ゲスト
(ka0000)
生きる糧が足りるとも
マスター:鹿野やいと

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/01/20 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/02/01 19:00
オープニング
先年の歪虚との戦闘により兵力を大きく損失したブラックバーン伯爵は、領内の街の至るところに兵士募集を行う旨を記した高札を立てた。それは兵力増強の為でもあったが、離散した村の住民が賊に身をやつさぬ為の施策でもあった。高札を立てて2週間後、伯爵の居城の入り口に集団の希望者が現れる。人数は総勢30名。誰も彼も薄汚い身なりだったが、錆びた刀や槍で武装していた。驚く門番の兵士に彼らのリーダーは盗賊の「砂蛇団」を名乗った。
■
訓練にも使われる石造りの無骨な大広間の一室に砂蛇団の一堂は通された。周囲は慌てて駆けつけた兵士が囲んでいる。兵士達がその気になれば、武器を取り上げられた彼らは為す術も無いだろう。盗賊達が揃って神妙な顔で待っていると、護衛の騎士と兵士数名を伴って領主代理のハロルドが現れた。ハロルドは父ローレンスの騎士復帰に伴い、伯爵位と領地を継いだまだ若い領主だ。その性質は父と違い冷徹と恐れされてはいるが、父と同じく善政を敷くことで領民の信頼を集めていた。彼は騎士に復帰した父が正しい領主であると言い、国の公式な場以外では領主代理を名乗っている。先年の黒大公の騒乱の際も、言葉通り戻ってきた父に命令権を譲っている。
「父の不在を預かっている、領主代理のハロルドである」
ハロルドが名乗り集団の前に立つと、リーダーは真っ先にひざまづき頭を垂れる。部下達は慣れない仕草でそれに続いた。
「砂蛇団、首領のオイヴァにございます。ブラックバーン伯が兵士を集めていると聞き、雇っていただきたく馳せ参じました」
領主代理のハロルドは跪く首領オイヴァをしげしげと眺めた。首領を名乗るだけあり他の者よりも体格に優れ、動きもきびきびしている。ハロルドは分からなかったが、横に居る騎士のジェフリーは彼の武術の錬度も見抜いているだろう。
「盗賊のお前がか?」
「はっ。私どもは……」
オイヴァは一瞬ためらい、後方の部下達をちらりと見た。
「街道を通る商人を襲い、村の娘を拐かし、禁じられた品を運んだりしてきました。ですが…元は食い詰めて仕方なく、盗みに手をそめた者ばかりです」
盗賊になった理由としては少なくない話だ。いかに善政を敷こうとも、飢饉となれば食えなくなる者も出る。歪虚の被害があればなおさら。そして去年は黒大公の起こした騒乱で村そのものを失った者も居る。
「先の戦の後、私どもの生まれ故郷の村が領主様の手厚い助けにより離散を免れたと聞きました。私どもはもうまともな仕事はできませんが、戦ならお手伝いできます。どうか、私どもを使ってください。ほんの少しでも、これまでの償いをしたいのです」
ハロルドは無言だった。盗賊達に兵士達に緊張が走る。次の一言で、ここは凄惨な殺しの場になるかもしれないからだ。だが、幸いにもそうはならなかった。仮面のように感情の見えないハロルドだったが、司祭のような穏和で優しい笑みを作った。
「わかった。その方らを我らが兵士として迎えよう」
「ありがとうございます!!」
笑顔で言うハロルドに、オイヴァ達盗賊一同は深く頭を下げる。緊張が解けたせいか中には涙を流す者もいた。
ハロルドはその声が少し止むまで待ち、続きの沙汰を言い渡す。
「だが罪を許すわけではないぞ。戦で勲功をあげた者のみに恩赦を与えよう。罪が許されるまで、お前達に自由な行動は許されない。さし当たっては1週間後にゴブリン・コボルドの集落を討伐する。まずはそれに向け準備をするが良い。詳しいことは追って伝える。以上だ」
ハロルドは一同に背を向け、護衛を連れてその場を後にした。彼の背後では大きな声で喜びを分かち合う盗賊達の姿がある。護衛の1人、ハロルドの弟である騎士ジェフリーは、石で組まれた通路を進んで声が遠くなった頃、小さな声で兄を呼んだ。
「兄上」
「なんだ?」
「良いのか?」
ジェフリーの懸念も当然のものだ。条件付とはいえ賊をこうも簡単に信用していいものか。他の護衛達も不安そうにその答えに聞き耳を立てている。ハロルドは心配する弟に笑って返した。
「心配するなジェフリー。あれの半分も使えるとは思っておらんよ」
それは笑顔に似つかわしくない冷徹な宣言だった。
「おそらく首領と後何名かは本当に父の施政に感謝しておるのだろう。その者達は使う。だがそれに乗じてよからぬ事を考える連中は…」
死しても已む無し。長らく近辺を騒がせていた盗賊だ。順次討伐し皆殺しにする予定だったのだ。損得で言えば今全てを殺しても安い。
「3週間もして気が緩んだ頃には結果が出るだろう。ジェフリー、ハンターで使えそうな者に声をかけてくれ」
「わかった。こちらで手配する」
「……出来の良い弟がいると助かるよ」
本来の命令系統は王国直属の騎士団へ命令する権利は貴族には無い。弟は貴族からの要請があったものとしてそれを協力として処理。こうして余裕がある時は兄を助けに領地に戻っていた。ハロルドは本来は口うるさい人間だが、弟のジェフリーには一言も付け足すような事を言わなかった。
ジェフリーは小さく礼をするとその場を離れる。ハロルドはジェフリーの背中を見送り、硬く表情を引き締めた。
■
一方、盗賊達の喜びようは凄まじかった。微妙な顔の兵士達に囲まれた中で、飛び上がったり跳ねたり。それも当然と言えば当然だった。なにせ、死を覚悟してきたのだから。
「はは、良かった。良かった……」
盗賊団でもとびきり気の弱かったその男は、あまりのことに泣き止む気配が無い。周りはそれを茶化しながらも、その気持ちをバカにはしなかった。
「バカだな。これからが大変なんだぞ」
「そうだぞ。勲功をたてたらって言ってただろ。でぶでのろまなお前じゃ、いつまで経っても許してもらえないぞ」
「そ、そんなぁ……」
泣いてた男がおろおろとする様を見て一同にまた笑いが起こる。同じく笑っていたオイヴァは、男の背中をばしばしと思い切り叩いた。
「心配すんな! お前の分、俺が倍働いてやるさ」
「首領……」
そして一番喜んでいたのは首領のオイヴァだった。彼の故郷バストー村は前の領主の頃に散々な目にあった。それを忘れたことはない。貴族は敵だと今でも思ってる。だが今の領主は違う。黒大公の襲撃の中でも村々を守り、復興する手助けをしてくれた。村に残った幼馴染が、毎日楽しそうに働き汗を流すのを見て彼は確信した。仕えるべき相手がいるとするなら、伯爵以外はありえない。そして今日、めでたく念願叶ったのだ。
「お前らも、くれぐれも変な気起こすんじゃねえぞ! 今日で盗賊は廃業だ。
明日からは伯爵様の兵士として恥ずかしくないように生きるんだ」
周囲から「応」と答えが返る。オイヴァは喜びに目が眩み気付けなかった。そのうち何割かの笑みの裏に、悪意が隠されていることに。
■
訓練にも使われる石造りの無骨な大広間の一室に砂蛇団の一堂は通された。周囲は慌てて駆けつけた兵士が囲んでいる。兵士達がその気になれば、武器を取り上げられた彼らは為す術も無いだろう。盗賊達が揃って神妙な顔で待っていると、護衛の騎士と兵士数名を伴って領主代理のハロルドが現れた。ハロルドは父ローレンスの騎士復帰に伴い、伯爵位と領地を継いだまだ若い領主だ。その性質は父と違い冷徹と恐れされてはいるが、父と同じく善政を敷くことで領民の信頼を集めていた。彼は騎士に復帰した父が正しい領主であると言い、国の公式な場以外では領主代理を名乗っている。先年の黒大公の騒乱の際も、言葉通り戻ってきた父に命令権を譲っている。
「父の不在を預かっている、領主代理のハロルドである」
ハロルドが名乗り集団の前に立つと、リーダーは真っ先にひざまづき頭を垂れる。部下達は慣れない仕草でそれに続いた。
「砂蛇団、首領のオイヴァにございます。ブラックバーン伯が兵士を集めていると聞き、雇っていただきたく馳せ参じました」
領主代理のハロルドは跪く首領オイヴァをしげしげと眺めた。首領を名乗るだけあり他の者よりも体格に優れ、動きもきびきびしている。ハロルドは分からなかったが、横に居る騎士のジェフリーは彼の武術の錬度も見抜いているだろう。
「盗賊のお前がか?」
「はっ。私どもは……」
オイヴァは一瞬ためらい、後方の部下達をちらりと見た。
「街道を通る商人を襲い、村の娘を拐かし、禁じられた品を運んだりしてきました。ですが…元は食い詰めて仕方なく、盗みに手をそめた者ばかりです」
盗賊になった理由としては少なくない話だ。いかに善政を敷こうとも、飢饉となれば食えなくなる者も出る。歪虚の被害があればなおさら。そして去年は黒大公の起こした騒乱で村そのものを失った者も居る。
「先の戦の後、私どもの生まれ故郷の村が領主様の手厚い助けにより離散を免れたと聞きました。私どもはもうまともな仕事はできませんが、戦ならお手伝いできます。どうか、私どもを使ってください。ほんの少しでも、これまでの償いをしたいのです」
ハロルドは無言だった。盗賊達に兵士達に緊張が走る。次の一言で、ここは凄惨な殺しの場になるかもしれないからだ。だが、幸いにもそうはならなかった。仮面のように感情の見えないハロルドだったが、司祭のような穏和で優しい笑みを作った。
「わかった。その方らを我らが兵士として迎えよう」
「ありがとうございます!!」
笑顔で言うハロルドに、オイヴァ達盗賊一同は深く頭を下げる。緊張が解けたせいか中には涙を流す者もいた。
ハロルドはその声が少し止むまで待ち、続きの沙汰を言い渡す。
「だが罪を許すわけではないぞ。戦で勲功をあげた者のみに恩赦を与えよう。罪が許されるまで、お前達に自由な行動は許されない。さし当たっては1週間後にゴブリン・コボルドの集落を討伐する。まずはそれに向け準備をするが良い。詳しいことは追って伝える。以上だ」
ハロルドは一同に背を向け、護衛を連れてその場を後にした。彼の背後では大きな声で喜びを分かち合う盗賊達の姿がある。護衛の1人、ハロルドの弟である騎士ジェフリーは、石で組まれた通路を進んで声が遠くなった頃、小さな声で兄を呼んだ。
「兄上」
「なんだ?」
「良いのか?」
ジェフリーの懸念も当然のものだ。条件付とはいえ賊をこうも簡単に信用していいものか。他の護衛達も不安そうにその答えに聞き耳を立てている。ハロルドは心配する弟に笑って返した。
「心配するなジェフリー。あれの半分も使えるとは思っておらんよ」
それは笑顔に似つかわしくない冷徹な宣言だった。
「おそらく首領と後何名かは本当に父の施政に感謝しておるのだろう。その者達は使う。だがそれに乗じてよからぬ事を考える連中は…」
死しても已む無し。長らく近辺を騒がせていた盗賊だ。順次討伐し皆殺しにする予定だったのだ。損得で言えば今全てを殺しても安い。
「3週間もして気が緩んだ頃には結果が出るだろう。ジェフリー、ハンターで使えそうな者に声をかけてくれ」
「わかった。こちらで手配する」
「……出来の良い弟がいると助かるよ」
本来の命令系統は王国直属の騎士団へ命令する権利は貴族には無い。弟は貴族からの要請があったものとしてそれを協力として処理。こうして余裕がある時は兄を助けに領地に戻っていた。ハロルドは本来は口うるさい人間だが、弟のジェフリーには一言も付け足すような事を言わなかった。
ジェフリーは小さく礼をするとその場を離れる。ハロルドはジェフリーの背中を見送り、硬く表情を引き締めた。
■
一方、盗賊達の喜びようは凄まじかった。微妙な顔の兵士達に囲まれた中で、飛び上がったり跳ねたり。それも当然と言えば当然だった。なにせ、死を覚悟してきたのだから。
「はは、良かった。良かった……」
盗賊団でもとびきり気の弱かったその男は、あまりのことに泣き止む気配が無い。周りはそれを茶化しながらも、その気持ちをバカにはしなかった。
「バカだな。これからが大変なんだぞ」
「そうだぞ。勲功をたてたらって言ってただろ。でぶでのろまなお前じゃ、いつまで経っても許してもらえないぞ」
「そ、そんなぁ……」
泣いてた男がおろおろとする様を見て一同にまた笑いが起こる。同じく笑っていたオイヴァは、男の背中をばしばしと思い切り叩いた。
「心配すんな! お前の分、俺が倍働いてやるさ」
「首領……」
そして一番喜んでいたのは首領のオイヴァだった。彼の故郷バストー村は前の領主の頃に散々な目にあった。それを忘れたことはない。貴族は敵だと今でも思ってる。だが今の領主は違う。黒大公の襲撃の中でも村々を守り、復興する手助けをしてくれた。村に残った幼馴染が、毎日楽しそうに働き汗を流すのを見て彼は確信した。仕えるべき相手がいるとするなら、伯爵以外はありえない。そして今日、めでたく念願叶ったのだ。
「お前らも、くれぐれも変な気起こすんじゃねえぞ! 今日で盗賊は廃業だ。
明日からは伯爵様の兵士として恥ずかしくないように生きるんだ」
周囲から「応」と答えが返る。オイヴァは喜びに目が眩み気付けなかった。そのうち何割かの笑みの裏に、悪意が隠されていることに。
解説
■依頼
・降伏した盗賊達の素行調査
OPで話題に出たゴブリン討伐後からスタートです
■元盗賊団の行動
首領は真面目で城からほとんど出てこず
毎日訓練と雑用に明け暮れています
彼は領主の弟が直接見張るので調査に含まれていません
接触は可能です
団員達は首領に許可をもらいつつ、街に出ています
遊ぶ金に使っているのは直近の戦闘の危険手当です
街の外へ出ることは許可されていません
■城下町の様子
ブラックバーン伯爵の本拠地である比較的裕福な地方都市です
作りは王都イルダーナに似ていますが規模は半分以下です
街全体の治安は悪くはありませんが、王都同様都市の外縁に近いほど治安が悪くなり、
いかがわしい店が増え、かたぎでない住人が増えます
■盗賊達の本音
1.団長と同じ気持ち。もしくは団長に恩がある。
死ぬ気で働こう。ぶっちゃけ死んでも良い(2割)
2.やる気はないが死にたくもない
団長に逆らうのも怖いしそこそこ頑張る(3割)
3.適当なところで金もらったら逃げだそう。
そして一般人に紛れよう(3割)
4.楽な盗賊家業が辞められるわけない。
どこかで裏切って盗賊に戻ろう(2割)
3~4を特定できればOKです
万が一、街で何らかの狼藉を働いていたり、逃走をはかったりした場合
現行犯ということで殺しても構いません
■PCの立場
1.城内で既に新兵の訓練やゴブリン退治の戦力として雇われていた
2.別件で街に居たところを声をかけられた
調査の仕事なので、調査に必要な職位があれば
城内であればある程度は用意してくれます
・降伏した盗賊達の素行調査
OPで話題に出たゴブリン討伐後からスタートです
■元盗賊団の行動
首領は真面目で城からほとんど出てこず
毎日訓練と雑用に明け暮れています
彼は領主の弟が直接見張るので調査に含まれていません
接触は可能です
団員達は首領に許可をもらいつつ、街に出ています
遊ぶ金に使っているのは直近の戦闘の危険手当です
街の外へ出ることは許可されていません
■城下町の様子
ブラックバーン伯爵の本拠地である比較的裕福な地方都市です
作りは王都イルダーナに似ていますが規模は半分以下です
街全体の治安は悪くはありませんが、王都同様都市の外縁に近いほど治安が悪くなり、
いかがわしい店が増え、かたぎでない住人が増えます
■盗賊達の本音
1.団長と同じ気持ち。もしくは団長に恩がある。
死ぬ気で働こう。ぶっちゃけ死んでも良い(2割)
2.やる気はないが死にたくもない
団長に逆らうのも怖いしそこそこ頑張る(3割)
3.適当なところで金もらったら逃げだそう。
そして一般人に紛れよう(3割)
4.楽な盗賊家業が辞められるわけない。
どこかで裏切って盗賊に戻ろう(2割)
3~4を特定できればOKです
万が一、街で何らかの狼藉を働いていたり、逃走をはかったりした場合
現行犯ということで殺しても構いません
■PCの立場
1.城内で既に新兵の訓練やゴブリン退治の戦力として雇われていた
2.別件で街に居たところを声をかけられた
調査の仕事なので、調査に必要な職位があれば
城内であればある程度は用意してくれます
マスターより
相変わらずの調査依頼です
酒を飲ませるとか、延々と尾行するとか
色仕掛けをするとか、仲間を売るように唆したりとか
汚い手段から正攻法まで、有効と思えば何をしても構いません
RPし倒していただけば幸いです
皆様の参加をお待ちしております
酒を飲ませるとか、延々と尾行するとか
色仕掛けをするとか、仲間を売るように唆したりとか
汚い手段から正攻法まで、有効と思えば何をしても構いません
RPし倒していただけば幸いです
皆様の参加をお待ちしております
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/01/28 19:44
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 Holmes(ka3813) ドワーフ|8才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/01/20 18:00:12 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/14 19:04:49 |