ゲスト
(ka0000)
【血断】一振りで ひび割れる 脆い絆よ
マスター:凪池シリル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在5人 / 3~5人
- ユニット参加人数
- 現在4 / 0~5
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/02/25 09:00
- リプレイ完成予定
- 2019/03/06 09:00
オープニング
──だってあいつが、それでも良いって言ってたんだ。
それが、共に居られる理由だというなら。
そいつが駄目だと言ったら終わる、それだけの絆だろう。
「……」
伊佐美 透 (kz0243)の部屋は物が少ない。上京し一人暮らしを始めてすぐに、片付ける余裕が少ないことに気付いてから心掛けていた習慣ではあるが、この世界に転移してからはそれに加えてそこにもう一つ意味が増えている。……ここは、あくまで仮の住まい。自分はリアルブルーに帰るのだから、と。だから、趣味の品のみならず家具でさえも間に合わせで揃えたような物のままで、その不便さも必要なものとしてそのままにしてきた。
住居として不完全さ、余白を残す空間。数年、そこで過ごしてこれたのはその余白を埋める存在が訪れていたからだ。来ないと分かっていると改めてそのことを認識する。
いずれここを去る、そのことは折に触れて伝えてきた。だから──向こうから距離を置いてきたとき、引き留めたいような言葉をかけるのは何か違うのだと思う。いつか二世界はまた分かたれるのかも知れない、その事について、意識しているようできっと、でもまあ、多分なんとかなるんだろう、無意識にそう言うことにしてここまできていた。……その事をきちんと考えるならば、自分が用意しておくべき言葉は。覚悟しておくべきことは何なのだろう。そう考えて──ふと過る。そうやって考えて、ちゃんと話し合える時間は俺たちに残されてるよ……な?
そこで考えを終えたのはこれ以上は仕方ないと思ったからだし必要な身支度や食事といったものがそこで終わったからだった。こんなこと考え込んでないでハンターオフィスへ向かうべきだ。結局のところ、それでも今一番重く受け止めるべきことは「今それどころじゃないだろう」、その事実だ──それを思い知らせるかのように、依頼を探し始めた直後に『緊急事態、大至急』の言葉がそこに踊った。
●
邪神の侵入を防ぐ世界結界には綻びがある。その綻びが発見され次第、神霊樹の分樹を植樹して結界を補強しなければならない。各地の歪虚の動きに対応する他、今ハンターがやらねばならない重要な任務の一つだ。
厄介なのは綻びがどこにあるかは、侵入されてから初めて分かるという点だろう。動きとしては常に後手になる。
──その空間の裂け目は。人々が行き交う街角の上空に突如として現れた。現れた敵、もたらされる惨劇にパニックを起こし逃げ惑う人々。自警団や青年団はそれでも避難と連絡に尽力してみせたし、ソサエティも可能な限り迅速な対応をしただろう、それでも悲劇は防ぎきれなかった。ハンターが駆けつけたその時、既に破壊は撒き散らされていて。その光景に浮かぶ感傷に囚われることすら許されない。
そう……。
(どんな因縁だよ!?)
見えたその姿に、叫びそうになりながら、透はなんとか駆けつけるその動きに余計な制限はかけずに済ませた。感情は流されながらも、意識は、行動はすべきことのままに。今新たに死を、破壊を叩きつけんとする一撃を、意識を拡張して己へと向かうものへとねじ曲げる。
受け止める。絡み付いてくるそれ、そこから侵食してくるものを巧みに防具で捌きながら──
「インタラプタ……──!」
こらえていた叫びを上げてそこで、それがかつて相対した敵と、その攻撃と同一のものであると改めて認識する。……取り憑く筐体すら無かったが、狂気のVOIDがそのまま肥大化したような単眼と触手。その触手は機械のコードと生々しい肉が絡み合うように一体化して四本の太いそれとなっている。
記憶と違うのは嘲笑うような無駄口が無く今は自分に興味を持っているようでも無い点か。実際、あのときのあいつは確かに滅ぼした。同型の別個体で、学習前という感じなのだろうか。
……が。それでも似た手合いだというなら、もしかして。
「お前……」
触手を振りほどくと共に、苦々しい表情と苦し気な呟きを見せてやると、それはこれまで無差別に市民を攻撃していた様子から、透に興味を向けたようだった。
……ああそうか。『抉りがい』のありそうな相手を狙いたがるいい性格もある程度は同じって訳か!?
苛立ちながらも、判明している習性を利用しない手も無いだろう。透はそのまま、自然に市民が誘導される方向とは逆に向かう。
──かつての仇敵とも言える存在と同じ姿を目にして。そのこと自体には割りと冷静な自分を、透は自覚した。
勿論一度倒した相手だからといって油断していい訳じゃない。状況としてはあのときより苦しいと言える。
それでもやっぱり、実感はした。少しずつでも、自分も成長はしているはずなのだ、と。
もどかしさなら、無力感なら、今もある。
血の臭いがする。苦悶の呻き。嘆きの声。破壊された建物の見せる陰惨な光景。どうして防げないのか。
……それでも、苦しみながら、もがきながらも戦い続けることに、意味はあるはずなんだと。
これは邪神との戦い。そこに向かう道。すべきことを、一つ一つ進めていく、これでいいんだ。今はそれだけを……──。
ぎろりと、『それ』と目が合う。嫌悪感を催す、歪んだ狂気の瞳。なんとも言えない不安感が沸き上がって……今は敢えて、それを完全には掻き消さないことにした。
傍に居ない相棒との事が心を掠める。この不安は、放っておいて良いのだろうか。
決戦に備えて、準備は進められている。自分も、戦力として成長はしている。けど。
今は形の見えないこの不安を、なおざりにしてきたのものをそのままにしておいて良いのだろうか。
すべきことのために仕方がない、そう言って。
──終わりの戦いに向けて備えるのは、戦力だけで、戦略だけで、いいのだろうか?
それが、共に居られる理由だというなら。
そいつが駄目だと言ったら終わる、それだけの絆だろう。
「……」
伊佐美 透 (kz0243)の部屋は物が少ない。上京し一人暮らしを始めてすぐに、片付ける余裕が少ないことに気付いてから心掛けていた習慣ではあるが、この世界に転移してからはそれに加えてそこにもう一つ意味が増えている。……ここは、あくまで仮の住まい。自分はリアルブルーに帰るのだから、と。だから、趣味の品のみならず家具でさえも間に合わせで揃えたような物のままで、その不便さも必要なものとしてそのままにしてきた。
住居として不完全さ、余白を残す空間。数年、そこで過ごしてこれたのはその余白を埋める存在が訪れていたからだ。来ないと分かっていると改めてそのことを認識する。
いずれここを去る、そのことは折に触れて伝えてきた。だから──向こうから距離を置いてきたとき、引き留めたいような言葉をかけるのは何か違うのだと思う。いつか二世界はまた分かたれるのかも知れない、その事について、意識しているようできっと、でもまあ、多分なんとかなるんだろう、無意識にそう言うことにしてここまできていた。……その事をきちんと考えるならば、自分が用意しておくべき言葉は。覚悟しておくべきことは何なのだろう。そう考えて──ふと過る。そうやって考えて、ちゃんと話し合える時間は俺たちに残されてるよ……な?
そこで考えを終えたのはこれ以上は仕方ないと思ったからだし必要な身支度や食事といったものがそこで終わったからだった。こんなこと考え込んでないでハンターオフィスへ向かうべきだ。結局のところ、それでも今一番重く受け止めるべきことは「今それどころじゃないだろう」、その事実だ──それを思い知らせるかのように、依頼を探し始めた直後に『緊急事態、大至急』の言葉がそこに踊った。
●
邪神の侵入を防ぐ世界結界には綻びがある。その綻びが発見され次第、神霊樹の分樹を植樹して結界を補強しなければならない。各地の歪虚の動きに対応する他、今ハンターがやらねばならない重要な任務の一つだ。
厄介なのは綻びがどこにあるかは、侵入されてから初めて分かるという点だろう。動きとしては常に後手になる。
──その空間の裂け目は。人々が行き交う街角の上空に突如として現れた。現れた敵、もたらされる惨劇にパニックを起こし逃げ惑う人々。自警団や青年団はそれでも避難と連絡に尽力してみせたし、ソサエティも可能な限り迅速な対応をしただろう、それでも悲劇は防ぎきれなかった。ハンターが駆けつけたその時、既に破壊は撒き散らされていて。その光景に浮かぶ感傷に囚われることすら許されない。
そう……。
(どんな因縁だよ!?)
見えたその姿に、叫びそうになりながら、透はなんとか駆けつけるその動きに余計な制限はかけずに済ませた。感情は流されながらも、意識は、行動はすべきことのままに。今新たに死を、破壊を叩きつけんとする一撃を、意識を拡張して己へと向かうものへとねじ曲げる。
受け止める。絡み付いてくるそれ、そこから侵食してくるものを巧みに防具で捌きながら──
「インタラプタ……──!」
こらえていた叫びを上げてそこで、それがかつて相対した敵と、その攻撃と同一のものであると改めて認識する。……取り憑く筐体すら無かったが、狂気のVOIDがそのまま肥大化したような単眼と触手。その触手は機械のコードと生々しい肉が絡み合うように一体化して四本の太いそれとなっている。
記憶と違うのは嘲笑うような無駄口が無く今は自分に興味を持っているようでも無い点か。実際、あのときのあいつは確かに滅ぼした。同型の別個体で、学習前という感じなのだろうか。
……が。それでも似た手合いだというなら、もしかして。
「お前……」
触手を振りほどくと共に、苦々しい表情と苦し気な呟きを見せてやると、それはこれまで無差別に市民を攻撃していた様子から、透に興味を向けたようだった。
……ああそうか。『抉りがい』のありそうな相手を狙いたがるいい性格もある程度は同じって訳か!?
苛立ちながらも、判明している習性を利用しない手も無いだろう。透はそのまま、自然に市民が誘導される方向とは逆に向かう。
──かつての仇敵とも言える存在と同じ姿を目にして。そのこと自体には割りと冷静な自分を、透は自覚した。
勿論一度倒した相手だからといって油断していい訳じゃない。状況としてはあのときより苦しいと言える。
それでもやっぱり、実感はした。少しずつでも、自分も成長はしているはずなのだ、と。
もどかしさなら、無力感なら、今もある。
血の臭いがする。苦悶の呻き。嘆きの声。破壊された建物の見せる陰惨な光景。どうして防げないのか。
……それでも、苦しみながら、もがきながらも戦い続けることに、意味はあるはずなんだと。
これは邪神との戦い。そこに向かう道。すべきことを、一つ一つ進めていく、これでいいんだ。今はそれだけを……──。
ぎろりと、『それ』と目が合う。嫌悪感を催す、歪んだ狂気の瞳。なんとも言えない不安感が沸き上がって……今は敢えて、それを完全には掻き消さないことにした。
傍に居ない相棒との事が心を掠める。この不安は、放っておいて良いのだろうか。
決戦に備えて、準備は進められている。自分も、戦力として成長はしている。けど。
今は形の見えないこの不安を、なおざりにしてきたのものをそのままにしておいて良いのだろうか。
すべきことのために仕方がない、そう言って。
──終わりの戦いに向けて備えるのは、戦力だけで、戦略だけで、いいのだろうか?
解説
●目的
町中に現れた上位型狂気VOIDの撃破と可能な限りの市民の救助
●敵情報
上位型狂気VOID。
『本体』と、四本の『特殊触手』からなる。
四本の触手は本体と繋がっており移動については本体に依存する。
しかし、行動順と生命力は個別に持ち、攻撃対象としても一個のキャラクターとして扱う。ただし、本体が倒された場合全ての触手もそこで停止する。
能力については過去シナリオ『演想──弱さゆえの想いを』にあるものと同様。またBS強度は全て3とも判明していてよい。
また、個別に狙いたい触手がある場合、上記シナリオのA~Dという表記を用いてよい。
●状況
今敵がいる場所は大通りであり、配置や武器の取り回しに大きく問題は無い。開始時点で敵とどのくらいの位置にいるかはある程度自由に考えてよい。
ただし、周辺には建物があり、また負傷や混乱などにより逃げ遅れている市民もいるため兵器や無差別広範囲の攻撃には大きく制限を受ける。
ユニットの使用は戦力だけでなく市民の運搬や一時的な安全地帯の構築、倒壊しそうな建物の急場凌ぎなども考慮の上での許可であり、特にCAMの運用などには厳重な注意が必要となるだろう。
市民の避難誘導については自警団や青年団が頑張ってくれてはいる。ただし軍ほど練度があるわけでもなく、激しく不安にさせるような状況になれば士気崩壊の恐れはある。
町中に現れた上位型狂気VOIDの撃破と可能な限りの市民の救助
●敵情報
上位型狂気VOID。
『本体』と、四本の『特殊触手』からなる。
四本の触手は本体と繋がっており移動については本体に依存する。
しかし、行動順と生命力は個別に持ち、攻撃対象としても一個のキャラクターとして扱う。ただし、本体が倒された場合全ての触手もそこで停止する。
能力については過去シナリオ『演想──弱さゆえの想いを』にあるものと同様。またBS強度は全て3とも判明していてよい。
また、個別に狙いたい触手がある場合、上記シナリオのA~Dという表記を用いてよい。
●状況
今敵がいる場所は大通りであり、配置や武器の取り回しに大きく問題は無い。開始時点で敵とどのくらいの位置にいるかはある程度自由に考えてよい。
ただし、周辺には建物があり、また負傷や混乱などにより逃げ遅れている市民もいるため兵器や無差別広範囲の攻撃には大きく制限を受ける。
ユニットの使用は戦力だけでなく市民の運搬や一時的な安全地帯の構築、倒壊しそうな建物の急場凌ぎなども考慮の上での許可であり、特にCAMの運用などには厳重な注意が必要となるだろう。
市民の避難誘導については自警団や青年団が頑張ってくれてはいる。ただし軍ほど練度があるわけでもなく、激しく不安にさせるような状況になれば士気崩壊の恐れはある。
マスターより
凪池です。
【血断】連動シナリオと、あとなんかをお届けです。
まあNPCのことはわりとどうでも良いです。構っちゃいけないとは言いませんが、そこについては別にシナリオ達成度とは別の問題なので、敵の撃破と市民の安全を優先してください。
それでも、連動シナリオとしてこれを書かせていただいてることにそれなりの意義と自負はあります。NPCではなく、皆様への物語として。
──終わりの戦いに向けて備えるのは、戦力だけで、戦略だけで、いいのだろうか?
お届けしたかったのはこの一文です。
彼らの物語は今後へ向けて何を意味するのか……どうぞ、必要な誰かの準備への切欠として貰えればと。
どうぞよろしくお願いします。
【血断】連動シナリオと、あとなんかをお届けです。
まあNPCのことはわりとどうでも良いです。構っちゃいけないとは言いませんが、そこについては別にシナリオ達成度とは別の問題なので、敵の撃破と市民の安全を優先してください。
それでも、連動シナリオとしてこれを書かせていただいてることにそれなりの意義と自負はあります。NPCではなく、皆様への物語として。
──終わりの戦いに向けて備えるのは、戦力だけで、戦略だけで、いいのだろうか?
お届けしたかったのはこの一文です。
彼らの物語は今後へ向けて何を意味するのか……どうぞ、必要な誰かの準備への切欠として貰えればと。
どうぞよろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/03/05 23:43
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
質問卓 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/02/20 22:46:36 |
|
![]() |
相談卓 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/02/24 08:08:52 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/02/21 00:57:56 |