ゲスト
(ka0000)
白羽の矢
マスター:KINUTA

このシナリオは1日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2019/06/06 19:00
- リプレイ完成予定
- 2019/06/16 19:00
オープニング
●不肖の弟お呼び出し
グリーク商会の会長ニケ・グリークは、手にした万年筆で小刻みに机を叩いていた。
眉と眉の間を狭めちらりと眺めるのは、腕時計。万年筆を机に置き嘆息。諦めの意味を込めてではない。高ぶってくる気持ちを押さえるためだ。
涼やかなベルの音を響かせ、執務室の扉が開いた。入ってきたのは金髪碧眼の美少年。彼女の不肖の弟にしてマリーの恋人、グリーク家の不良債権、ナルシス・グリーク。
「ナルシス、遅いわよ。約束の時間から15分過ぎてるじゃない」
「仕方ないだろ、道が混んでたんだから。いきなり人を呼び出して、しょっぱなから感じ悪いな姉さんは。いつもだけどさ」
ニケは面白くも無さそうな顔をした彼に、切り込むような口調で言った。
「あんた、今無職よね?」
「ううん違うよ仕事してるよ」
「あらー、そうなの。知らなかったわ。で、何の仕事?」
「マリーさん家の自宅警備員。じゃあそういうことで」
長居は無用と感じ取り、踵を返そうとするナルシス。
ニケはその動きを眼光で制した。
「……ふざけたこと言ってると、はったおすわよ……? とにかく話を聞きなさい。私も暇じゃないのよ。あんたのために使える時間は限られてるの」
「恩着せがましい言い方やめてくんない? 使ってくんなくて全然かまわないんだけどさ、こっちとしては」
「人が話し終わるまで黙ってなさい。その舌抜くわよ」
●お呼び出しの理由~数日前の出来事
リゼリオの商店通りにあるカチャ・タホ宅の家の一階は、グリーク商会に支店として貸し出されている。
ニケは商談等で本拠地のポルトワールからリゼリオに訪れる際、かならずそこに立ち寄る。だから、自然カチャと話をする機会も多い。
そのときの話題は、邪神であった。
それがこの世界に対し降伏勧告を突き付けてきたという旨は、すでに多くの人々が知るところとなっている。勧告の内容も含めて。
反応は千差万別だ。この世の終わりだと悲観するものもいれば、何とかなるさと楽観視するものもいる。そんな話自分には関係ない、興味ないというものもいる。むしろ滅びた方がいいんじゃないかと皮肉に構えるものもいる。
だが、議論がひと通り終わればほとんどの人が『それはさておき』と日常の業務に戻っていく。
考えてみれば、それが当たり前かもしれない。世の終わりが明日来ようが来るまいが、食べないでいると腹が減るし飲まないでいると喉が渇く。いいことがあるとうれしいし、勝負に負けると悔しいし、好きな人への思いは募るし、嫌いな奴には腹が立つ。それが人間というものなのだから。
「――恭順は問題外として、封印もそれと競るレベルで勘弁願いたいですね。他の世界と途絶されることよりも、精霊と一切コンタクトが取れなくなるということのほうが問題です。私にとっては」
「というと?」
「ユニゾンのマゴイさんは精霊でしょう? もし今彼女に消えられたら、相当困ったことになりますよ。ユニオン渡りのシステムを理解し運営出来るのが、目下彼女しかいないんですから」
「あー、それは確かに……マゴイさん以外のマゴイは、まだ存在していませんしね」
「まあ、事態がこの先そういう方向に進まないことを望むばかりです、非力な一市民としては」
あんまり非力そうでもないニケはそう締めくくった後、それはさておきと前置きして話を変える。
彼女はつい先頃ユニゾン島に亡命受け入れの話を持ってきた人間がいたことと、マゴイがその話に乗り気だったこと、自分がそれを途中で止めたことをカチャに話した。眉をひそめて。
「多分マゴイさんは、そうすることの危険性を今一つ理解出来ていないんだと思います。それが、どうにも危ない気がしましてね。よその国と接するについては、助言者がいるのではないかと」
そうかもしれない、とカチャも思った。
でも、思えば無理のないことではある。彼女の故郷であったユニオンは鎖国政策をとっていた。加えて彼女自身は、『市民生産機関』という内政の中枢を司る部署に所属していた。ならば他国の人やものと関わる機会など、皆無に近かったに違いない。
エバーグリーンにおいてその状態だったなら、この世界に出てきた当初は、相当なカルチャーショックを受けていたであろう。現在はだいぶ馴染んできたみたいだが。
「私がしてもいいんですけどね、今の仕事を考えると難しいですし……だから誰かを代わりに行かせようかと思いまして」
「どなたです? マルコくんですか?」
「いいえ。あの子は勉学中の身ですし――適任じゃありません。こういう仕事にはね」
「じゃあ、誰が」
「ナルシスです」
●だから、就職しろ。
姉からお呼び出しの理由を聞かされたナルシスは、流麗な顔をしかめた。
「ハ? じゃあ何、姉さん僕にユニゾン市民になれっていうわけ?」
「市民になれとは言ってないわよ。島に商会の出張所作らせてもらう契約をしたから、そこでバイトしろ。そして彼女の動向を把握してこっちに報告しろって言ってんの。保養所バイトのときと一緒でジェオルジから通えるから、楽なものよ」
「やだね。お断りだね。さっき自宅警備してるって言ったじゃん。大体その契約年数ってどのくらいだよ。半年とか一年とかそういうレベルじゃないよね」
「察しがいいわね。50年よ」
「ごっ……いやだ! 絶対いやだ! なんでジジイになるまであんな離れ小島でしたくもない仕事しなきゃなんないんだよ! 姉さんがやりゃいいじゃん!」
「私は忙しいのよ。やりたくてもやれないの。安心しなさい、マゴイさんの仕事を分担できる市民が育つまでの話だから。そうなったら、あんたは無事お役御免出来るわよ」
とニケがそこまで言ったときである、人が飛び込んできた。誰かと思えば血相変えたマリーである。
「駄目ー! ナルシスくんユニゾンに島流しとか、やめてー!」
続けてカチャ。なんか疲れ切った様子だ。
「すいません……マリーさんからものすっごい問い詰められまして、この話隠しておけませんでした……」
どうも面倒なことになってきた。
グリーク商会の会長ニケ・グリークは、手にした万年筆で小刻みに机を叩いていた。
眉と眉の間を狭めちらりと眺めるのは、腕時計。万年筆を机に置き嘆息。諦めの意味を込めてではない。高ぶってくる気持ちを押さえるためだ。
涼やかなベルの音を響かせ、執務室の扉が開いた。入ってきたのは金髪碧眼の美少年。彼女の不肖の弟にしてマリーの恋人、グリーク家の不良債権、ナルシス・グリーク。
「ナルシス、遅いわよ。約束の時間から15分過ぎてるじゃない」
「仕方ないだろ、道が混んでたんだから。いきなり人を呼び出して、しょっぱなから感じ悪いな姉さんは。いつもだけどさ」
ニケは面白くも無さそうな顔をした彼に、切り込むような口調で言った。
「あんた、今無職よね?」
「ううん違うよ仕事してるよ」
「あらー、そうなの。知らなかったわ。で、何の仕事?」
「マリーさん家の自宅警備員。じゃあそういうことで」
長居は無用と感じ取り、踵を返そうとするナルシス。
ニケはその動きを眼光で制した。
「……ふざけたこと言ってると、はったおすわよ……? とにかく話を聞きなさい。私も暇じゃないのよ。あんたのために使える時間は限られてるの」
「恩着せがましい言い方やめてくんない? 使ってくんなくて全然かまわないんだけどさ、こっちとしては」
「人が話し終わるまで黙ってなさい。その舌抜くわよ」
●お呼び出しの理由~数日前の出来事
リゼリオの商店通りにあるカチャ・タホ宅の家の一階は、グリーク商会に支店として貸し出されている。
ニケは商談等で本拠地のポルトワールからリゼリオに訪れる際、かならずそこに立ち寄る。だから、自然カチャと話をする機会も多い。
そのときの話題は、邪神であった。
それがこの世界に対し降伏勧告を突き付けてきたという旨は、すでに多くの人々が知るところとなっている。勧告の内容も含めて。
反応は千差万別だ。この世の終わりだと悲観するものもいれば、何とかなるさと楽観視するものもいる。そんな話自分には関係ない、興味ないというものもいる。むしろ滅びた方がいいんじゃないかと皮肉に構えるものもいる。
だが、議論がひと通り終わればほとんどの人が『それはさておき』と日常の業務に戻っていく。
考えてみれば、それが当たり前かもしれない。世の終わりが明日来ようが来るまいが、食べないでいると腹が減るし飲まないでいると喉が渇く。いいことがあるとうれしいし、勝負に負けると悔しいし、好きな人への思いは募るし、嫌いな奴には腹が立つ。それが人間というものなのだから。
「――恭順は問題外として、封印もそれと競るレベルで勘弁願いたいですね。他の世界と途絶されることよりも、精霊と一切コンタクトが取れなくなるということのほうが問題です。私にとっては」
「というと?」
「ユニゾンのマゴイさんは精霊でしょう? もし今彼女に消えられたら、相当困ったことになりますよ。ユニオン渡りのシステムを理解し運営出来るのが、目下彼女しかいないんですから」
「あー、それは確かに……マゴイさん以外のマゴイは、まだ存在していませんしね」
「まあ、事態がこの先そういう方向に進まないことを望むばかりです、非力な一市民としては」
あんまり非力そうでもないニケはそう締めくくった後、それはさておきと前置きして話を変える。
彼女はつい先頃ユニゾン島に亡命受け入れの話を持ってきた人間がいたことと、マゴイがその話に乗り気だったこと、自分がそれを途中で止めたことをカチャに話した。眉をひそめて。
「多分マゴイさんは、そうすることの危険性を今一つ理解出来ていないんだと思います。それが、どうにも危ない気がしましてね。よその国と接するについては、助言者がいるのではないかと」
そうかもしれない、とカチャも思った。
でも、思えば無理のないことではある。彼女の故郷であったユニオンは鎖国政策をとっていた。加えて彼女自身は、『市民生産機関』という内政の中枢を司る部署に所属していた。ならば他国の人やものと関わる機会など、皆無に近かったに違いない。
エバーグリーンにおいてその状態だったなら、この世界に出てきた当初は、相当なカルチャーショックを受けていたであろう。現在はだいぶ馴染んできたみたいだが。
「私がしてもいいんですけどね、今の仕事を考えると難しいですし……だから誰かを代わりに行かせようかと思いまして」
「どなたです? マルコくんですか?」
「いいえ。あの子は勉学中の身ですし――適任じゃありません。こういう仕事にはね」
「じゃあ、誰が」
「ナルシスです」
●だから、就職しろ。
姉からお呼び出しの理由を聞かされたナルシスは、流麗な顔をしかめた。
「ハ? じゃあ何、姉さん僕にユニゾン市民になれっていうわけ?」
「市民になれとは言ってないわよ。島に商会の出張所作らせてもらう契約をしたから、そこでバイトしろ。そして彼女の動向を把握してこっちに報告しろって言ってんの。保養所バイトのときと一緒でジェオルジから通えるから、楽なものよ」
「やだね。お断りだね。さっき自宅警備してるって言ったじゃん。大体その契約年数ってどのくらいだよ。半年とか一年とかそういうレベルじゃないよね」
「察しがいいわね。50年よ」
「ごっ……いやだ! 絶対いやだ! なんでジジイになるまであんな離れ小島でしたくもない仕事しなきゃなんないんだよ! 姉さんがやりゃいいじゃん!」
「私は忙しいのよ。やりたくてもやれないの。安心しなさい、マゴイさんの仕事を分担できる市民が育つまでの話だから。そうなったら、あんたは無事お役御免出来るわよ」
とニケがそこまで言ったときである、人が飛び込んできた。誰かと思えば血相変えたマリーである。
「駄目ー! ナルシスくんユニゾンに島流しとか、やめてー!」
続けてカチャ。なんか疲れ切った様子だ。
「すいません……マリーさんからものすっごい問い詰められまして、この話隠しておけませんでした……」
どうも面倒なことになってきた。
解説
補足説明
これは、ナルシスくんとマリーを説得することを目的とするシナリオです。
ハンターの皆さんは、ニケに雇われたという形になります。
働きたくない症候群のナルシスをバイトに追いやること。彼の保護者であるマリーにその旨を承諾させること。この二つが完遂出来て成功です。
ナルシスは筋金入りのヒモ体質、ニケに蹴飛ばされ仕方なくという形でちょろっとバイト等した経験はありますが、自発的に就職活動したことは一切ありません(ちなみに彼のお父さんも、そんな感じです)
マリーさんはナルシスくんにぞっこんなので、もうベタベタに甘やかし扶養してます。
彼女はユニゾンの社会規範がどうにもいまいち信用出来ないので、そこにナルシスくんをやりたくない気持ちで一杯です。
ニケは、ユニゾン島に末長く栄えてもらいたいと思っています。マゴイの制御役をする人間が絶対に必要だと思っています。他人の下心が読める人間でなくてはならない。なら適役はナルシスだ、と確信しています。
今のところ彼女は、その持論を譲る気はありません。
ですが、もっといい案が提出されれば、柔軟に考慮します。商売人ですから。
これは、ナルシスくんとマリーを説得することを目的とするシナリオです。
ハンターの皆さんは、ニケに雇われたという形になります。
働きたくない症候群のナルシスをバイトに追いやること。彼の保護者であるマリーにその旨を承諾させること。この二つが完遂出来て成功です。
ナルシスは筋金入りのヒモ体質、ニケに蹴飛ばされ仕方なくという形でちょろっとバイト等した経験はありますが、自発的に就職活動したことは一切ありません(ちなみに彼のお父さんも、そんな感じです)
マリーさんはナルシスくんにぞっこんなので、もうベタベタに甘やかし扶養してます。
彼女はユニゾンの社会規範がどうにもいまいち信用出来ないので、そこにナルシスくんをやりたくない気持ちで一杯です。
ニケは、ユニゾン島に末長く栄えてもらいたいと思っています。マゴイの制御役をする人間が絶対に必要だと思っています。他人の下心が読める人間でなくてはならない。なら適役はナルシスだ、と確信しています。
今のところ彼女は、その持論を譲る気はありません。
ですが、もっといい案が提出されれば、柔軟に考慮します。商売人ですから。
マスターより
KINUTAです。
世界が終わるまでに、どうあってもこの宿六な弟を就職させねば。わが家の不良債権を処理しておかねば。
それが切なる姉の願いであります。
世界が終わるまでに、どうあってもこの宿六な弟を就職させねば。わが家の不良債権を処理しておかねば。
それが切なる姉の願いであります。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/06/13 00:49
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/06/04 18:58:57 |
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![]() |
相談卓だよ 天竜寺 舞(ka0377) 人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2019/06/06 14:15:26 |