• 戦闘

知恵と恐怖

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/01/27 19:00
リプレイ完成予定
2015/02/05 19:00

オープニング

「シュシュ・アルミラ三等兵! 第一師団長オズワルド様の命令に従い、これより第七師団の指揮下に入ります!」
 ガチガチの敬礼であった。そんなシュシュの前に腰掛けていた軍服の男は穏やかに微笑みながら立ち上がる。
「第七師団所属、カルガナ・ブアナ兵長だ。これから暫くの間よろしく頼むよ、アルミラ三等」
 男は褐色の肌にドレッドヘアーという、一般的にはやや厳つい外見だったが、シュシュには直ぐに分かった。この感じは“同郷”の人間なのだと。
 第七師団との合同作戦にシュシュが駆り出されたのは偶然ではなかった。彼女は過去にこの開拓地を訪れた事があったし、開拓地には辺境移民も少なくない。
 この開拓地に襲撃を繰り返すコボルドへの対策として、殲滅作戦の決断がくだされたのはむしろ遅すぎるくらいだった。
 辺境でのCAM起動実験からこっち、国内はずっとバタバタしていた。ようやくまとまった兵力を最寄りの第七師団と第一師団の合同で用意出来た頃には、すっかり時間が過ぎてしまった。
「失礼。シュシュ君と呼んでも?」
「は。構わないございますです」
「オズワルドさんから聞いたよ。君も辺境移民なのだそうだね。そしてこの国を変えようと努力している……僕は君にとっての先輩という事になるかな」
「では、ブアナ兵長も……?」
「カルガナでいいよ。部下にはそれで通してる」
「……カルガナも帝国を変える為に、帝国軍に入っただか?」
 男は頷くとシュシュに椅子にかけるように進めた。
 ここ、帝国領内の開拓地には辺境からだけではなく各地からの移民が市民権を得る代わりに労働に従事している。その中には犯罪者さえも含まれる。
 彼らは平等に仕事をこなし、平等の危険と労力を対価に自由を得ようとしている。帝国においてそれは自然な流れの一つだ。
「帝国は確かに傲慢なところもあるけれど、こうして僕の働きを評価し、兵長の位をくれた。そういう意味でこの国はどこまでも平等だ。残酷なくらいにね」
「シュシュはまだよくわかんないだよ。この国で戦う事がどういう事なのか……本当にシュシュは前に進んでいるのか……」
「それは僕にもなんとも言えないね。人それぞれなんじゃないかな。ただ一つ今確かな事は、この開拓地を守る事が僕らの未来にもつながっているという事だ」
 男は慣れた手つきで帝国製のお世辞にもうまいとは言えないコーヒーを淹れシュシュに差し出した。
 確かに全く言う通り。だからこそオズワルドは第七師団への派兵戦力の中にシュシュをまぜたのだから。
「今現在、僕の部下達がコボルドの住処についての調査を進めている。奴らは坑道に網目状の巣を作っているらしく、全貌の把握にはもう少しかかりそうなんだ。シュシュ君には作戦開始までの間、ハンターと協力し開拓村を警備してほしい」
「わかっただよ。でもなんでまたハンターがいるだ?」
「今回は少し大きな捕物になりそうだからね。ハンターが居た方が何かと便利なんだ」
 本当はオズワルドがハンターに依頼し、シュシュのおもりとして派遣してきたのだが……それは言わないでおこう。
 シュシュが両手で抱えた鉄製のカップからしかめっ面でコーヒーを啜っていると、駐留用に設置されたテントへ第七師団の兵士が飛び込んでくる。
「報告します! 現在、開拓村の付近にコボルドが出現! 複数の地点で戦闘が開始されている模様!」
「奴らも流石にバカじゃない。こっちが攻撃の準備を進めているのを感じ取ったんだろうね。……シュシュ君、対応を頼めるかい? 僕も現場に出たいが、一応指揮を任されていてね」
「にがぃ……はっ!? 了解したでござるですぞ!」
 慌てて敬礼するシュシュにカルガナは力強く頷き返した。

「コボルドはどこだべか~?」
 片手斧を手にえっちらおっちら走るシュシュ。その後にハンターも続く。
 戦闘はあちこちで発生しているようだが、基本的には帝国兵が優位だ。一つの山に救うコボルドの巣を駆逐できるだけの戦力が待機しているのだから、当然であるが。
 シュシュと共にハンター達も軽くコボルドの部隊を追い返し、山の麓にある森付近まで走ってきた頃だ。そろそろ引き返そうかと話始めた時、新たなコボルドが出現した。
 しかし妙なのは、どうやら一匹のコボルドを複数のコボルドが追い回しているらしい事だ。逃げるコボルドは青いスカーフを巻き、他の個体と異なり軽量の鉄鎧を装備している。
「仲間割れだべか?」
 首を傾げるハンター。するとコボルドは進路を変更し、こちらへ近づいてくる。
 咄嗟に得物を構えるハンター達だが、コボルドは近づくとハアハアと息を乱しながら言った。
「助ケヲコウ……。我、戦意ナシ。ニンゲン、和平、ノゾム」
「コボルドがしゃべっただよ!?」
 いや、一応喋れる個体もいるみたいだよとハンターが解説している内に追手が近づいてくる。
「決断ヲコウ。我、裏切リノ徒ナリ。コノママ死ヌ、戦イ、止マラヌ。悔恨、ツキズ」
「……………………こいつなにいってるかよくわかんないだよ?」
 真剣な表情で眉を潜めるシュシュ。そうですね。もう少しわかりやすく喋って欲しいですね。
 青いスカーフのコボルドへと矢が放たれた。シュシュはそれを盾で弾き、片手でくるりと斧を回す。
「あ! つい助けてしまっただよ! これからどうすればいいだべか? こういう時どうしたらいいのか、聞いてないだよぅ!」
 すっかり困り果てた様子のシュシュ。確かにこんな状況への指示は受けていなかった。
 さてどうしたものかと考える間もなくコボルド達が迫る。どうやら青スカーフのコボルドも剣を抜いて戦うようだった。

解説

●目的
コボルド部隊の撃退。


●概要
帝国領内の開拓地に出現したコボルド部隊を迎撃する。
マテリアル鉱山を含むこの開拓地では以前からコボルドの襲撃に悩まされてきた。
それというのも、元々この近辺はコボルドの生息地であり、コボルド側からすれば開拓団は住処を脅かす侵略者なのだ。
開拓団は元囚人や移民などで構成されており、彼らは新たな故郷と職を得るために開拓を進めている。
コボルドの最期の砦でもある鉱山へ近日大規模な攻略戦が行われる予定があり、開拓地には第七師団と第一師団の兵力が集結しつつある。
ハンター達はこれらに混じり待機中の所、襲撃に出現したコボルドを迎撃する事になったのだが……。


●敵戦力
『コボルド』
ただのコボルド。正直弱い。
数は十二匹。弓矢や剣、棍棒などで武装している。
青いスカーフを巻いたコボルドを追いかけているようだ。


●???
『シュシュ・アルミラ』
第一師団の見習い兵。片手斧と片手盾装備の霊闘士。
実戦経験の少ない見習いだが、戦いのセンスはある。しかしアホ。
状況が難しくて正直ついていけてない。

『カルガナ・ブアナ』
第七師団兵長。指揮の為に開拓村に残ったので出てきません。

『青スカーフのコボルド』
青スカーフを巻いたコボルド。鎧をつけている以外に他の個体と見分けはつかない。
短剣と小型の盾を持っている。仲間の筈のコボルドに攻撃され負傷している。
人間と和平を望んでいるらしいが……。

マスターより

お世話になっております、神宮寺です。

久々のシュシュです。開拓地には訪れた事のあるハンターもいると思いますが……。
青スカーフのコボルドは特に何もなければ自分の身を守る為に戦います。シュシュはよく分かってないので言う事を聞きます。

それではよろしくお願い致します。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/02/04 03:52

参加者一覧

  • 薔薇色の演奏者
    ベアトリス・ド・アヴェーヌ(ka0458
    人間(蒼)|19才|女性|機導師
  • 双璧の盾
    近衛 惣助(ka0510
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • 天に届く刃
    クリスティン・ガフ(ka1090
    人間(紅)|19才|女性|闘狩人
  • →Alchemist
    イェルバート(ka1772
    人間(紅)|15才|男性|機導師
  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • CANDY☆TOM
    喜屋武・D・トーマス(ka3424
    人間(蒼)|28才|男性|魔術師
  • 赤雷の幻影
    カルス(ka3647
    人間(紅)|22才|男性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
神楽(ka2032
人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2015/01/27 12:40:38
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/22 21:47:35