ゲスト
(ka0000)
【血断】黒き巫女
マスター:近藤豊

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/03/18 07:30
- リプレイ完成予定
- 2019/03/27 07:30
オープニング
暗がりに人影。白き衣を守った女性。
その衣のデザインは、辺境巫女によく見られるものだ。
傍らには男性。衣装から神父である事が見て取れる。女性は男性の前に傅き、祈りを捧げる。
男性は手にしていた本を開き、片腕を女性の頭へと翳す。
「灰は灰に……塵は塵に……。
偽りの神を捨て、真なる神を受け入れる。祝福があなたの罪を流し、贖罪を与える。
神は寛大です。あなたは神にその愛を捧げると誓いますか?」
「……誓います」
女性の言葉。
男性の手は鈍い光を放ち、女性の頭を照らし出す。
数秒後、光は消える。
男性は女性へ笑顔を向ける。
その笑顔には温もりがあった。
「ようこそ。共に歩みましょう。……楽園、フロンティアへ」
●
それは大巫女ディエナ(kz0219)の一言から始まった。
「あの娘は、何処へ行ったんだい?」
あの娘。
それは辺境巫女の事だ。
辺境巫女は白龍信仰を崇め、辺境でも絶対中立を掲げる存在である。白龍は消えてしまったが、マテリアルの流れの中で必ず聖地リタ・ティトへ降臨すると信じられている。
それまでの間、巫女は伝承と伝統を守り、幻獣らと共に生活をしている。
「まったく、何処で何をやっているんだか。若い巫女がサボるとは嘆かわしいよ」
大巫女は愚痴をこぼす。
辺境巫女は『素養』のある者が選ばれ、巫女が選出された部族は誉れとされた。
その誉れ高い辺境巫女達が何処かでサボっているのだから、愚痴の一つも零したくなる。
――しかし。
「あれ? でも、昨日見掛けましたよ。森の方へと歩いて行きました」
近くにいた辺境巫女が大巫女へ答える。
大巫女は大きなため息をついた。
「森で隠れて一休みかい? 随分長い休みだねぇ」
「でも、隣に誰かいました。黒い服……あれは神父様じゃないかしら」
「神父……」
言葉を繰り返す大巫女。
その言葉にある予感が過る。
ハンター達から聞いた事がある。東方で攘夷を掲げる者達や龍園を追放された龍騎士達の心の隙間に入り込み、契約者へ変えてしまう歪虚の存在を。
その歪虚は神父の姿で現れる。
もし、巫女と共にいた歪虚が件の神父だとすれば――。
「マズい!」
「大巫女、どうされました?」
突如大声を上げた大巫女に、近くの辺境巫女が驚く。
しかし、大巫女の表情から大きな事件が起こったことを察したようだ。
「急いで全員を大霊堂に集めるんだ」
「全員って、巫女全員ですか?」
「そうだよ、時間がない。急いでみんなに声をかけて……」
焦る大巫女。
額から玉のような汗が流れ落ちる。
杞憂であってほしい。
大巫女にとって辺境巫女は部族からの預かり物であり、家族だ。それを歪虚に奪われたとあっては部族にも顔向けできない。
いや、それ以上に大巫女にとっては娘を奪われるかのような感覚。身を割かれるような思いだ。
だが、大巫女の焦りとは裏腹に事態は既に大きく動きだしていた。
「大巫女! 大変です!
聖地が……聖地が……奪われました! それも辺境巫女達に!」
駆け込んでくる辺境巫女。
その報告こそ、大巫女の予感を的中させた凶報であった。
●
「偽りの神の住処。捧げるべき祈りの相手を間違える罪に気付かず、届かぬ願いは虚空をさ迷うばかり」
歪虚ブラッドリー(z0252)は、大霊堂に足を踏み入れた。
その背後には新たに信徒とした元辺境巫女達。既に巫女達は白龍信仰を捨て、ブラッドリーの崇める神へ改宗。
つまり――契約者となっていた。
「私達の神は、すべての苦難から解き放ってくれる。苦しみも哀しみも、限られた命からも解き放ち、私達をフロンティアへと誘って下さいます。偽りの神には行えません」
辺境巫女達の前で教えを伝えるブラッドリー。
その教えに沈黙を守り耳を傾ける巫女達。そこにはかつて白き衣を着て純白と純心さを感じさせた巫女はいない。
契約者となりブラッドリーと共に楽園の門を開かんとする黒き巫女達がいた。
「ファーザー」
一人歩み出た黒き巫女。
かつては辺境巫女としてこの白龍の為に働いていたが、今はブラッドリーに仕えて彼の神の為に働く事を誓った身だ。
「キルトですか。何でしょう?」
「ファーザーはハンターを気に掛けられておいですが、何故彼らを特別扱いされるのでしょう? 私はファーザーの為に、神の為にこの身を捧げる覚悟です」
「キルト。彼らは選ぶ権利を有しているのです。この先にある未来を。
天使達が騎士と共に引き起こした終末はこの地へ到来しました。ですが、この終末を乗り越えた先に彼らが為すべき事があります。その為には、彼らは更に強くあらねばなりません」
「その為にファーザーは彼らに……」
そう言い掛けたキルトは、慌てて口を塞いだ。
ブラッドリーの射貫くような視線が向けられていたからだ。
「そして、強くなるのは私達もです。神は試されます。
間もなくここにあの終焉を司る天使達が現れるでしょう。
……戦いなさい。戦って神に力を捧げるのです。仮に命を落としても、その魂はきっと神の元へと還ります」
ブラッドリーの言葉に従い、辺境巫女達は武器を手にする。
己の信じるものの為に――。
●
大巫女は項垂れていた。
いつもの元気な大巫女の影はなく、悲嘆にくれる大巫女。
切り株の上に腰掛け、背中は丸くなっている。
「あたしは、何をやってたんだろうね」
大巫女の言葉を耳にしたハンターは、祖の言葉の裏に無力感を感じていた。
「巫女達を、家族を守りたい。そういう思いはあったんだ。白龍に会えない巫女も大勢いるだろう。それでも白龍を信じて人々に希望を与える。それが活力になるって思ってた」
大巫女の頬から伝う涙。
それは、悔し涙か。
それとも、悲しみの涙か。
「私が不甲斐ないばかりに……あの娘達は奪われちまった。あたしの家族が……大勢、拐かされた……。
伝わってなかったのかねぇ。あたしが教えた事も、思いって奴も」
大巫女と呼ばれ、慕われてきた。
巫女としての経験も長く、白龍が消滅するギリギリまで大霊堂を守ってきた。
その大巫女が、泣く。
他人の目を気にせず、ただ感情を露わにしていた。
「あんた達……頼んだよ。最悪の場合も、あたしは覚悟を決める。もし、どうしようもない時は楽にしてやっておくれ」
ハンターの肩を掴む大巫女。
その力の強さに、ハンターは大きく頷く他なかった。
その衣のデザインは、辺境巫女によく見られるものだ。
傍らには男性。衣装から神父である事が見て取れる。女性は男性の前に傅き、祈りを捧げる。
男性は手にしていた本を開き、片腕を女性の頭へと翳す。
「灰は灰に……塵は塵に……。
偽りの神を捨て、真なる神を受け入れる。祝福があなたの罪を流し、贖罪を与える。
神は寛大です。あなたは神にその愛を捧げると誓いますか?」
「……誓います」
女性の言葉。
男性の手は鈍い光を放ち、女性の頭を照らし出す。
数秒後、光は消える。
男性は女性へ笑顔を向ける。
その笑顔には温もりがあった。
「ようこそ。共に歩みましょう。……楽園、フロンティアへ」
●
それは大巫女ディエナ(kz0219)の一言から始まった。
「あの娘は、何処へ行ったんだい?」
あの娘。
それは辺境巫女の事だ。
辺境巫女は白龍信仰を崇め、辺境でも絶対中立を掲げる存在である。白龍は消えてしまったが、マテリアルの流れの中で必ず聖地リタ・ティトへ降臨すると信じられている。
それまでの間、巫女は伝承と伝統を守り、幻獣らと共に生活をしている。
「まったく、何処で何をやっているんだか。若い巫女がサボるとは嘆かわしいよ」
大巫女は愚痴をこぼす。
辺境巫女は『素養』のある者が選ばれ、巫女が選出された部族は誉れとされた。
その誉れ高い辺境巫女達が何処かでサボっているのだから、愚痴の一つも零したくなる。
――しかし。
「あれ? でも、昨日見掛けましたよ。森の方へと歩いて行きました」
近くにいた辺境巫女が大巫女へ答える。
大巫女は大きなため息をついた。
「森で隠れて一休みかい? 随分長い休みだねぇ」
「でも、隣に誰かいました。黒い服……あれは神父様じゃないかしら」
「神父……」
言葉を繰り返す大巫女。
その言葉にある予感が過る。
ハンター達から聞いた事がある。東方で攘夷を掲げる者達や龍園を追放された龍騎士達の心の隙間に入り込み、契約者へ変えてしまう歪虚の存在を。
その歪虚は神父の姿で現れる。
もし、巫女と共にいた歪虚が件の神父だとすれば――。
「マズい!」
「大巫女、どうされました?」
突如大声を上げた大巫女に、近くの辺境巫女が驚く。
しかし、大巫女の表情から大きな事件が起こったことを察したようだ。
「急いで全員を大霊堂に集めるんだ」
「全員って、巫女全員ですか?」
「そうだよ、時間がない。急いでみんなに声をかけて……」
焦る大巫女。
額から玉のような汗が流れ落ちる。
杞憂であってほしい。
大巫女にとって辺境巫女は部族からの預かり物であり、家族だ。それを歪虚に奪われたとあっては部族にも顔向けできない。
いや、それ以上に大巫女にとっては娘を奪われるかのような感覚。身を割かれるような思いだ。
だが、大巫女の焦りとは裏腹に事態は既に大きく動きだしていた。
「大巫女! 大変です!
聖地が……聖地が……奪われました! それも辺境巫女達に!」
駆け込んでくる辺境巫女。
その報告こそ、大巫女の予感を的中させた凶報であった。
●
「偽りの神の住処。捧げるべき祈りの相手を間違える罪に気付かず、届かぬ願いは虚空をさ迷うばかり」
歪虚ブラッドリー(z0252)は、大霊堂に足を踏み入れた。
その背後には新たに信徒とした元辺境巫女達。既に巫女達は白龍信仰を捨て、ブラッドリーの崇める神へ改宗。
つまり――契約者となっていた。
「私達の神は、すべての苦難から解き放ってくれる。苦しみも哀しみも、限られた命からも解き放ち、私達をフロンティアへと誘って下さいます。偽りの神には行えません」
辺境巫女達の前で教えを伝えるブラッドリー。
その教えに沈黙を守り耳を傾ける巫女達。そこにはかつて白き衣を着て純白と純心さを感じさせた巫女はいない。
契約者となりブラッドリーと共に楽園の門を開かんとする黒き巫女達がいた。
「ファーザー」
一人歩み出た黒き巫女。
かつては辺境巫女としてこの白龍の為に働いていたが、今はブラッドリーに仕えて彼の神の為に働く事を誓った身だ。
「キルトですか。何でしょう?」
「ファーザーはハンターを気に掛けられておいですが、何故彼らを特別扱いされるのでしょう? 私はファーザーの為に、神の為にこの身を捧げる覚悟です」
「キルト。彼らは選ぶ権利を有しているのです。この先にある未来を。
天使達が騎士と共に引き起こした終末はこの地へ到来しました。ですが、この終末を乗り越えた先に彼らが為すべき事があります。その為には、彼らは更に強くあらねばなりません」
「その為にファーザーは彼らに……」
そう言い掛けたキルトは、慌てて口を塞いだ。
ブラッドリーの射貫くような視線が向けられていたからだ。
「そして、強くなるのは私達もです。神は試されます。
間もなくここにあの終焉を司る天使達が現れるでしょう。
……戦いなさい。戦って神に力を捧げるのです。仮に命を落としても、その魂はきっと神の元へと還ります」
ブラッドリーの言葉に従い、辺境巫女達は武器を手にする。
己の信じるものの為に――。
●
大巫女は項垂れていた。
いつもの元気な大巫女の影はなく、悲嘆にくれる大巫女。
切り株の上に腰掛け、背中は丸くなっている。
「あたしは、何をやってたんだろうね」
大巫女の言葉を耳にしたハンターは、祖の言葉の裏に無力感を感じていた。
「巫女達を、家族を守りたい。そういう思いはあったんだ。白龍に会えない巫女も大勢いるだろう。それでも白龍を信じて人々に希望を与える。それが活力になるって思ってた」
大巫女の頬から伝う涙。
それは、悔し涙か。
それとも、悲しみの涙か。
「私が不甲斐ないばかりに……あの娘達は奪われちまった。あたしの家族が……大勢、拐かされた……。
伝わってなかったのかねぇ。あたしが教えた事も、思いって奴も」
大巫女と呼ばれ、慕われてきた。
巫女としての経験も長く、白龍が消滅するギリギリまで大霊堂を守ってきた。
その大巫女が、泣く。
他人の目を気にせず、ただ感情を露わにしていた。
「あんた達……頼んだよ。最悪の場合も、あたしは覚悟を決める。もし、どうしようもない時は楽にしてやっておくれ」
ハンターの肩を掴む大巫女。
その力の強さに、ハンターは大きく頷く他なかった。
解説
目的:ブラッドリーの信徒となった辺境巫女を『無力化』し、大霊堂を奪還する。
概要:辺境巫女の失踪が取り沙汰され始めた頃、大巫女はある可能性に気付く。
失踪した辺境巫女達は何者かに連れ去られたのではないか。そしてそれは、人ならざる者の仕業では無いか。その予感は的中する。
ブラッドリーが辺境巫女を信徒として契約者へ仕立てていたのだ。
黒き巫女と呼ばれた巫女達は白龍信仰を捨て、ブラッドリーの神を崇めて聖地リタ・ティトの大霊堂へ立て籠もった。悲嘆に暮れる大巫女。彼らの目的は果たして……。
敵:
黒き巫女 × 10
元辺境巫女の契約者。契約者であるが故に身体能力は向上、特に戦闘特化。杖やロッド、棍棒で殴るなどの攻撃を見せます。ハンターと比べれば強くはありませんが、神の為に戦う事を決意している為、命は捨てる覚悟を持っています。
ブラッドリー
高位歪虚。神父姿で目撃されており、邪神を神として崇めている事が判明している。活動範囲は龍園や東方にも及ぶ。周囲に漂う光球で光の盾を形成、もしくは雷を用いた攻撃を仕掛ける。他者を強化する事にも長けている。
備考:
黒き巫女は血気盛んに大霊堂から飛び出してきます。
戦略がある訳ではありませんが、強い信仰心が破壊行為を正当化しています。
黒き巫女の手から大霊堂を取り戻す事が目的となります。この為、黒き巫女を捕縛しても、倒しても構いません。大巫女は巫女達が帰らない事を覚悟しています。
ブラッドリーは黒き巫女が倒された段階で撤退します。
なお、黒き巫女と会話は可能ですが説得が行えるかは不明です。
概要:辺境巫女の失踪が取り沙汰され始めた頃、大巫女はある可能性に気付く。
失踪した辺境巫女達は何者かに連れ去られたのではないか。そしてそれは、人ならざる者の仕業では無いか。その予感は的中する。
ブラッドリーが辺境巫女を信徒として契約者へ仕立てていたのだ。
黒き巫女と呼ばれた巫女達は白龍信仰を捨て、ブラッドリーの神を崇めて聖地リタ・ティトの大霊堂へ立て籠もった。悲嘆に暮れる大巫女。彼らの目的は果たして……。
敵:
黒き巫女 × 10
元辺境巫女の契約者。契約者であるが故に身体能力は向上、特に戦闘特化。杖やロッド、棍棒で殴るなどの攻撃を見せます。ハンターと比べれば強くはありませんが、神の為に戦う事を決意している為、命は捨てる覚悟を持っています。
ブラッドリー
高位歪虚。神父姿で目撃されており、邪神を神として崇めている事が判明している。活動範囲は龍園や東方にも及ぶ。周囲に漂う光球で光の盾を形成、もしくは雷を用いた攻撃を仕掛ける。他者を強化する事にも長けている。
備考:
黒き巫女は血気盛んに大霊堂から飛び出してきます。
戦略がある訳ではありませんが、強い信仰心が破壊行為を正当化しています。
黒き巫女の手から大霊堂を取り戻す事が目的となります。この為、黒き巫女を捕縛しても、倒しても構いません。大巫女は巫女達が帰らない事を覚悟しています。
ブラッドリーは黒き巫女が倒された段階で撤退します。
なお、黒き巫女と会話は可能ですが説得が行えるかは不明です。
マスターより
近藤豊です。
血断連動関連依頼をリリース致します。辺境にも魔の手が伸び、辺境巫女に影響を及ぼしています。奪われた大霊堂を奪還する事も必要ですが、何故巫女達がブラッドリーに靡いたのか。その理由は不明なままです。巫女達と意志疎通する事は難しいかもしれませんが……。
それでは、ピザを肴にお待ちしています。
血断連動関連依頼をリリース致します。辺境にも魔の手が伸び、辺境巫女に影響を及ぼしています。奪われた大霊堂を奪還する事も必要ですが、何故巫女達がブラッドリーに靡いたのか。その理由は不明なままです。巫女達と意志疎通する事は難しいかもしれませんが……。
それでは、ピザを肴にお待ちしています。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/03/21 09:56
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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相談卓 雨を告げる鳥(ka6258) エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/03/17 23:14:14 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/03/17 07:48:45 |