• 虚動
  • 無し

【虚動】虚いつ……動くぞ!

マスター:ムジカ・トラス

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―

難易度
易しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在9人 / 4~9人
サポート
現在0人 / 0~10人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/01/16 22:00
リプレイ完成予定
2015/01/25 22:00

オープニング

●この、ろくでもない世界で
 夜の大地を、吹き荒ぶ風が千切れ乱れるように流れていく。やはり王国とは空気が違うなと、馬上のヘクス・シャルシェレット(kz0015)は雑な感想を抱いた。
「……うーん」
 ヘクスは小さく首をひねると、大きく伸びをした。まだ、身体が痛む。特に締め付けられた腕の回りとか。
 経験上、下手な切創よりも挫傷の方が尾を引く事が多い。外に見える傷はすっかり良くなったが、今ひとつ本調子じゃないな、と分析する。だがまあ、これからする『仕事』にたいして支障はきたさないだろう、とも感じていたから、ヘクスは今、此処に居る。
 ――辺境に用意されたCAMの起動実験の実験場に。

 ここまでの道中、色々な事を考えていた。今だってそうだ。考えるべき事は多い。
 目下、最大の関心ごとは今回の動乱の中で蒔いた種がどうやら芽吹きそうだ、ということ。不確定要素は多いが……面白い方向に事が転がって来ている。
 全てが上手く行った時――遠くはあるが血族である少女、システィーナ・グラハム(kz0020)がどういう表情をするかが、楽しみだった。涙するだろうか。それとも、怒るだろうか。
 判断するには情報も状況も不足している。無益な空想だが、そこに幾ばくかの愉悦を覚えるのも事実だった。我ながら、趣味が悪いことだと思う、が。

「……と」
 ヘクスは思索を振り払う。目当ての人物を見つけたからだ。
 アダム・マンスフィールド。ゴーレムを動かすための禁術、刻令術を修めようとしている無謀なる人物。ヘクスはアダムの事を深く知っているわけではないが、その気骨に関していえば好感を覚えている。
 荒涼とした大地で一人、虚空を睨むようにして立っている男には聞こえないように、小さく呟いた。
「刻令術がとうの昔に喪われた魔術でなければ、人類の敵になっていたかもしれないね、君は」
 禁術に対する魔術師協会の対応は、それが重要であればあるほどに徹底している。アダムも今はCAMに対して価値が見いだせているが故に許容されているようなものだ。それは即ち、CAMの稼働実験で成果が出せなければ彼の命運自体が危うい事を示している。

 なのに。こんなにも揺らがずに、立っている。
 その事が、ヘクスにとっては大変好ましい。


「やあ、調子はどうだい」
「……ヘクス卿」
 相手の浮かない顔をみて、ヘクスは笑みを深めた。
「CAM、結構な数が奪われちゃったみたいだね」
「ああ」
「幸いにも、というべきかい?」
「どういうことだ?」
「君の実験の成果について聞いてたのさ」
「皮肉のつもりか? ……まあいい」
 各国や団体が多方面からアプローチした今回のCAMの起動実験。王国では、『刻令術』というゴーレムを動かすための魔術からのアプローチを行う事とした。それが禁術指定されていることも、それによって資料が殆ど残っていない事も全て了解の上で。実際のところ、実験を担当するアダムの技量や知識は、古き時代に在ったと思われるものと比較することすら躊躇われるほどにお粗末なものだ。
 ヘクスは今回の実験そのものに価値を見出しているが、それはあくまでも政治的な先行投資としてに過ぎない。起動実験そのものの成否に微塵も期待してはいなかった。
 だから。
「結果からいうと、だ。あのヨリシロを動かすことは出来た」
「ほーっ!」
 ヘクスは、やや大げさに見えるぐらいに感嘆していた。
「ただ、それは、ヨリシロとして、だ」
「……ん?」
「CAM本来の機能として想定される行動は出来そうにもなかったよ」
「……どういうことだい?」
「現状、刻令術でヨリシロを動かす場合、『動力』と『行動』が不可分だ。一方で、今回要求されているのは、『動力』としての代替品。CAMを動かすには、内部からの命令が必須なのが現状だ。
 ……今回、ヨリシロとして動かすことは出来たが、CAMとして動かすことは出来なかった」
「あー、はいはい」
 漸く、ヘクスの理解が追いついた。
「ちなみに、どういう動きなら出来たの?」
「ふむ。右手をあげることは出来たな」
「……」
「他にも、片足立ちぐらいなら私の刻令術でも出来たよ。あのヨリシロは素晴らしいな」
「……とても戦える感じじゃないね。『実験としては』、大失敗だ」
「そうだな」
 その時、二人は笑っていた。方や愉快げに。方や、静かに。
 今回の実験で、王国側が抱えているのは構造的な問題だった。

 ――しかし。
 そんな事、『最初から解っていた』のだ。

「だが、私にとっては大きな一歩さ」
「だろうね」


「でも、成果無しだと君、ヤバいんじゃない?」
「……」


 というわけで。
 大型の天幕が、会議の為に誂えられた。招集されたハンター達は天幕の中で気ままに過ごしている。眼前には二人。貴族のヘクスと、厳しい顔つきを崩さない偉丈夫だ。
「と、いうわけでね」
 ぐるり、と。視線を巡らせて、ヘクスは口を開いた。
「CAMが奪われちゃって、あっちこっちそっちどっちですっごく大変なんだけど」
 まあ、それはそれ。頑張ってもらうしかないしね、といい添えて、続ける。
「今回、君たちには意見を聞きたいんだ。資料は手元の資料を確認してね。いちいち口で言うの、めんどくさいし」
 そう言って、手元の資料を叩いてみせる。極秘とも、部外秘とも書かれていない、あまりにもあけっぴろげな資料だった。
「意見は何でもいいよ。刻令術の事でもいいし、CAMに関するものでもいい。僕達が今後どういう方向に手を広げたら儲け……じゃない、成果がでるか、について頼むよ。出来る事は凄く限られているし、実現は難しいことも多いかもね。でもまあ、それは今だけの話……かも? まあ、わからないけど、ね」
 じゃ、ヨロシク、とヘクスは最後に笑って――。
「あ。忘れてたけど、こっちの図体大きい人がアダム・マンスフィールドさん。こんなナリだけど魔術師で、実際にゴーレムを作る人だよ。聞きたい事も彼に聞いて。それじゃあ、僕はあれこれしないといけないことがあるから、一度王国に帰るね!」
 最後の言葉を聞いて、アダムは顔を顰めたようだった。
 深い。重い慨嘆が、響いた。
「……待て、ヘクス卿」
「あれ、言ってなかったっけ。いやー、ゴメン! 忙しくてさ。それじゃあ、またね!」
「…………」
 そのままヘクスはぴゅー、とハンター達の間を抜けて天幕の外へと飛び出した。直ぐに、高い嘶きと軽い足音が響く。
「…………」
 しばらくの間、アダムは固く目を瞑って何かに堪えているようだった。そして。
「改めて。私はアダム・マンスフィールドという。しがない魔術師だが、今回は君たちの知恵を借りたい」
 手短に、そう言うと。
「それでは、資料を読んでくれ。夫々に都合が良くなったら始めよう」

解説

●目的
・アダムの命運が危険でマッハなので、今後の展望を踏まえてご意見を下さい。

●解説
・CAM稼働実験について、ブレインストーミングや意見提示、その他諸々をお願いします。
・ゴーレム作成関係についても意見をしてもOKです。
・聞きたいことがあったらアダムさんに聞いて下さい。リプレイ中になりますが、解答します。

▽刻令術についての解説
・刻令術は『ヨリシロ』を動かす為の魔術である。動力となる『核』に用い、その際に種々の命令を与える事でヨリシロを動かすことが出来る。
・『核』はヨリシロを動かし、命令を実行するに足るマテリアルを有しているものであれば何でも良い。燃費は悪い。
・刻令術は禁術指定されており、基本的にその運用や実験については魔術師協会の監視がかかる代物。
・判断を要するような命令については、現在の刻令術の知識では達成が困難である。
・現時点では指定の行動をシンプルに繰り返すくらいが限界。
 例:「右脚をだす」「左脚を出す」 → 「歩ける!!」
  →でもこのままでは止まれないので地の果てまで歩き続ける

▽CAM関係での付記
・現在現地にはCAM奪還ゲームに巻き込まれなかった無傷のCAMが数機残っています。
・調整に時間はかかりますが、簡単な実験ならすることは可能です。

▽アダム・マンスフィールド
・筋肉質なおっさん魔術師。
・元々は魔術師協会に属する優秀な魔術師であったが、現在は王国のアークエルスで教鞭を取りつつ、図書館を漁っては刻令術とゴーレムの研究に打ち込んでいた。
・やや諧謔的な物言いが多い、低めの声。

▽その他
・サポートは、一言でも何か聞きたい人向けです。

マスターより

こんにちは。虚動連動、盛り上がってますか―!!

((イエーイ!!))

さて。お疲れ様です、ムジカです。
争乱を他所にちまちまと残りもので実験とか、会議とかをするシナリオになります。
もう、慌ててもどうしようもないタイミングになってしまいましたから、いっそ開き直っているおっさんアダムとキャッキャウフフしてもいいかもしれない、そんなシナリオです。
何をしてもいいのですが、プレイングはください。そのくらいのハードルです。
内容次第では今後の展開がガッツリ変わり得ますが、まあ、そんなの当たり前ですものね……ではでは、ご縁がありましたらば、是非ご参加くださいな!
※人数を少し多めに取っております。ご了承ください……!

関連NPC

  • ガンナ・エントラータ領主
    ヘクス・シャルシェレット(kz0015
    人間(クリムゾンウェスト)|34才|男性|猟撃士(イェーガー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/01/24 09:07

参加者一覧

  • THE "MAGE"
    フワ ハヤテ(ka0004
    エルフ|26才|男性|魔術師
  • 護りの弾丸
    シュタール・フラム(ka0024
    ドワーフ|29才|男性|機導師
  • 魂の反逆
    ウィンス・デイランダール(ka0039
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 一日パパ
    リック=ヴァレリー(ka0614
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人

  • ジョン・フラム(ka0786
    人間(紅)|28才|男性|霊闘士
  • 炎からの生還者
    櫻井 悠貴(ka0872
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • Pf. M.A.D
    遥・シュテルンメーア(ka0914
    人間(蒼)|17才|女性|機導師
  • 不器用、なれど優しき言葉
    薄氷 薫(ka2692
    人間(蒼)|25才|男性|闘狩人
  • ほんわかまる
    木島 順平(ka2738
    人間(蒼)|22才|男性|魔術師
依頼相談掲示板
アイコン アダムをどうにかし隊
薄氷 薫(ka2692
人間(リアルブルー)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/01/15 00:06:59
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/11 23:30:12