ゲスト
(ka0000)
図書館員の清掃事情
マスター:硲銘介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/01/19 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/01/28 12:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●
本は良い。人類の生んだ文化の極みだと思うのです。
無造作に本が積まれた図書館。その受付で椅子を揺らしながら茶を啜り、読書に浸る女――つまりは、私だが――フィーリア・ブッカーの日々は実に充実している。
子供の頃から本が好きで、そんな愛しい彼らが無尽蔵に納められている図書館というのは私にとって天国に他ならなかった。
そのおかげだろうか。人間関係とか、将来設計とか。私がその類のものに悩む事は一切無かった。我が事ながらなんとも色気のない事と思うが、本さえあれば私は幸せなのだった。
そんな本の虫である私は、めでたく念願の図書館に就職出来た。それからというもの、受付嬢をこなしつつ本を読み耽る毎日を過ごしているのだった。幸せとはこういうものを指すのだよ。
――あぁ、いいえ、一つ訂正が。受付嬢をこなしつつ、というのは忘れてもらいたい。
いや、何も仕事そっちのけで趣味に興じている訳ではないのです。ちゃんと職務を全うしている事はご理解いただきたい。
ただ、利用者がいないのだから働きようが無い。仕方ない、そう、仕方ない。おかげで私の欲求は十二分に満たされるので、心情的には大歓迎なのだが。
しかし、それにしたってこの図書館には人が来ない。小さな町の図書館にしては立派な施設だというのに、こうも寂れているのは不思議でさえある。
――とか、思うことはあるのだが。この生活に不満なんて、まるで無いのであった。本屋ならともかく、図書館に客入りは関係ない。
大好きな本を好きなだけ読んで、それでお給料まで貰える。天職とか言う前に、これ、ある種の永久機関じゃない?
そんな訳で、相も変わらず人の訪れない図書館の中、いつも通り私の優雅な時間が続く――
「随分と幸福そうだな、君は」
「ふぉわたぁっ!?」
筈だったのだが、ぬっとブルドックみたいなおっさんが現れ、至福の時を妨害してきたのだった。……うぅ、びっくりして変な声出たよぅ。
さて、この厳つい顔のブルドック――ゲフンゲフン、立派なおじさんはここの館長さん。私の上司に当たる人である。
この図書館、そこそこ広い割に私と彼の二人しか事務員はいない。しかも、彼はたまにしか顔を出さない。まぁ、誰も来ないので何も問題は無いのだが。
で、そのたまーに見た顔はいつになく不機嫌そうなのであった。
「お、おはようございまーす」
恐る恐る、陽気に挨拶してみる。こちらの雰囲気に乗ってきてくれれば儲けものである。
「おはよう」
一寸たりとも変わらぬ表情。私の笑顔は見事に売れ残る。
「その……今日は、どのようなご用件で」
「君の働き振りを見に来た。私が来たのにも気づかず読書に熱中していたから、些か声をかけ辛かったがね」
館長が来たにも拘らず知らぬ顔で読書に没頭なんて結構な働きぶりですねハハハハハ、と笑わないお顔が言っていた。
「いやぁ……あははは」
「ところで、この有様はどうだ」
と、突然館長が館内を示した。むむ、追求もう終わり?
なんて事は声に出さず、すぐさま話題変換に便乗する。
「どう、と言われましても……いつも通り、じゃないでしょうか」
広い館内は閑散としており、私達以外の人影は無い。至る所に無造作に置かれた机の上に、これまた無造作に本が積み重なり、溜まった埃がそれらを雪のように彩っている。
ふと本棚の間を見れば張り巡らされた蜘蛛の巣が。先日の雨に打たれた窓は水垢がはっきり見え、入り込んだ木の葉が館内に緑を持ち込んでいる。
あ、今なんか床を通った。ていうか走ってた。何が。まぁ鼠とか、いても喜ばれない虫さんでしょうか。何処から入ってくるのか、館内には小さなお客様がエトセトラエトセトラ。
――うん、いつも通りですよ。
「私は君に館内の整理、清掃も任せていた筈だが」
「はい、任されましたね」
「……これは職務怠慢と言うのではないかな」
「え? このくらい、別に……私の部屋とか、もっと――」
なんていうか、腐界染みてる。
余談だが、私の家はフルーツのアロマが漂っている。買い込んだ果物が丁度熟し、無遠慮に香りをぶちまけているのだ。そういえば、一昨日家に来た友人がコレアロマトチガウ、という謎の呪文を残していたのが気になる。
えー、閑話休題。館長の言いたいところが掴めずに首を傾げる私。心なしか、ブルドックが赤くなっていっている様な。なんか鼻がぴくぴくしてる。
次の瞬間、ブルドッグは鼻を鳴らし、
「一週間以内に片付けろ。でなければクビだ」
なんて恐ろしい事を言い出しやがりましたよ――!
●
――そんなやり取りから数日経ち、期限まで残り二日を残すのみとなった。
此処に至って気づいた事が一つ。図書館の掃除というのはなかなかどうして、難度が高い。
というのも私の身に幾度も謎の現象が起こるせいである。ありのまま今起こったことを話すが、私は掃除していたと思ったらいつもの席いつもの姿勢で読書を嗜んでいた。超スピードとかそんなチャチなものじゃない、真面目な話、怪奇現象である。
そうして気づけば日が暮れていた。改めて館内を見渡すも、そこにはいつも通りの光景――つまるところ、僅かばかりも進んじゃいなかった。
今日のような事がこの一週間起こり続けた。こう続くと陰謀論の一つも唱えたくなる。
――いやいや、そんな冗談を言っている場合ではない。
今日――はこの読みかけの本に費やすとして――除いて、掃除期間は明日一日しか残っていない。
そうなってはもうこの生活が送れない。それは、困る。
人の幸せは何処にありますか? 即答するが、私の幸せは紛れもないこの場所にあるのだ。
……こうなれば最終手段である。初めから最終手段とか、そんな事はどうでもいい。
一人で出来ないなら、大勢でやればいいのだ。正直、出費とか痛いけど、私の幸福を維持できるかどうかの瀬戸際にそんな事も言っていられない。
そう覚悟し、私はハンターオフィスの扉を叩く事を決めた。あ、とりあえず手元の本を読みきってからの話ですけど――――
●
本は良い。人類の生んだ文化の極みだと思うのです。
無造作に本が積まれた図書館。その受付で椅子を揺らしながら茶を啜り、読書に浸る女――つまりは、私だが――フィーリア・ブッカーの日々は実に充実している。
子供の頃から本が好きで、そんな愛しい彼らが無尽蔵に納められている図書館というのは私にとって天国に他ならなかった。
そのおかげだろうか。人間関係とか、将来設計とか。私がその類のものに悩む事は一切無かった。我が事ながらなんとも色気のない事と思うが、本さえあれば私は幸せなのだった。
そんな本の虫である私は、めでたく念願の図書館に就職出来た。それからというもの、受付嬢をこなしつつ本を読み耽る毎日を過ごしているのだった。幸せとはこういうものを指すのだよ。
――あぁ、いいえ、一つ訂正が。受付嬢をこなしつつ、というのは忘れてもらいたい。
いや、何も仕事そっちのけで趣味に興じている訳ではないのです。ちゃんと職務を全うしている事はご理解いただきたい。
ただ、利用者がいないのだから働きようが無い。仕方ない、そう、仕方ない。おかげで私の欲求は十二分に満たされるので、心情的には大歓迎なのだが。
しかし、それにしたってこの図書館には人が来ない。小さな町の図書館にしては立派な施設だというのに、こうも寂れているのは不思議でさえある。
――とか、思うことはあるのだが。この生活に不満なんて、まるで無いのであった。本屋ならともかく、図書館に客入りは関係ない。
大好きな本を好きなだけ読んで、それでお給料まで貰える。天職とか言う前に、これ、ある種の永久機関じゃない?
そんな訳で、相も変わらず人の訪れない図書館の中、いつも通り私の優雅な時間が続く――
「随分と幸福そうだな、君は」
「ふぉわたぁっ!?」
筈だったのだが、ぬっとブルドックみたいなおっさんが現れ、至福の時を妨害してきたのだった。……うぅ、びっくりして変な声出たよぅ。
さて、この厳つい顔のブルドック――ゲフンゲフン、立派なおじさんはここの館長さん。私の上司に当たる人である。
この図書館、そこそこ広い割に私と彼の二人しか事務員はいない。しかも、彼はたまにしか顔を出さない。まぁ、誰も来ないので何も問題は無いのだが。
で、そのたまーに見た顔はいつになく不機嫌そうなのであった。
「お、おはようございまーす」
恐る恐る、陽気に挨拶してみる。こちらの雰囲気に乗ってきてくれれば儲けものである。
「おはよう」
一寸たりとも変わらぬ表情。私の笑顔は見事に売れ残る。
「その……今日は、どのようなご用件で」
「君の働き振りを見に来た。私が来たのにも気づかず読書に熱中していたから、些か声をかけ辛かったがね」
館長が来たにも拘らず知らぬ顔で読書に没頭なんて結構な働きぶりですねハハハハハ、と笑わないお顔が言っていた。
「いやぁ……あははは」
「ところで、この有様はどうだ」
と、突然館長が館内を示した。むむ、追求もう終わり?
なんて事は声に出さず、すぐさま話題変換に便乗する。
「どう、と言われましても……いつも通り、じゃないでしょうか」
広い館内は閑散としており、私達以外の人影は無い。至る所に無造作に置かれた机の上に、これまた無造作に本が積み重なり、溜まった埃がそれらを雪のように彩っている。
ふと本棚の間を見れば張り巡らされた蜘蛛の巣が。先日の雨に打たれた窓は水垢がはっきり見え、入り込んだ木の葉が館内に緑を持ち込んでいる。
あ、今なんか床を通った。ていうか走ってた。何が。まぁ鼠とか、いても喜ばれない虫さんでしょうか。何処から入ってくるのか、館内には小さなお客様がエトセトラエトセトラ。
――うん、いつも通りですよ。
「私は君に館内の整理、清掃も任せていた筈だが」
「はい、任されましたね」
「……これは職務怠慢と言うのではないかな」
「え? このくらい、別に……私の部屋とか、もっと――」
なんていうか、腐界染みてる。
余談だが、私の家はフルーツのアロマが漂っている。買い込んだ果物が丁度熟し、無遠慮に香りをぶちまけているのだ。そういえば、一昨日家に来た友人がコレアロマトチガウ、という謎の呪文を残していたのが気になる。
えー、閑話休題。館長の言いたいところが掴めずに首を傾げる私。心なしか、ブルドックが赤くなっていっている様な。なんか鼻がぴくぴくしてる。
次の瞬間、ブルドッグは鼻を鳴らし、
「一週間以内に片付けろ。でなければクビだ」
なんて恐ろしい事を言い出しやがりましたよ――!
●
――そんなやり取りから数日経ち、期限まで残り二日を残すのみとなった。
此処に至って気づいた事が一つ。図書館の掃除というのはなかなかどうして、難度が高い。
というのも私の身に幾度も謎の現象が起こるせいである。ありのまま今起こったことを話すが、私は掃除していたと思ったらいつもの席いつもの姿勢で読書を嗜んでいた。超スピードとかそんなチャチなものじゃない、真面目な話、怪奇現象である。
そうして気づけば日が暮れていた。改めて館内を見渡すも、そこにはいつも通りの光景――つまるところ、僅かばかりも進んじゃいなかった。
今日のような事がこの一週間起こり続けた。こう続くと陰謀論の一つも唱えたくなる。
――いやいや、そんな冗談を言っている場合ではない。
今日――はこの読みかけの本に費やすとして――除いて、掃除期間は明日一日しか残っていない。
そうなってはもうこの生活が送れない。それは、困る。
人の幸せは何処にありますか? 即答するが、私の幸せは紛れもないこの場所にあるのだ。
……こうなれば最終手段である。初めから最終手段とか、そんな事はどうでもいい。
一人で出来ないなら、大勢でやればいいのだ。正直、出費とか痛いけど、私の幸福を維持できるかどうかの瀬戸際にそんな事も言っていられない。
そう覚悟し、私はハンターオフィスの扉を叩く事を決めた。あ、とりあえず手元の本を読みきってからの話ですけど――――
解説
今回の依頼は図書館で働くフィーリア・ブッカーさんからのものです。
内容は彼女が勤める図書館の清掃作業全般となります。現在、図書館内は酷く散らかった状態であり、彼女一人で整理する事がままならない状態だという話です。
そんな状況ですが、どうしても一日で清掃を済ませる必要があるのだそうです。
清掃の段取りなどはハンター達任せのようです。基本的な清掃用具は図書館の方に備えがあるそうです。
図書館はバスケットコート二つ分くらいの広さに二階建て。お手洗いや館員の控え室等を除き、各階大きな広間のみ。
清掃の際は――
・館内の清掃。床、壁、窓、階段など。
・出しっぱなしの本(整理が出来ていない)。
・本棚
辺りを気にかけると良いでしょう。それ以外にも気になる箇所があればそちらもお願いします。
内容は彼女が勤める図書館の清掃作業全般となります。現在、図書館内は酷く散らかった状態であり、彼女一人で整理する事がままならない状態だという話です。
そんな状況ですが、どうしても一日で清掃を済ませる必要があるのだそうです。
清掃の段取りなどはハンター達任せのようです。基本的な清掃用具は図書館の方に備えがあるそうです。
図書館はバスケットコート二つ分くらいの広さに二階建て。お手洗いや館員の控え室等を除き、各階大きな広間のみ。
清掃の際は――
・館内の清掃。床、壁、窓、階段など。
・出しっぱなしの本(整理が出来ていない)。
・本棚
辺りを気にかけると良いでしょう。それ以外にも気になる箇所があればそちらもお願いします。
マスターより
こんにちは、硲銘介です。
自身初の日常系シナリオになります。
内容は単純にお掃除をしていただくものになっています。
片付けられない女、フィーリア嬢を助けてやってくださいませ。
自身初の日常系シナリオになります。
内容は単純にお掃除をしていただくものになっています。
片付けられない女、フィーリア嬢を助けてやってくださいませ。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/01/24 20:32
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/15 14:30:02 |
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相談卓 仁川 リア(ka3483) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/01/16 14:21:47 |