ゲスト
(ka0000)
【王戦】見上げる先は違う空
マスター:鹿野やいと

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/03/28 19:00
- リプレイ完成予定
- 2019/04/06 19:00
オープニング
ハルトフォートの司令官であるラーズスヴァン氏、会議で人を集めて曰く。
「もう無理! 撤退する!」
誤解の無いように言うと意訳である。そして既定路線でもある。元から戦力に天地の開きがある。攻城に必要な戦力は3倍、などのわかりやすい優位で補える範囲ではない。むしろ想定以上に抵抗したほうだろう。会議で決定したのは敗走を前提とした今後の作戦予定に関してであり、今回は遂にハルトフォート放棄の日付が確定した。
砦内の全部隊が撤退の仕掛けに取り掛かる中、赤の隊は一つ予定外の課題を抱えていた。砦内は小さな町のように機能している部分があり、元から軍人以外の住人が住む環境がそれなりにあった。そこには今、戦争で焼け出されて来た周辺の村落や町の住人達が身を寄せ合って住んでいる。本当はここから更に王都に向けて逃がす予定だったのだが、護衛を付ける余裕がそれほどあるわけもない。順次可能な範囲で退去を進めていたが、ここに来てその退去を急ぐ必要が出て来た。問題は彼らにつける護衛の人選にあった。
「絶対にイヤです! ここで戦わせてください!」
「そうです! 俺達はまだ戦えます!」
「戦わせてください!! 最後の最後まで歪虚どもに目に物見せてやります!」
直談判に来た騎士達がジェフリーの執務机の前で噴きあがっている。戦意が高すぎるのは結構なことだがこれでは話が進まない。ジェフリーは一通りの説得に成果があがらず、どうすれば納得するのかと途方に暮れていた。
彼らを人選した理由は大まかにわけて3つある。一つは政治的な配慮だ。貴族の次男三男が多く死んでも家にとって不都合の無い人間の多い赤の隊だが、それも実家の長男が存命であればの話。度重なる戦役で継承権が繰り上がった貴族の子息達を、どうにかこうにか戻せないかと有形無形に圧力があるのだ。戦後の混乱を減らすという意味ではジェフリーも異存はないのだが、問題は赤の隊で戦い続けてきた本人の気持ちである。
「そもそも家とは縁を切ってきました。今更私が戻る必要がありません。副長、お願いします! どうか一緒に戦わせてください!」
その繰り上がった序列で配慮された筆頭が、目を潤ませながら懇願してくる騎士アリサ。彼女は兄2人を失っている。家からはせめて血を絶やしたくないとやはり同じような懇願に満ちた手紙が届いていた。本人にも同じ内容の手紙が届いたのだろう。親心で娘の生存を願った内容だが、本人にとっては恩着せがましいと読めて仕方のない内容だろう。赤の隊は遠征も長く現場での武勇を尊ぶ気風もある。このように貴族として政治的な解決をされてしまうのは誰にとっても不本意には違いない。中には家と疎遠になって騎士に残った者も居るから話は余計にややこしい。
「怪我をしてるのは誰でも一緒です。両手で槍を振り回せるように訓練もしてきました。お願いですから、どうか残してください」
二つ目の理由は怪我人だからという至極真っ当な理由だ。代表してやってきた騎士アーノルドは負傷で利き腕が使えなくなっている。彼本人も言っている通り左腕でも武器は振るえるわけだが、両手で武器を扱う者に比べれば戦力低下は否めない。彼の他にも片目を失明していたり、左腕がもげたり、片足がなかったり、そんな連中まで気勢をあげている。こういう半端な戦力に気を遣うよりは、元気なうちに民間人の護衛に当てて帰らせたほうが面倒がない。しかしこれも本人達の気持ちは無視している。万全な状態の仲間を殿にして死なれるよりは、決戦に向けて健康な人間を残したいという考えもわからないでもない。
「俺も赤の隊の一員です。逃げるにしても、皆一緒です」
最後に三つ目の理由。役目を終えている連中だ。別に仕事がないわけではない。だが最後まで残す必要性が薄くなった為に、先に帰って良いとそれだけの話である。しかしそれで引き下がれないのが騎士ダリウスら赤の隊でも特に獰猛な連中だ。意気消沈した者は他にいるから彼らを帰して欲しい、自分は殿として戦いたい。と、有り余った戦意の行き先を探している。ジェフリーとしてはその住民の護衛にも戦力が必要であるから彼らを配置している。それを無視されても困るが、彼らは彼らなりに今回の殿がどれほど激戦になるか理解しているのだ。残していった友とはもう会えないかもしれない。それならば自分が。3者ともに共通する焦りを、色濃く出しているのが彼らだろう。
ジェフリーも長い間、直談判に来た騎士達と同じ程度には赤の隊に在籍している。気持ちはわからないでもない。わからないでもないが、立場上「はい」「そうですか」と彼らの要望を飲むわけにはいかない。個人の事情は斟酌しつつも、最終的には軍全体の意向を全うさせる必要がある。そういう立場の違いを、直談判に来た者達が斟酌している気配はない。
「副長!」「副長!」「副長!」
「もういい! 後にしろ!」
思わずジェフリーは怒鳴ってしまい、はっとして口をつぐんだ。しかし怒鳴ってしまったものは仕方ない。声をなるべく抑えながら「退出しろ」とだけ命じると、3人は不承不承ながらも並んで扉を開いてその場を後にした。3人が去った後の扉の陰には、ばつの悪そうな顔をしたハンターが佇んでいた。
「っと…。見苦しいところを見せたな。だいたい聞こえていたか」
ジェフリーは頼んでいた資料を受け取りながら、苦い顔で笑みを浮かべた。
「事情は知っての通りだ。命令だと言ってしまえば、簡単なんだが」
そうはしたくない。彼らの言葉はただのワガママにすぎないが、内実として仲間を想っての事には違いない。終わらない戦闘で抱えた不安から自分だけ逃げてしまうことに、罪悪感を感じているのかもしれない。軍隊だからと彼らの感情を強権で押しつぶすのは、戦友の一人として躊躇われた。
「その……、こう言う事を頼むのは良くないとは思うのだが。もし彼らと話をする機会があったら、納得してもらえるように話をしてもらえないか。あるいは、もし別の理由があるのなら知りたい」
そのハンターは少し悩んで考え込んだが「出来る範囲で良ければ」「期待はしないでほしい」という曖昧な約束を答えとした。ジェフリーとしてはそれで充分だった。用事を済ませて去っていくハンターを見送り、ジェフリーは一人になった執務室で父や兄に当てた手紙のしたため始める。先のことに不安があるのは彼自身も同じことだった。
「もう無理! 撤退する!」
誤解の無いように言うと意訳である。そして既定路線でもある。元から戦力に天地の開きがある。攻城に必要な戦力は3倍、などのわかりやすい優位で補える範囲ではない。むしろ想定以上に抵抗したほうだろう。会議で決定したのは敗走を前提とした今後の作戦予定に関してであり、今回は遂にハルトフォート放棄の日付が確定した。
砦内の全部隊が撤退の仕掛けに取り掛かる中、赤の隊は一つ予定外の課題を抱えていた。砦内は小さな町のように機能している部分があり、元から軍人以外の住人が住む環境がそれなりにあった。そこには今、戦争で焼け出されて来た周辺の村落や町の住人達が身を寄せ合って住んでいる。本当はここから更に王都に向けて逃がす予定だったのだが、護衛を付ける余裕がそれほどあるわけもない。順次可能な範囲で退去を進めていたが、ここに来てその退去を急ぐ必要が出て来た。問題は彼らにつける護衛の人選にあった。
「絶対にイヤです! ここで戦わせてください!」
「そうです! 俺達はまだ戦えます!」
「戦わせてください!! 最後の最後まで歪虚どもに目に物見せてやります!」
直談判に来た騎士達がジェフリーの執務机の前で噴きあがっている。戦意が高すぎるのは結構なことだがこれでは話が進まない。ジェフリーは一通りの説得に成果があがらず、どうすれば納得するのかと途方に暮れていた。
彼らを人選した理由は大まかにわけて3つある。一つは政治的な配慮だ。貴族の次男三男が多く死んでも家にとって不都合の無い人間の多い赤の隊だが、それも実家の長男が存命であればの話。度重なる戦役で継承権が繰り上がった貴族の子息達を、どうにかこうにか戻せないかと有形無形に圧力があるのだ。戦後の混乱を減らすという意味ではジェフリーも異存はないのだが、問題は赤の隊で戦い続けてきた本人の気持ちである。
「そもそも家とは縁を切ってきました。今更私が戻る必要がありません。副長、お願いします! どうか一緒に戦わせてください!」
その繰り上がった序列で配慮された筆頭が、目を潤ませながら懇願してくる騎士アリサ。彼女は兄2人を失っている。家からはせめて血を絶やしたくないとやはり同じような懇願に満ちた手紙が届いていた。本人にも同じ内容の手紙が届いたのだろう。親心で娘の生存を願った内容だが、本人にとっては恩着せがましいと読めて仕方のない内容だろう。赤の隊は遠征も長く現場での武勇を尊ぶ気風もある。このように貴族として政治的な解決をされてしまうのは誰にとっても不本意には違いない。中には家と疎遠になって騎士に残った者も居るから話は余計にややこしい。
「怪我をしてるのは誰でも一緒です。両手で槍を振り回せるように訓練もしてきました。お願いですから、どうか残してください」
二つ目の理由は怪我人だからという至極真っ当な理由だ。代表してやってきた騎士アーノルドは負傷で利き腕が使えなくなっている。彼本人も言っている通り左腕でも武器は振るえるわけだが、両手で武器を扱う者に比べれば戦力低下は否めない。彼の他にも片目を失明していたり、左腕がもげたり、片足がなかったり、そんな連中まで気勢をあげている。こういう半端な戦力に気を遣うよりは、元気なうちに民間人の護衛に当てて帰らせたほうが面倒がない。しかしこれも本人達の気持ちは無視している。万全な状態の仲間を殿にして死なれるよりは、決戦に向けて健康な人間を残したいという考えもわからないでもない。
「俺も赤の隊の一員です。逃げるにしても、皆一緒です」
最後に三つ目の理由。役目を終えている連中だ。別に仕事がないわけではない。だが最後まで残す必要性が薄くなった為に、先に帰って良いとそれだけの話である。しかしそれで引き下がれないのが騎士ダリウスら赤の隊でも特に獰猛な連中だ。意気消沈した者は他にいるから彼らを帰して欲しい、自分は殿として戦いたい。と、有り余った戦意の行き先を探している。ジェフリーとしてはその住民の護衛にも戦力が必要であるから彼らを配置している。それを無視されても困るが、彼らは彼らなりに今回の殿がどれほど激戦になるか理解しているのだ。残していった友とはもう会えないかもしれない。それならば自分が。3者ともに共通する焦りを、色濃く出しているのが彼らだろう。
ジェフリーも長い間、直談判に来た騎士達と同じ程度には赤の隊に在籍している。気持ちはわからないでもない。わからないでもないが、立場上「はい」「そうですか」と彼らの要望を飲むわけにはいかない。個人の事情は斟酌しつつも、最終的には軍全体の意向を全うさせる必要がある。そういう立場の違いを、直談判に来た者達が斟酌している気配はない。
「副長!」「副長!」「副長!」
「もういい! 後にしろ!」
思わずジェフリーは怒鳴ってしまい、はっとして口をつぐんだ。しかし怒鳴ってしまったものは仕方ない。声をなるべく抑えながら「退出しろ」とだけ命じると、3人は不承不承ながらも並んで扉を開いてその場を後にした。3人が去った後の扉の陰には、ばつの悪そうな顔をしたハンターが佇んでいた。
「っと…。見苦しいところを見せたな。だいたい聞こえていたか」
ジェフリーは頼んでいた資料を受け取りながら、苦い顔で笑みを浮かべた。
「事情は知っての通りだ。命令だと言ってしまえば、簡単なんだが」
そうはしたくない。彼らの言葉はただのワガママにすぎないが、内実として仲間を想っての事には違いない。終わらない戦闘で抱えた不安から自分だけ逃げてしまうことに、罪悪感を感じているのかもしれない。軍隊だからと彼らの感情を強権で押しつぶすのは、戦友の一人として躊躇われた。
「その……、こう言う事を頼むのは良くないとは思うのだが。もし彼らと話をする機会があったら、納得してもらえるように話をしてもらえないか。あるいは、もし別の理由があるのなら知りたい」
そのハンターは少し悩んで考え込んだが「出来る範囲で良ければ」「期待はしないでほしい」という曖昧な約束を答えとした。ジェフリーとしてはそれで充分だった。用事を済ませて去っていくハンターを見送り、ジェフリーは一人になった執務室で父や兄に当てた手紙のしたため始める。先のことに不安があるのは彼自身も同じことだった。
解説
●状況
近日中に負傷者や避難民を連れて一部の隊がハルトフォートより退去します。
●砦内でのハンターの行動予定
任意とします。自由に選んでください。
例1)最後まで居残って戦う、あるいはその他の役割を果たす。
例2)今回の撤退に随伴する。
例3)負傷したので転移門でじきに退去する。
もしくはそれ以外でも可能です。
●ハンターへの依頼(というかお願い)
命令に反抗的な騎士を説得してください。
最終的には強権を発動して言うこと聞かせることはできますが、
なるべくなら納得して欲しいというのが本音です。
正式な依頼ではないので対象に同調して話をややこしくしても構いません。
OPの依頼を直接聞いていない、という体裁でもOKです。
●時間
あまり時間はありません。
細部は適当にぼやかしますが、二日以内ぐらいのつもりでお願いします。
●NPC(対象者の傾向)
・騎士アリサ
政治的意図により退去予定
直近の戦闘で2人の兄が死亡。彼女の家に後継者がいなくなった為。
「騎士になった時に家とは決別しました!」と本人は主張。
(出:君が信じる君の為)
・騎士アーノルド
負傷した為、退去予定。利き腕が負傷で使えなくなっているが本人は
「非覚醒者よりは戦える」「馬にも乗れる」と主張。
(出:【虚動】Silver Bullet 他)
・騎士ダリウス
役割が終わったので退去予定。単純に強いが単純に出番がない。
前より素直になったが直情的なのは相変わらず。
(出:明日のでくのぼう 他)
不満を上げているのは3名だけでなく他にもいますが、
以上の3名のうち誰かと同じような理由で反対しています。
近日中に負傷者や避難民を連れて一部の隊がハルトフォートより退去します。
●砦内でのハンターの行動予定
任意とします。自由に選んでください。
例1)最後まで居残って戦う、あるいはその他の役割を果たす。
例2)今回の撤退に随伴する。
例3)負傷したので転移門でじきに退去する。
もしくはそれ以外でも可能です。
●ハンターへの依頼(というかお願い)
命令に反抗的な騎士を説得してください。
最終的には強権を発動して言うこと聞かせることはできますが、
なるべくなら納得して欲しいというのが本音です。
正式な依頼ではないので対象に同調して話をややこしくしても構いません。
OPの依頼を直接聞いていない、という体裁でもOKです。
●時間
あまり時間はありません。
細部は適当にぼやかしますが、二日以内ぐらいのつもりでお願いします。
●NPC(対象者の傾向)
・騎士アリサ
政治的意図により退去予定
直近の戦闘で2人の兄が死亡。彼女の家に後継者がいなくなった為。
「騎士になった時に家とは決別しました!」と本人は主張。
(出:君が信じる君の為)
・騎士アーノルド
負傷した為、退去予定。利き腕が負傷で使えなくなっているが本人は
「非覚醒者よりは戦える」「馬にも乗れる」と主張。
(出:【虚動】Silver Bullet 他)
・騎士ダリウス
役割が終わったので退去予定。単純に強いが単純に出番がない。
前より素直になったが直情的なのは相変わらず。
(出:明日のでくのぼう 他)
不満を上げているのは3名だけでなく他にもいますが、
以上の3名のうち誰かと同じような理由で反対しています。
マスターより
●MSより
こんな酷い最中ですがRPメインの依頼です。
理を説くことも大事ですが彼らも良い大人、どちらかといえば感情の問題です。
貴方のPCならどんな風に解決するのか。素敵な答えをお待ちしています。
こんな酷い最中ですがRPメインの依頼です。
理を説くことも大事ですが彼らも良い大人、どちらかといえば感情の問題です。
貴方のPCならどんな風に解決するのか。素敵な答えをお待ちしています。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/04/09 16:32
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談・表明卓 ジャンク(ka4072) 人間(クリムゾンウェスト)|53才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2019/03/27 16:08:29 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/03/24 16:43:36 |