ゲスト
(ka0000)
ビューティー・アンド・ザ・ビースト5
マスター:神宮寺飛鳥

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/03/07 15:00
- リプレイ完成予定
- 2019/03/16 15:00
オープニング
この物語は、少しばかり時を遡る。
オペレーション・ブラッドアウトにゾンネンシュトラール帝国軍が全面的な協力を約束する、その少し前。
帝都バルトアンデルスにおいて、ある重要な会談が行われた。
招かれたのは、反帝国組織ヴルツァライヒが頭領、ヒルデブラント・ウランゲル。
彼は皇帝ヴィルヘルミナ・ウランゲルにより庶民議会の一員として招かれ、それに応じたのだ。
無論、話がまとまったわけではなく、つまるところこの会談は彼が議員を引き受けるのか、受けないのかといった事柄を決める為のものである。
その一方で、ヒルデブラントが庶民議会に参加するということは、部分的にヴルツァライヒ側の要求が達成されるということでもあり、その決断いかんによってはヴルツァライヒとの争いに終結の兆しを齎す可能性もあった。
故にこれは様々な帝国のメディアが大きく報道し、市民らも一目その様子を見物しようと、バルトアンデルス城へと続く道に集まっていた。
「はっはっは。こりゃまるで勝利の凱旋だな!」
馬上で高笑いするヒルデブラントだが、実際その言葉はよく状況を表していた。
なにせ彼の前後は、伝説の絶火騎士らで固められている。
まるで過去の英雄が隊列を組んで、故郷に帰還したかのようであった。
「おうおう、出迎えご苦労! ヒルデブラント・ウランゲル、招集に応じて参上したぞ!」
「ハアア……ったく、てめえいったいどのツラ下げてと言いたいところだが、恥知らずっぷりじゃ俺も負けちゃいねぇからな」
思い切り苦々しく呟き、オズワルドと彼が率いる第一師団がヒルデブラントを迎え入れる。
「昔話はまた今度にしようや。こちらから同行するのは俺と、あともう一人だけだ」
ヒルデブラントの後ろ。一人の男が馬から降り立った。
金髪の男だ。美形といってよいだろう。柔らかな微笑みを湛えた、見知らぬ青年であった。
「こいつはお前の副官か?」
「そんなとこだ。そんじゃまあ、行ってくるとするかねぇ」
ヒルデブラントとその男が議事堂に向かって歩き始めると、騎士の英霊たちは尽く跪き、声を揃えた。
「「「我が王よ、ご武運を」」」
「話し合いを始める前に、この会談の着地点を予め決めておこう」
すべての師団長が集結して余りある広さの議事堂にヴィルヘルミナの声が響く。
この場所に立つのは皇帝ヴィルヘルミナ、皇子カッテ、頭領ヒルデブラント、そしてその副官らしき男の四名のみ。
これは予め決められていたことで、双方同じ人数だけの同席が許されている。
「私の要求はシンプルだ。まずヒルデブラント、貴様には庶民議員となってもらう」
「そしてヴルツァライヒは解体しろってか?」
「その通りだ。頭領である貴様が正しく政治参入するのであれば、ヴルツァライヒの主張は民意に問うて一つずつ遂げてゆけばよいだけのこと。この上ない好条件と考えるが?」
「確かにな。んじゃ次はこっちの条件だが……俺が望むのは封建制の復活だ。もう少し具体的には追放された貴族らの名誉と領地の復活にある」
帝国は元々はグラズヘイム王国と同じく封建制をとっており、貴族らが領地を治めていた。
その結果として腐敗した政治が民衆の生活を強く圧迫していたことが、先の革命戦争の発端でもある。
「あなたもご存知の通り、封建制には問題があります。今の民衆は貴族のような特権階級に再び支配されることをよしとはしません」
「だが、結局政府は国土隅々にまで目を配れず、田舎じゃ雑魔がほったらかしだったり、いつまでたってもインフラが整備されずに放置されている。帝国の民衆は帝都周辺と田舎とで圧倒的な生活の差を強いられてんだ。結局連中を守ってやるには領主が必要なんだよ」
一理ある主張だとカッテは考える。
この問題解決のために帝国は各地方に師団都市を置いて周辺地域を見張らせているが、それでも行き届かぬ部分があるのが現実だ。
「地方に貴族の領地を置いたとしても、今の時代なら師団都市が近くにある。定期的に師団に巡回させりゃ、不正の温床にはなりづらいだろ」
「確かにな。では、その貴族というのは誰を指すのだ? 血筋か? 生まれ素性で立場が決められることを、帝国民は良しとしないぞ」
「世襲ってのは、親から子という絞られた教育体制を作ることにより、ノウハウを余さず伝える為の仕組みでもある。速攻で国民全員に読み書きや政治、商売について教えられないから、そういう仕組みがあるんじゃねぇのか?」
それも然り。いずれは教育に力を入れ、国民全体の意識レベルを上げていくことはヴィルヘルミナにとっての理想のひとつだ。
しかし、それはいつだ? いつまでかかる? それまでの間、ずっと地方民はそのままなのか?
「俺ぁ将来的にはお前さんのやり方が正しいと思ってる。だが、それでは“今”苦しんでいる奴は救われねぇだろ」
「だが、目の前の誰かを救うために封建制を復活させれば、未来自体が遠のいてしまう。一度始めた封建制、1年2年では撤回できまい」
つまりこの話は、目の前の問題解決を優先するのか、未来の問題解決を優先するのか、というものでもある。
「おう、お前はなんか意見ないのか?」
「……僕かい? うーん、そうだな……」
ヒルデブラントの同行者は腕を組み。
「そもそも、君たちの議論は平行線だろう? 落としどころがないから、ヴルツァライヒは戦争をするんだ。つまりこの議論の解決には、ズド~ンとぶっとんだ発想が必要になる。例えば、辺境部族を侵略して労働力と土地を確保するとか……あ、もちろん冗談だけど」
「どこの馬の骨か知らんが、我が盟友に対し働く無礼はこの皇帝への侮辱と同義である。私は二度同じ話はしない。次は剣を抜く」
「それはすまない。悪気はないんだ。肝に銘じておくよ」
ナヨナヨとした笑顔を浮かべ、男はたじろぐ。
「しかし、やはり僕たちだけでは解決しないと思うのだけど、いかがだろう?」
「そうだな。こうなると思って、中立の立場の人間を呼んである」
「ハンターだろう?」
ヒルデブラントの問いかけにヴィルヘルミナが頷く。
これは元々合意していたわけではないが、お互いにそうなることは分かっていた。
「議論の前提を伝えた上で、自由な発想で解決を求めようではないか」
こうして閉ざされた議事堂にハンターが招かれることになった。
その展開を予期していたのはヴィルヘルミナとヒルデブラントだけではなく。
背後で微笑む金髪の男もまた――。
オペレーション・ブラッドアウトにゾンネンシュトラール帝国軍が全面的な協力を約束する、その少し前。
帝都バルトアンデルスにおいて、ある重要な会談が行われた。
招かれたのは、反帝国組織ヴルツァライヒが頭領、ヒルデブラント・ウランゲル。
彼は皇帝ヴィルヘルミナ・ウランゲルにより庶民議会の一員として招かれ、それに応じたのだ。
無論、話がまとまったわけではなく、つまるところこの会談は彼が議員を引き受けるのか、受けないのかといった事柄を決める為のものである。
その一方で、ヒルデブラントが庶民議会に参加するということは、部分的にヴルツァライヒ側の要求が達成されるということでもあり、その決断いかんによってはヴルツァライヒとの争いに終結の兆しを齎す可能性もあった。
故にこれは様々な帝国のメディアが大きく報道し、市民らも一目その様子を見物しようと、バルトアンデルス城へと続く道に集まっていた。
「はっはっは。こりゃまるで勝利の凱旋だな!」
馬上で高笑いするヒルデブラントだが、実際その言葉はよく状況を表していた。
なにせ彼の前後は、伝説の絶火騎士らで固められている。
まるで過去の英雄が隊列を組んで、故郷に帰還したかのようであった。
「おうおう、出迎えご苦労! ヒルデブラント・ウランゲル、招集に応じて参上したぞ!」
「ハアア……ったく、てめえいったいどのツラ下げてと言いたいところだが、恥知らずっぷりじゃ俺も負けちゃいねぇからな」
思い切り苦々しく呟き、オズワルドと彼が率いる第一師団がヒルデブラントを迎え入れる。
「昔話はまた今度にしようや。こちらから同行するのは俺と、あともう一人だけだ」
ヒルデブラントの後ろ。一人の男が馬から降り立った。
金髪の男だ。美形といってよいだろう。柔らかな微笑みを湛えた、見知らぬ青年であった。
「こいつはお前の副官か?」
「そんなとこだ。そんじゃまあ、行ってくるとするかねぇ」
ヒルデブラントとその男が議事堂に向かって歩き始めると、騎士の英霊たちは尽く跪き、声を揃えた。
「「「我が王よ、ご武運を」」」
「話し合いを始める前に、この会談の着地点を予め決めておこう」
すべての師団長が集結して余りある広さの議事堂にヴィルヘルミナの声が響く。
この場所に立つのは皇帝ヴィルヘルミナ、皇子カッテ、頭領ヒルデブラント、そしてその副官らしき男の四名のみ。
これは予め決められていたことで、双方同じ人数だけの同席が許されている。
「私の要求はシンプルだ。まずヒルデブラント、貴様には庶民議員となってもらう」
「そしてヴルツァライヒは解体しろってか?」
「その通りだ。頭領である貴様が正しく政治参入するのであれば、ヴルツァライヒの主張は民意に問うて一つずつ遂げてゆけばよいだけのこと。この上ない好条件と考えるが?」
「確かにな。んじゃ次はこっちの条件だが……俺が望むのは封建制の復活だ。もう少し具体的には追放された貴族らの名誉と領地の復活にある」
帝国は元々はグラズヘイム王国と同じく封建制をとっており、貴族らが領地を治めていた。
その結果として腐敗した政治が民衆の生活を強く圧迫していたことが、先の革命戦争の発端でもある。
「あなたもご存知の通り、封建制には問題があります。今の民衆は貴族のような特権階級に再び支配されることをよしとはしません」
「だが、結局政府は国土隅々にまで目を配れず、田舎じゃ雑魔がほったらかしだったり、いつまでたってもインフラが整備されずに放置されている。帝国の民衆は帝都周辺と田舎とで圧倒的な生活の差を強いられてんだ。結局連中を守ってやるには領主が必要なんだよ」
一理ある主張だとカッテは考える。
この問題解決のために帝国は各地方に師団都市を置いて周辺地域を見張らせているが、それでも行き届かぬ部分があるのが現実だ。
「地方に貴族の領地を置いたとしても、今の時代なら師団都市が近くにある。定期的に師団に巡回させりゃ、不正の温床にはなりづらいだろ」
「確かにな。では、その貴族というのは誰を指すのだ? 血筋か? 生まれ素性で立場が決められることを、帝国民は良しとしないぞ」
「世襲ってのは、親から子という絞られた教育体制を作ることにより、ノウハウを余さず伝える為の仕組みでもある。速攻で国民全員に読み書きや政治、商売について教えられないから、そういう仕組みがあるんじゃねぇのか?」
それも然り。いずれは教育に力を入れ、国民全体の意識レベルを上げていくことはヴィルヘルミナにとっての理想のひとつだ。
しかし、それはいつだ? いつまでかかる? それまでの間、ずっと地方民はそのままなのか?
「俺ぁ将来的にはお前さんのやり方が正しいと思ってる。だが、それでは“今”苦しんでいる奴は救われねぇだろ」
「だが、目の前の誰かを救うために封建制を復活させれば、未来自体が遠のいてしまう。一度始めた封建制、1年2年では撤回できまい」
つまりこの話は、目の前の問題解決を優先するのか、未来の問題解決を優先するのか、というものでもある。
「おう、お前はなんか意見ないのか?」
「……僕かい? うーん、そうだな……」
ヒルデブラントの同行者は腕を組み。
「そもそも、君たちの議論は平行線だろう? 落としどころがないから、ヴルツァライヒは戦争をするんだ。つまりこの議論の解決には、ズド~ンとぶっとんだ発想が必要になる。例えば、辺境部族を侵略して労働力と土地を確保するとか……あ、もちろん冗談だけど」
「どこの馬の骨か知らんが、我が盟友に対し働く無礼はこの皇帝への侮辱と同義である。私は二度同じ話はしない。次は剣を抜く」
「それはすまない。悪気はないんだ。肝に銘じておくよ」
ナヨナヨとした笑顔を浮かべ、男はたじろぐ。
「しかし、やはり僕たちだけでは解決しないと思うのだけど、いかがだろう?」
「そうだな。こうなると思って、中立の立場の人間を呼んである」
「ハンターだろう?」
ヒルデブラントの問いかけにヴィルヘルミナが頷く。
これは元々合意していたわけではないが、お互いにそうなることは分かっていた。
「議論の前提を伝えた上で、自由な発想で解決を求めようではないか」
こうして閉ざされた議事堂にハンターが招かれることになった。
その展開を予期していたのはヴィルヘルミナとヒルデブラントだけではなく。
背後で微笑む金髪の男もまた――。
解説
●目的
それぞれの主張の落としどころを見つける、或いは別の解決策を提示する。
●概要
帝都バルトアンデルスで行われる、帝国政府とヴルツァライヒとの会談に参加する。
皇帝ヴィルヘルミナ・ウランゲルは、頭領ヒルデブラント・ウランゲルを庶民議会に招くことを通達。
これに対し、条件すり合わせのためヒルデブラントが帝都を訪れた。
ハンターはここに第三者・中立としての立場で参加し、双方の意見のすり合わせまたは解決案について提出することを求めるものである。
・帝国側の要求
ヒルデブラントの庶民議会への参加
ヴルツァライヒの解体
・ヴルツァライヒ側の要求
封建制度の復活と地方民の救済
その前提の上で、庶民議会への参加
●登場人物
『ヴィルヘルミナ』
皇帝。帝国側の代表。
豪放磊落な人。
『カッテ』
皇子。皇帝の補佐として参加。
『ヒルデブラント』
ヴルツァライヒ頭領にして元皇帝にして革命王。
豪放磊落な人。
『謎の男』
金髪のイケメン。帝国軍の軍服に似た、白い服を着ている。
常に覚醒状態か何かなのか、ハンターならば強力な正のマテリアルを感じられる。
それぞれの主張の落としどころを見つける、或いは別の解決策を提示する。
●概要
帝都バルトアンデルスで行われる、帝国政府とヴルツァライヒとの会談に参加する。
皇帝ヴィルヘルミナ・ウランゲルは、頭領ヒルデブラント・ウランゲルを庶民議会に招くことを通達。
これに対し、条件すり合わせのためヒルデブラントが帝都を訪れた。
ハンターはここに第三者・中立としての立場で参加し、双方の意見のすり合わせまたは解決案について提出することを求めるものである。
・帝国側の要求
ヒルデブラントの庶民議会への参加
ヴルツァライヒの解体
・ヴルツァライヒ側の要求
封建制度の復活と地方民の救済
その前提の上で、庶民議会への参加
●登場人物
『ヴィルヘルミナ』
皇帝。帝国側の代表。
豪放磊落な人。
『カッテ』
皇子。皇帝の補佐として参加。
『ヒルデブラント』
ヴルツァライヒ頭領にして元皇帝にして革命王。
豪放磊落な人。
『謎の男』
金髪のイケメン。帝国軍の軍服に似た、白い服を着ている。
常に覚醒状態か何かなのか、ハンターならば強力な正のマテリアルを感じられる。
マスターより
お久しぶりです。神宮寺飛鳥です。
色々あって(本当に色々あるんで)色々あったのですが、出ました。
少し意地が悪い話なのですが、単純な解決以外の方策も容易しており、それによっては解決していなくても成功になる可能性があります。
そういう意味で、ただ話をするだけなのに「難しい」シナリオとなっています。
なお、当シナリオに関しましてはNPCへの質問は禁止とさせていただきます。
それではよろしくお願い致します。
色々あって(本当に色々あるんで)色々あったのですが、出ました。
少し意地が悪い話なのですが、単純な解決以外の方策も容易しており、それによっては解決していなくても成功になる可能性があります。
そういう意味で、ただ話をするだけなのに「難しい」シナリオとなっています。
なお、当シナリオに関しましてはNPCへの質問は禁止とさせていただきます。
それではよろしくお願い致します。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/03/24 19:14
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
【相談卓】議事堂控室 神楽(ka2032) 人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2019/03/06 23:52:56 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/03/05 23:10:30 |