ゲスト
(ka0000)
伝説は、つくるもの。
マスター:樹シロカ

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在12人 / 1~25人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/02/20 07:30
- リプレイ完成予定
- 2019/03/06 07:30
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●
同盟の農業推進地域ジェオルジに、バチャーレ村という場所がある。
ここにサルヴァトーレ・ロッソでクリムゾンウェストにたどり着いた人々が集団で移住した。
様々な困難もあったが、今ではジェオルジの住人も受け入れ、近隣の村とも行き来する、本当の意味での「ジェオルジの村」となりつつある。
この村の代表を務めるのはサイモン・小川(kz0211)、元はロッソの食料用植物プラントの技術者だ。
彼は移民の際に小規模な実験ユニットをそのまま持ち込み、今は村にビニールハウス状の実験農園を作っている。
今日はそこを、ジェオルジの若き領主セスト・ジェオルジ(kz0034)が訪れていた。
「すごいですね。こんなにびっしりと大きな実がついている穂は初めて見ます」
植物オタクという意味ではサイモンに引けを取らないセストは、頬を紅潮させて試作品の小麦を見ている。
「リアルブルー産の収穫量の優秀な小麦と、この地域の病気に強い小麦のかけあわせです」
サイモンは農閑期で多少は手が空くセストを、自分の実験農場に招いたのだ。
もうひとり、近くの村の村長グイドも招かれていた。興味津々で、小麦を見つめている。
「これを分けてもらえたら、ずいぶん助かるな」
「そうですね、あと数年すれば外での栽培を試していいかもしれません」
「そんなにかかるのか」
グイドの言葉に、サイモンは言葉を選びながらゆっくりと説明する。
「ええ。元々、我々は無人の惑星に移住するつもりでしたから……」
誰もいない惑星なら、仮にその植物が失敗してもゼロに戻るだけだ。
だが既に人が住んでいる場所に持ち込んだ植物が、どんな影響を及ぼすか予想もできない。
飛んだ花粉がこれまで根付いていた品種の特性を台無しにしてしまい、災害やこの土地の微細な生物の攻撃に弱いものに変えてしまうかもしれないのだ。
最悪、ジェオルジ中の人々を飢えさせてしまう危険すらある。
「ですから、慎重に見極める必要があるのです。外に植えるにしても、できれば交雑を避けられる遠隔地で10年は確かめたいですね」
「結構恐ろしい話なんだな」
グイドが頭を振った。
「そうですね。だから本当は、この土地に元からある品種を栽培するのが一番なのですが。もう少し収量を上げられたら、とは誰でも考えることでしょう?」
「クリムゾンウェスト全体で人は増えているでしょう。ですが食料を供給する側の人間はさほど増えていないはずです。それでなくても長引く戦いは食料不足との闘いでもあります」
セストは淡々とそう言うが、その表情は険しい。
「ともかく、今日はとても有意義でした。オガワ代表、またお邪魔させてください」
サイモンと握手しながら、付け加える。
「それにしてもこんなに興味深い施設とは。我が家の傍に移住してもらえばよかったと後悔しています」
どこまで本気かわからないセストの言葉に、サイモンは穏やかな笑顔を返す。
「お時間のある時ならいつでもお越しください。喜んでご案内しますよ」
外に出たグイド村長が、サイモンの肩を叩いた。
「いや、本当に面白かった。お前さんの仕事もよくわかったよ。ところで前から聞きたかったことがあるんだが、ひとついいか?」
「なんでしょう?」
「ほら、あのオレンジ色の髪の美人。お前さんの恋人かなんかか?」
――しばらくお待ちください。
「……は?」
「違うのか? 始めはあの色っぽい子連れかと思ったんだが、旦那が合流したからな」
「え、あの、すみません、話が見えませんが……」
グイドは元々余り表情の変わらない無骨な男だが、何故か今は妙に目がキラキラしているようだ。
「いいんだ、心当たりがないなら忘れてくれ。すまなかったな。それとは別件なんだが……」
この間、何故かセストがあらぬ方に視線を彷徨わせていた。
●
メディオ村に戻ったグイドは、自分の奥方と額を突き合わせる。
「……という訳で、バチャーレ村、特にサイモンと仲良くなっておいて損はない。若干頼りないが、いい奴だ」
「でもあなた、そんな勝手に……」
「チャンスを作るだけだ。どうなるかは当人次第だろう?」
小さな男の子が駆け寄ってきて、グイドの背中に抱き着いた。
「とーちゃーん、たけとんぼまだー?」
「あー、よしよし、もうちょっと待ってろ。少し兄ちゃんに見てもらえ」
グイドは改めて奥方に向き直る。
「これは村の活性化にもつながるはずだ。もしうまくいけば、新しい伝説になるかもしれんだろう?」
●
サイモンはバチャーレ村の面々に、グイド村長の『農閑期の交流会』を説明する。
「我々の村にはそれなりに大きな集会所があるからね、向こうの村の人に来てもらって、ちょっとしたパーティーでもどうかということなんだ」
「面白そうじゃない。皆、今の時期は退屈しているし、ちょうどいいと思うわ」
そう言うマリナ・リヴェール(kz0272)の顔を見ると、サイモンは先ほどの会話を思い出してしまう。
「あー、うん。ただどうせなら精霊様にもお参りして、それからティーパーティーでどうだということになってね」
折しもこの時期、リアルブルー発祥のバレンタインデーというものもある。
精霊への冬のお参りをこの日と決めておけば、来年以降も継続できるのではないか……というのが、グイド村長の言だ。
何やら妙な引っ掛かりを感じながらも、断る理由もないので話は決まった。
「それで今年は、領主様も顔を出していただくことになってね。だったら少し賑やかに、外からもお越しいただこうかという話になったんだ。皆、忙しくなるけど、よろしく頼むよ」
――サイモンは、グイドの本当の狙いをまだ知らない。
●
セストは家に戻り、事実上の権力者である母バルバラに外出の予定を報告した。
「……という訳で、パーティーにお邪魔します。あまり頻繁に同じ村に足を運ぶのは良くないと思うのですが、今回は精霊をお参りしますので」
セストの表情は変化に乏しく、何を考えているのか読み取りにくい。
とはいえ、身内は別だ。
「セスト、あなた何か隠しているのではないかしら?」
「え?」
「そのパーティーよ。もう一度詳しく説明して頂戴」
母の勘は鋭い。セストは誘導に引っ掛かり、グイドの言葉まで再現する羽目になる。
だがバルバラは意外にもにっこり微笑んだ。
「いいわ、行ってらっしゃいな。そこでたくさん同年代のお友達を見つけられるといいわね」
心なしか「お友達」に力がこもっていた。
●
同盟の農業推進地域ジェオルジに、バチャーレ村という場所がある。
ここにサルヴァトーレ・ロッソでクリムゾンウェストにたどり着いた人々が集団で移住した。
様々な困難もあったが、今ではジェオルジの住人も受け入れ、近隣の村とも行き来する、本当の意味での「ジェオルジの村」となりつつある。
この村の代表を務めるのはサイモン・小川(kz0211)、元はロッソの食料用植物プラントの技術者だ。
彼は移民の際に小規模な実験ユニットをそのまま持ち込み、今は村にビニールハウス状の実験農園を作っている。
今日はそこを、ジェオルジの若き領主セスト・ジェオルジ(kz0034)が訪れていた。
「すごいですね。こんなにびっしりと大きな実がついている穂は初めて見ます」
植物オタクという意味ではサイモンに引けを取らないセストは、頬を紅潮させて試作品の小麦を見ている。
「リアルブルー産の収穫量の優秀な小麦と、この地域の病気に強い小麦のかけあわせです」
サイモンは農閑期で多少は手が空くセストを、自分の実験農場に招いたのだ。
もうひとり、近くの村の村長グイドも招かれていた。興味津々で、小麦を見つめている。
「これを分けてもらえたら、ずいぶん助かるな」
「そうですね、あと数年すれば外での栽培を試していいかもしれません」
「そんなにかかるのか」
グイドの言葉に、サイモンは言葉を選びながらゆっくりと説明する。
「ええ。元々、我々は無人の惑星に移住するつもりでしたから……」
誰もいない惑星なら、仮にその植物が失敗してもゼロに戻るだけだ。
だが既に人が住んでいる場所に持ち込んだ植物が、どんな影響を及ぼすか予想もできない。
飛んだ花粉がこれまで根付いていた品種の特性を台無しにしてしまい、災害やこの土地の微細な生物の攻撃に弱いものに変えてしまうかもしれないのだ。
最悪、ジェオルジ中の人々を飢えさせてしまう危険すらある。
「ですから、慎重に見極める必要があるのです。外に植えるにしても、できれば交雑を避けられる遠隔地で10年は確かめたいですね」
「結構恐ろしい話なんだな」
グイドが頭を振った。
「そうですね。だから本当は、この土地に元からある品種を栽培するのが一番なのですが。もう少し収量を上げられたら、とは誰でも考えることでしょう?」
「クリムゾンウェスト全体で人は増えているでしょう。ですが食料を供給する側の人間はさほど増えていないはずです。それでなくても長引く戦いは食料不足との闘いでもあります」
セストは淡々とそう言うが、その表情は険しい。
「ともかく、今日はとても有意義でした。オガワ代表、またお邪魔させてください」
サイモンと握手しながら、付け加える。
「それにしてもこんなに興味深い施設とは。我が家の傍に移住してもらえばよかったと後悔しています」
どこまで本気かわからないセストの言葉に、サイモンは穏やかな笑顔を返す。
「お時間のある時ならいつでもお越しください。喜んでご案内しますよ」
外に出たグイド村長が、サイモンの肩を叩いた。
「いや、本当に面白かった。お前さんの仕事もよくわかったよ。ところで前から聞きたかったことがあるんだが、ひとついいか?」
「なんでしょう?」
「ほら、あのオレンジ色の髪の美人。お前さんの恋人かなんかか?」
――しばらくお待ちください。
「……は?」
「違うのか? 始めはあの色っぽい子連れかと思ったんだが、旦那が合流したからな」
「え、あの、すみません、話が見えませんが……」
グイドは元々余り表情の変わらない無骨な男だが、何故か今は妙に目がキラキラしているようだ。
「いいんだ、心当たりがないなら忘れてくれ。すまなかったな。それとは別件なんだが……」
この間、何故かセストがあらぬ方に視線を彷徨わせていた。
●
メディオ村に戻ったグイドは、自分の奥方と額を突き合わせる。
「……という訳で、バチャーレ村、特にサイモンと仲良くなっておいて損はない。若干頼りないが、いい奴だ」
「でもあなた、そんな勝手に……」
「チャンスを作るだけだ。どうなるかは当人次第だろう?」
小さな男の子が駆け寄ってきて、グイドの背中に抱き着いた。
「とーちゃーん、たけとんぼまだー?」
「あー、よしよし、もうちょっと待ってろ。少し兄ちゃんに見てもらえ」
グイドは改めて奥方に向き直る。
「これは村の活性化にもつながるはずだ。もしうまくいけば、新しい伝説になるかもしれんだろう?」
●
サイモンはバチャーレ村の面々に、グイド村長の『農閑期の交流会』を説明する。
「我々の村にはそれなりに大きな集会所があるからね、向こうの村の人に来てもらって、ちょっとしたパーティーでもどうかということなんだ」
「面白そうじゃない。皆、今の時期は退屈しているし、ちょうどいいと思うわ」
そう言うマリナ・リヴェール(kz0272)の顔を見ると、サイモンは先ほどの会話を思い出してしまう。
「あー、うん。ただどうせなら精霊様にもお参りして、それからティーパーティーでどうだということになってね」
折しもこの時期、リアルブルー発祥のバレンタインデーというものもある。
精霊への冬のお参りをこの日と決めておけば、来年以降も継続できるのではないか……というのが、グイド村長の言だ。
何やら妙な引っ掛かりを感じながらも、断る理由もないので話は決まった。
「それで今年は、領主様も顔を出していただくことになってね。だったら少し賑やかに、外からもお越しいただこうかという話になったんだ。皆、忙しくなるけど、よろしく頼むよ」
――サイモンは、グイドの本当の狙いをまだ知らない。
●
セストは家に戻り、事実上の権力者である母バルバラに外出の予定を報告した。
「……という訳で、パーティーにお邪魔します。あまり頻繁に同じ村に足を運ぶのは良くないと思うのですが、今回は精霊をお参りしますので」
セストの表情は変化に乏しく、何を考えているのか読み取りにくい。
とはいえ、身内は別だ。
「セスト、あなた何か隠しているのではないかしら?」
「え?」
「そのパーティーよ。もう一度詳しく説明して頂戴」
母の勘は鋭い。セストは誘導に引っ掛かり、グイドの言葉まで再現する羽目になる。
だがバルバラは意外にもにっこり微笑んだ。
「いいわ、行ってらっしゃいな。そこでたくさん同年代のお友達を見つけられるといいわね」
心なしか「お友達」に力がこもっていた。
解説
●何をするの?
朝から精霊にお参りして、昼すぎからパーティ(ハイティーのようなイメージ)となります。
カップルでもシングルでも大歓迎。お参りなしのパーティーのみ参加もOK。
PCは、グイドの提案やその経緯は聞いていますが、奥方との会話はスタート時点では知りません。
なお報酬なしですのでご注意ください。
●精霊参り
バチャーレ村近くの山にある祠に、地精霊マニュス・ウィリディスが祀られています。
お酒や農作物、特産品などをお供えに行きます。
道中、多少は雪が積もっていますが、ハンターならそれほど問題になりません。なってもいいです(?)
装備品は村で借りられます。
●パーティー
アルコールは軽め。交流会ですので、ハンター以外にもいろいろな人が顔を出しています。
セスト、バチャーレ村関連NPCと会話できますが、声をかけていただく際は、出来れば相談卓で調整をお願いします。
またパーティーの準備に参加も歓迎です。
ただし時間軸の都合により、お参りと準備はプレイングに両方の記載があってもどちらかのみ描写となります。
●グイド村長について
今回の黒幕です。40代、抜け目ない性格でやり手。
自分の村の独身男女(モブNPC)を連れて行って、バチャーレ村の皆様とイイ感じにしようとか思っているようです。
ただしサイモンに悪い感情を持っているわけではなく、むしろ「放っておいたらいつまでもあのままだろ。しっかりした嫁さんでも」という有難迷惑な動機です。
●ほか
実際にバチャーレ村のなりたちなどから考えれば、近隣の村との嫁取り婿取りはいずれ避けては通れない問題でしょう。
そこに長いOPのあれこれも絡みますので、思考ゲームの好きな方はその辺りも色々お楽しみください。
セストも母とは色々あるようです。
何か疑問点などあれば質問卓を用意していただければ、出発24時間前まではMSが確認いたします。
朝から精霊にお参りして、昼すぎからパーティ(ハイティーのようなイメージ)となります。
カップルでもシングルでも大歓迎。お参りなしのパーティーのみ参加もOK。
PCは、グイドの提案やその経緯は聞いていますが、奥方との会話はスタート時点では知りません。
なお報酬なしですのでご注意ください。
●精霊参り
バチャーレ村近くの山にある祠に、地精霊マニュス・ウィリディスが祀られています。
お酒や農作物、特産品などをお供えに行きます。
道中、多少は雪が積もっていますが、ハンターならそれほど問題になりません。なってもいいです(?)
装備品は村で借りられます。
●パーティー
アルコールは軽め。交流会ですので、ハンター以外にもいろいろな人が顔を出しています。
セスト、バチャーレ村関連NPCと会話できますが、声をかけていただく際は、出来れば相談卓で調整をお願いします。
またパーティーの準備に参加も歓迎です。
ただし時間軸の都合により、お参りと準備はプレイングに両方の記載があってもどちらかのみ描写となります。
●グイド村長について
今回の黒幕です。40代、抜け目ない性格でやり手。
自分の村の独身男女(モブNPC)を連れて行って、バチャーレ村の皆様とイイ感じにしようとか思っているようです。
ただしサイモンに悪い感情を持っているわけではなく、むしろ「放っておいたらいつまでもあのままだろ。しっかりした嫁さんでも」という有難迷惑な動機です。
●ほか
実際にバチャーレ村のなりたちなどから考えれば、近隣の村との嫁取り婿取りはいずれ避けては通れない問題でしょう。
そこに長いOPのあれこれも絡みますので、思考ゲームの好きな方はその辺りも色々お楽しみください。
セストも母とは色々あるようです。
何か疑問点などあれば質問卓を用意していただければ、出発24時間前まではMSが確認いたします。
マスターより
相変わらずOPが長いですね、すみません。樹シロカです。
今回めでたくカップルが(PC様含め)誕生すれば、伝説の木とか伝説のお菓子とかが誕生するかもしれません。
ただし、PLレベルでの合意が取れない場合はMSとしては描写しづらい事情がありますこと、何卒ご了承ください。
なお、関連NPCとマリナは現在のところ誰かに対する恋愛感情は皆無の状態です。
(まあある程度好印象を持っていたりする人はいるかもしれませんが)
バレンタインの思い出作りに、NPC達をからかいに、はたまた移民たちの将来に思いを馳せに、お越しいただければ嬉しいです!
今回めでたくカップルが(PC様含め)誕生すれば、伝説の木とか伝説のお菓子とかが誕生するかもしれません。
ただし、PLレベルでの合意が取れない場合はMSとしては描写しづらい事情がありますこと、何卒ご了承ください。
なお、関連NPCとマリナは現在のところ誰かに対する恋愛感情は皆無の状態です。
(まあある程度好印象を持っていたりする人はいるかもしれませんが)
バレンタインの思い出作りに、NPC達をからかいに、はたまた移民たちの将来に思いを馳せに、お越しいただければ嬉しいです!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/03/07 00:58