ゲスト
(ka0000)
【王戦】生きるも死ぬも戦士の定め
マスター:鹿野やいと

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/04/18 19:00
- リプレイ完成予定
- 2019/05/02 19:00
オープニング
多大な損害を出しながらもハルトフォートを抜いた歪虚軍は、勢いを緩めることなく王都へと進軍した。王都への道はしばらく障害物の無い平野が続くが、途上どうしても大軍を進ませることが出来ない地形がある。ティベリス河がその一つだ。歪虚軍であっても徒歩で移動する者が多い以上は渡河の危険を甘受する他無く、指揮官であるダンテの頭を悩ませていた。ちなみに渡河の手順で悩んでいたのではない。これらの基本的な経験則をあえて無視しようとする歪虚が多すぎることに頭を抱えていたのだ。歪虚軍はダンテの懸念の通りに何の準備も無く前進し、渡河の前後において王国軍の周到な防御に足を止める事となった。
●
大軍に兵法無し。良く言ったものであるとダンテは思った。まさにこれがダンテ率いる歪虚軍を表す言葉、だったら良かったのにと苛立ち混じりの思いを飲み込んだ。歪虚の軍は事実上軍ではない。 数と個々の質によって誤魔化しているが、軍とは名ばかりの烏合の衆である。
王都までの道の途上、ダンテはよく知るその地形を見て王国軍の待ち伏せを警戒した。ここは砦ではないがそれほど広く横幅を取れる場所が無く、渡河の前も後も隠れる場所もない。砲撃の良い的になるだろう。事前の偵察、あるいは一部だけを先行させて砲兵の陣地を潰す。そういう手順が必要と考えていた。残念なことに賛同者はごく僅かだった。
ある者は言った。
「弱いやつは死ねばいい」「数で押しつぶせばいい」
その弱いやつ・数に自分や自分の部下を含まない傲慢な物言いに、多くの者が首肯した。あまりに知性を感じられないその発言を、ダンテは諫めることすら出来なかった。彼らの言葉を否定すれば、同じ方向を目指すという最低限の秩序すら失われる。それでは戦略上の目標すら達成できない。この軍は王都に対する絶大な脅威でなければならないのに、このままでは烏合の衆としてあしらわれて終わるだろう。それだけは避けねばならない。
「面倒くせえ! なんで指揮官の俺がこんなことしてんだよ!!」
文句たらたら。騎竜に乗る歪虚騎士を率いて戦場を迂回する最中、ダンテは何度目かになる愚痴を盛大に吐き出していた。
「とか何とか言いながら面倒見良いっすね!!」
「仕事に忠実なだけだろうが!」
ダンテは眩暈がした。歪虚化した俺が? まだ人間だったの頃も不真面目一等賞だった俺が? それほど焦っているのだと自覚するほどだ。自分の得意の戦術で、この戦場の要点を破壊する。狙うは敵の砲兵陣地だ。終始一貫してこの砲兵の対処を怠った、あるいは不十分であったがゆえの大損害である。それさえ潰せば支援を失った王国軍は前線を維持できなくなる。
ダンテは自らの作戦を信じ、信頼できる手勢のみで戦場を迂回した。ここは森の中の狭い1本道で、騎竜が通るのに問題ない広さだが大軍は通せない。本隊の進軍には向かないが自身が先頭なら倍数程度の王国軍が配置してあっても突破は容易だろう。歪虚の力を考慮しての強引な進軍だが、赤の隊以降ダンテはこの系統の作戦を得意としており、十分勝算があるつもりだった。
もうすぐ森を抜けようかという頃、異変は起きた。前触れなく森の四方八方から大量の矢が射られた。ダンテはそれを難なく弾き落としたが、何名かの歪虚騎士がそれによって戦死した。
「隊長! 囲まれました!」
「見りゃわかる!」
怒鳴り返しながら周囲を見る。敵は矢だけではない。矢だけなら全力で逃げればこの場を立て直せる。歪虚軍を足止めする軍隊が必要なはずだ。
「隊長!!」
「なんだ! 誰が呼んだ!?」
ダンテが見渡しても誰もが怪訝な顔で互いを見渡している。声のした方向に歪虚はいない。いるとすれば、もう一方の襲撃者のみである。木立の合間を縫って悠然とその人物は姿を現した。特徴的な赤・青・白の鎧に身をまとった騎士達。その顔触れに見覚えがあった。武芸達者として顔を覚えていた者達だ。先頭に立つのはダンテ亡き後に面倒事をしょい込んだ男。赤の隊副長、騎士ジェフリー・ブラックバーン。
「お久しぶりです、ダンテ隊長」
「……なんだ。ジェフリーじゃねえか。待ち伏せしてやがったのか」
「ええ。後ろで暇を楽しむ性格ではないと思いまして」
「ちっ」
読まれている。付き合いが長すぎて性格が把握され過ぎて作戦が読まれやすくなっている。忌々しい感情を舌打ちで流すと、ダンテは居並ぶ騎士に槍を突き付けた。
「で? 何しにきやがった。まさかとは思うが、俺の首でも取りに来たのか? 俺がこうなる前だって、一度も俺に勝てなかったお前らが?」
事実、歪虚化したダンテは単騎では騎士エリオット・ヴァレンタインをも凌駕する。数が揃ったところでこの戦場では一方的な結果になるだろう。
「その通りです。一度も勝てませんでした。なので道具に頼ります」
「ああ?」
ジェフリーは平然とした顔で手に持った奇怪な棒を何か操作した。棒の先に光が灯って刃となり、棒は槍となった。その他の赤の隊の騎士達は懐からダンテの見慣れない武器を次々に取り出す。
「ハンターズソサエティを通じてリアルブルー含む外国製の武器を取り寄せました」
武器を変えたぐらいで、などとは言えなかった。その結果が先の砦での大損害である。思想の違う初見の武器となれば、ダンテであっても後手に回らざるをえない。それでもまだダンテには、必勝の武器が合った。
「見くびるなよ。それで俺が………おい」
ダンテはその武器であるところの騎竜がやけに静かなことに気づいた。
「ご、ご主人、今日は……帰りません?」
「あ?」
ドーピスは珍しく泣きそうな声だった。あれだけ調子に乗っていたドーピスが恐怖している。
「多分、種が割れてます」
「…………」
今度こそダンテは押し黙った。何度も助けられたのだ。ジェフリーのそういう面倒な特性に。
「報告書は読ませてもらいましたよ。おかしいじゃないですか。たかだが騎乗動物程度の役割しかない歪虚が、主力級のハンターの攻撃をいともたやすくかわすなんて」
「………」
「別に種が割れてるわけじゃないですよ。ただまあ、種にも限界がありますよね?」
余裕と侮蔑の混じったダンテの顔に、徐々に怒気とようなものが宿っていく。それで勝てると思われることは我慢ならないのだ。ダンテには自覚が無くなっていた。本来なら勝機を失えば逃げるだけの柔軟性や、良い意味でのプライドの無さが彼の持ち味だったはずだ。傲慢の歪虚の特性は確実に彼を蝕んでいた。この必要な時に、彼が蔑んだはずの歪虚達と同じになってしまっていた。
「ちっ。じゃあ仕方ねえ。本気だしてやるよ。てめえらのつまらねえ小細工がどれほどのもんか、みせてもらおうじゃねえか」
ダンテは巨大な黒い槍を横に振る。部下達も一斉に武器を構えた。合図は同時であった。
「「突撃!!!」」
因縁の清算。生き残りとして燻っていた赤の隊の決死の戦いが始まった。
●
大軍に兵法無し。良く言ったものであるとダンテは思った。まさにこれがダンテ率いる歪虚軍を表す言葉、だったら良かったのにと苛立ち混じりの思いを飲み込んだ。歪虚の軍は事実上軍ではない。 数と個々の質によって誤魔化しているが、軍とは名ばかりの烏合の衆である。
王都までの道の途上、ダンテはよく知るその地形を見て王国軍の待ち伏せを警戒した。ここは砦ではないがそれほど広く横幅を取れる場所が無く、渡河の前も後も隠れる場所もない。砲撃の良い的になるだろう。事前の偵察、あるいは一部だけを先行させて砲兵の陣地を潰す。そういう手順が必要と考えていた。残念なことに賛同者はごく僅かだった。
ある者は言った。
「弱いやつは死ねばいい」「数で押しつぶせばいい」
その弱いやつ・数に自分や自分の部下を含まない傲慢な物言いに、多くの者が首肯した。あまりに知性を感じられないその発言を、ダンテは諫めることすら出来なかった。彼らの言葉を否定すれば、同じ方向を目指すという最低限の秩序すら失われる。それでは戦略上の目標すら達成できない。この軍は王都に対する絶大な脅威でなければならないのに、このままでは烏合の衆としてあしらわれて終わるだろう。それだけは避けねばならない。
「面倒くせえ! なんで指揮官の俺がこんなことしてんだよ!!」
文句たらたら。騎竜に乗る歪虚騎士を率いて戦場を迂回する最中、ダンテは何度目かになる愚痴を盛大に吐き出していた。
「とか何とか言いながら面倒見良いっすね!!」
「仕事に忠実なだけだろうが!」
ダンテは眩暈がした。歪虚化した俺が? まだ人間だったの頃も不真面目一等賞だった俺が? それほど焦っているのだと自覚するほどだ。自分の得意の戦術で、この戦場の要点を破壊する。狙うは敵の砲兵陣地だ。終始一貫してこの砲兵の対処を怠った、あるいは不十分であったがゆえの大損害である。それさえ潰せば支援を失った王国軍は前線を維持できなくなる。
ダンテは自らの作戦を信じ、信頼できる手勢のみで戦場を迂回した。ここは森の中の狭い1本道で、騎竜が通るのに問題ない広さだが大軍は通せない。本隊の進軍には向かないが自身が先頭なら倍数程度の王国軍が配置してあっても突破は容易だろう。歪虚の力を考慮しての強引な進軍だが、赤の隊以降ダンテはこの系統の作戦を得意としており、十分勝算があるつもりだった。
もうすぐ森を抜けようかという頃、異変は起きた。前触れなく森の四方八方から大量の矢が射られた。ダンテはそれを難なく弾き落としたが、何名かの歪虚騎士がそれによって戦死した。
「隊長! 囲まれました!」
「見りゃわかる!」
怒鳴り返しながら周囲を見る。敵は矢だけではない。矢だけなら全力で逃げればこの場を立て直せる。歪虚軍を足止めする軍隊が必要なはずだ。
「隊長!!」
「なんだ! 誰が呼んだ!?」
ダンテが見渡しても誰もが怪訝な顔で互いを見渡している。声のした方向に歪虚はいない。いるとすれば、もう一方の襲撃者のみである。木立の合間を縫って悠然とその人物は姿を現した。特徴的な赤・青・白の鎧に身をまとった騎士達。その顔触れに見覚えがあった。武芸達者として顔を覚えていた者達だ。先頭に立つのはダンテ亡き後に面倒事をしょい込んだ男。赤の隊副長、騎士ジェフリー・ブラックバーン。
「お久しぶりです、ダンテ隊長」
「……なんだ。ジェフリーじゃねえか。待ち伏せしてやがったのか」
「ええ。後ろで暇を楽しむ性格ではないと思いまして」
「ちっ」
読まれている。付き合いが長すぎて性格が把握され過ぎて作戦が読まれやすくなっている。忌々しい感情を舌打ちで流すと、ダンテは居並ぶ騎士に槍を突き付けた。
「で? 何しにきやがった。まさかとは思うが、俺の首でも取りに来たのか? 俺がこうなる前だって、一度も俺に勝てなかったお前らが?」
事実、歪虚化したダンテは単騎では騎士エリオット・ヴァレンタインをも凌駕する。数が揃ったところでこの戦場では一方的な結果になるだろう。
「その通りです。一度も勝てませんでした。なので道具に頼ります」
「ああ?」
ジェフリーは平然とした顔で手に持った奇怪な棒を何か操作した。棒の先に光が灯って刃となり、棒は槍となった。その他の赤の隊の騎士達は懐からダンテの見慣れない武器を次々に取り出す。
「ハンターズソサエティを通じてリアルブルー含む外国製の武器を取り寄せました」
武器を変えたぐらいで、などとは言えなかった。その結果が先の砦での大損害である。思想の違う初見の武器となれば、ダンテであっても後手に回らざるをえない。それでもまだダンテには、必勝の武器が合った。
「見くびるなよ。それで俺が………おい」
ダンテはその武器であるところの騎竜がやけに静かなことに気づいた。
「ご、ご主人、今日は……帰りません?」
「あ?」
ドーピスは珍しく泣きそうな声だった。あれだけ調子に乗っていたドーピスが恐怖している。
「多分、種が割れてます」
「…………」
今度こそダンテは押し黙った。何度も助けられたのだ。ジェフリーのそういう面倒な特性に。
「報告書は読ませてもらいましたよ。おかしいじゃないですか。たかだが騎乗動物程度の役割しかない歪虚が、主力級のハンターの攻撃をいともたやすくかわすなんて」
「………」
「別に種が割れてるわけじゃないですよ。ただまあ、種にも限界がありますよね?」
余裕と侮蔑の混じったダンテの顔に、徐々に怒気とようなものが宿っていく。それで勝てると思われることは我慢ならないのだ。ダンテには自覚が無くなっていた。本来なら勝機を失えば逃げるだけの柔軟性や、良い意味でのプライドの無さが彼の持ち味だったはずだ。傲慢の歪虚の特性は確実に彼を蝕んでいた。この必要な時に、彼が蔑んだはずの歪虚達と同じになってしまっていた。
「ちっ。じゃあ仕方ねえ。本気だしてやるよ。てめえらのつまらねえ小細工がどれほどのもんか、みせてもらおうじゃねえか」
ダンテは巨大な黒い槍を横に振る。部下達も一斉に武器を構えた。合図は同時であった。
「「突撃!!!」」
因縁の清算。生き残りとして燻っていた赤の隊の決死の戦いが始まった。
解説
●状況
ダンテの部隊への待ち伏せに成功しました。
確実にダンテを殺してください。
●地形
森と森の間の小道。
舗装された道ではないのでやや波打つような形状をしている。
横幅は7マス程度。それ以外は森。
木々はそこまで過密でなく太陽の光が通って十分に明るい。
●味方NPCの能力
・ジェフリー・ブラックバーン
今回の待ち伏せの指揮官。蒼機槍他を装備。
・赤の隊含む精鋭の騎士達
全員が何がしかの特殊な武器、隠し武器等を持っています。
主に蒼機シリーズなどの武器種別の変わる武器や投げても戻ってくる魔具などです。
上記NPCに指示は必要ありません。PCの行動に応じて自動で行動します。
●敵NPCの能力(判明分)
・歪虚騎士ダンテ・バルカザール
主な武器は巨大な槍。彼個人に特殊能力は無いものと判明しています。
代わりに全ての能力が大幅に上昇しているため、生前以上に火力のよるゴリ押しが得意になっています。
・ドーピス
ダンテの乗る口やかましい騎竜。
何らかのスキルで近接攻撃に対して無類の回避能力を持つ。
能力の詳細は不明。他に何百メートルも届く大声が出せますが、これは単にうるさいだけです。
・それ以外の歪虚騎士
ダンテの取り巻きの中でも精鋭の者達
全員が騎竜に騎乗しています。特殊能力は無し。
単純に能力値が高く、覚醒者用スキルの相当品をいくつか持ちます。
ダンテの部隊への待ち伏せに成功しました。
確実にダンテを殺してください。
●地形
森と森の間の小道。
舗装された道ではないのでやや波打つような形状をしている。
横幅は7マス程度。それ以外は森。
木々はそこまで過密でなく太陽の光が通って十分に明るい。
●味方NPCの能力
・ジェフリー・ブラックバーン
今回の待ち伏せの指揮官。蒼機槍他を装備。
・赤の隊含む精鋭の騎士達
全員が何がしかの特殊な武器、隠し武器等を持っています。
主に蒼機シリーズなどの武器種別の変わる武器や投げても戻ってくる魔具などです。
上記NPCに指示は必要ありません。PCの行動に応じて自動で行動します。
●敵NPCの能力(判明分)
・歪虚騎士ダンテ・バルカザール
主な武器は巨大な槍。彼個人に特殊能力は無いものと判明しています。
代わりに全ての能力が大幅に上昇しているため、生前以上に火力のよるゴリ押しが得意になっています。
・ドーピス
ダンテの乗る口やかましい騎竜。
何らかのスキルで近接攻撃に対して無類の回避能力を持つ。
能力の詳細は不明。他に何百メートルも届く大声が出せますが、これは単にうるさいだけです。
・それ以外の歪虚騎士
ダンテの取り巻きの中でも精鋭の者達
全員が騎竜に騎乗しています。特殊能力は無し。
単純に能力値が高く、覚醒者用スキルの相当品をいくつか持ちます。
マスターより
イブ「緑緑緑緑緑、歪虚騎士ダンテ、10/10」
恐竜かよ。という寝言が一瞬浮かびましたが、あんまり間違ってない気もしました。
それはともかくダンテとの決戦です。逃亡しないように布石は打ちましたが、人類側も後がありません。
不意打ちならばダンテ相手でも一度は先手を取れますが、それもあくまで初見の利を生かしているだけです。
これをどう作戦に組み込んで生かすのか、PL諸氏の腕の見せ所です。
殺意の高いプレイングをお待ちしております。
恐竜かよ。という寝言が一瞬浮かびましたが、あんまり間違ってない気もしました。
それはともかくダンテとの決戦です。逃亡しないように布石は打ちましたが、人類側も後がありません。
不意打ちならばダンテ相手でも一度は先手を取れますが、それもあくまで初見の利を生かしているだけです。
これをどう作戦に組み込んで生かすのか、PL諸氏の腕の見せ所です。
殺意の高いプレイングをお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/05/06 02:36
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2019/04/17 22:59:03 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/04/15 10:07:06 |