ゲスト
(ka0000)
【東幕】願いも救いもない世界で
マスター:赤山優牙

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在10人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/05/21 07:30
- リプレイ完成予定
- 2019/06/04 07:30
オープニング
===---…
大気が揺れ、建物がガタガタと震える。
幼い少女がそれに驚き、父親に飛びついた。
「怖がりだな、朱夏は」
「だって、お父様。恐ろしい憤怒が襲い掛かってきたのでしょう?」
「大丈夫だよ。黒龍様が我らを守ってくれるのだから」
父親は愛娘の頭を優しく撫でる。
結界が構築されている間は安心だ。それとて、完全無欠という訳ではないが、心の拠り所として、愛娘には必要だった。
「さぁ、朱夏。祈りなさい。優しき黒龍様に」
「……」
少女は瞳を閉じ、両手を合わせる。
――どうか、お守り下さい。この東方と私達を、と。
迫りくる憤怒を女侍は迎え撃つ。
手勢は僅か。無事な者は一人もいない。誰しも戦いの傷を受けていた。
「持ち堪えよ! 立花院家の誇りにかけて!」
刀を一閃、手首を返し剣先で撫でるように追撃を掛ける。
それでも敵が怯む事はない。憤怒らしく怒りに任せて向かって来るのだ。
死……その足音が迫る事をひしひしと感じたその時だった。
目の前にいた憤怒が文字通り粉々になり消滅していく。
「どうやら間に合ったようですね」
「上様……っ!」
女侍の目の前には立花院 紫草(kz0126)の姿があった。
急いで駆け付けたようだが、余裕の微笑に、安心する。
「よく、頑張りましたね。ここから先は私達の出番です。朱夏は負傷兵を護衛して後方へ」
「畏まりました」
深々と頭を下げ、女侍は倒れ込んでいる仲間を抱きかかえるように起こした。
戦闘は早々に決着がつきそうであった。それほど、将軍の強さは圧倒的だった。
…---===
●
朱夏(kz0116)は鎧を脱ぎ捨てると着物に着替えた。
地下龍脈での戦いは続いている。幾体もの“涅色の狐の雑魔”を倒しても、居なくなる気配がない。
準備が必要だった。傷や疲労の回復もそうだが、それ以上に、敵を倒すための圧倒的な力が。
「黒龍様がいれば……」
地下龍脈を浄化する事など、他愛も無かっただろう。
しかし、その存在はもういない。東方を救う為、力を使い果たし消滅したのだ。
「上様もいない……」
絶対なる救世主であれば、地下龍脈に蔓延る憤怒を粉砕しただろう。
紫草はその地下龍脈で死んだのだ。膨大な負のマテリアルの奔流を受け止めて。
願う事も救ってくれる者も、この世界からいなくなった。
「……私がやらないと」
汚染された地下龍脈に待ち受ける“それ”を討伐しなくてはならない。
他の誰にも邪魔はさせないし、何を言われても止める気はしない。
「じゃないと……私が、上様を……殺したようなもの……なのだから……」
少女は涙を流しながら、真新しい符を握りしめた。
●
「朱夏は大丈夫じゃろうか……」
中年の武士が落ち着きなく屋敷の中をうろうろとしていた。
父親として娘が心配なのは分かるが、状況が状況なだけに、不安なのだろう。
「当主様が行方不明になってからというもの、地下龍脈で戦い続けてるとの話だが……」
同僚の一人がボソリと呟く。
あの子は立花院家の者としての役目を分かっているし、周囲の期待に答えてきた。
「……家の者の期待を全部、背負わせてしまったかもしれない」
「期待もする。あの若さで様々な苦難を乗り越えてきたのだから、な」
同僚の言葉に父親は天井を仰ぎ見た。
自分達も若い頃、そのようにして育った。だから、期待する事は、当たり前だった。
そうした期待という重責を押し付けすぎたのかもしれない。もっと、年頃の娘のように接していれば……違ったのだろうか。
「あの日、上様と屋敷で何があったのか、分からない。屋敷に残っていた者も少なかったからな」
「屋敷に保管しておいた符が全てなくなっていた事と関係が?」
「それは分からないが。都や屋敷の防衛でも使っただろうし」
父親と同僚は肩を落とした。
神霊樹のライブラリにダイブすれば何か分かるかもしれないが……その記録を探し出して、確認する暇は無かった。
「そのうち、時間が解決してくれる事を祈るしかない」
同僚の言葉に父親は唸る事しか出来なかった。
●
西洋の直剣と真四角の白い盾を持つ、謎の剣士は天ノ都に隊商を護衛して到着していた。
その素顔を商人は知らない。出逢った時から身に着けていたからだ。なんでも、仮面は外せないらしい。
「都の風景を見て、何か思い出したか?」
商人の問いに剣士は首を横に振った。
返事が出来ないのだ。この剣士は声を出す事すらできない。
意思疎通に困るので、白板を兼ねる盾を渡したが、こちらはこちらであまり使う事もなかった。
なんでも消したり書いたりするのが、思った以上に、面倒……らしい。
「書きっぱなしで済む手段があれば楽なんだがな。まぁ、いいか。ところで、またお出かけか?」
コクンと剣士は頷いた。
商人は都で暫く商売を行う予定なのだ。その間、剣士は用心棒として働いているが、空いた時間は都の中を巡回していた。
街中に出没する雑魔を探し出しては討伐しているらしい。
「無茶しないでくれよ。麺屋の女将に泣かれると儂も困るからな」
剣士は再び頷くと外へと出て行った。
よく足を運んでいた麺屋に時折、姿を現していた素浪人らしいが、商人の記憶には無かった。
だが、麺屋の女将がそう言うのであれば、そうなのだろう。
「どんな経緯があって、ああなったのか分からないが……記憶が戻るといいな」
出て行った戸を眺めながら、商人はそう呟いた。
大気が揺れ、建物がガタガタと震える。
幼い少女がそれに驚き、父親に飛びついた。
「怖がりだな、朱夏は」
「だって、お父様。恐ろしい憤怒が襲い掛かってきたのでしょう?」
「大丈夫だよ。黒龍様が我らを守ってくれるのだから」
父親は愛娘の頭を優しく撫でる。
結界が構築されている間は安心だ。それとて、完全無欠という訳ではないが、心の拠り所として、愛娘には必要だった。
「さぁ、朱夏。祈りなさい。優しき黒龍様に」
「……」
少女は瞳を閉じ、両手を合わせる。
――どうか、お守り下さい。この東方と私達を、と。
迫りくる憤怒を女侍は迎え撃つ。
手勢は僅か。無事な者は一人もいない。誰しも戦いの傷を受けていた。
「持ち堪えよ! 立花院家の誇りにかけて!」
刀を一閃、手首を返し剣先で撫でるように追撃を掛ける。
それでも敵が怯む事はない。憤怒らしく怒りに任せて向かって来るのだ。
死……その足音が迫る事をひしひしと感じたその時だった。
目の前にいた憤怒が文字通り粉々になり消滅していく。
「どうやら間に合ったようですね」
「上様……っ!」
女侍の目の前には立花院 紫草(kz0126)の姿があった。
急いで駆け付けたようだが、余裕の微笑に、安心する。
「よく、頑張りましたね。ここから先は私達の出番です。朱夏は負傷兵を護衛して後方へ」
「畏まりました」
深々と頭を下げ、女侍は倒れ込んでいる仲間を抱きかかえるように起こした。
戦闘は早々に決着がつきそうであった。それほど、将軍の強さは圧倒的だった。
…---===
●
朱夏(kz0116)は鎧を脱ぎ捨てると着物に着替えた。
地下龍脈での戦いは続いている。幾体もの“涅色の狐の雑魔”を倒しても、居なくなる気配がない。
準備が必要だった。傷や疲労の回復もそうだが、それ以上に、敵を倒すための圧倒的な力が。
「黒龍様がいれば……」
地下龍脈を浄化する事など、他愛も無かっただろう。
しかし、その存在はもういない。東方を救う為、力を使い果たし消滅したのだ。
「上様もいない……」
絶対なる救世主であれば、地下龍脈に蔓延る憤怒を粉砕しただろう。
紫草はその地下龍脈で死んだのだ。膨大な負のマテリアルの奔流を受け止めて。
願う事も救ってくれる者も、この世界からいなくなった。
「……私がやらないと」
汚染された地下龍脈に待ち受ける“それ”を討伐しなくてはならない。
他の誰にも邪魔はさせないし、何を言われても止める気はしない。
「じゃないと……私が、上様を……殺したようなもの……なのだから……」
少女は涙を流しながら、真新しい符を握りしめた。
●
「朱夏は大丈夫じゃろうか……」
中年の武士が落ち着きなく屋敷の中をうろうろとしていた。
父親として娘が心配なのは分かるが、状況が状況なだけに、不安なのだろう。
「当主様が行方不明になってからというもの、地下龍脈で戦い続けてるとの話だが……」
同僚の一人がボソリと呟く。
あの子は立花院家の者としての役目を分かっているし、周囲の期待に答えてきた。
「……家の者の期待を全部、背負わせてしまったかもしれない」
「期待もする。あの若さで様々な苦難を乗り越えてきたのだから、な」
同僚の言葉に父親は天井を仰ぎ見た。
自分達も若い頃、そのようにして育った。だから、期待する事は、当たり前だった。
そうした期待という重責を押し付けすぎたのかもしれない。もっと、年頃の娘のように接していれば……違ったのだろうか。
「あの日、上様と屋敷で何があったのか、分からない。屋敷に残っていた者も少なかったからな」
「屋敷に保管しておいた符が全てなくなっていた事と関係が?」
「それは分からないが。都や屋敷の防衛でも使っただろうし」
父親と同僚は肩を落とした。
神霊樹のライブラリにダイブすれば何か分かるかもしれないが……その記録を探し出して、確認する暇は無かった。
「そのうち、時間が解決してくれる事を祈るしかない」
同僚の言葉に父親は唸る事しか出来なかった。
●
西洋の直剣と真四角の白い盾を持つ、謎の剣士は天ノ都に隊商を護衛して到着していた。
その素顔を商人は知らない。出逢った時から身に着けていたからだ。なんでも、仮面は外せないらしい。
「都の風景を見て、何か思い出したか?」
商人の問いに剣士は首を横に振った。
返事が出来ないのだ。この剣士は声を出す事すらできない。
意思疎通に困るので、白板を兼ねる盾を渡したが、こちらはこちらであまり使う事もなかった。
なんでも消したり書いたりするのが、思った以上に、面倒……らしい。
「書きっぱなしで済む手段があれば楽なんだがな。まぁ、いいか。ところで、またお出かけか?」
コクンと剣士は頷いた。
商人は都で暫く商売を行う予定なのだ。その間、剣士は用心棒として働いているが、空いた時間は都の中を巡回していた。
街中に出没する雑魔を探し出しては討伐しているらしい。
「無茶しないでくれよ。麺屋の女将に泣かれると儂も困るからな」
剣士は再び頷くと外へと出て行った。
よく足を運んでいた麺屋に時折、姿を現していた素浪人らしいが、商人の記憶には無かった。
だが、麺屋の女将がそう言うのであれば、そうなのだろう。
「どんな経緯があって、ああなったのか分からないが……記憶が戻るといいな」
出て行った戸を眺めながら、商人はそう呟いた。
解説
●目的
???
●内容
天ノ都及びリゼリオを舞台として、とある日を過ごす。
フリーアタックとなっており、参加者は、おおよそ、以下の内容を選択できる事とします
・NPCと絡む
・何かしらの情報を探す行動を行う
・“涅色の狐の雑魔”を討伐する
・何気ない日常を過ごす(自宅や自室、あるいは、街中など)
・完全にMSに任せる
●活動可能場所(目安)
天ノ都(外縁部・地下龍脈含む)
リゼリオ(要確認の上、神霊樹ダイブ可能)
上記以外の場所でも、当方のリプレイで登場した場所でも行ける場合があります
念のため、質問卓で確認をよろしくお願いします
(確認なしでのプレイング提出は、描写できる保証はありません)
☆重要☆
アドリブ強めによります。
今回のシナリオはフリーアタック要素が極めて強い状態になっています。
質問卓を設置しますので、疑問などあれば、確認をお願いします。
プレイング内容が判定上不可となると、アドリブ対応とさせていただきます。
●NPC
朱夏(kz0116)
立花院家に仕える武士。
普段は地下龍脈に籠っては雑魔を退治しているが、現在は屋敷で休んでいる。
謎の剣士
鼻より上を覆う特殊な紋様が刻まれた仮面を付けている剣士。
直剣と盾で武装しており、都の中を巡回している。
父親
朱夏(kz0116)の父親であり、立花院家に仕える武士。
一応、立花院家の中では実力者の一人である。
●“涅色の狐の雑魔”
サイズ1~2
牙で爪で攻撃してくる。逃げ出す事なく、ハンターを見かけたら攻撃してくる。
能力の詳細は『【東幕】憤怒雑魔調査依頼』を確認の事。
遭遇した場合は、D6体程と戦う事になる。
●他
質問卓の回答は受付嬢らしく希が対応しますが、リプレイ内で希は登場しません。
???
●内容
天ノ都及びリゼリオを舞台として、とある日を過ごす。
フリーアタックとなっており、参加者は、おおよそ、以下の内容を選択できる事とします
・NPCと絡む
・何かしらの情報を探す行動を行う
・“涅色の狐の雑魔”を討伐する
・何気ない日常を過ごす(自宅や自室、あるいは、街中など)
・完全にMSに任せる
●活動可能場所(目安)
天ノ都(外縁部・地下龍脈含む)
リゼリオ(要確認の上、神霊樹ダイブ可能)
上記以外の場所でも、当方のリプレイで登場した場所でも行ける場合があります
念のため、質問卓で確認をよろしくお願いします
(確認なしでのプレイング提出は、描写できる保証はありません)
☆重要☆
アドリブ強めによります。
今回のシナリオはフリーアタック要素が極めて強い状態になっています。
質問卓を設置しますので、疑問などあれば、確認をお願いします。
プレイング内容が判定上不可となると、アドリブ対応とさせていただきます。
●NPC
朱夏(kz0116)
立花院家に仕える武士。
普段は地下龍脈に籠っては雑魔を退治しているが、現在は屋敷で休んでいる。
謎の剣士
鼻より上を覆う特殊な紋様が刻まれた仮面を付けている剣士。
直剣と盾で武装しており、都の中を巡回している。
父親
朱夏(kz0116)の父親であり、立花院家に仕える武士。
一応、立花院家の中では実力者の一人である。
●“涅色の狐の雑魔”
サイズ1~2
牙で爪で攻撃してくる。逃げ出す事なく、ハンターを見かけたら攻撃してくる。
能力の詳細は『【東幕】憤怒雑魔調査依頼』を確認の事。
遭遇した場合は、D6体程と戦う事になる。
●他
質問卓の回答は受付嬢らしく希が対応しますが、リプレイ内で希は登場しません。
マスターより
●挨拶
おはようございます。AdivMSの赤山です。ようやく花粉が治まって来て、助かっております。
●攻略のヒント
誰がどんな事をするのか、被らないように行動共有位はしておいた方が……無駄がなくていいかもしれません。
あれもこれもやろうとすると密度が下がりますので、行動は絞った方がいいでしょう!
おはようございます。AdivMSの赤山です。ようやく花粉が治まって来て、助かっております。
●攻略のヒント
誰がどんな事をするのか、被らないように行動共有位はしておいた方が……無駄がなくていいかもしれません。
あれもこれもやろうとすると密度が下がりますので、行動は絞った方がいいでしょう!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/05/26 17:41
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/05/21 05:38:14 |
|
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相談卓だよ 天竜寺 詩(ka0396) 人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2019/05/20 22:55:16 |