ゲスト
(ka0000)
【陶曲】求めよ、さらば与えられん・1
マスター:樹シロカ

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- シリーズ(新規)
関連ユニオン
魔術師協会広報室- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,300
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/02/12 07:30
- リプレイ完成予定
- 2019/02/26 07:30
オープニング
●
同盟の首都、極彩色の街ヴァリオス。
同盟軍の本部もこの街にある。
その建物の奥、特別な職種の者しか立ち入ることも許されない場所に、ひとりの老人の姿があった。
同盟軍名誉大将イザイア・バッシ(kz0104)は椅子に深く掛け、険しい顔で正面を見据える。
「やはり会おう」
名誉大将の前には小さなガラス窓がある。
窓の向こうには、多少やつれてはいるものの、立派な髭をたくわえた眼光鋭い男がいた。
「閣下、現在大佐は取り調べ中です。大佐の発言はすべて軍法会議の資料となります。閣下がお会いになれば、それも記録に残ります」
名誉大将の傍で直立不動の体勢のまま、淡々と述べたのは情報部所属のマヌエル・フィンツィ少佐。
「ワシとて無関係とも言い切れん。いずれにせよ証人としての出廷は免れんだろう」
「そうお思いなら、尚更お止め下さい。我々の目的には、閣下が必要です」
名誉大将は深いため息をつく。
「我々の目的、か……。貴官はこの老いぼれがまだ役に立つと考えておるのか」
「勿論です。他の誰に代わりが務まりましょう」
「では貴官が聴取の仔細を確認し、後に報告せよ」
「はっ」
杖をついて隠し部屋から立ち去る名誉大将を、フィンツィは敬礼で見送った。
それから少し後、フィンツィは必要な手続きを経て、目的の部屋の前にいた。
護衛の兵士のボディチェックを受け、丸腰で取調室に入る。
背中を向けて座っているのは、かつてポルトワールの同盟陸軍で治安維持部隊を率いていたネスタ大佐だ。
取調官がフィンツィに目礼する。
彼の後ろにある窓には鉄格子がはまり、分厚い木の板で目張りがしてあった。
「それで、貴官はどこでその商人と知り合ったのかね」
ネスタは堂々と椅子に掛け、前を見つめたまま質問に答えない。ずっとこの調子だという。
フィンツィは隅に置いてあった小さな丸椅子に腰かける。
――その直後だった。強烈な光が部屋に弾ける。
フィンツィは咄嗟に丸椅子を持ち上げ、目を庇うと共に次の事態に備える。
だが視覚が戻るより先に、激痛が半身を襲う。
床に転がり、薄眼を開いたフィンツィは、先ほどの兵士が誰かを伴って部屋に入ってくるのを認めた。
「大佐、ご無事ですか」
低い声が呼び掛ける。
「何者だ?」
ネスタの掠れた声。
「このまま貴方の志が費えることを憂う者です。さあ、一緒に来てください」
「待て……!」
フィンツィは声を上げる。いや、上げたつもりだ。
だが実際は床に倒れ、瞼を開けることすらできないまま、遠ざかる足音をただ聞いていただけだった。
●
集まったハンター達を前に、メリンダ・ドナーティ中尉(kz0041)は以上の経緯を説明した。
「これが一昨日の出来事です。そして今日、ネスタ大佐らしき人物によって、ポルトワール近郊の陸軍駐屯地が占拠されたとの情報が入りました」
依頼を受けて参加したアスタリスク(kz0234)には、どうにも腑に落ちなかった。
迷った後に、話の区切りを待って質問する。
「中尉を疑うわけではありませんが、何故同盟軍はそのような内部事情を我々に開示する気になったのですか?」
メリンダは表の顔である、穏やかな笑みを浮かべる。
「ハンターの皆様は軍属ではありません。命令で動かすことはできませんから、信頼関係で動いていただくべきでしょう」
「と、中尉が他を説き伏せたという訳です」
軍服の上着をひっかけた姿でフィンツィ少佐が付け加えた。
取調室の件で、丸腰の所を不意に襲撃されたフィンツィはギブスまみれで顔色も悪く、まだ自力で歩くには数日かかりそうな様子だ。
彼が覚醒者でなければ、確実に死んでいただろう。椅子のお陰で頭部が守られたのも幸いだった。
メリンダはフィンツィの言葉が聞こえなかったかのように、説明を続けた。
現在、駐屯地とは連絡が途絶えている。
隙を見て逃げ出した兵士のひとりがネスタ大佐の関わりを伝えたが、彼の言うことを鵜呑みにしていいのか分からないでいた。
というのは、その説明があまりにも突飛だったからだ。
「大佐は左遷され、この駐屯地でやり直すことになったとおっしゃって。全身黒いマントで覆われた、まったくしゃべらない3人の兵士を伴っていました。その直後に近くの村に歪虚が現れて我々も大佐とその兵士のうち2人と出動したのですが、3人だけであっという間に歪虚を倒してしまったんです。信じられません。ものすごい手練れです。でもなんだか、大佐は人が変わられたようで……それになぜか通信機が全く使えなくて……どうやって歪虚の襲撃を知ったのか……」
そこで兵士たちは話し合い、通信手段の回復と大佐の赴任の確認のため、ひとりを連絡役として送り出したということらしい。
大佐は覚醒者ではない。兵士2人「と」一緒に戦ったのを彼が見たのなら、一般人にしては強すぎる。
「ともかく、その駐屯地との連絡が取れないこと、近くの村に出た歪虚を陸軍が対応したことまでは確認できました」
そこで今回はハンターに駐屯地の様子を確認してほしい、との依頼が出されたのだ。
「そしてもし大佐が本当にそこにいるか、確認していただきたいのです」
メリンダはハンターひとりひとりの顔を見渡し、最後に頭を下げた。
同盟の首都、極彩色の街ヴァリオス。
同盟軍の本部もこの街にある。
その建物の奥、特別な職種の者しか立ち入ることも許されない場所に、ひとりの老人の姿があった。
同盟軍名誉大将イザイア・バッシ(kz0104)は椅子に深く掛け、険しい顔で正面を見据える。
「やはり会おう」
名誉大将の前には小さなガラス窓がある。
窓の向こうには、多少やつれてはいるものの、立派な髭をたくわえた眼光鋭い男がいた。
「閣下、現在大佐は取り調べ中です。大佐の発言はすべて軍法会議の資料となります。閣下がお会いになれば、それも記録に残ります」
名誉大将の傍で直立不動の体勢のまま、淡々と述べたのは情報部所属のマヌエル・フィンツィ少佐。
「ワシとて無関係とも言い切れん。いずれにせよ証人としての出廷は免れんだろう」
「そうお思いなら、尚更お止め下さい。我々の目的には、閣下が必要です」
名誉大将は深いため息をつく。
「我々の目的、か……。貴官はこの老いぼれがまだ役に立つと考えておるのか」
「勿論です。他の誰に代わりが務まりましょう」
「では貴官が聴取の仔細を確認し、後に報告せよ」
「はっ」
杖をついて隠し部屋から立ち去る名誉大将を、フィンツィは敬礼で見送った。
それから少し後、フィンツィは必要な手続きを経て、目的の部屋の前にいた。
護衛の兵士のボディチェックを受け、丸腰で取調室に入る。
背中を向けて座っているのは、かつてポルトワールの同盟陸軍で治安維持部隊を率いていたネスタ大佐だ。
取調官がフィンツィに目礼する。
彼の後ろにある窓には鉄格子がはまり、分厚い木の板で目張りがしてあった。
「それで、貴官はどこでその商人と知り合ったのかね」
ネスタは堂々と椅子に掛け、前を見つめたまま質問に答えない。ずっとこの調子だという。
フィンツィは隅に置いてあった小さな丸椅子に腰かける。
――その直後だった。強烈な光が部屋に弾ける。
フィンツィは咄嗟に丸椅子を持ち上げ、目を庇うと共に次の事態に備える。
だが視覚が戻るより先に、激痛が半身を襲う。
床に転がり、薄眼を開いたフィンツィは、先ほどの兵士が誰かを伴って部屋に入ってくるのを認めた。
「大佐、ご無事ですか」
低い声が呼び掛ける。
「何者だ?」
ネスタの掠れた声。
「このまま貴方の志が費えることを憂う者です。さあ、一緒に来てください」
「待て……!」
フィンツィは声を上げる。いや、上げたつもりだ。
だが実際は床に倒れ、瞼を開けることすらできないまま、遠ざかる足音をただ聞いていただけだった。
●
集まったハンター達を前に、メリンダ・ドナーティ中尉(kz0041)は以上の経緯を説明した。
「これが一昨日の出来事です。そして今日、ネスタ大佐らしき人物によって、ポルトワール近郊の陸軍駐屯地が占拠されたとの情報が入りました」
依頼を受けて参加したアスタリスク(kz0234)には、どうにも腑に落ちなかった。
迷った後に、話の区切りを待って質問する。
「中尉を疑うわけではありませんが、何故同盟軍はそのような内部事情を我々に開示する気になったのですか?」
メリンダは表の顔である、穏やかな笑みを浮かべる。
「ハンターの皆様は軍属ではありません。命令で動かすことはできませんから、信頼関係で動いていただくべきでしょう」
「と、中尉が他を説き伏せたという訳です」
軍服の上着をひっかけた姿でフィンツィ少佐が付け加えた。
取調室の件で、丸腰の所を不意に襲撃されたフィンツィはギブスまみれで顔色も悪く、まだ自力で歩くには数日かかりそうな様子だ。
彼が覚醒者でなければ、確実に死んでいただろう。椅子のお陰で頭部が守られたのも幸いだった。
メリンダはフィンツィの言葉が聞こえなかったかのように、説明を続けた。
現在、駐屯地とは連絡が途絶えている。
隙を見て逃げ出した兵士のひとりがネスタ大佐の関わりを伝えたが、彼の言うことを鵜呑みにしていいのか分からないでいた。
というのは、その説明があまりにも突飛だったからだ。
「大佐は左遷され、この駐屯地でやり直すことになったとおっしゃって。全身黒いマントで覆われた、まったくしゃべらない3人の兵士を伴っていました。その直後に近くの村に歪虚が現れて我々も大佐とその兵士のうち2人と出動したのですが、3人だけであっという間に歪虚を倒してしまったんです。信じられません。ものすごい手練れです。でもなんだか、大佐は人が変わられたようで……それになぜか通信機が全く使えなくて……どうやって歪虚の襲撃を知ったのか……」
そこで兵士たちは話し合い、通信手段の回復と大佐の赴任の確認のため、ひとりを連絡役として送り出したということらしい。
大佐は覚醒者ではない。兵士2人「と」一緒に戦ったのを彼が見たのなら、一般人にしては強すぎる。
「ともかく、その駐屯地との連絡が取れないこと、近くの村に出た歪虚を陸軍が対応したことまでは確認できました」
そこで今回はハンターに駐屯地の様子を確認してほしい、との依頼が出されたのだ。
「そしてもし大佐が本当にそこにいるか、確認していただきたいのです」
メリンダはハンターひとりひとりの顔を見渡し、最後に頭を下げた。
解説
●このシナリオについて
シリーズシナリオ1話目になります。
流れとしては当方のシリーズシナリオ【港騒】の後日談になりますが、経緯はハンターオフィスで確認できますので、このシナリオからの参加でも全く問題ありません。
●何をするの
PC向け:ポルトワール近郊の駐屯地を調査し、陸軍兵士の安全を確認する。ネスタ大佐本人がそこにいるか確認する。
PL向け:OPの情報から推測できる方法で、ネスタ大佐を駐屯地からおびき出すことで普通達成。成功度判定は+他要素による。
●現地情報
街道沿いにある駐屯地。
周囲は2mほどの高さの壁があり、正門と裏門は鉄製。到着時点では閉まっている。
中に2階建の建物。窓は小さく2階はすべて鉄格子がはまっている。
普段は20人ほどの兵士が勤務している。
敷地内ではトランシーバー、魔導短伝話等の通信手段はすべて使用不能。
(PLむけ説明)建物の大きさや敷地の様子などは小学校の分校のイメージです。周囲には大きな木も建物もありません。
●敵情報
ネスタ大佐:一般人のはずだが、現状雑魚歪虚と渡り合えるだけの力を持っているらしい。(ただし真偽のほどは不明)
謎の兵士:ネスタ大佐に付き従う、全身黒ずくめの謎の兵士×3名。かなりの手練れらしい。
●ほかNPC(出発前にある程度会話可能。ただしなんでも喋るとは限らない)
メリンダ・ドナーティ中尉:本来の仕事は同盟軍広報。【港騒】事件に巻き込まれたため、ハンターと軍との繋ぎ役を任された。
マヌエル・フィンツィ少佐:情報部所属。陸軍アドバイザーである名誉大将の信を得ているらしい。自身は覚醒者で、一般兵士が初期対応で歪虚の事件に当たり、無駄に犠牲を強いられていることを苦々しく思っているひとり。この点ではネスタ大佐の同志。
アスタリスク:元強化人間のハンター。オフィスで依頼を受けて参加。
シリーズシナリオ1話目になります。
流れとしては当方のシリーズシナリオ【港騒】の後日談になりますが、経緯はハンターオフィスで確認できますので、このシナリオからの参加でも全く問題ありません。
●何をするの
PC向け:ポルトワール近郊の駐屯地を調査し、陸軍兵士の安全を確認する。ネスタ大佐本人がそこにいるか確認する。
PL向け:OPの情報から推測できる方法で、ネスタ大佐を駐屯地からおびき出すことで普通達成。成功度判定は+他要素による。
●現地情報
街道沿いにある駐屯地。
周囲は2mほどの高さの壁があり、正門と裏門は鉄製。到着時点では閉まっている。
中に2階建の建物。窓は小さく2階はすべて鉄格子がはまっている。
普段は20人ほどの兵士が勤務している。
敷地内ではトランシーバー、魔導短伝話等の通信手段はすべて使用不能。
(PLむけ説明)建物の大きさや敷地の様子などは小学校の分校のイメージです。周囲には大きな木も建物もありません。
●敵情報
ネスタ大佐:一般人のはずだが、現状雑魚歪虚と渡り合えるだけの力を持っているらしい。(ただし真偽のほどは不明)
謎の兵士:ネスタ大佐に付き従う、全身黒ずくめの謎の兵士×3名。かなりの手練れらしい。
●ほかNPC(出発前にある程度会話可能。ただしなんでも喋るとは限らない)
メリンダ・ドナーティ中尉:本来の仕事は同盟軍広報。【港騒】事件に巻き込まれたため、ハンターと軍との繋ぎ役を任された。
マヌエル・フィンツィ少佐:情報部所属。陸軍アドバイザーである名誉大将の信を得ているらしい。自身は覚醒者で、一般兵士が初期対応で歪虚の事件に当たり、無駄に犠牲を強いられていることを苦々しく思っているひとり。この点ではネスタ大佐の同志。
アスタリスク:元強化人間のハンター。オフィスで依頼を受けて参加。
マスターより
お世話になっております、樹シロカです。
前回の事件の宿題を片付けるための物語、テーマは『契約』になります。
現時点では3話程度を予定しています。
なお【陶曲】タグが付いています。どんな形で関わるのか、見届けていただけましたら幸いです。
基本的にNPCへの問いかけなどはプレイングでお願いします。
参加メンバーで何を訊くのか分担するのも一手でしょう。
もし情報に不足があれば、出発24時間前までは質問卓を確認します。
難易度「やや難しい」ですので、相応の工夫は必要かと思います。
長いOPですが、上手く情報を拾って、是非良い結果を引き寄せてください。
皆様のご参加、お待ちしております。
前回の事件の宿題を片付けるための物語、テーマは『契約』になります。
現時点では3話程度を予定しています。
なお【陶曲】タグが付いています。どんな形で関わるのか、見届けていただけましたら幸いです。
基本的にNPCへの問いかけなどはプレイングでお願いします。
参加メンバーで何を訊くのか分担するのも一手でしょう。
もし情報に不足があれば、出発24時間前までは質問卓を確認します。
難易度「やや難しい」ですので、相応の工夫は必要かと思います。
長いOPですが、上手く情報を拾って、是非良い結果を引き寄せてください。
皆様のご参加、お待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/02/23 02:24
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/02/12 00:52:10 |
|
![]() |
相談所 カーミン・S・フィールズ(ka1559) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2019/02/12 00:57:00 |