• 冒険

【金糸篇】からくり屋敷で遭いましょう

マスター:三田村 薫

シナリオ形態
シリーズ(新規)

関連ユニオン
魔術師協会広報室

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,300
参加人数
現在5人 / 3~5人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2019/04/26 09:00
リプレイ完成予定
2019/05/05 09:00

オープニング


 嫉妬歪虚・アウグスタは困っていた。
 新しい根城を探して、同盟の森にあるおうちに入ったは良いものの、玄関扉を閉めた途端、妙な音がした。違和感を覚えてドアノブを回したところ……。
「あ、開かない……」
 今日のお供は小型犬サイズの蜘蛛一匹だ。その蜘蛛も、主が困っているのはわかっているようで所在なさげにしている。
「やだぁ。どうしよう……うーん、ちょっとお行儀悪いけど、窓から出ちゃおう」
 彼女は即決すると、蜘蛛を連れて、居間らしき部屋のドアノブに手を掛けようとした。しかし、彼女が触るより先にドアノブが回る。
「あら?」
「良かった! 人が来て! ねえ、あたしたちも閉じ込められちゃって………」
 相手はアウグスタの顔を見るや、希望に満ちた笑顔を強ばらせた。血の気が引いていく。
「アウグスタ……」
 はて。アウグスタは首を傾げた。見た目十歳くらいの少女だ。確かにどこかで見たような気はするが、どこで会っただろう。
「アウグスタ……」
 もう一つ、小さな男の子の声がした。この声は知っている。アウグスタは、少し意地悪な顔をして見せた。
「あら、オネスト。久しぶりね。元気そうで何よりだわ」
 かつて、自分と同じように「迎えが来ないのだ」と言っておきながら、めでたく里親という迎えを得た少年だ。彼の帰り道を大蜘蛛で襲ったが、ハンターたちに邪魔された。小柄な少年は、居間のソファにちょこんと座っている。
「ところで、あなた誰?」
 もう一度少女に目を戻す。
「……あんたがハロウィンで泣いてるから学校まで連れて行ってあげたでしょ! それなのに裏切って! 恩知らず!」
「あ、思い出した! リンダね。ごめんなさい。あの時仮装してたじゃない? 今日の方が可愛いわ」
「え、あ、ありがとう……じゃなくて……もしかして、ここ、あんたのアジト……」
「に、しようと思ってたんだけど、玄関が開かないから不便すぎる。やめるわ」
「あ、そう」
「ところで、私を怖いとか思わないの?」
 アウグスタはにんまり笑いながら、両腕を後ろで組む。
「私、あなたたちに正体が知られているから、もうあなたたちをこの場で殺したって良いのよ」
 蜘蛛が威嚇するようにガチンガチンと脚を鳴らした。
「や、やだ……やめて……」
 オネストが怯えた様子で縮こまる。リンダは腕を組むと、顎を引いてアウグスタを睨み、同じようににんまりと笑った。
「ふん。あたしたちを殺したら、あんたってとってもお馬鹿さんよ。あの暖炉、見てご覧なさいよ」
「暖炉?」
 あまりにもリンダが自信満々に言うので、アウグスタは怪訝そうな顔をしながら暖炉に近寄った。そこのプレートにはこう記されている。

「三人寄れば文殊の知恵」

「なにこれ」
「あんたって、もしかしなくてもお馬鹿さんでしょ! 三人いれば謎が解けるって事!」
 正確な意味は少々異なるが、アウグスタはそれで、突然開かなくなった玄関の扉を開けるのに、この二人の協力がいることに気付いた。不本意そうに、リンダとオネストを見る。
「どうする? アウグスタ。あんたがお利口さんなら……少なくともあたしを騙すくらいのお利口さんなら、どうするべきかわかるわよね?」
「……良いわ。今だけよ。手伝ってあげる」
 こうして、奇妙な協力関係が成立したのであった。
(でも、この子思ったよりお馬鹿さんだなぁ……大丈夫かなぁ……)
 リンダには一抹の不安があるのだった……。


「オネストが戻って来ないんです!」
「リンダさんが学校の賭け遊びの罰ゲームで森に入ったらしくって!」
 オネストの両親と、教師ジェレミアが、それぞれC.J.と平坂みことのいるカウンターで口々に喚いている。
「落ち着いて下さい、お父さん、お母さん。まずは経過を。気付いたのはいつですか?」
「罰ゲームぅ!? どこに行ったかはわかりますかぁ?」
「き、気付いたのは家を出発する二十分前です」
「からくり屋敷のある森です! もうすぐ取り壊されるからって……」
「えっ」
 オネストの両親がジェレミアを見た。
「な、なんですか?」
「うちの近くの森です」
「えっ」
「た、大変だー!」
 そこに第三勢力が現れた。大工の集団だ。
「どうしたかね?」
 三つ目のカウンターに、R.J.が顔を出す。
「解体工事をしようとしていた森のからくり屋敷に、子どもが三人閉じ込められたんだ!」
「その中にオネストは!?」
「リンダさんは!?」
「あ、その二人はいたよ」
「もう一人は名乗ったかね?」
「ああ、名乗った」
 大工たちは頷く。
「アウグスタだって」
 オネストの両親とジェレミア、そして平坂が悲鳴を上げた。


 初動で現場に駆けつけたナンシー・スギハラは、窓の隙間からリンダと話をしていた。
「ハイ、あたしナンシー。あんたがリンダ?」
「そうよ」
「リンダ、どいて」
 そのリンダを、アウグスタがどかした。
「私がアウグスタよ」
「やあ、アウグスタ」
「ねえ、突入するつもり?」
「外から開けてやれるよ」
「それは駄目よ」
「どうして?」
「そうしたら、あなたたちは私を囲むつもりでしょう? ねえ、ナンシー。ハンターは、私たちに人を殺されるのが嫌いよね?」
「そうだね。それは認める」
「三人いれば謎が解けるみたいなの。でも、私たちだけじゃ解けるかわからない」
 アウグスタは金色の目を細めた。
「手伝って。私たちが中から仕掛けについて教えるわ。一緒に考えて。ハンターなら、通信機、持ってるわよね? 貸して。少しでも下手な真似をしたら、どちらかを殺すわ」
「……」
 ナンシーも目を細めた。
「玄関が開いたら、先にオネストとリンダを出してあげる。どうかしら?」
「あたし一人じゃ決められないな」
「時間稼ぎは駄目」
 金属音と、オネストの細い悲鳴がした。近くで子どもを勇気づけようとしたオネストの両親が、卒倒しそうになる。
「あんたはどうするの? 三人いないと解けないんだろ? 報告書で読んだよ。三箇所同時に押さないといけないところがあるって」
「私一人が閉じ込められたら、それこそあなたたちには好都合の筈よ。どうして"Si"と言わないのかしら? 小細工?」
 再び金属音。今度はリンダが息を呑むのが聞こえた。
「……わかった。乗ったよ。その代わり、妙な真似をしたら、その時は突入する」
「交渉成立ね」
 アウグスタは満足そうだ。
「通信機を貸して」
「リンダじゃないと貸せないな」
「リンダ」
 呼ばれて、再びリンダが窓の前に来る。ジェレミアと目が合った。
「先生、ごめんなさい」
「リンダさん、頑張って。僕のお守りも貸してあげる」
 ナンシーから通信機とお守りを受け取ると、窓が閉められた。

解説

●目的
1.リンダとオネストの救出
2.可能であれば、アウグスタが落とし穴に引っかかるように誘導する

●からくり屋敷について
シナリオ「からくり屋敷調査依頼」にて一度調査がされている。
暖炉の部屋:3つのボタンを同時に押す。
鏡張りの部屋:床のボタンを押した上で天井から落ちてくるロープを3本同時に引く。
階段:落とし穴がある。地下室に通じる。
2階:廊下の色が違う板を踏むと槍が落ちてくる。
2階手前部屋:壁の切れ込みがあるのでそこを押し込むと書斎が開く。
書斎:しゃれこうべのどこかを想い人のように撫でると玄関が開く
外:地下室に通じる扉があるが外からは開かない。

●ハンターの突入について
玄関は中から開かないだけで、外からは開けられる。
ハンターが屋内に入ったことをアウグスタが知った時点で人質の2人に危害が加えられる。軽傷、重傷、死亡の結果が考えられる。
また、それより先に人質に危害が加えられた場合は突入する旨をナンシーがアウグスタに宣言している。

●NPC
アウグスタ
初めての人質ではしゃいでいる。
PL情報:度重なるハンターとの交戦から武器の必要性を感じて鞭を持参。闘狩人や霊闘士のような戦い方をする。

リンダ
学校の賭けの罰ゲームでからくり屋敷から記念品を持ってくることになっていた。

オネスト
自分がアウグスタと接触していたことが、両親の心労になっているらしいことを知って落ち込んでいた。気晴らしの散歩で立ち寄っていた。

ナンシー(猟撃士)
トランシーバーをリンダに貸している。からくりの資料持参。
シャープシューティング、クイックリロード、威嚇射撃をセット。

ジェレミア
リンダの応援。

●判定について
知識を用いた一般行為(難易度2)で判定を行なう。資料を見ながら通信機でリンダに仕掛けの解き方を教える、と言う形になり、伝達の可否について判定。
なお、解き方については資料があり、該当リプレイを読まなくても伝えられるものとする。

マスターより

こんにちは三田村です。
と言うことで新シリーズ【金糸篇】幕開けです。よっぽどのことがなければこのシリーズでアウグスタと決着です。
今回はシステム上のシリーズシナリオとしてお届けします。全部で4~5話。EXオプションが含まれる可能性があります。

該当リプレイ読まなくても良いんですが、読んでいた方がプレイングは書きやすいかなと思います。

アウグスタを落とし穴に落とすとどうなるかはやってからのお楽しみ……こちらは結果次第での開示情報となります。

リプレイは一人では書けません。プレイングあってのリプレイ、シナリオです。今回も、参加者の皆さんと一緒に物語を作るつもりで作ってきています。どうぞよろしくお願いします。

関連NPC

  • 石割の娘
    アウグスタ(kz0275
    歪虚|8才|女性|歪虚(ヴォイド)
  • ハンターオフィス職員
    C.J.(kz0273
    人間(クリムゾンウェスト)|29才|男性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/05/02 01:58

参加者一覧

  • THE "MAGE"
    フワ ハヤテ(ka0004
    エルフ|26才|男性|魔術師
  • 金糸篇読了
    イリアス(ka0789
    エルフ|19才|女性|猟撃士
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人
  • 死者へ捧ぐ楽しき祈り
    レオン(ka5108
    人間(紅)|16才|男性|闘狩人

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
鞍馬 真(ka5819
人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2019/04/26 06:57:31
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/04/23 21:58:04