ゲスト
(ka0000)
【陶曲】お忍びポルトワール
マスター:のどか

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 3~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/04/26 22:00
- リプレイ完成予定
- 2019/05/05 22:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
その日、アンナ=リーナ・エスト(kz0108)はヴァリオスのはずれにある小さな喫茶店を訪れていた。
看板も掛けられていない、営業しているのかも一見には怪しいお店。
どうしたものかと入口の前で戸惑っていたところ、中からこちらを覗いた店員らしき女性が、お待ちしてましたと快く通してくれた。
「すみません、わざわざ来ていただきまして」
通された彼女の姿に気づいた青年――エヴァルド・ブラマンデ(kz0076)が、にこやかな笑みで彼女を出迎える。
「そちらのテーブルを借りましょう。AとBのセットを試作でお願いします」
エヴァルドが店員に指示を出すと、彼女は慣れた所作で注文を承って、店の奥へと消えていく。
彼は再びアンナに向き直って、どうぞと椅子をすすめた。
着席し見渡した店内は、一言で言えば質素だった。
おそらくは開店準備中なのだろう。
内装は既に完成しているが、インテリアの類はほとんどなく、マンションの内覧に来たかのような感覚だ。
「また、開店準備のご依頼ですか?」
「はい? ……ああ、そういえば、そのようなこともありましたね」
エヴァルドは小さく首をひねってから、ポンと手を叩く。
「いえ、そうではありません。私がここから離れられないという点は、以前と変わりませんが」
それでわざわざお越しいただいたのです、と彼は付け加える。
程なくして、店員が湯気の立つお茶とお花の形をしたお菓子を小盆にのせて運んできた。
いわゆる緑茶と和菓子のセット。
どうやらリアルブルーの日本風をコンセプトにしたお店のようだ。
「どうぞ。試作段階だそうなので、お口に合えばよいのですが」
「いただきます」
アンナは楊枝のようなフォークで菓子を小さく切り、口へ運ぶ。
舌にのせてすぐに広がる餡の甘さと香り。
少しくどいくらい。
だが舌触りはさらっとしていて、直後に啜ったお茶と一緒にするりと喉の奥へと流れていった。
「あまりこういったものは食べ慣れないのですが、そんな私でも食べやすいですね。口当たりの強烈な甘さは少し気になりましたが、お茶と合わせることで完成していると思われます」
専門家でもないのにすみませんと頭を下げると、店員は笑顔でお礼を述べて、彼女の感想をさらさらとメモに残す。
「それで……試食がご用事で?」
「ああ、いえ、すみません。思わせぶりな状況ばかりで、混乱させてしまいましたね」
エヴァルドがふっと笑みをこぼして謝罪すると、自らも菓子を突く。
「要件は別で、実は護衛の依頼を頼もうと考えておりまして」
「護衛、ですか。どちらへ?」
「ポルトワールです」
ポルトワールはヴァリオスの隣都市である港町だ。
ヴァリオスに次ぐ同盟の大都市である一方で、いわゆる商売敵の関係にある。
「それでしたら、オフィスに依頼を出されるのが良いかと」
アンナは別にあてつけるわけではなく、純粋にそう思って口にしたのだが、エヴァルドは静かに首を横に振った。
「それが、今回はまるっきりのプライベート。お忍びなのです」
エヴァルドがどこか底の知れない笑みを浮かべる。
「正式な依頼を出せば、ポルトワールのオフィスにもそれが並ぶでしょう。それではちょっと、困るのです。お忍びですから」
「はあ……」
意図が掴み切れず、アンナは半端に頷き返した。
「差支えがなければ、ご用事をお伺いしても?」
「観光です」
彼は即答する。
「いち市民として、ポルトワールという街を散策してみたいと思いましてね。商工会会長、評議会議員、そんな肩書で視察をしても『上澄み』の整った部分を飲まされるばかりです。私はもっと、より皆さんが求めるような、等身大のあの街に興味があるのです」
まるで壮大な夢を語るかのように身振り手振りを交えて語る。
なるほど、彼が言いたいことはアンナにも確かに理解できた。
が、どうして今になって?
彼の崩れない笑顔の裏に、それこそ上澄みの下に、別の真意があるように思えて、思わずたじろいでしまう。
アンナはお茶に口をつけて一呼吸を押すと、彼の方へと向き直った。
「分かりました。そういうことでしたらお引き受けしましょう」
立場上、断る理由はない。
それに何かあったら力を貸すと言ったのはアンナだ。
そのうえでわざわざ掛けて貰った声を無視するほど、薄情なつもりもない。
「それは良かった。もちろん報酬は支払わせていただきます。流石にひとりきりは大変でしょうから、他にも人を呼んで構いません。なに、護衛と言っても肩ひじを張る必要はありませんよ。むしろ普段されているような、街での休日の過ごし方を見せていただきたいのです」
「ガイドができるほど詳しくはありませんが……」
「そこまで求めているつもりはありません。気になったところを、一緒に回らせていただければと思います」
連れて行ってくれと言いながら、行きたい場所はないのか。
アンナにとっては、ますます彼の真意が闇に紛れるばかり。
それでもまあ、依頼は依頼だ。
とりあえずオフィスで人を見繕おう――そんなことを考えながら、お菓子の最後の一口をお茶で流し込んだ。
その日、アンナ=リーナ・エスト(kz0108)はヴァリオスのはずれにある小さな喫茶店を訪れていた。
看板も掛けられていない、営業しているのかも一見には怪しいお店。
どうしたものかと入口の前で戸惑っていたところ、中からこちらを覗いた店員らしき女性が、お待ちしてましたと快く通してくれた。
「すみません、わざわざ来ていただきまして」
通された彼女の姿に気づいた青年――エヴァルド・ブラマンデ(kz0076)が、にこやかな笑みで彼女を出迎える。
「そちらのテーブルを借りましょう。AとBのセットを試作でお願いします」
エヴァルドが店員に指示を出すと、彼女は慣れた所作で注文を承って、店の奥へと消えていく。
彼は再びアンナに向き直って、どうぞと椅子をすすめた。
着席し見渡した店内は、一言で言えば質素だった。
おそらくは開店準備中なのだろう。
内装は既に完成しているが、インテリアの類はほとんどなく、マンションの内覧に来たかのような感覚だ。
「また、開店準備のご依頼ですか?」
「はい? ……ああ、そういえば、そのようなこともありましたね」
エヴァルドは小さく首をひねってから、ポンと手を叩く。
「いえ、そうではありません。私がここから離れられないという点は、以前と変わりませんが」
それでわざわざお越しいただいたのです、と彼は付け加える。
程なくして、店員が湯気の立つお茶とお花の形をしたお菓子を小盆にのせて運んできた。
いわゆる緑茶と和菓子のセット。
どうやらリアルブルーの日本風をコンセプトにしたお店のようだ。
「どうぞ。試作段階だそうなので、お口に合えばよいのですが」
「いただきます」
アンナは楊枝のようなフォークで菓子を小さく切り、口へ運ぶ。
舌にのせてすぐに広がる餡の甘さと香り。
少しくどいくらい。
だが舌触りはさらっとしていて、直後に啜ったお茶と一緒にするりと喉の奥へと流れていった。
「あまりこういったものは食べ慣れないのですが、そんな私でも食べやすいですね。口当たりの強烈な甘さは少し気になりましたが、お茶と合わせることで完成していると思われます」
専門家でもないのにすみませんと頭を下げると、店員は笑顔でお礼を述べて、彼女の感想をさらさらとメモに残す。
「それで……試食がご用事で?」
「ああ、いえ、すみません。思わせぶりな状況ばかりで、混乱させてしまいましたね」
エヴァルドがふっと笑みをこぼして謝罪すると、自らも菓子を突く。
「要件は別で、実は護衛の依頼を頼もうと考えておりまして」
「護衛、ですか。どちらへ?」
「ポルトワールです」
ポルトワールはヴァリオスの隣都市である港町だ。
ヴァリオスに次ぐ同盟の大都市である一方で、いわゆる商売敵の関係にある。
「それでしたら、オフィスに依頼を出されるのが良いかと」
アンナは別にあてつけるわけではなく、純粋にそう思って口にしたのだが、エヴァルドは静かに首を横に振った。
「それが、今回はまるっきりのプライベート。お忍びなのです」
エヴァルドがどこか底の知れない笑みを浮かべる。
「正式な依頼を出せば、ポルトワールのオフィスにもそれが並ぶでしょう。それではちょっと、困るのです。お忍びですから」
「はあ……」
意図が掴み切れず、アンナは半端に頷き返した。
「差支えがなければ、ご用事をお伺いしても?」
「観光です」
彼は即答する。
「いち市民として、ポルトワールという街を散策してみたいと思いましてね。商工会会長、評議会議員、そんな肩書で視察をしても『上澄み』の整った部分を飲まされるばかりです。私はもっと、より皆さんが求めるような、等身大のあの街に興味があるのです」
まるで壮大な夢を語るかのように身振り手振りを交えて語る。
なるほど、彼が言いたいことはアンナにも確かに理解できた。
が、どうして今になって?
彼の崩れない笑顔の裏に、それこそ上澄みの下に、別の真意があるように思えて、思わずたじろいでしまう。
アンナはお茶に口をつけて一呼吸を押すと、彼の方へと向き直った。
「分かりました。そういうことでしたらお引き受けしましょう」
立場上、断る理由はない。
それに何かあったら力を貸すと言ったのはアンナだ。
そのうえでわざわざ掛けて貰った声を無視するほど、薄情なつもりもない。
「それは良かった。もちろん報酬は支払わせていただきます。流石にひとりきりは大変でしょうから、他にも人を呼んで構いません。なに、護衛と言っても肩ひじを張る必要はありませんよ。むしろ普段されているような、街での休日の過ごし方を見せていただきたいのです」
「ガイドができるほど詳しくはありませんが……」
「そこまで求めているつもりはありません。気になったところを、一緒に回らせていただければと思います」
連れて行ってくれと言いながら、行きたい場所はないのか。
アンナにとっては、ますます彼の真意が闇に紛れるばかり。
それでもまあ、依頼は依頼だ。
とりあえずオフィスで人を見繕おう――そんなことを考えながら、お菓子の最後の一口をお茶で流し込んだ。
解説
▼目的
エヴァルドを連れてポルトワールの街を散策する
▼概要
みなさんはアンナから口伝えでエヴァルドの依頼を受けたハンターです。
エヴァルドに同行し、港湾都市ポルトワールを散策を楽しんでください。
いわゆる「中~下流市民の観光を体験したい」という意図があり、普段ハンターが休日を過ごすように街を案内してほしいというのが彼のオーダーとなります。
現地では主な以下のスポットから最大3か所ほどを回ることが可能です。
どこを巡るかはハンターのセンスに一任されます。
意思統一されていることが望ましいですが、そうでない場合は多数決での決定とし、不採用部分があるPC様はアドリブでの対応とさせていただきます。
以下、主な観光スポットです。
中央区:行政区画です。港に面しており海軍本部などもここにあります。当然中には入れませんが、ポルトワールで一番「都会っぽい」場所です。
港:ポルトワールと言えばここ。漁師で賑わい、海の幸を販売する市場があります。
商店街:ヴァリオスほどではありませんがひとしきりのお店は揃っています。庶民向けの質と価格のお店がほとんどです。
飲食店街:美食の街ポルトワールの本領です。露店、大衆食堂から比較的高価なレストランまでハズレがありません。
蚤の市:ポルトワールでは日常風景の蚤の市です。新しいもの好きのヴァリオスと違って、物を大事にする文化の名残があります。
観光施設:博物館や小劇場などが主。船や標本など海に関連する展示は見ものです。
ダウンタウン:厳密には観光スポットではありません。とはいえポルトワールのひとつの顔であることは間違いないでしょう。
▼PL情報
ラルヴァに操られていたとはいえ、エヴァルドは【陶曲】の中で犯罪者の烙印を押されています。
多かれ少なかれ良い顔をしない人、当たりの強い人、後ろ指を指す人はいるでしょう。
それは仕方のないことであり、それでも彼は今、この街を歩きたいと思っています。
エヴァルドを連れてポルトワールの街を散策する
▼概要
みなさんはアンナから口伝えでエヴァルドの依頼を受けたハンターです。
エヴァルドに同行し、港湾都市ポルトワールを散策を楽しんでください。
いわゆる「中~下流市民の観光を体験したい」という意図があり、普段ハンターが休日を過ごすように街を案内してほしいというのが彼のオーダーとなります。
現地では主な以下のスポットから最大3か所ほどを回ることが可能です。
どこを巡るかはハンターのセンスに一任されます。
意思統一されていることが望ましいですが、そうでない場合は多数決での決定とし、不採用部分があるPC様はアドリブでの対応とさせていただきます。
以下、主な観光スポットです。
中央区:行政区画です。港に面しており海軍本部などもここにあります。当然中には入れませんが、ポルトワールで一番「都会っぽい」場所です。
港:ポルトワールと言えばここ。漁師で賑わい、海の幸を販売する市場があります。
商店街:ヴァリオスほどではありませんがひとしきりのお店は揃っています。庶民向けの質と価格のお店がほとんどです。
飲食店街:美食の街ポルトワールの本領です。露店、大衆食堂から比較的高価なレストランまでハズレがありません。
蚤の市:ポルトワールでは日常風景の蚤の市です。新しいもの好きのヴァリオスと違って、物を大事にする文化の名残があります。
観光施設:博物館や小劇場などが主。船や標本など海に関連する展示は見ものです。
ダウンタウン:厳密には観光スポットではありません。とはいえポルトワールのひとつの顔であることは間違いないでしょう。
▼PL情報
ラルヴァに操られていたとはいえ、エヴァルドは【陶曲】の中で犯罪者の烙印を押されています。
多かれ少なかれ良い顔をしない人、当たりの強い人、後ろ指を指す人はいるでしょう。
それは仕方のないことであり、それでも彼は今、この街を歩きたいと思っています。
マスターより
おはようございます、のどかです。
【陶曲】事後連動、エヴァルド・ブラマンデの回となります。
一度は犯罪者の烙印を押されたエヴァルド。
今ここでポルトワールを観光する、という行動には何らかの意図があるのかもしれません。
とは言え基本的には港町観光を楽しんで貰えればOKですし、それが彼の望みとなります。
質問は別途卓をお立てくださいませ。
皆様のご参加をお待ちしております。
【陶曲】事後連動、エヴァルド・ブラマンデの回となります。
一度は犯罪者の烙印を押されたエヴァルド。
今ここでポルトワールを観光する、という行動には何らかの意図があるのかもしれません。
とは言え基本的には港町観光を楽しんで貰えればOKですし、それが彼の望みとなります。
質問は別途卓をお立てくださいませ。
皆様のご参加をお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/05/05 01:59
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/04/22 23:08:23 |
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お忍び散歩【相談卓】 ミア(ka7035) 鬼|22才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2019/04/26 21:23:57 |