについては興味が薄く、不干渉。永世中立、一国平和主義というユニオンの基本思想を大事にしています。
この機会に、自由都市同盟が潰れたら結局ユニゾンも潰れるんだぞということを飲み込ませてあげてください。
島にはぴょこが同行しますが、OPに出ているNPCを誘って、一緒に連れて行ってもかまいません。
これは対サイゴン戦を控え、今後の戦いを有利に運べるよう、布石を打っておくことを目的とするシナリオです。
PCに求められるのは、次回以降の戦いを有利に運ぶため、英霊マゴイさんから、「いざと言うときは協力する」という言葉を引き出すこと。
マゴイさんはユニゾン市民の安心安全には心を砕くのですが、ユニゾンと関わりを持たない場所や人のことについては興味が薄く、不干渉。永世中立、一国平和主義というユニオンの基本思想を大事にしています。
この機会に、自由都市同盟が潰れたら結局ユニゾンも潰れるんだぞということを飲み込ませてあげてください。
島にはぴょこが同行しますが、OPに出ているNPCを誘って、一緒に連れて行ってもかまいません。
マスターより
KINUTAです。
もぐらのもぐやんどんにお使いを頼まれたうさぎのぴょこどんは、ハンターたちをお供にし、まごいどんが住むゆにぞんヶ島に向かったそうな。
今回は戦闘はありません。
ですが、今回の成果は今後の展開に大きく関わってくることになります。
説得よろしくお頼み申します。
もぐらのもぐやんどんにお使いを頼まれたうさぎのぴょこどんは、ハンターたちをお供にし、まごいどんが住むゆにぞんヶ島に向かったそうな。
今回は戦闘はありません。
ですが、今回の成果は今後の展開に大きく関わってくることになります。
説得よろしくお頼み申します。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/02/15 01:25
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 マルカ・アニチキン(ka2542) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/02/10 12:37:41 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/02/08 21:28:08 |
|
![]() |
質問卓だよ。 天竜寺 舞(ka0377) 人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2019/02/04 22:09:02 |