ゲスト
(ka0000)
【血断】紅き世界の海原に
マスター:樹シロカ

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
魔術師協会広報室- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/05/28 22:00
- リプレイ完成予定
- 2019/06/11 22:00
オープニング
●報告
自由都市同盟の事実上の首都、ヴァリオスに同盟軍本部がある。
その一室で、同盟軍名誉大将イザイア・バッシ(kz0104)は、ひとりの将校の報告を受けていた。
「……ハンターズ・ソサエティの決定は事実上、この世界の運命を決定づけることになるでしょう」
「そうか。連中も辛いところだな」
ハンターズ・ソサエティがハンター達に提示した今後の世界の行く末については、同盟評議会にも伝わっていた。
そしていずれは噂という形で、誰もが知ることになるだろう。
同盟軍情報部としてはそれを踏まえ、今のうちに取れる対策を取ることになる。
(とはいえ、取れる対策などあるわけもないが)
情報部のマヌエル・フィンツィ少佐は内心で苦笑し、目の前の老将はどう思っているのかと何気なく観察する。
だが静かな声音からも、目の色からも、何の感情も読み取れなかった。
淡々と事実のみを述べている。そんな印象だ。
「とはいえ、我々も決定事項が知らされるまで無為に過ごすわけにはまいりません。大きな脅威は去りましたが、散発的な歪虚の襲撃は続いています」
「各部隊、よく戦っている」
総司令官職をブルーノ・ジェンマ(kz0100)元帥に譲って以来、老将は陸軍の強化に尽力してきた。
CAM部隊「特機隊」やその他の兵士の死闘についても、当然ながらよく知っている。
目的達成を急ぐあまりに犯した失敗も含めて――。
「ところで『V2』はどうしておる」
「は」
V2とは『菫狐隊』――ヴォルペ・ヴィオラの略称だ。
バッシ名誉大将の陸軍強化策のひとつとして結成された、歪虚事件の対応専門の覚醒者による傭兵部隊。
といっても、まだ人数も充分ではなく、試験運用の間に歪虚王との戦いが終わってしまったという現状である。
自身も覚醒者であるフィンツィが隊長職を拝命する予定だったが、負傷によりそれはなくなった。
「成果は上がっています。現在は我が軍としては避けて通ることのできない、海上の――」
●歪虚
潮風が頬を叩き、空と海面とから陽光が照り付ける。
アスタリスク(kz0234)は目を細めて、水平線の彼方を見据えた。
「そろそろでしょうか」
傍らの同盟海軍のセラート中尉に尋ねる。
「そうですね。目的地はこの岩礁付近で、現在位置はここです」
中尉は海図を示し、船の位置と距離を大まかに予測する。
「有難うございます。ではうちの連中を上げましょう」
「よろしくお願いします、大尉」
「今回は寧ろ、我々のほうがお世話になる側ですから。ハンターの皆様もどうぞよろしくお願いいたします」
アスタリスクは如才ない笑顔を向ける。
小型の戦艦の船室に、アスタリスクの言う「うちの連中」がいた。
「サリム、ハンターの皆様はもう揃っていますが。何かトラブルでも?」
黒髪に浅黒い肌の30がらみの男が困ったような薄笑いで振り向く。
「あー隊長。いやなに、サキがまじないしてくれるってんで」
サキと呼ばれた女性兵士が手を合わせて、何事かぶつぶつ言っていた。
「俺なんて、初めて海を見たのがこのクリムゾンウェストなもんでな。隊長は?」
「……私は一応、教科で水中戦闘も履修していますよ」
だが宇宙遊泳のほうが得意だ、と口に出すのは流石にやめた。
「ほんとかよ。隊長のいたのは月面の崑崙基地だろ?」
サリムが疑わしそうにアスタリスクを見る。
不意に、サキがぼそりと呟いた。
「隊長はなんで、クリムゾンウェストでわざわざ戦うのさ」
アスタリスクは元強化人間で、月面の崑崙基地の防衛隊にいた。
強化人間としての契約を覚醒者に上書きしてもらうために紅界に来たのだが、そのままハンターとして残り、今は傭兵という立場である。
彼の命が限られているのは周知の事実だ。
「お前なあ。今それを訊いてどうすんだ?」
サリムがあきれ顔でサキを小突く。
「構いませんよ。死に場所を探しているような輩には、付き合えないということでしょうから」
アスタリスクはいつも通りの微笑を崩さない。
「後悔したくないからですよ。使える力があって、僅かでも成果が残るなら、生きている限りは何かしていたいのです。この世界には恩もありますからね」
訪れた沈黙を、サリムが断ち切る。
「ま、ハンターもいるし、どのみち簡単に死んだりしねえよ。いくぜ、仕事だ」
サリムが無責任なことを言いながら立ち上がった時だった。
突然の衝撃に、全員の身体が浮いて、ふっとぶ。
「なんだ!?」
どうにか甲板に駆け上がると、そこは水浸しだ。
すぐそばの海上には、巨大な女の顔があった。その顔がみるみる迫ってくる。
どうやらこの歪虚が現れたために、海水が盛り上がり、艇が大きく揺れたようだ。
サリムが自分を落ち着かせようとするかのように、敢えて軽い調子で呟く。
「なるほどね。これが噂のゴルゴーンって奴か?」
確かに、束になった髪を振り乱す巨大な女の上半身は、伝説の魔物そのままであった。
魔女が空気を引き裂くような声で叫んだ。
同時に無数のヘビが海中から浮かびあがってくる。
アスタリスクがセラート中尉に叫ぶ。
「我々が時間を稼ぎます! 何とか立て直して、全速力で振り切ってください!」
「了解!」
ハンター達も状況を見て、それぞれに準備を整えつつあった。
自由都市同盟の事実上の首都、ヴァリオスに同盟軍本部がある。
その一室で、同盟軍名誉大将イザイア・バッシ(kz0104)は、ひとりの将校の報告を受けていた。
「……ハンターズ・ソサエティの決定は事実上、この世界の運命を決定づけることになるでしょう」
「そうか。連中も辛いところだな」
ハンターズ・ソサエティがハンター達に提示した今後の世界の行く末については、同盟評議会にも伝わっていた。
そしていずれは噂という形で、誰もが知ることになるだろう。
同盟軍情報部としてはそれを踏まえ、今のうちに取れる対策を取ることになる。
(とはいえ、取れる対策などあるわけもないが)
情報部のマヌエル・フィンツィ少佐は内心で苦笑し、目の前の老将はどう思っているのかと何気なく観察する。
だが静かな声音からも、目の色からも、何の感情も読み取れなかった。
淡々と事実のみを述べている。そんな印象だ。
「とはいえ、我々も決定事項が知らされるまで無為に過ごすわけにはまいりません。大きな脅威は去りましたが、散発的な歪虚の襲撃は続いています」
「各部隊、よく戦っている」
総司令官職をブルーノ・ジェンマ(kz0100)元帥に譲って以来、老将は陸軍の強化に尽力してきた。
CAM部隊「特機隊」やその他の兵士の死闘についても、当然ながらよく知っている。
目的達成を急ぐあまりに犯した失敗も含めて――。
「ところで『V2』はどうしておる」
「は」
V2とは『菫狐隊』――ヴォルペ・ヴィオラの略称だ。
バッシ名誉大将の陸軍強化策のひとつとして結成された、歪虚事件の対応専門の覚醒者による傭兵部隊。
といっても、まだ人数も充分ではなく、試験運用の間に歪虚王との戦いが終わってしまったという現状である。
自身も覚醒者であるフィンツィが隊長職を拝命する予定だったが、負傷によりそれはなくなった。
「成果は上がっています。現在は我が軍としては避けて通ることのできない、海上の――」
●歪虚
潮風が頬を叩き、空と海面とから陽光が照り付ける。
アスタリスク(kz0234)は目を細めて、水平線の彼方を見据えた。
「そろそろでしょうか」
傍らの同盟海軍のセラート中尉に尋ねる。
「そうですね。目的地はこの岩礁付近で、現在位置はここです」
中尉は海図を示し、船の位置と距離を大まかに予測する。
「有難うございます。ではうちの連中を上げましょう」
「よろしくお願いします、大尉」
「今回は寧ろ、我々のほうがお世話になる側ですから。ハンターの皆様もどうぞよろしくお願いいたします」
アスタリスクは如才ない笑顔を向ける。
小型の戦艦の船室に、アスタリスクの言う「うちの連中」がいた。
「サリム、ハンターの皆様はもう揃っていますが。何かトラブルでも?」
黒髪に浅黒い肌の30がらみの男が困ったような薄笑いで振り向く。
「あー隊長。いやなに、サキがまじないしてくれるってんで」
サキと呼ばれた女性兵士が手を合わせて、何事かぶつぶつ言っていた。
「俺なんて、初めて海を見たのがこのクリムゾンウェストなもんでな。隊長は?」
「……私は一応、教科で水中戦闘も履修していますよ」
だが宇宙遊泳のほうが得意だ、と口に出すのは流石にやめた。
「ほんとかよ。隊長のいたのは月面の崑崙基地だろ?」
サリムが疑わしそうにアスタリスクを見る。
不意に、サキがぼそりと呟いた。
「隊長はなんで、クリムゾンウェストでわざわざ戦うのさ」
アスタリスクは元強化人間で、月面の崑崙基地の防衛隊にいた。
強化人間としての契約を覚醒者に上書きしてもらうために紅界に来たのだが、そのままハンターとして残り、今は傭兵という立場である。
彼の命が限られているのは周知の事実だ。
「お前なあ。今それを訊いてどうすんだ?」
サリムがあきれ顔でサキを小突く。
「構いませんよ。死に場所を探しているような輩には、付き合えないということでしょうから」
アスタリスクはいつも通りの微笑を崩さない。
「後悔したくないからですよ。使える力があって、僅かでも成果が残るなら、生きている限りは何かしていたいのです。この世界には恩もありますからね」
訪れた沈黙を、サリムが断ち切る。
「ま、ハンターもいるし、どのみち簡単に死んだりしねえよ。いくぜ、仕事だ」
サリムが無責任なことを言いながら立ち上がった時だった。
突然の衝撃に、全員の身体が浮いて、ふっとぶ。
「なんだ!?」
どうにか甲板に駆け上がると、そこは水浸しだ。
すぐそばの海上には、巨大な女の顔があった。その顔がみるみる迫ってくる。
どうやらこの歪虚が現れたために、海水が盛り上がり、艇が大きく揺れたようだ。
サリムが自分を落ち着かせようとするかのように、敢えて軽い調子で呟く。
「なるほどね。これが噂のゴルゴーンって奴か?」
確かに、束になった髪を振り乱す巨大な女の上半身は、伝説の魔物そのままであった。
魔女が空気を引き裂くような声で叫んだ。
同時に無数のヘビが海中から浮かびあがってくる。
アスタリスクがセラート中尉に叫ぶ。
「我々が時間を稼ぎます! 何とか立て直して、全速力で振り切ってください!」
「了解!」
ハンター達も状況を見て、それぞれに準備を整えつつあった。
解説
●このシナリオについて
前半はPL情報で依頼そのものには関係してきません。
ただアスタリスク達とハンターの皆様とでは、現状に対する認識が少しずれていることの説明になります。
PC様は依頼を受けて、歪虚が出たという海域の調査に同行したとします。
今回の依頼の目的は、PL的には敵の能力を把握することになります。
●敵情報
仮称・ゴルゴーン:シェオル型歪虚。
海上部分が約4mの女性の上半身。下半身はヘビよりタコに近い多肢型。3Tで艇に手をかけます(速度から推測できるPC情報)。
事前の情報では漁船が襲われたため、戦闘能力などは不明。とりあえずヘビ型の眷属を呼ぶ模様。
アスタリスクは敵能力を把握するために交戦し、ひとまず離脱することを考えています。
ヘビ型歪虚:ゴルゴーンの眷属。体当たりと噛みつき。艇を回り込むほどの知恵はないが、引くことなく攻撃してくる。
●現状
同盟海軍の戦艦の甲板に全員がそろっています。
戦艦は魔導エンジンを積んだ最新型で、全速力なら歪虚を振りきることができます。
ただしこの海域は岩礁が多く、抜け出すまでに20Tを要します。
艇の全長はおよそ100m。船幅は最大で10m。甲板は便宜上、長さ20m×底辺10mの三角形とします。
主砲はそれなりに強力ですが、歪虚が近づきすぎているので使えません。
歪虚は艇の右側から来ているものとします。
●NPC
アスタリスク/同盟軍傭兵部隊所属。格闘士。防御に秀でるがメイン攻撃はほぼ近接のみ。射撃は命中率高いが攻撃力低め。今回は射撃。
サリム/アスタリスクの部下。機導師。
サキ/アスタリスクの部下。魔術師。
前半の登場人物とは、今回は会話はできません。希望があればメッセージを伝えることなどは可能です。
●他
何か情報が洩れていましたら質問卓を設置してください。NPCの分かる範囲で回答します。
ただし出発の24時間前がMSの確認期限となります。
前半はPL情報で依頼そのものには関係してきません。
ただアスタリスク達とハンターの皆様とでは、現状に対する認識が少しずれていることの説明になります。
PC様は依頼を受けて、歪虚が出たという海域の調査に同行したとします。
今回の依頼の目的は、PL的には敵の能力を把握することになります。
●敵情報
仮称・ゴルゴーン:シェオル型歪虚。
海上部分が約4mの女性の上半身。下半身はヘビよりタコに近い多肢型。3Tで艇に手をかけます(速度から推測できるPC情報)。
事前の情報では漁船が襲われたため、戦闘能力などは不明。とりあえずヘビ型の眷属を呼ぶ模様。
アスタリスクは敵能力を把握するために交戦し、ひとまず離脱することを考えています。
ヘビ型歪虚:ゴルゴーンの眷属。体当たりと噛みつき。艇を回り込むほどの知恵はないが、引くことなく攻撃してくる。
●現状
同盟海軍の戦艦の甲板に全員がそろっています。
戦艦は魔導エンジンを積んだ最新型で、全速力なら歪虚を振りきることができます。
ただしこの海域は岩礁が多く、抜け出すまでに20Tを要します。
艇の全長はおよそ100m。船幅は最大で10m。甲板は便宜上、長さ20m×底辺10mの三角形とします。
主砲はそれなりに強力ですが、歪虚が近づきすぎているので使えません。
歪虚は艇の右側から来ているものとします。
●NPC
アスタリスク/同盟軍傭兵部隊所属。格闘士。防御に秀でるがメイン攻撃はほぼ近接のみ。射撃は命中率高いが攻撃力低め。今回は射撃。
サリム/アスタリスクの部下。機導師。
サキ/アスタリスクの部下。魔術師。
前半の登場人物とは、今回は会話はできません。希望があればメッセージを伝えることなどは可能です。
●他
何か情報が洩れていましたら質問卓を設置してください。NPCの分かる範囲で回答します。
ただし出発の24時間前がMSの確認期限となります。
マスターより
いつもお世話になっております、樹シロカです。
基本的には敵と交戦して能力を把握するまでの依頼です。
これまでの経緯は、OP情報程度を確認していただければ大丈夫です。
もしご興味がありましたら、アスタリスクの関連依頼をご確認ください。
内容としてはシンプルな戦闘ですが、おそらく【血断】についてはハンターの皆様の情報量と、NPCの情報量に違いがあるでしょう。
そこを指摘するか否かは皆様のご判断にお任せいたします。
尚、船室でのV2の会話は聞こえていても(=PC情報にしても)構いません。
NPCを通じて、PC様の迷いや覚悟などもお聞かせいただければ、描写したいと思います。
皆様のご参加、お待ちしております。
基本的には敵と交戦して能力を把握するまでの依頼です。
これまでの経緯は、OP情報程度を確認していただければ大丈夫です。
もしご興味がありましたら、アスタリスクの関連依頼をご確認ください。
内容としてはシンプルな戦闘ですが、おそらく【血断】についてはハンターの皆様の情報量と、NPCの情報量に違いがあるでしょう。
そこを指摘するか否かは皆様のご判断にお任せいたします。
尚、船室でのV2の会話は聞こえていても(=PC情報にしても)構いません。
NPCを通じて、PC様の迷いや覚悟などもお聞かせいただければ、描写したいと思います。
皆様のご参加、お待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/06/12 01:53
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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相談卓 ジャック・エルギン(ka1522) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/05/28 12:52:01 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/05/27 07:04:55 |