ゲスト
(ka0000)
【陶曲】TOYS STRIKE:前編
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2019/03/24 19:00
- リプレイ完成予定
- 2019/04/02 19:00
オープニング
嫉妬王ラルヴァ。
大地の精霊アメンスィ。
ほどなく両者の間に最後の衝突が始まる。
サイゴンはむろんラルヴァに勝ってほしい。それこそが歪虚である彼の望みで喜びだから。だからそのための行動をしたいと常々思っている。
しかし残念ながら彼の頭は鈍く出来ていた。本来なら新しく作り上げたオートマトンの分身がそこを補ってくれるはずだったのだが……つい最近ハンターの手により消滅させられてしまった(とはいえ、そのすべてが消えたわけではない。かのオートマトンが感じ考えたことは支配という形を通じて、サイゴンの中に蓄積されている)。
とにかくこの先どういう手を打ったらいいのか。
『うーん……まず面倒なのは、ハンターは壊してもすぐ直っちまうってことだべ。なんで直っちまうかというと、直すやつがいるからだべ。ラルヴァ様に聞いたけんど、そいつらはクルセイダーって奴らしいべ。えーとえーと、だから戦う時にはクルセイダーから壊さなきゃなんねえ。これ大事なところだど』
目の奥にある巻ネジがきりきり回り、鼻から蒸気が吹き上がる。
『あいつらはいつも、複数で来るど。だから、バラバラにしておかなくちゃなんねえど……そんだ。あいつらは人間を連れて行かれると取り返そうとするべ。せばたくさん捕まえて、1匹ずつバラバラの場所に持って行くちうのはどうだんべ。そしたらバラバラに追いかけねばならなくなるど。固まって向かって来ることが出来ねえど』
我ながら非常にいい考えだと思ったサイゴンは、膝を打った。
『だども、そうすっとまずどこから集めたらいいべが』
そこにケラケラというぶしつけな笑い声。
サイゴンが足元に顔を向ければ、いつの間にかピクスドールの同属歪虚が群れていた。全部同じ型。数は11。
サイゴンはジロリと彼女らを睨みつける。
『おめえたち、なにを笑ってるべ』
対しピクスドールたちは、怖じけもせず言った。
「襲ウニピッタリノ場所、教エテアゲルノヨ」
「学校狙エバイイノヨ」
『ガッコウてなんだべ』
「人間ガ子供ヲタクサン入レトク建物ヨ」
『なぬ。そんな便利なところがあるべか。どこにあるべ、教えるべ』
「マア待チナサイヨ」
「学校トイウモノハ、世ノ中タクサンアルノ」
「ダケド、ドコデモ襲エバイイッテモノジャナイワ。金持チノ子供ガイッパイイル学校デナイト駄目」
『何故だべ』
「金持チノ子ヲ人間タチハ守ロウトスルノ」
「ダカラ人質トシテトテモ有効」
「貧乏人ノ子ハ人質トシテ価値ナシ。人間タチハソレヲ守ロウトシナイモノ。殺シタトコロデセイゼイ『カワイソ』言ッテ終ワリダワ」
『そうだべか。じゃあ金持ちの子供狙ったほうがよかんべ。そういうガッコウ知ってるべか』
「モチロン。知ッテルカラ声カケタゲタノヨ。デモ、教エルニハ条件ガアルワ」
ピクスドールたちはガラスの目玉をクルクル動かし、再度笑った。カンに触るような高い声で。
「私タチニ襲撃サセテチョーダイ」
「私タチノウチノ1人ガ、ソノ学校デヤラレチャッタノヨネ」
「コノママ放置シテオクノハ、全体ノ面子ニ拘ルノ」
「コノ機会ニ、リベンジナノヨ」
●ベレン学院寮の夜
マルコ・ニッティは参考書を閉じ、顔を上げた。
誰かが階段を下りて行く音が聞こえた。数人分。
(……門限は過ぎてるよな)
こんな時間にどこへ行こうというのだろうか。
少し迷った後マルコは、席を立った。扉を開き、廊下に出る。とりあえず誰が何をしているのか確かめるために。
すると、同級ら数人と鉢合わせした。皆表情がこわばっている。顔色も蒼白だ。
一体どうしたのかマルコは尋ねようとした。そして次の瞬間、後ずさった。同級生の後ろから、ピクスドールが顔を出したのだ。
「大人シクスルノヨ。声ヲ出シタラ殺シチャ――」
相手の警告が終わる前にマルコは、壁を殴って大声を出した。
「皆、起きろ、歪虚――」
次の瞬間彼の意識は途切れた。背後から近づいてきていたもう1体のピクスドールが、バットで激しく殴りつけたのだ。
「声ヲ出スナト言ウノニ」
ルイ・ラデュロは相変わらずマルコ・ニッティにムカついている。
あの一件以来自分の発言力というか、クラスにおける順位が下降したことは否めない。
自業自得と言えばそれまでだが、ルイは素直にそれを受け止め即座に行動を改めるほど出来た人間ではなかった――大体出来た人間ならあんな事件起こしていない。
機会があれば足を引っ張ってやりたい。
今だにそう思ってはいるのだが、マルコの側が一切隙を見せず寛大に友好関係を保つがごとき振る舞いをしてきているので手が出せない――そもそも手を出したら倍返しされる。
そして今回の定期テスト。自分は1位上がったが奴は3位上がった。よって抜かれた。
「くそおおお、あの野郎ぉ!」
そこに声が。
「ナンダカ、オ悩ミノヨウネ」
振り向けばいつか見たのとそっくり同じピクスドール。
「人間サン、困ッテルナラ、ワタシ助ケテアゲテモイイノヨ?」
ルイは確かに根性が悪い。しかし同じ過ちを二度も繰り返す馬鹿ではない。
「……ちょっと……ご遠慮しておきたいかなって……」
と言って廊下に逃げ出す。
そしたらぶつかった。もう1体のピクスドールに。右手でバットを持ち、左手で引きずっている。頭から血を流しているマルコを。
「ドコヘオ出掛ケ?」
思わずすくむ所に、部屋から出てきたピクスドールが言った。
「アンタ、ソレドーシタノ」
「ウン、騒ゴウトシタカラ大人シクサセタノ」
そこに外から窓を叩く音。見ればピクスドールがもう1体。
「早ク乗セルノヨ。長居ハ無用ヨ」
寮の玄関先には、いつの間にか複数の馬車が停まっている。
妙に可愛らしいデザインの車体に、ピンク、赤、青色、黄色といったあり得ない色の馬。
よく見たらそれは、メリーゴーランドに使われるまがい物の馬車であり馬であった。
●ハンターオフィスに届いた情報
ニケ・グリークは組んだ手を額に押し当て、重い息をついた。
「ベレン学院寮に襲撃があったことは、オフィスで聞いていますね?」
カチャを筆頭としたハンターたちは頷いた。
ベレン学院の寮に夜中何者かが押し入り、子供たちを誘拐したのだ。
侵入者を防ぐべき管理人や警備員といった人々は軒並み意識不明の状態で情報が取れない。だからまだはっきりしたことは言えないが、歪虚絡みではあることだけは確実視されている。
誘拐された子供の親たちは皆、社会的地位の高い者ばかり。
彼らから火のようにせっつかれた警察は全身全霊を挙げ、子供たちの行方を追っている次第。ハンターオフィスの助けも借りて。
しかしニケはそれだけを当てにして待つようなことはしない。この際打てる手はすべて打っておきたいと思った。後で悔やむことがないように。
「マルコ・ニッティの行方を突き止めてください。それが私の依頼内容です」
大地の精霊アメンスィ。
ほどなく両者の間に最後の衝突が始まる。
サイゴンはむろんラルヴァに勝ってほしい。それこそが歪虚である彼の望みで喜びだから。だからそのための行動をしたいと常々思っている。
しかし残念ながら彼の頭は鈍く出来ていた。本来なら新しく作り上げたオートマトンの分身がそこを補ってくれるはずだったのだが……つい最近ハンターの手により消滅させられてしまった(とはいえ、そのすべてが消えたわけではない。かのオートマトンが感じ考えたことは支配という形を通じて、サイゴンの中に蓄積されている)。
とにかくこの先どういう手を打ったらいいのか。
『うーん……まず面倒なのは、ハンターは壊してもすぐ直っちまうってことだべ。なんで直っちまうかというと、直すやつがいるからだべ。ラルヴァ様に聞いたけんど、そいつらはクルセイダーって奴らしいべ。えーとえーと、だから戦う時にはクルセイダーから壊さなきゃなんねえ。これ大事なところだど』
目の奥にある巻ネジがきりきり回り、鼻から蒸気が吹き上がる。
『あいつらはいつも、複数で来るど。だから、バラバラにしておかなくちゃなんねえど……そんだ。あいつらは人間を連れて行かれると取り返そうとするべ。せばたくさん捕まえて、1匹ずつバラバラの場所に持って行くちうのはどうだんべ。そしたらバラバラに追いかけねばならなくなるど。固まって向かって来ることが出来ねえど』
我ながら非常にいい考えだと思ったサイゴンは、膝を打った。
『だども、そうすっとまずどこから集めたらいいべが』
そこにケラケラというぶしつけな笑い声。
サイゴンが足元に顔を向ければ、いつの間にかピクスドールの同属歪虚が群れていた。全部同じ型。数は11。
サイゴンはジロリと彼女らを睨みつける。
『おめえたち、なにを笑ってるべ』
対しピクスドールたちは、怖じけもせず言った。
「襲ウニピッタリノ場所、教エテアゲルノヨ」
「学校狙エバイイノヨ」
『ガッコウてなんだべ』
「人間ガ子供ヲタクサン入レトク建物ヨ」
『なぬ。そんな便利なところがあるべか。どこにあるべ、教えるべ』
「マア待チナサイヨ」
「学校トイウモノハ、世ノ中タクサンアルノ」
「ダケド、ドコデモ襲エバイイッテモノジャナイワ。金持チノ子供ガイッパイイル学校デナイト駄目」
『何故だべ』
「金持チノ子ヲ人間タチハ守ロウトスルノ」
「ダカラ人質トシテトテモ有効」
「貧乏人ノ子ハ人質トシテ価値ナシ。人間タチハソレヲ守ロウトシナイモノ。殺シタトコロデセイゼイ『カワイソ』言ッテ終ワリダワ」
『そうだべか。じゃあ金持ちの子供狙ったほうがよかんべ。そういうガッコウ知ってるべか』
「モチロン。知ッテルカラ声カケタゲタノヨ。デモ、教エルニハ条件ガアルワ」
ピクスドールたちはガラスの目玉をクルクル動かし、再度笑った。カンに触るような高い声で。
「私タチニ襲撃サセテチョーダイ」
「私タチノウチノ1人ガ、ソノ学校デヤラレチャッタノヨネ」
「コノママ放置シテオクノハ、全体ノ面子ニ拘ルノ」
「コノ機会ニ、リベンジナノヨ」
●ベレン学院寮の夜
マルコ・ニッティは参考書を閉じ、顔を上げた。
誰かが階段を下りて行く音が聞こえた。数人分。
(……門限は過ぎてるよな)
こんな時間にどこへ行こうというのだろうか。
少し迷った後マルコは、席を立った。扉を開き、廊下に出る。とりあえず誰が何をしているのか確かめるために。
すると、同級ら数人と鉢合わせした。皆表情がこわばっている。顔色も蒼白だ。
一体どうしたのかマルコは尋ねようとした。そして次の瞬間、後ずさった。同級生の後ろから、ピクスドールが顔を出したのだ。
「大人シクスルノヨ。声ヲ出シタラ殺シチャ――」
相手の警告が終わる前にマルコは、壁を殴って大声を出した。
「皆、起きろ、歪虚――」
次の瞬間彼の意識は途切れた。背後から近づいてきていたもう1体のピクスドールが、バットで激しく殴りつけたのだ。
「声ヲ出スナト言ウノニ」
ルイ・ラデュロは相変わらずマルコ・ニッティにムカついている。
あの一件以来自分の発言力というか、クラスにおける順位が下降したことは否めない。
自業自得と言えばそれまでだが、ルイは素直にそれを受け止め即座に行動を改めるほど出来た人間ではなかった――大体出来た人間ならあんな事件起こしていない。
機会があれば足を引っ張ってやりたい。
今だにそう思ってはいるのだが、マルコの側が一切隙を見せず寛大に友好関係を保つがごとき振る舞いをしてきているので手が出せない――そもそも手を出したら倍返しされる。
そして今回の定期テスト。自分は1位上がったが奴は3位上がった。よって抜かれた。
「くそおおお、あの野郎ぉ!」
そこに声が。
「ナンダカ、オ悩ミノヨウネ」
振り向けばいつか見たのとそっくり同じピクスドール。
「人間サン、困ッテルナラ、ワタシ助ケテアゲテモイイノヨ?」
ルイは確かに根性が悪い。しかし同じ過ちを二度も繰り返す馬鹿ではない。
「……ちょっと……ご遠慮しておきたいかなって……」
と言って廊下に逃げ出す。
そしたらぶつかった。もう1体のピクスドールに。右手でバットを持ち、左手で引きずっている。頭から血を流しているマルコを。
「ドコヘオ出掛ケ?」
思わずすくむ所に、部屋から出てきたピクスドールが言った。
「アンタ、ソレドーシタノ」
「ウン、騒ゴウトシタカラ大人シクサセタノ」
そこに外から窓を叩く音。見ればピクスドールがもう1体。
「早ク乗セルノヨ。長居ハ無用ヨ」
寮の玄関先には、いつの間にか複数の馬車が停まっている。
妙に可愛らしいデザインの車体に、ピンク、赤、青色、黄色といったあり得ない色の馬。
よく見たらそれは、メリーゴーランドに使われるまがい物の馬車であり馬であった。
●ハンターオフィスに届いた情報
ニケ・グリークは組んだ手を額に押し当て、重い息をついた。
「ベレン学院寮に襲撃があったことは、オフィスで聞いていますね?」
カチャを筆頭としたハンターたちは頷いた。
ベレン学院の寮に夜中何者かが押し入り、子供たちを誘拐したのだ。
侵入者を防ぐべき管理人や警備員といった人々は軒並み意識不明の状態で情報が取れない。だからまだはっきりしたことは言えないが、歪虚絡みではあることだけは確実視されている。
誘拐された子供の親たちは皆、社会的地位の高い者ばかり。
彼らから火のようにせっつかれた警察は全身全霊を挙げ、子供たちの行方を追っている次第。ハンターオフィスの助けも借りて。
しかしニケはそれだけを当てにして待つようなことはしない。この際打てる手はすべて打っておきたいと思った。後で悔やむことがないように。
「マルコ・ニッティの行方を突き止めてください。それが私の依頼内容です」
解説
補足説明
これは、ベレン学院の生徒達の行方を捜す依頼です。
前編と銘打っています通り、後編があります。
今回は生徒達の行方を捜し出すだけ。戦闘、奪還作業は後編に持ち越されます。
攫われたのはマルコ、ルイ含め11名。1人につき1人のドールがくっついて監視している状態です。そこから彼らが自力で抜け出すことは……まあ、無理です。下手すると殺されかねません。
マルコですが、死んではいません。OPの後最低限の手当は受けます。人質は生きていないと意味がないですから。
マルコとルイの確執、及びピクスドールの性能について詳しいことが知りたい方は「【陶曲】あいつさえいなければ」をご覧ください。
これは、ベレン学院の生徒達の行方を捜す依頼です。
前編と銘打っています通り、後編があります。
今回は生徒達の行方を捜し出すだけ。戦闘、奪還作業は後編に持ち越されます。
攫われたのはマルコ、ルイ含め11名。1人につき1人のドールがくっついて監視している状態です。そこから彼らが自力で抜け出すことは……まあ、無理です。下手すると殺されかねません。
マルコですが、死んではいません。OPの後最低限の手当は受けます。人質は生きていないと意味がないですから。
マルコとルイの確執、及びピクスドールの性能について詳しいことが知りたい方は「【陶曲】あいつさえいなければ」をご覧ください。
マスターより
KINUTAです。
敵は人質作戦に打って出てきました。
卑怯は嫉妬眷属にとって、褒め言葉であります。
敵は人質作戦に打って出てきました。
卑怯は嫉妬眷属にとって、褒め言葉であります。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/03/28 00:07
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/03/23 20:52:12 |
|
![]() |
質問卓 天竜寺 舞(ka0377) 人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2019/03/18 20:40:36 |
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![]() |
相談卓だよ 天竜寺 舞(ka0377) 人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2019/03/24 18:40:30 |